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カフェを前面に「iPhone」修理 ZOAが静岡で新業態店に挑戦!

店舗

2016/07/25 13:00

 どこからどう見ても、街中にあるカフェにしか見えない。数人の若い女性客は、店でつくった焼き立てのパンと一緒にコーヒーを購入して席につき、午後のひと時を談笑して楽しんでいる。

 実はこの店、PC関連機器の販売や修理を手がけるZOAが今年6月1日にオープンした新業態店「Shizuoka KEY'S CAFE」だ。場所はJRの在来線と新幹線が行き交う静岡駅北口と静岡市役所がある辺りまでを結ぶ呉服町通り沿い。デパートやディスカウントストア、服飾専門店、居酒屋などが広がる繁華街の中心だ。

 「なぜZOAがカフェを?」と思うかもしれないが、3階建てのカフェの最上階の奥にあるのは1坪ほどの「iPhone修理工房」。コーヒーを飲んでいる間に、iPhoneの修理が行えるというコンセプトが売りだ。

 「あえてZOAの看板を掲げず、またiPhoneの修理サービスを前面に押し出さないようにした。あくまでも店舗のフロントはKEY'S CAFEで、iPhoneの修理はカフェとのシナジーを生むための仕掛けだ」と、ZOAの安井明宏取締役執行役員管理本部長兼サービス事業本部長は新業態店の狙いを語る。

 実際、店舗にZOAの看板は一切ない。入口のイーゼル看板にはコーヒーやパスタのメニューと一緒にさりげなく「iPhone修理工房」をアナウンス。「iPhone 6のガラス割れ」が1万1800円(税込)で対応できることを訴求している。

 日常使いでカフェを利用する顧客は、店内のカウンターやテーブル席について、「iPhone修理工房」をアピールするPOPをみてはじめて、iPhoneの修理ができることに気付くのだ。

客層の違う新規客を呼び込む

 ZOAの看板を掲げないことで、これまでのPCに比較的詳しいZOAの客層とは異なる、若い女性や学生、ビジネスマンなど幅広い層をターゲットにすることができる。いわば、来店客のほとんどがZOAにとっては新規客になるわけだ。

 「利用客の7~8割が女性で、ランチタイムや夜のディナータイムは満席になるほど賑わう」と安井取締役の顔もほころぶ。新規客の多くはiPhoneを利用しているので、修理サービスの依頼につなげやすい。
カフェの運営もZOAが行う。KEY'S CAFEの運営システムを提供するキーコーヒーは、一般的なFCのような加盟金やロイヤルティーを徴収しない。焙煎機や什器、資材、原材料などを仕入れる契約で、加盟店とつながっている。

 「iPhone修理工房」の1日当たりの利用客の目標は10人だ。10人の修理料金をざっくり10万円とした場合、月に300万円。これにカフェの売上高が加わるという計算である。オープン1か月で1日当たりの修理の利用客は4人と、滑り出しは好調。ZOAは、この新業態店をほかのエリアでも展開していく予定だ。(BCN・細田 立圭志)
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年8月号から転載