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<Special Report>シニア市場を狙い撃ち 年配客の心理を読む

オピニオン

2016/07/22 18:00

 世界的にみても少子高齢化の進行が著しい日本。人口減による市場縮小はネガティブな情報として受け止められている。しかし、裏を返せばシニア市場は、これまでにはなかった新しい市場として今後も確実に拡大し続ける。今後も成長を見込める分野だけに、流通・小売りはシニアに的を絞った対策を本格化させている。(BCN・大蔵 大輔、廣瀬 秀平)

歯止めかからぬ高齢化 60年には2.5人に1人が高齢者

 内閣府がまとめた「平成28年版高齢社会白書」によると、2015年の総人口1億2711万人のうち、65歳以上の高齢者は3392万人だった。高齢化率は過去最高の26.7%を記録し、約4人に1人が高齢者となった。
 

 
 記録が残る1950年以降、高齢化は右肩上がりで伸び、高齢化率は2015年までの65年間で約5倍に伸びた。さらに45年後の60年には39.9%に達し、2.5人に1人が高齢者になる見通しだ。

 14年の高齢化率を地域別に比較すると、特に地方の状況が厳しい。最も高いのは秋田県の32.6%で、高知県32.2%、島根県31.8%と続き、ほとんどが東京都や大阪府などの都市部より高い水準だった。

 高齢化への対応は、全国に店舗を展開する家電量販店にとっても重要な課題だ。各家電量販店やメーカーは、顧客とする高齢者をこれまで以上に重要なターゲットに設定する必要がある。

 

高齢者のリピーター化を狙う店づくり 「エディオン近鉄あべのハルカス店」

 大阪・阿倍野区の「あべのハルカス近鉄本店」内に出店する「エディオン近鉄あべのハルカス店」は、独自の戦略で高齢者のリピーターの増加に成功している。百貨店内の出店はエディオンにとって初。人が慌ただしく行き交い、店内放送が騒がしい家電量販店の面影は薄く、店内装飾も百貨店の雰囲気に馴染む上品さを演出している。
 

 約180坪と店舗面積は手狭だが、シニア対策の仕掛けは随所に見受けられる。例えば、オーディオコーナーは最新のワイヤレススピーカーを押し出す一方で、他店では取り扱いが少ないポケットラジオやCDプレーヤーを陳列。森野真一店長代理は「一部のお客様の声にもしっかり反応することが、リピーターの増加につながっている」と語る。

 通常、家電量販店で見かけない高単価の海外家電商品が充実しているのも、百貨店を訪れるシニアを意識した品揃えから。両親へのプレゼントを探しにくる比較的若い客層も多く、母の日や父の日のトリガー効果も高いという。値段より「価値」を重視するユーザーが多いのもポイントだ。

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