ヤマダ、業態変更の背景にあるものは?
「ツクモデジタル.ライフ館」が5月27日、東京・新橋にグランドオープンした背景には、「爆買い」が特徴だったインバウンド(訪日外国人)の動向に変化が生じていたことがある。
【関連記事】
・新橋に「ツクモデジタル.ライフ館」オープン、インバウンド色は一掃
ヤマダ電機はオープン時、羽田空港まで電車で30分程度の新橋の利便性を生かし、羽田から帰国する外国人に立ち寄ってもらう青写真を描いていた。
オープン前のプレス説明会でヤマダ電機の幹部は「新たな顧客層を巻き込む」と期待していた。しかし思惑は外れ、わずか約1年で業態変更を余儀なくされた。
新たにグランドオープンした「ツクモデジタル.ライフ館」は、インバウンド色を一掃。家電やPCなどのほか、ゴルフ用品や紳士用品のフロアも設け、新橋に多いサラリーマンを重視する堅実路線で巻き返しを狙う。
日本政府観光局の推計値では、4月に日本を訪れた外国人客数は前年同月比118%の208万2000人で、2か月連続で過去最高記録を更新した。
特に爆買いの中心となる中国人は、126.9%の51万4900人と好調に推移し、4月としては過去最高となった。それでも、爆買いが減ったと思われるのはなぜか。
日本政府観光局の担当者は「これまでは高額商品の『爆買い』が目立ったが、今はドラッグストアなどで少額商品を厳選して買う動きが増えてきた」とみる。
訪日外国人の期待度で買い物は大きな比重を占め、実際に日本滞在中に84.3%が買い物に出かけた。しかし「次回したいこと」を聞いた質問には、「ショッピング」と答えた人は44.7%にとどまった。
一度「爆買い」をした外国人が、再訪時に同じ購買行動をとるとは限らず、それを目当てにした店舗展開はピークを迎えつつあるといえる。ただ、理美容家電など一部の商品には依然として人気が集中しており、流行やニーズをしっかり見極めることが重要だ。
【関連記事】
・新橋に「ツクモデジタル.ライフ館」オープン、インバウンド色は一掃
思惑外れ、堅実路線で巻き返し狙う
出店場所に以前あったのは、「旧ヤマダ電機 LABI Amenity&TAX FREE 新橋銀座口店」。外国人に人気の理美容家電や高級ブランド品などを揃え、2015年4月にオープンした。ヤマダ電機はオープン時、羽田空港まで電車で30分程度の新橋の利便性を生かし、羽田から帰国する外国人に立ち寄ってもらう青写真を描いていた。
オープン前のプレス説明会でヤマダ電機の幹部は「新たな顧客層を巻き込む」と期待していた。しかし思惑は外れ、わずか約1年で業態変更を余儀なくされた。
ゴルフ用品や紳士用品のフロアを設置した「ツクモデジタル.ライフ館」
新たにグランドオープンした「ツクモデジタル.ライフ館」は、インバウンド色を一掃。家電やPCなどのほか、ゴルフ用品や紳士用品のフロアも設け、新橋に多いサラリーマンを重視する堅実路線で巻き返しを狙う。
「爆買い」から「厳選買い」にシフト
都内の家電量販店の間では、「爆買い」の勢いに落ち着きが出てきたとの見方がある。電気街として知られる秋葉原の家電量販店関係者も「最近は爆買いをあまり見なくなり、ピークは超えた感じだ」と話す。日本政府観光局の推計値では、4月に日本を訪れた外国人客数は前年同月比118%の208万2000人で、2か月連続で過去最高記録を更新した。
訪日外国人客数の推移 日本政府観光局(JNTO)調べ
特に爆買いの中心となる中国人は、126.9%の51万4900人と好調に推移し、4月としては過去最高となった。それでも、爆買いが減ったと思われるのはなぜか。
日本政府観光局の担当者は「これまでは高額商品の『爆買い』が目立ったが、今はドラッグストアなどで少額商品を厳選して買う動きが増えてきた」とみる。
「爆買い」は一度きり?
1―3月の訪日外国人から回答を得た観光庁の「訪日外国人の消費動向調査」では、最も多い70%が「訪日前に期待していたこと」として「日本食を食べること」を選び、「ショッピング」は53%と続いた。訪日前に期待していたこと(全国籍・地域、複数回答)
出典:「観光庁 訪日外国人の消費動向 平成28年1ー3月期 報告書」より
出典:「観光庁 訪日外国人の消費動向 平成28年1ー3月期 報告書」より
訪日外国人の期待度で買い物は大きな比重を占め、実際に日本滞在中に84.3%が買い物に出かけた。しかし「次回したいこと」を聞いた質問には、「ショッピング」と答えた人は44.7%にとどまった。
今回したいことと次回したいこと(全国籍・地域、複数回答)
出典:「観光庁 訪日外国人の消費動向 平成28年1ー3月期 報告書」より
出典:「観光庁 訪日外国人の消費動向 平成28年1ー3月期 報告書」より
一度「爆買い」をした外国人が、再訪時に同じ購買行動をとるとは限らず、それを目当てにした店舗展開はピークを迎えつつあるといえる。ただ、理美容家電など一部の商品には依然として人気が集中しており、流行やニーズをしっかり見極めることが重要だ。