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この夏、電気代ダイエットに取り組もう! 省エネ家電とプランの見直しが効果的

特集

2016/06/21 11:00

 電力の自由化が始まって初めての夏を迎える。暑くなるとエアコンの使用頻度が上がり、冷蔵庫も外気温に負けず庫内を冷やそうとフル稼働する。つまり、夏は電気の使用量が増える季節でもある。この夏、電気代のダイエットを始めよう。

ステップ1 省エネ家電に買い替えよう


 電化製品を買い替えると電気代が安くなる、という話をよく聞く。しかし、まだ使えるものを処分するのはもったいない、壊れるまで……と頑張って使っている人もいるのではないだろうか。夏に活躍するエアコン、冷蔵庫、生活に欠かせない照明の三つに絞って買い替えによる節電効果を見てみよう。 

 エアコンと冷蔵庫の寿命は10年ほどだ。そこで10年前のモデルと最新モデルで消費電力量と電気代を比較した。冷蔵庫は5月中旬から消費電力の算出の仕方が変わったが、10年前のモデルと比較するため、旧JIS規格で算出した。また、照明は蛍光灯からLEDシーリングライトに買い替えたものとする。 

 カタログなどに記載している年間の消費電力量を元に、1か月の消費電力量、電気代を計算した。なお、実際に夏場に使った場合、これよりも消費電力量が多いケースもある。あくまでも目安にしてもらいたい。 
 


 10年前と比べると電気代は、エアコンで3分の2ほど、冷蔵庫や照明は半分ほどに抑えることができる。さらに窓が多い家庭では、熱の出入りを抑えるため、室内に断熱カーテン、室外にもつる性の植物を育てて緑のカーテンを加えるとさらに効果がある。 

 もちろん、節電を意識することは大事だが、夏場にエアコンの使用を控えて熱中症になってしまっては本末転倒だ。省エネ家電への買い替えは、無理のない一番簡単な節電といえる。 
 

ステップ2 アンペア数プランからスマート契約プランに変える


 電力会社が増えたことでたくさんのプランから選べるようになった。この機会に、プランの見直しを検討してみよう。例えば、首都圏で新しい契約方式として注目されている、東京電力エナジーパートナー(EP)の「スマート契約プラン」を例に試算してみた。スマート契約プランに切り替えると、無条件に電気代が安くなるのだろうか。まずはどういったものか把握しよう。 

 これまでの東京電力のプランは「従量電灯B/C」プランで、アンペア数によって変わる基本料金に加え、使用した電力量分の電気代を支払う。基本料金は、10A、15Aと続き、20A以降は10A刻みで60Aまでだ。この場合、基本料金は固定になるので、わかりやすい。 

 契約アンペアは、一度に使用できる電気量に合わせた契約で、アンペアブレーカーを取り付けるので、契約アンペア数以上の電気を使うとブレーカーが落ちてしまう。そのため、ブレーカーが落ちないようにアンペア数を高めに設定する人も少なくない。つまり、ブレーカーをあまり落とさない人は基本料金を多めに支払っている可能性がある。 

 東京電力EPの「スマート契約プラン」は、「何アンペアまで同時に使える」ではなく、スマートメーターで計った「30分間で使用した電力量」で基本料金が決まる。 

 4月1日から新しい料金プランに切り替えると、自動的にスマートメーターを無料で取り付けてもらえる。このスマートメーターは30分ごとの使用電力量を測定。この測定した使用電力量をグラフ化すると、一日分は48本の棒グラフになる。 

 48本の棒グラフがどの時間帯に最も高くなるのか、すなわち最も電気を使う時間帯と使用電力量を把握することが大切だ。夏場となれば、エアコンを使うので、日中の方が使用電力量が大きいだろう。エアコンは常に同じ電力量を消費するのではなく、起動時に大きな電力が必要になり、大体起動から10~20分前後が最も大きい。エアコンの消費電力のグラフを作ると起動時に大きな山を描き、後はなだらかに下降し、低消費のまま推移する。
 


 最も電力を消費するエアコン起動時を元に、アンペア契約とスマート契約で基本料金の出し方を比べてみよう。アンペア契約の場合、短時間のピークに耐えられるアンペア数で契約する。短時間でも契約したアンペア数を超えてしまえばブレーカーが落ちてしまうからだ。 

 一方、スマート契約プランの場合は、30分の平均消費電力量で算出する。最初の10分間の消費電力量が多くとも、その後の消費電力量が少なければ平均値が下がる。つまり、スマート契約プランは、短時間のピークアンペア数値より、30分間の平均したアンペア数(実際の契約ではkW)は低くなりやすい。

 スマート契約プランにすれば無条件に基本料金が安くなる訳ではないが、30分間の使用量をできるだけ少なくすることで、基本料金は安くなる。だからこそ、省エネ家電への買い替えは効果的なのだ。ただし、プランによって基本料金の単価が違うので注意が必要である。 
 

ステップ3 生活スタイルに合ったお得なプランを選ぼう


 先ほども登場したスマートメーターは、電力会社の見える化サービス、例えば東京電力EPの「でんき家計簿」などを利用して、30分ごとに測定した消費電力量をPCやスマートフォンで確認できる。これをチェックすることで電気を多く使う時間帯や曜日などを把握できる。 

 例えば、共働きの夫婦の場合、日中は夫婦ともに外出しており、自宅には誰もいない。つまり、消費する電力量は極端に少ない。一方、夜になったら夫婦とも帰宅し、炊事、掃除、洗濯など、電気を多く使う。そんな生活スタイルなら夜間の電気単価が安いプランがいい。月間の電力使用量に合わせたプランが多いなか、お得になる時間帯を選べるプランを用意しているのが東京電力EPだ。 

 東京電力EPには「夜トクプラン」という夜間の電気単価がお得なプランがある。午後11時から午前7時までの1kWhの電気単価が20.78円と安い「夜トク8」と午後9時から午前9時までの電気単価が22.55円の「夜トク12」がある。 
 


 昼間の電気単価は「夜トク8」が32.14円、「夜トク12」が33.76円と高いが、日中は冷蔵庫など最低限で抑え、電気代の安い夜間にタイマーなどを活用し、冷暖房、炊飯、洗濯といった家事をするといい。 

 また、最近人気のロボット掃除機やコードレススティック掃除機は、内蔵バッテリを充電するタイプだ。充電は夜間に済ませれば、日中留守の自宅にロボット掃除機を走らせることができる。さらに、今年の夏はオリンピックのテレビ観戦のため、夜間の電気使用量が増えるかもしれない。増える前にプランを切り替えたい。 

 夜間の電気代が安くても省エネは忘れないで欲しい。安い単価で、使用量はできるだけ少なくすることが電気代がお得になる基本だ。 

 電気の使用量が増える夏場。電気代は少しでも安いほうがよい。省エネ家電への買い替えを含め、夏本番前を迎えるまでに、ぜひ、省エネ・節電について見直して欲しい。省エネに加えて、各社の電気料金プランを価格比較サイトなどで試算し、例えば、東京電力エナジーパートナーの「夜トクプラン」のように、生活スタイルに合った、省エネでさらにお得になる可能性があるプランがあれば、削減見込み額を確認した上で、切り替えることで、夏の電気代を大幅に抑えることができるはずだ。(BCN・山下彰子)