エレクトロラックス 、「魅せデザイン」の秘密はスウェーデン本社に
春の新生活シーズンに向けて、家電量販店の売り場ではスティック型クリーナーのコーナーが人気だ。部屋に出しっぱなしにしていても住空間にマッチするデ ザインが特徴のエレクトロラックスの「エルゴラピード・リチウム18V」は、以前の記事でも紹介したように、ユーザー同士がSNSを通じて「魅せ家電」と して見せ合っている。
今回は、その取材時にお世話になったエレクトロラックス・ジャパンのスモールアプライアンス事業部トレードマーケティングの室井崇裕部長に、エレクトロラックス製品の「魅せデザイン」を育んでいる北欧のスウェーデン本社の様子を聞いた。
日本からの直行便は少なく、パリやアムステルダムを経由して飛行機で12~19時間かかるスウェーデンは遠い国に思える。だが、毎年開催されるノーベル賞の授賞式や晩餐会が開催される国といえば、身近に感じるだろう。
スウェーデン王立科学アカデミーが発表した2015年のノーベル賞物理学賞では東京大宇宙線研究所長の梶田隆章教授ら2名、ノーベル医学生理学賞では北 里大学の大村智特別栄誉教授ら3名が受賞するなど、ここ数年、ノーベル賞における日本人の活躍が目覚ましい。その受賞をたたえて開かれる晩餐会の会場とな るのが、スウェーデンのストックホルム市庁舎だ。エレクトロラックス本社は、その市庁舎がある中心部の近郊にある。
2001年には世界初のロボット掃除機を発売し、2004年にはコードレス・スティック型掃除機の「エルゴラピード」が誕生。新しいマーケットを創造す る製品を開発するイノベーション精神と、コードレス・スティック型掃除機に見られるように、10年以上のノウハウを蓄積する継続力を兼ね備えている。「エ ルゴラピード」の日本での累積販売台数は100万台を超え、世界では累計1000万台に達した。
例えば、本社のラボには製品から出る騒音を細かくチェックするための施設がある。高級ピュアオーディオ製品の音響チェックに使われるような設備で、あらゆるノイズをチェックすることができるという。
本拠地のスウェーデン国内では、エレクトロラックスの掃除機のシェアは6割を超え、国民的なブランドとなっている。掃除機以外にも、コーヒーメーカーや ミキサー、ブレンダーなどの調理家電やビルトインの食器洗い乾燥機など、エレクトロラックス製品を日常的に使うユーザーは多い。同社の製品を専門的に扱う 直営店は、スウェーデン国内に52店舗を数える。
この点について室井部長は、スウェーデンでは外国に珍しく家の中で靴を脱いで暮らす文化であることを指摘する。「靴を脱いで暮らす生活は、室内を清潔に保ちたいという欲求が高まる。世界でもキレイ好きで知られる日本人と相性がいいのでしょう」。
実際、日本のユーザーの要望をグローバルモデルの共通仕様に採用した事例もある。それが特許出願中の「ブラシロールクリーン機能」。床ブラシに絡まった 髪の毛を取り除くのが面倒だと思うユーザーは多い。「ブラシロールクリーン機能」は掃除中にヘッド部のスイッチを足で踏むだけでブラシに絡まった髪の毛や 糸ゴミをカットして吸引する。メンテナンスが楽になるだけでなく、ブラシのからまりによる吸引力の低下が抑えられる一石二鳥の機能だ。
ほかにも、布団掃除専用ノズルや、ソファなど布製の家具を掃除する布用ノズルをアタッチメントに採用するなど、室内で靴を脱いで暮らす日本発のアイデアが、スウェーデンの会社の製品に反映されている。
エレクトロラックスの本社の様子を知ると、「エルゴラピード・リチウム18V」の「魅せデザイン」が、スウェーデンの生活習慣や文化から生まれたことや、そのデザインが日本人に受け入れられる理由が分かったような気がする。(BCN・細田立圭志)
今回は、その取材時にお世話になったエレクトロラックス・ジャパンのスモールアプライアンス事業部トレードマーケティングの室井崇裕部長に、エレクトロラックス製品の「魅せデザイン」を育んでいる北欧のスウェーデン本社の様子を聞いた。
エレクトロラックス・ジャパンのスモールアプライアンス事業部
トレードマーケティングの室井崇裕部長
歴史と最新のカルチャーが融合する社風
日本からの直行便は少なく、パリやアムステルダムを経由して飛行機で12~19時間かかるスウェーデンは遠い国に思える。だが、毎年開催されるノーベル賞の授賞式や晩餐会が開催される国といえば、身近に感じるだろう。
スウェーデン王立科学アカデミーが発表した2015年のノーベル賞物理学賞では東京大宇宙線研究所長の梶田隆章教授ら2名、ノーベル医学生理学賞では北 里大学の大村智特別栄誉教授ら3名が受賞するなど、ここ数年、ノーベル賞における日本人の活躍が目覚ましい。その受賞をたたえて開かれる晩餐会の会場とな るのが、スウェーデンのストックホルム市庁舎だ。エレクトロラックス本社は、その市庁舎がある中心部の近郊にある。
ノーベル賞の晩餐会の会場となるスウェーデンのストックホルム市庁舎
ストックホルム市庁舎の近郊にあるエレクトロラックスの本社
エレクトロラックス本社の中に入るとモダンな空間が広がる。
ショールームのほかデザイン部門、R&D部門、各種ラボがある
レトロと最新のファッションが調和するストックホルムの街並み
2001年には世界初のロボット掃除機を発売し、2004年にはコードレス・スティック型掃除機の「エルゴラピード」が誕生。新しいマーケットを創造す る製品を開発するイノベーション精神と、コードレス・スティック型掃除機に見られるように、10年以上のノウハウを蓄積する継続力を兼ね備えている。「エ ルゴラピード」の日本での累積販売台数は100万台を超え、世界では累計1000万台に達した。
1921年に発売した世界初の家庭用電気掃除機「LUX1」
クラフトマン・シップのエンジニアたち
室井部長は本社のエンジニアについて「職人技というかクラフトマン・シップのようなこだわりをもって熱く語る人が多い。ニット製品や陶器、ジュエリーなどで有名な伝統工芸品が多く存在するスウェーデン人の気質と関係があるのでしょうね」と語る。例えば、本社のラボには製品から出る騒音を細かくチェックするための施設がある。高級ピュアオーディオ製品の音響チェックに使われるような設備で、あらゆるノイズをチェックすることができるという。
製品から出る騒音をチェックできるラボ。
不快な音が出ないような製品づくりにこだわっている
製品から出る音の反響をチェックできるラボ。
室内で過ごす時間が多いスウェーデン人にとって使用時の不快な音は許されない
室内のインテリアと調和する「エルゴラピード・リチウム18V」
靴を脱いで暮らす文化など日本との共通点が多い
本拠地のスウェーデン国内では、エレクトロラックスの掃除機のシェアは6割を超え、国民的なブランドとなっている。掃除機以外にも、コーヒーメーカーや ミキサー、ブレンダーなどの調理家電やビルトインの食器洗い乾燥機など、エレクトロラックス製品を日常的に使うユーザーは多い。同社の製品を専門的に扱う 直営店は、スウェーデン国内に52店舗を数える。
直営店はスウェーデン国内に52店舗ある
直営店ではミキサーやブレンダー、コーヒーメーカーなど
エレクトロラックス製の調理家電も展示している
この点について室井部長は、スウェーデンでは外国に珍しく家の中で靴を脱いで暮らす文化であることを指摘する。「靴を脱いで暮らす生活は、室内を清潔に保ちたいという欲求が高まる。世界でもキレイ好きで知られる日本人と相性がいいのでしょう」。
実際、日本のユーザーの要望をグローバルモデルの共通仕様に採用した事例もある。それが特許出願中の「ブラシロールクリーン機能」。床ブラシに絡まった 髪の毛を取り除くのが面倒だと思うユーザーは多い。「ブラシロールクリーン機能」は掃除中にヘッド部のスイッチを足で踏むだけでブラシに絡まった髪の毛や 糸ゴミをカットして吸引する。メンテナンスが楽になるだけでなく、ブラシのからまりによる吸引力の低下が抑えられる一石二鳥の機能だ。
ほかにも、布団掃除専用ノズルや、ソファなど布製の家具を掃除する布用ノズルをアタッチメントに採用するなど、室内で靴を脱いで暮らす日本発のアイデアが、スウェーデンの会社の製品に反映されている。
布団掃除専用ノズルやソファなど布製家具専用ノズルなど、
エレクトロラックスの本社の様子を知ると、「エルゴラピード・リチウム18V」の「魅せデザイン」が、スウェーデンの生活習慣や文化から生まれたことや、そのデザインが日本人に受け入れられる理由が分かったような気がする。(BCN・細田立圭志)