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ノジマ、粗利率24.9%に上昇、高付加価値商品の提案型販売で

経営戦略

2015/11/06 14:24

 ノジマが11月5日に発表した2016年3月期の中間連結決算は、大手キャリアショップ運営会社のアイ・ティー・エックス(ITX)を今年3月に子会社化したことなどを受け、業績が大幅に改善した。ITXを除くノジマ単体では、売上総利益が24.9%に達した。野島廣司代表執行役社長は、「インターネットで安い商品を買ったものの、ニーズに合わなかったお客様の来店が増えている」と、業績向上の要因としてネット購入者の店舗への流入が影響していると語った。

 

スマホ市場の環境変化に対応


 中間期(15年4~9月)の連結売上高は、ITXの売上高1032億円が加わったことで、2130億円(前年同期比209.2%)と2倍以上伸びた。営業利益は58億6400万円(同377.4%)、経常利益が61億1100万円(同267.4%)、当期純利益が45億3800万円(同308.2%)と、いずれも大幅に伸長した。 

 これを受け、通期の業績予想も上方修正した。売上高は、10億円減の4510億円にほぼ期初予想に据え置くが、営業利益を従来予想より11億円増の133億円、経常利益を13億円増加の138億円、当期純利益を8億5000万円増加の106億円とした。 

 9月下旬には、iPhone 6sの発売で端末の買い替え需要が高まった。携帯電話回線とNTT東西の光回線とのセット販売や、格安SIMの浸透、新規参入業者によるMVNO(仮想移動体通信事業者)の契約数増加など、スマートフォン市場の環境の変化に対応したことが奏功した。 
 

ノジマ単独の売上総利益率が24.9%に改善


 ITXを除いた数字を見ても、ノジマの好調ぶりが分かる。ITXを除くノジマ単体の中間期の売上高は、1097億円(同106.5%)と前年同期を上回った。猛暑によるエアコンと冷蔵庫が好調だったのと、洗濯機や掃除機、調理家電など白物家電が堅調に推移。PC販売の不振を補った。 
 


 注目したいのは、売上総利益率(粗利率)の改善だ。前年同期は21.7%だったのが、この上期では24.9%まで3.2ポイント改善した。販管費率は前年同期の20.2%から今上期は21.1%へと0.9ポイント増えたものの、粗利率の改善で補う。 

 粗利率の改善について野島社長は、「例えばエアコンの場合、家電量販店では普及価格帯の商品が売れるが、ノジマでは(フィルター)お掃除機能付きのエアコンを提案している。お客様のライフスタイルに合わせた商品をおすすめすることで、高付加価値商品の成約数が増加した」と分析した。これにより、営業利益は41億9300万円(同270.0%)、経常利益は48億7700万円(同213.4%)と利益面の改善につながった。 
 

「コンサルティングセールス」を強化


 同社ではこうした提案力を「コンサルティングセールス」と呼ぶ。これが、量や安さを追求するのではなく、「質」を求める顧客層のニーズとうまく合致しているという。
(BCNランキング 細田立圭志)