<売れるワケ>UPSとモバイルバッテリを融合、シュナイダーの新提案
停電や落雷で電源が遮断され、電化製品が思わぬトラブルに見舞われることがある。テレビの時刻設定が初期化されたり、レコーダーの予約ができなかったり という経験をしたことがある人も多いだろう。最近では、インターネット回線のルータや、保存やバックアップに便利なNASなどのネットワーク機器が一般家 庭にも浸透し、データを保護しなければならないデジタル機器も増えてきた。デジタル家電は、ほんの一瞬の電源の遮断が機器の故障やデータの消失につながる ことも少なくない。この事態を事前に防ぐ手段として有効なのが、UPS(無停電電源装置)だ。
戦略・事業開発本部の神谷誠マネージャーは「UPSの基本的な用途や必要性だけでなく、製品を選択する際のポイントも合わせてユーザーに訴求してきまし た。最近のPCや周辺機器はノイズが少なく効率もよいPFC電源を採用するものがほとんどです。PFC電源の機器と接続する場合、『正弦波対応』のUPS を選ぶ必要があります」と説明。現在売れ筋の「APC RS 550」も、正弦波機器対応モデルだ。「シュナイダーのUPS=正弦波対応、という認知が浸透してきたことがユーザーの購入を後押ししたのではないか」 (神谷マネージャー)と分析する。
「ネットワーク機器に限定しているのは、ターゲットにUPSビギナーを想定しているからです。災害が多い日本では、電話やインターネットなどのインフラ が麻痺してしまうと、過疎地で孤立した住人が救助を要請できないという問題が発生します。新製品はそういった事態を防ぐ手立てになるのではないか、という 狙いがあります」(神谷マネージャー)。操作性にも配慮し、ユーザーインターフェースは電源ボタンのみ。これならデジタルに精通していないユーザーでも簡 単にセットすることができるだろう。
出力が小さい分、バックアップ可能な時間は長い。一般的なUPSはバックアップ電源を供給できるのは約10分程度だが、「BGE50ML-JP」は10Wで約2.5時間、50Wで約30分。トラブル発生後も、慌てることなく状況に対処することができる。__RCMS_CONTENT_BOUNDARY__
モバイルバッテリ単体としても優れた点は多い。まず、通常は半年~1年の保証期間が3年と非常に長い。UPSと同等の保証期間だが、使用頻度が高いモバ イルバッテリまで長期間保証を適用するのは、かなり思い切った決断だ。また、急速充電に対応しており、UPSドッキング時は約2.5時間、付属の micro USBでは約6時間でフル充電できる。個人的には、自宅での置き場所をもて余すモバイルバッテリを所定の場所で充電可能なこともポイントが高い。PC周辺 にすべてのデジタル機器を集約できるので、多くの端末を所有する人は重宝するはずだ。
「UPSは非常時の備えなので、毎日利用する機器ではありません。しかし、モバイルバッテリとしても使えるのであれば、日頃から頻繁に活躍するようにな ります」(神谷マネージャー)。UPSの用途を拡張する意欲的な新製品が下半期の市場でどのような反応をもって受け止められるのか、期待をもって注目した い。(BCNランキング・大蔵 大輔)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
UPS部門で上半期No.1を獲得したシュナイダーエレクトリック
戦略・事業開発本部の神谷マネージャー
UPS部門で上半期No.1を獲得、ユーザーへの啓蒙活動が購入を後押し
シュナイダーエレクトリックが2015年1月-6月の上半期で獲得した販売台数シェアは42.6%。製品への評価だけでなく、UPSの必要性や購入時のポイントを家電量販店やイベント、ウェブを通して根気強く訴求してきたことが、No.1への原動力になった。戦略・事業開発本部の神谷誠マネージャーは「UPSの基本的な用途や必要性だけでなく、製品を選択する際のポイントも合わせてユーザーに訴求してきまし た。最近のPCや周辺機器はノイズが少なく効率もよいPFC電源を採用するものがほとんどです。PFC電源の機器と接続する場合、『正弦波対応』のUPS を選ぶ必要があります」と説明。現在売れ筋の「APC RS 550」も、正弦波機器対応モデルだ。「シュナイダーのUPS=正弦波対応、という認知が浸透してきたことがユーザーの購入を後押ししたのではないか」 (神谷マネージャー)と分析する。
「UPSに対する認知度向上のための訴求が功を奏した」と語る神谷マネージャー
新コンセプトのUPSを10月下旬に市場投入、狙いはUPSビギナー
根本的な部分でのモデルチェンジは少ないUPSだが、下半期にはまったく新しいコンセプトのUPSを市場に投入する。10月下旬に発売する「ネットワークバッテリバックアップ+モバイル電源パック:BGE50ML-JP」だ。
10月下旬に発売する「ネットワークバッテリバックアップ+モバイル電源パック:BGE50ML-JP」
電源部分が取り外し可能、モバイルバッテリとしても機能する
「ネットワーク機器に限定しているのは、ターゲットにUPSビギナーを想定しているからです。災害が多い日本では、電話やインターネットなどのインフラ が麻痺してしまうと、過疎地で孤立した住人が救助を要請できないという問題が発生します。新製品はそういった事態を防ぐ手立てになるのではないか、という 狙いがあります」(神谷マネージャー)。操作性にも配慮し、ユーザーインターフェースは電源ボタンのみ。これならデジタルに精通していないユーザーでも簡 単にセットすることができるだろう。
出力が小さい分、バックアップ可能な時間は長い。一般的なUPSはバックアップ電源を供給できるのは約10分程度だが、「BGE50ML-JP」は10Wで約2.5時間、50Wで約30分。トラブル発生後も、慌てることなく状況に対処することができる。__RCMS_CONTENT_BOUNDARY__
モバイル端末に活路、毎日使用するデジタル機器へ
モバイルバッテリ機能をプラスする発想は、急増するモバイル端末にも、なにかしらのアプローチができないかという着眼点から生まれた。「シュナイダーで も一部の社員は、会社に席を設けず外で仕事をしています。電源を確保できない場合も多いため、モバイルバッテリの需要はとても高い」(神谷マネー ジャー)。バッテリ容量は1万1400mAh。iPhoneであれば約5回、iPadなら約2回の充電が可能な大容量だ。
バッテリ容量は1万1400mAh、スマートフォンを繰り替えし充電できる
モバイルバッテリ単体としても優れた点は多い。まず、通常は半年~1年の保証期間が3年と非常に長い。UPSと同等の保証期間だが、使用頻度が高いモバ イルバッテリまで長期間保証を適用するのは、かなり思い切った決断だ。また、急速充電に対応しており、UPSドッキング時は約2.5時間、付属の micro USBでは約6時間でフル充電できる。個人的には、自宅での置き場所をもて余すモバイルバッテリを所定の場所で充電可能なこともポイントが高い。PC周辺 にすべてのデジタル機器を集約できるので、多くの端末を所有する人は重宝するはずだ。
「UPSは非常時の備えなので、毎日利用する機器ではありません。しかし、モバイルバッテリとしても使えるのであれば、日頃から頻繁に活躍するようにな ります」(神谷マネージャー)。UPSの用途を拡張する意欲的な新製品が下半期の市場でどのような反応をもって受け止められるのか、期待をもって注目した い。(BCNランキング・大蔵 大輔)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。