<売れるワケ>AOSデータの「復元ソフト」15年、目指せ標準ツール
AOSデータは、PCのライフサイクル全般に関連するソフトウェアを揃えるバックアップ・復元ソフト会社として、その存在感を高めている。今秋に向けて、Windows 10を搭載した新しいPCの本格発売を前に、同社ソフトに対する注目度が増している。ただ、「データ復旧・復元やバックアップのソフトは、一定の需要があるものの、まだ広く知られていない」(加藤雄三執行役員)と、データを失って初めて知る存在でなく、予防的に使われるソフトにすべく製品・販売の両面で戦略を強化している。
同社がデータ復元ソフト「ファイナルデータ」を発売したのは2000年1月。今年で15周年を迎えたことは意外と知られていない。同社はこの主軸ソフトを手初めてとして、ユーザーの要望に応え、パソコンの引越しから入れ替え・バックアップ、復旧・復元まで、PCのライフサイクルに関連するソフトのラインアップを揃えてきた。
同社の存在感が一気に増したのは2014年4月。Windows XPのサポート切れに際し、引越しソフトが売れた。加藤執行役員によれば、「通常年の3倍を売り上げた」という。だが、それ以降の反動と、Windows 10の発売前のPC需要低迷で「逆風にさらされた」(同)。
この上半期は、「逆風」を乗り切るため、家電量販店と連携し、PCなどハードウェアとのセット販売に力を入れた。例えば、自作PCやPCの新規購入者には、OSを古いファイルごと入れ替えができる「ファイナルデータ」を提案。外付けHDDを持つユーザーには「丸ごとバックアップPlus」、DOS/Vパーツ利用者向けに「ハードディスク入れ替え12Pro」をセット購入すると割引きをした。
加藤執行役員は「復元と移行ソフトが売れている。復元したPCの使用年数は1~3年未満で40%。3年程度で当社ソフトの需要が巡ってくる」と、固定客が増えればストック収益が読めるということだ。いまは、Windows 10搭載のPCの本格的な販売を前に、「大事なデータを保護する必要性」(同)をビデオなどを利用してプロモーションし、「標準ツールになる」(同)ことを目指している。
年末に向けては、Windows 10関連の需要が期待できる。当然、競合のソフト会社も手を打ってくる。AOSデータでは、中でも古いPCからWindows 10搭載のPCに乗り換える際に使うデータ移行ソフトと、移行したあとのバックアップソフトを店頭で訴求する。加藤執行役員によれば、同社のソフトは「メインの購入層は30~40代。主軸ソフトであるデータ復旧ソフトは、中小企業の法人で半分を占める」ことから、カメラ系量販店の法人コーナーでの展示や、一部量販店ではPCのプリインストール版を提供する。
法人コーナーでは、「マイナンバー」に関連した展開も計画している。加藤執行役員は「マイナンバーで当社ソフトをどう有効利用できるかを示した書籍を店頭に並べる」と、需要が見込める切り口でソフトを売り込む。Windows 10とマイナンバーの“特需”を得て、今年は前年に比べ130~140%の販売増を見込む。(BCNランキング 谷畑良胤)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
同社がデータ復元ソフト「ファイナルデータ」を発売したのは2000年1月。今年で15周年を迎えたことは意外と知られていない。同社はこの主軸ソフトを手初めてとして、ユーザーの要望に応え、パソコンの引越しから入れ替え・バックアップ、復旧・復元まで、PCのライフサイクルに関連するソフトのラインアップを揃えてきた。
「バックアップ/復元ソフトの認知度はまだ低い」と、ライフサイクルに応じた戦略を立てる加藤雄三執行役員
同社の存在感が一気に増したのは2014年4月。Windows XPのサポート切れに際し、引越しソフトが売れた。加藤執行役員によれば、「通常年の3倍を売り上げた」という。だが、それ以降の反動と、Windows 10の発売前のPC需要低迷で「逆風にさらされた」(同)。
この上半期は、「逆風」を乗り切るため、家電量販店と連携し、PCなどハードウェアとのセット販売に力を入れた。例えば、自作PCやPCの新規購入者には、OSを古いファイルごと入れ替えができる「ファイナルデータ」を提案。外付けHDDを持つユーザーには「丸ごとバックアップPlus」、DOS/Vパーツ利用者向けに「ハードディスク入れ替え12Pro」をセット購入すると割引きをした。
加藤執行役員は「復元と移行ソフトが売れている。復元したPCの使用年数は1~3年未満で40%。3年程度で当社ソフトの需要が巡ってくる」と、固定客が増えればストック収益が読めるということだ。いまは、Windows 10搭載のPCの本格的な販売を前に、「大事なデータを保護する必要性」(同)をビデオなどを利用してプロモーションし、「標準ツールになる」(同)ことを目指している。
年末に向けては、Windows 10関連の需要が期待できる。当然、競合のソフト会社も手を打ってくる。AOSデータでは、中でも古いPCからWindows 10搭載のPCに乗り換える際に使うデータ移行ソフトと、移行したあとのバックアップソフトを店頭で訴求する。加藤執行役員によれば、同社のソフトは「メインの購入層は30~40代。主軸ソフトであるデータ復旧ソフトは、中小企業の法人で半分を占める」ことから、カメラ系量販店の法人コーナーでの展示や、一部量販店ではPCのプリインストール版を提供する。
法人コーナーでは、「マイナンバー」に関連した展開も計画している。加藤執行役員は「マイナンバーで当社ソフトをどう有効利用できるかを示した書籍を店頭に並べる」と、需要が見込める切り口でソフトを売り込む。Windows 10とマイナンバーの“特需”を得て、今年は前年に比べ130~140%の販売増を見込む。(BCNランキング 谷畑良胤)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。