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9月のスマホ異例の2ケタ割れ、弱まるiPhoneの神通力にロボットで挑むシャープ

時事ネタ

2015/10/08 17:00

 この9月、スマートフォン(スマホ)の販売台数前年比が83.9%と2ケタ割れを喫した。9月25日にはアップルのiPhone 6s/6s Plusが発売されたばかり。にもかかわらず販売台数が大きく前年を下回るのは異例の出来事だ。一方シャープは10月6日、2足歩行可能な小型ロボットと スマホを合体させた「RoBoHoN(ロボホン)」を発表、新たな市場の開拓を狙っている。スマホ市場の潮目は大きく変わりつつある。

 日本のスマホ市場はアップルのシェアが極めて高い。9月は新製品発売直後とあって、63.1%と圧倒的なシェアを記録した。しかし、71.7%だった昨 年9月に比べれば、アップルの影響力が小さくなっていることは否めない。アップルの販売台数前年比も74.3%と2割以上も縮小している。9月のスマホ市 場全体が大きく前年を下回ったのはこうした背景があった。
 


 アップル不調の要因はいくつかある。昨年はiPhone 6/6 Plus発売日が9月19日と今年より6日早く、発売直後にシルバーウィーク最後の祝日、9月23日を迎えたこと。今年は予約販売のみだったため、恒例に なっていた発売を待つ長蛇の列がなく、メディアの露出も少なかったこと。さらに今年は、中国でも同日に発売したたため、中国向け転売目的の購入が激減した と見られること、などだ。

 ニュース性の乏しさもある。2013年にiPhone 5s/5cの発売時には満を持してNTTドコモが取り扱いを開始。昨年のiPhone 6/6 Plusでは、初めて画面サイズを4.7インチと5.5インチの2種類としてリリースしたのも話題を呼んだ。今年のiPhone 6s/6s Plusでは、さらなるパフォーマンス向上や「3D Touch」など新しい機能があるものの、前モデルとの明らかな差という点ではわかりにくい。このところ拡大している、比較的安価なSIM フリースマホの勢いも影響しているだろう。
 


シャープが16年前半に発売するRoBoHoN

 シャープは、9月のスマホシェア9.1%と2位。アップルに大きく水をあけられているばかりでなく、14年11月以降11か月連続で販売台数の前年割れ が続いている。この5月には49.0%と半減したものの、9月は99.8%と前年並みまで押し戻してきた。10月6日に発表したロボット型のスマホ RoBoHoNは「飛び道具」(コンシューマーエレクトロニクスカンパニーの長谷川祥典 社長)の側面もある一方で、スマホ市場の閉塞感を何とかして打ち破ろうとする同社の姿勢の現れとも言える。
 


RoBoHoNを胸ポケットに入れて発表会に登場したロボガレージの高橋智隆 代表取締役

 何かと耳目を集めているソフトバンクのパーソナルロボットPepperだが、頭脳がクラウド側にある点ではRoBoHoNも同じだ。コミュニケーション を重視するなら、必ずしも大きなボディである必要はない。記者会見に共同開発者としてRoBoHoNを胸ポケットに入れて登場した、ロボットクリエイター で、ロボ・ガレージの高橋智隆 代表取締役は「ロボットを一人一台ポケットに入れて暮らす時代が近づいた」と語った。閉塞感や天井感が強まるスマホ市場に大きな変化をもたらすのは、ロ ボット技術との組み合わせなのかもしれない。(BCN 道越一郎)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。