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4K、H.265対応が進むビデオ関連ソフト市場 2015年第1四半期はサイバーリンクが1位

特集

2015/04/22 18:56

 動画撮影機器や動画再生機器の進歩とともに進化するビデオ関連ソフト。今年は4K対応やH.265対応、高画質化、クラウド対応などがトレンドになりそうだ。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、2015年第1四半期(2015年1月~3月)のデータから、2015年の傾向を占った。

 「BCNランキング」が集計するビデオ関連ソフトは、ビデオ編集、ビデオ再生、変換、編集から変換、再生まで1本でできるビデオ統合と複数ジャンルがわかれている。これらを合わせたビデオ関連ソフト市場全体で、2015年第1四半期のメーカー別の販売本数シェアをチェックした。

 最も販売本数シェアが高かったのがサイバーリンクで、シェアは24.2%だ。編集ソフト「PowerDirector」、再生ソフト「PowerDVD」などが貢献している。2位は編集ソフト「Video Studio」や再生ソフト「WinDVD」などを販売しているイーフロンティアで、シェアは21.3%。3位はコピー・バックアップソフト「DVDFab」や統合ソフト「Nero」を販売するジャングルで15.9%だった。


 この1年間のメーカー別シェアの動きを追ったところ、昨年の2014年前半はサイバーリンク、イーフロンティア、ジャングル、そしてソースネクストの4社が抜きつ抜かれつを繰り返す接戦を繰り広げていた。だが、8月にはジャングル、ソースネクストが失速し始める。そしてトップを走るイーフロンティアをサイバーリンクが追う形となっていた。

 ところが、2014年12月にイーフロンティアが民事再生法の適用申請をすると、同社のシェアがやや落ち、代わりにサイバーリンクが伸びた。2014年12月、2015年1月、2月と2社は横並びだったが、3月にサイバーリンクがイーフロンティアを抜き去った。


ビデオ関連ソフトの主戦場はビデオ編集 サイバーリンクが急上昇



 「BCNランキング」ではビデオ関連ソフトを編集、再生、変換、統合、コピー・バックアップなど八つのジャンルで分類している。このうち、最も人気の高いジャンルは何だろう。

 ビデオ関連ソフト全体の2015年1月~3月を合算したジャンル別の構成比では、編集が39.5%でもっとも高かった。編集、変換、再生、ライティングまで1本でできる統合ソフトは20.7%、再生ソフトが17.1%だった。


 つまり、編集ソフト市場がビデオ関連ソフトの主戦場といえる。しかし、編集ソフト市場はここしばらく前年実績を割る不調続きだ。2014年の増税前特需、Windows XPからの乗り換え特需があった2014年3月の前年同期比は136.0%だったが、その後は販売本数が前年割れのまま年が明けた。2015年3月は2014年の特需の反動が大きく、前年同期比63.0%となった。


 そんななか、サイバーリンクは前年実績を上回る成長を見せている。2014年3月の前年同期比を比べるとサイバーリンクは139.8%と編集ソフト市場全体と同程度だった。4月には編集ソフト市場全体が98.3%と落ち込んだのに対し、サイバーリンクは154.0%と3月よりも伸ばした。6月には212.5%、8月には252.8%、9月には271.2%と対前年同月比で200%以上も躍進している。

 ここまで伸びた理由について、サイバーリンクの担当者は「特に開発に力を入れており、さらにマニュアルを日本で監修する、ユーザーインターフェースを改善するなど、多くのアップデートがユーザーの支持につながったと考えている」と話し、同社の取り組みが功を奏しているようだ。

勢いに乗るサイバーリンクが再生ソフト「PowerDVD15」を発売



 いま、勢いに乗るサイバーリンクが4月14日に発表、17日にパッケージ版を発売した再生ソフトが「PowerDVD15」だ。再生ソフトはその名の通り、動画を再生するためのソフトで、いまではインターネット上で無料の再生ソフトが多数配信・ダウンロードされている。手軽に無料で利用できるソフトがあるにもかかわらず、有料版を購入する人が多いのはなぜだろうか。

「PowerDVD15」シリーズ

 端的にいえは、無料ソフトは“それなり”でしかないためだ。無料ソフトはパフォーマンスが低いものが多い。すると、高解像度の映像を再生しようとすると処理能力が足りず、映像が遅延したり、解像度が落ちて再生されたりする。

 また、再生できる動画ファイルも少ない。著作権保護がかかっている地上デジタル放送を録画したDVD/BDや、市販のDVD/BDソフトを再生できない無料版も少なくない。

 一方、最近、ユーザーが特に神経を尖らせているのがセキュリティ面だ。以前、ウイルスを仕込んだ無料の再生ソフトが大量にばらまかれたことがある。気がつかず、このソフトをダウンロードしてしまうと、ウイルスに感染し、悪意を持った攻撃者によって遠隔からPCを操作されてしまうなど危険性がある。こういったパフォーマンス、対応フォーマットの多さ、安全性を求めて有料版を購入するユーザーが多いのだ。

 サイバーリンクの「PowerDVD15」は、この三つをクリアしている。特に品質面では映像音声補正技術「TrueTheater」を搭載。動画を拡大再生したときにくっきり見やすい映像に補正する「TrueTheater HD」や、動画の手ブレを解析し、揺れを抑えて安定した映像にする「TrueTheater Stabilizer」を備える。最新版では新たに色彩を補正する「TrueTheater Color」を追加した。映像を分析し、鮮やかさや色合いを最適化。木々の緑や空の青さなどがより鮮やかでリアルな色彩で再生できる。

映像音声補正技術「TrueTheater」でクリアで鮮明な映像に補正する

 また音質面では、「TrueTheater Surround」を搭載し、2chサウンドを疑似的なサラウンドサウンドに変換。映画館のような重低音、ボーカルレンジの増幅、エコーで聞き取りやすくさらに臨場感のある音を再生する。

 フォーマットでは、いま注目を集めている4K映像に対応。4K対応のデジタルビデオカメラで撮影したUHD 4K動画を再生できる。再生環境に合わせて最適なレンダリング方法を自動で選択するので、スペックの劣るPCでもスムーズに再生が可能だ。

 もう一つ、最近話題のアクションカムで撮影した動画の再生にも対応する。動きの速い映像を撮影できるアクションカムは秒間コマ数の多い、ハイフレームレート動画を撮影する。この再生にも対応する。1倍速再生時は必要なフレームだけ表示することで、処理の負荷を押さえ、遅延のない再生を、スローモーション再生時にはハイフレームレートのコマ数を生かし、滑らかな超スローモーション動画を再生する。

 このほか、使い勝手の面では、「TrueTheater」にスマートスライダーを装備し、調節スライダーを動かすだけで画質、音声調整が直感的に操作できるようにした。動画ファイル名に番号を加えてライブラリーに追加すると、タイトルと番号、再生済み・未再生情報が表示。連続したシリーズ動画の再生を途中で中止した場合も次回の再生開始時には中止した場所からレジューム再生ができるなど利便性も高めている。

 サイバーリンクの「PowerDVD」シリーズは、例年、再生ソフト市場のなかで1位を獲得している。今年の新タイトルも引き続き高いシェアを獲得しそうだ。サイバーリンクは、ビデオ関連ソフトの2015年上半期No.1を目指して直進している。(BCN・山下彰子)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。