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VAIOとソニーの直接対決早くも、舞台はイオンスマホ、軍配はどちらに

特集

2015/03/19 20:36

 イオンは3月19日、スマートフォンの2015年春夏モデルを発表した。ラインアップと税込端末価格、発売日は、「VAIO Phone VA-10J」が5万1840円で3月22日、「KYOCERA S301」が3万2184円3月27日、「Xperia J1 Compact」が5万9184円で4月20日(予定)。同社は販売ターゲットをこれまえで高齢者層から、それ以下の層拡大するために日本ブランドの端末を投入する、としており、国内メーカーのSIMフリースマートフォンのシェア争いが本格化しそうだ。

市場全体は前年比で4倍の勢い、約1割の販売台数構成比



イオンモバイルがスマートフォンの2015年春夏モデルで新たに投入する3機種。左から「VAIO Phone VA-10J」「Xperia J1 Compact」「KYOCERA S301」

 製品発表会でイオンリーテールの橋本昌一・デジタル事業部長は「今回の新機種で、イオンモバイルはネクストステージに入る。これまで55歳以上のGG(Grand Generation)世代のガラケーユーザーをターゲットにしてきたが、今回はそれ以下の層も対象にしていく」と、現在メガキャリアのスマートフォンを使っているユーザーの買い替え需要も狙うと語った。そのため、「今使っているスマホからの買い替えの際、この機能は譲れないというこだわりがある。また端末のブランドや通信速度、通信容量にこだわる人も多い。こうした多様なこだわりに対応するため、品ぞろえを広げた」と話す。

「現在スマートフォンを使っている層にターゲットを広げるために、ラインアップを強化した」と語る、イオンリーテールの橋本昌一・デジタル事業部長

 BCNの調査では、スマートフォンに占めるシムフリーモデルの販売台数構成比は2月現在で9.8%とほぼ1割。昨年2月は2.4%だったが、そこから比べると急速に市場は拡大している。橋本事業部長は、具体的な数字の言及は避けたものの、イオンで取り扱うスマートフォンに占めるイオンスマホの割合は「記者のみなさんの想像よりも高いと思う」と話し、事業の好調をアピール。また、売り上げの伸びに関しても、イオンスマホを始めた昨年に比べ「楽に倍を超える勢い」と語る。BCNの調査でも、2月のSIMフリースマートフォンの販売台数前年同月比は389.1%と約4倍。スマートフォン全体では同102.0%と、ほぼ前年並みにとどまる中、突出して大きな伸びを示しているのがSIMフリーのスマートフォンだ。家電量販店の現場でも「SIMフリースマートフオンと格安SIMを、一つの売りの柱にしたい」という声も聴かれており、好調が続いている。


早くも実現したVAIO対ソニーの直接対決、軍配はどちらに?



 今回、特に注目なのは、ソニーから独立したVAIOがリリースした初のスマートフォン「VAIO Phone VA-10J」とソニーの「Xperia J1 Compact」が同時に発表されたことだ。イオンの橋本事業部長は、「VAIO Phoneはデータ通信の使い放題で税込月額2138円で利用できるという専用プランが特徴。一方、Xperia J1 Compactは、イオングループの電子マネーWAONも使える、おサイフケータイ機能が特徴」と2機種の棲み分けができると強調する。VAIOの関取社長はVAIO Phoneの発表会見で「VAIO Phoneの発売にあたっては、ソニーの了承も得ている。ソニーとガチで戦うつもりはない」と話っていたものの、早速SIMフリー市場で、しかも同じイオンスマホというリングで直接戦うことになったわけだ。

「ソニーとガチで戦うつもりはない」と語るVAIOの関取高行・代表取締役社長(3月12日、VAIO Phoneの製品発表会見で)

 現在、日本のスマートフォン市場全体では、アップルのiPhoneの存在感がきわめて大きい。2月の販売台数シェアは53.3%と過半数を占めている状態だ。Xperiaのソニーは18.7%で2位。3位がシャープで6.6%。2桁シェアがあるのはアップルとソニーの2社だけ。大きな差がついているとはいえ、ソニーも他を引き離して大きなシェアを握っていることには違いない。一方、シムフリースマートフォンでは、状況はがらりと変わる。1位がASUSで29.3%、2位がファーウェイで25.7%、3位がLGで19.8%といずれも海外メーカーが上位を占めている状態だ。

イオンスマホという舞台で早くも直接対決するVAIOとソニー。軍配はどちらに?

 今回「格安スマホ」の火付け役でもあるイオンが「ユーザーの要望もあり日本メーカーの製品をそろえた」(橋本事業部長)ことで、事実上、日本メーカー間でのシェア争いの火ぶたが切って落とされた形だ。「格安スマホ」市場は、メガキャリア主導のスマートフォンとは全く異なる市場環境にある。スタート時点では、有利なのはスマートフォンとしてのブランド力と実績があるXperiaのソニー。しかし、まだまだ新しい市場だけに、VAIOや京セラをはじめとする国内メーカーにも勝機は十分にある。(BCN・道越一郎)