なぜVAIOがスマホ? 目前に迫るPCと通信の融合時代に布石
日本通信とVAIOは3月12日、「VAIO Phone」を発売すると発表した。3月20日に出荷を開始する。製品発表会で日本通信の三田聖二・代表取締役社長は「iPhoneと戦える唯一のブランドはVAIOだ。他のMVNO事業者ができないようなことをやる。これを前例に他社もどんどんやってほしい」と、SIMフリースマートフォンのプレミアム市場拡大への期待を述べた。
また、VAIOの関取高行・代表取締役社長は「VAIOにとって新たなチャレンジ。ハード中心のVAIOだが、デバイスと通信組をみ合わせた価値の提供を進めていく。今回を皮切りに、デバイスと通信をつなげるチャレンジをしていきたい」と、端末だけでなく通信環境も含めたトータルな付加価値を追求すると強調した。
現在、日本のSIMフリースマートフォン市場は拡大の一途にある。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、スマートフォン市場のなかのSIMフリースマートフォンの構成比をチェックした。2014年2月時点の販売台数シェアは、わずか2.4%に過ぎなかったが、今年の2月には9.8%に拡大し、わずか1年でシェアは4倍に膨れあがった。
5月に控えたSIMロック解除の義務化を考えれば、この流れはさらに加速していくだろう。今回の新製品はこうしたトレンドをとらえ、今回の発表を機にVAIOは事業領域をスマートフォンにまで一気に拡大する、かに見える。しかし、狙いはそうではないようだ。では、VAIOはどのような狙いでスマートフォン市場に参入するのか?
2月現在のSIMフリースマートフォンのトップメーカーは「ZenFone 5」が好調なASUSで、シェアは29.3%。2番手は25.7%のファーウェイ、三番手は19.8%のLGと、上位陣はすべて海外メーカーが占めている。しかし、SIMロック解除に対応した製品も含めてメーカーシェアを算出すると、トップはソニーでシェアは41.9%にも上る。実は、VAIOの古巣ソニーの「Xperia」も潜在的な競合製品といえるわけだ。しかし関取社長は「スマートフォンで古巣のソニーと正面から戦うつもりはない」と語る。
今回のVAIO Phoneは「もともとベースになるシャーシはあった。全体のトーンの味付けをし、方向性やコンセプトでVAIOブランドとしての統一感を実現した」(VAIOの花里隆志・執行役員)もので、VAIOがゼロから開発した製品ではない。先日同社が発表した、自社開発のノートPC「VAIO Z」とはかなりスタンスが異なる。
この点について、関取社長は「VAIOはまだまた小さな会社で、あくまでも本業はPC。しかし、これから通信とデバイスは切っても切れない関係になる」と語る。協業を通じて通信技術を磨きながら、Windows 10とWindows Phoneのように、PCと通信がさらに密接に関係する状況を目前に、VAIOとしても布石を打つ……。今回参入する大きな狙いはここにありそうだ。
「VAIO Phone」は安いからと選択されているSIMフリー端末市場のなかで、「コレが欲しい」と積極的に選ばれる端末を目指すとしている。黒基調のシンプルなデザインを採用し、握りやすさや持ったときの心地よさを重視して設計された。製造元は日本通信で、VAIOがデザインを中心に監修した。
OSにAndroid 5.0を搭載。画面サイズは5インチで、解像度は720×1280のHD。CPUは1.2GHzのクアッドコアタイプを搭載する。内蔵メモリは16GB、RAMが2GB。マイクロSIMタイプで、テザリングにも対応する。カメラは背面が1300万画素、サブカメラが500万画素の撮像素子を搭載。重量は約130gで、バッテリ容量は2500mAh。
税別端末価格は、一括購入の場合で5万1000円、24回分割払いの場合は、音声通話と上限なしの高速通信プランの契約とあわせて月額3980円、音声通話と月間1GBのライトプランの契約とあわせて月額2980円。(BCN・道越一郎)
「iPhoneと戦える唯一のブランドがVAIOだ」と協業の理由を語る日本通信の三田聖二社長
VAIOはなぜスマートフォン市場に参入するのか?
また、VAIOの関取高行・代表取締役社長は「VAIOにとって新たなチャレンジ。ハード中心のVAIOだが、デバイスと通信組をみ合わせた価値の提供を進めていく。今回を皮切りに、デバイスと通信をつなげるチャレンジをしていきたい」と、端末だけでなく通信環境も含めたトータルな付加価値を追求すると強調した。
「ハードウェアだけでなく通信との組み合わせでプラスαの付加価値を創出する」と語るVAIOの関取社長
現在、日本のSIMフリースマートフォン市場は拡大の一途にある。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、スマートフォン市場のなかのSIMフリースマートフォンの構成比をチェックした。2014年2月時点の販売台数シェアは、わずか2.4%に過ぎなかったが、今年の2月には9.8%に拡大し、わずか1年でシェアは4倍に膨れあがった。
5月に控えたSIMロック解除の義務化を考えれば、この流れはさらに加速していくだろう。今回の新製品はこうしたトレンドをとらえ、今回の発表を機にVAIOは事業領域をスマートフォンにまで一気に拡大する、かに見える。しかし、狙いはそうではないようだ。では、VAIOはどのような狙いでスマートフォン市場に参入するのか?
「ソニーと正面から戦うつもりはない。本業はあくまでPC」
2月現在のSIMフリースマートフォンのトップメーカーは「ZenFone 5」が好調なASUSで、シェアは29.3%。2番手は25.7%のファーウェイ、三番手は19.8%のLGと、上位陣はすべて海外メーカーが占めている。しかし、SIMロック解除に対応した製品も含めてメーカーシェアを算出すると、トップはソニーでシェアは41.9%にも上る。実は、VAIOの古巣ソニーの「Xperia」も潜在的な競合製品といえるわけだ。しかし関取社長は「スマートフォンで古巣のソニーと正面から戦うつもりはない」と語る。
「VAIO Phone」を手に固い握手を交わす日本通信の三田社長(左)とVAIOの関取社長
今回のVAIO Phoneは「もともとベースになるシャーシはあった。全体のトーンの味付けをし、方向性やコンセプトでVAIOブランドとしての統一感を実現した」(VAIOの花里隆志・執行役員)もので、VAIOがゼロから開発した製品ではない。先日同社が発表した、自社開発のノートPC「VAIO Z」とはかなりスタンスが異なる。
この点について、関取社長は「VAIOはまだまた小さな会社で、あくまでも本業はPC。しかし、これから通信とデバイスは切っても切れない関係になる」と語る。協業を通じて通信技術を磨きながら、Windows 10とWindows Phoneのように、PCと通信がさらに密接に関係する状況を目前に、VAIOとしても布石を打つ……。今回参入する大きな狙いはここにありそうだ。
「コレが欲しい」と積極的に選ばれる端末を目指す
「VAIO Phone」は安いからと選択されているSIMフリー端末市場のなかで、「コレが欲しい」と積極的に選ばれる端末を目指すとしている。黒基調のシンプルなデザインを採用し、握りやすさや持ったときの心地よさを重視して設計された。製造元は日本通信で、VAIOがデザインを中心に監修した。
黒を基調としたシンプルなデザインの「VAIO Phone」
OSにAndroid 5.0を搭載。画面サイズは5インチで、解像度は720×1280のHD。CPUは1.2GHzのクアッドコアタイプを搭載する。内蔵メモリは16GB、RAMが2GB。マイクロSIMタイプで、テザリングにも対応する。カメラは背面が1300万画素、サブカメラが500万画素の撮像素子を搭載。重量は約130gで、バッテリ容量は2500mAh。
税別端末価格は、一括購入の場合で5万1000円、24回分割払いの場合は、音声通話と上限なしの高速通信プランの契約とあわせて月額3980円、音声通話と月間1GBのライトプランの契約とあわせて月額2980円。(BCN・道越一郎)