オートデスクがCAD部門でNo.1に、期間限定ライセンスでさらに新規ユーザーを開拓
機械や建物の設計、製図をコンピューターで行う際に必要なCADソフト。製造業や土木・建設、建築業を中心に浸透している。最近は、三次元の立体物を出力する3Dプリンタの普及によって、一般ユーザーからも注目を集めているソフトだ。このCADソフト市場で独走しているのが、「AutoCAD」シリーズを展開するオートデスクだ。
家電量販店などの実売データを集計し、製品部門ごとに年間で最も販売数量の多かったメーカーを表彰する「BCN AWARD」。2014年の実売データにもとづいた「BCN AWARD 2015」でCADソフト部門を制したのが、1982年に「AutoCAD」を発表して以来、市場の先頭を走ってきた老舗、オートデスクだ。
家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、2003年から年間の販売台数シェア推移を追ったところ、オートデスクは他社をまったく寄せつけず、12年間、1位を独走し続けた。さらにそのシェアは、常に30%以上。しかも年々シェアを拡大している。03年には34.2%だったものが、04年には42.1%に、06年には50.6%をマークした。そして昨年は、51.0%という高いシェアを獲得している。
オートデスクの高いシェアの理由はどこにあるのか。建築設計に携わった経験がある方ならご存じだと思うが、設計図面では、複数の設計者が編集・レビューに携わることが多く、業務に支障を来さないために常に高精度な図面を使う必要がある。データのやり取りには、作成・編集したデータを正しく閲覧できる信頼性の高いCADソフトが必要だ。
オートデスクのCADソフト「AutoCAD」のフォーマット「DWG」は、CAD業界で事実上標準規格になっている。欠落なく安全にデータを正しく書き出し、読み込む「AutoCAD」を選ぶ人が多い。
オートデスクは、ユーザーの要望に沿った運用やコスト管理が行える製品やサービスの提供に取り組んでいる。
その一つが、昨年提供を開始した期間限定ライセンス「Desktop Subscription」だ。「Desktop Subscription」の契約期間は、1か月、3か月、1年から選ぶことができ、使いたいときだけ料金を払って使うことができる。
例えば、「AutoCAD LT」なら、1年の料金は5万7000円(希望小売価格)で、永久ライセンスの19万円(希望小売価格)と比べると、初期費用をぐっと抑えることができるわけだ。また、契約期間中であれば、最新バージョンへの無料アップグレード、技術サポート、クラウドサービス「A360」を利用した25GBストレージなどを提供。これで、「AutoCAD」や「AutoCAD LT」がぐっと利用しやすくなる。
使用する期間だけ購入できるので、設計プロジェクトの期間、または設計者やCADオペレータの人数の変動に応じて、利用するライセンス数を自由に増減できる。また、会計的にはソフトウェアを資産にすることなく経費として処理できる場合もあり、購買部門やシステム部門、中小企業の経営者などにも注目されている。
ソフトウェア設備投資の効率化への意識が高まり、サブスクリプションモデルを選ぶユーザーが増えている。オートデスクは、このエンドユーザーのニーズに応えることでCADソフト市場全体の活性化を狙って、新しい層に向けて積極的にアプローチしている。今後もオートデスクがCADソフト市場をけん引する存在であることは間違いない。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPC本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(PCの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
CADソフトの老舗・オートデスク、16年間トップを独走
家電量販店などの実売データを集計し、製品部門ごとに年間で最も販売数量の多かったメーカーを表彰する「BCN AWARD」。2014年の実売データにもとづいた「BCN AWARD 2015」でCADソフト部門を制したのが、1982年に「AutoCAD」を発表して以来、市場の先頭を走ってきた老舗、オートデスクだ。
家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、2003年から年間の販売台数シェア推移を追ったところ、オートデスクは他社をまったく寄せつけず、12年間、1位を独走し続けた。さらにそのシェアは、常に30%以上。しかも年々シェアを拡大している。03年には34.2%だったものが、04年には42.1%に、06年には50.6%をマークした。そして昨年は、51.0%という高いシェアを獲得している。
業界標準となった「AutoCAD」のDWGフォーマット
オートデスクの高いシェアの理由はどこにあるのか。建築設計に携わった経験がある方ならご存じだと思うが、設計図面では、複数の設計者が編集・レビューに携わることが多く、業務に支障を来さないために常に高精度な図面を使う必要がある。データのやり取りには、作成・編集したデータを正しく閲覧できる信頼性の高いCADソフトが必要だ。
オートデスクのCADソフト「AutoCAD」のフォーマット「DWG」は、CAD業界で事実上標準規格になっている。欠落なく安全にデータを正しく書き出し、読み込む「AutoCAD」を選ぶ人が多い。
人気の「AutoCAD LT 2015」
必要なときに必要なだけ 期間限定ライセンスでライトユーザー獲得へ
オートデスクは、ユーザーの要望に沿った運用やコスト管理が行える製品やサービスの提供に取り組んでいる。
その一つが、昨年提供を開始した期間限定ライセンス「Desktop Subscription」だ。「Desktop Subscription」の契約期間は、1か月、3か月、1年から選ぶことができ、使いたいときだけ料金を払って使うことができる。
例えば、「AutoCAD LT」なら、1年の料金は5万7000円(希望小売価格)で、永久ライセンスの19万円(希望小売価格)と比べると、初期費用をぐっと抑えることができるわけだ。また、契約期間中であれば、最新バージョンへの無料アップグレード、技術サポート、クラウドサービス「A360」を利用した25GBストレージなどを提供。これで、「AutoCAD」や「AutoCAD LT」がぐっと利用しやすくなる。
使用する期間だけ購入できるので、設計プロジェクトの期間、または設計者やCADオペレータの人数の変動に応じて、利用するライセンス数を自由に増減できる。また、会計的にはソフトウェアを資産にすることなく経費として処理できる場合もあり、購買部門やシステム部門、中小企業の経営者などにも注目されている。
ソフトウェア設備投資の効率化への意識が高まり、サブスクリプションモデルを選ぶユーザーが増えている。オートデスクは、このエンドユーザーのニーズに応えることでCADソフト市場全体の活性化を狙って、新しい層に向けて積極的にアプローチしている。今後もオートデスクがCADソフト市場をけん引する存在であることは間違いない。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPC本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(PCの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。