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シニア向けスマートフォン市場がいよいよ始動。注目は急伸するソフトバンクの「シンプルスマホ2」

特集

2015/01/29 19:20

 シニア向けのスマートフォン市場が、いよいよ動き始めた。すでにドコモから「らくらくスマートフォン3」が、ソフトバンクから「シンプルスマホ2」が販売されているが、auも2月中旬にシニア向けスマートフォン「BASIO」を発売すると発表。これで主要3キャリアの製品が出揃うことになる。


現在、携帯電話全体に占めるスマートフォンの販売台数構成比は8割を超え、携帯電話の主流は完全にスマートフォンに移っている。当然、シニア向け市場も徐々にスマートフォンの比重が高まってくることが予想される。そうした動きのなか、各キャリアともシニア向け市場に力を入れ始めているのだ。

ソフトバンクの「シンプルスマホ2」が新定番に



 アクティブに情報をやり取りするスマートフォンは、シニア層にはあまり必要ないように思える。しかし最近では、シニア層でも携帯メールを使いこなす人たちが増え、「写真も携帯で」といった姿は珍しくなくなってきた。こうした人たちにとっては、携帯電話よりも大画面で写真を楽しむことができ、大きな文字でメールを閲覧できるスマートフォンは、当然買い替えのターゲットになってくる。さらに、今や巷では誰もが手にしている状況。ウェブサイトの閲覧もでき、アプリを使って地図検索やナビゲーション、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など多彩な用途が広がるスマートフォンへの関心は、シニア層の間でも非常に高まっているだろう。


 現在販売されているシニア向けのスマートフォンは7機種。そのなかで最も売れているのが、53.6%のシェアを占めるドコモの「らくらくスマートフォン3」だ。電話、メール、電話帳といったよく使う機能を大きなボタンにして使いやすくしたほか、「新おまかせカメラ」機能できれいな写真を撮ることができる一台だ。

(左から)らくらくスマートフォン3、シンプルスマホ2、BASIO

 一方、このところ急激にシェアを伸ばしているのが、ソフトバンクの「シンプルスマホ2」だ。発売からわずか2か月足らずで34.2%ものシェアで2位の座を獲得し、新定番の位置を得たといってもいい。その名の通り、シンプルさが使いやすさにつながっている製品で、電話、メール、ホームと、しっかり押すことができる三つの機械式ボタンを搭載したのが最大の特徴だ。例えば、一般のスマートフォンではわかりづらい不在着信も、電話ボタンが光ってお知らせしたり、新着メールが届くとボタンが光ったりなど、直感的に使えるよう工夫されている。また、よく使う連絡先を三つまで登録できるうえ、名前つきで表示するので、とてもわかりやすい。基本機能もしっかりしていて、なかでも2400mAhと大容量バッテリを搭載しながら省エネ設計にもすぐれ、一度の充電で3日以上使用することができる点は特筆すべき特徴だろう。

 


 キャリア別にシニア向けスマートフォン市場の動向をみると、トップのドコモに対してソフトバンクがじりじりと差を詰めている状況だ。10月に比べ、およそ10ポイントシェアを伸ばし、12月には40.9%と、「シンプルスマホ2」がソフトバンクのシェアを押し上げている状況だ。

シニア向けの取り組みでもキャリア間の競争が過熱



 シニア層にも積極的にスマートフォンを使ってもらおうと、各キャリアともイベントなどでの魅力の訴求に余念がない。例えばauは、観光地をバスで巡りながらスマートフォン講座を開催したり、「auおせっかい部」と称して料理教室や絵画講座に出向いてスマートフォンの講習会を開催したりしている。またドコモは、全国のドコモショップで、「スマートフォンとは何か」から始まって、カメラの活用法やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用法などについてまでをレクチャーする「ドコモ電話教室」を開催している。

 ソフトバンクも、体験イベントでユーザーの獲得を狙うイベントを実施している。この1月には沖縄ツアーを開催し、そのなかで参加者全員に「シンプルスマホ2」を貸与。日本一早く咲く桜、寒緋桜(カンヒザクラ)を楽しんだり、ウォーキングイベントに参加したりしながら、2泊3日/3泊4日の日程でスマートフォンの魅力を同時にアピールした。また、14年11月から15年2月にかけて、全国の大江戸温泉物語グループの温泉施設で「シンプルスマホ2」を使ってカメラやLINE、地図などの使い方を体験するベントを開催するなど、実機に触れる機会を増やしながら、製品の魅力を訴えている。

 シニア向けの携帯電話市場で、スマートフォンは4割程度まで拡大してきた。この春、主要3各キャリアから製品が出揃うことで、市場はますます盛り上がることになりそうだ。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPC本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(PCの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。