SSD選択のポイント PCのストレージを手軽に大容量&高速化
SSDの販売台数が伸びている。SSDは、半年前までは128GBの製品が売れ筋だったが、家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で直近のトレンドをみると、売れ筋の平均容量は256GBを超えて、いまやさらに大きな512GBに迫りつつある。大容量化の傾向にあるSSDのトレンドを追いながら、売れ筋の製品を紹介しよう。
SSDはNAND型フラッシュメモリを利用した記憶媒体で、USBメモリ同様、電気信号で内蔵するメモリチップにデータを読み書きする。内部にHDDのような駆動部がないので、データアクセスが速く、動作が静かで衝撃に強い。そのうえ低消費電力で発熱が少ないなど、多くのメリットをもっている。HDDと比べると軽く、PCの軽量化にも貢献する。
一方で、これまで、SSDの弱点だったのが、HDDに比べて値段が割高であることだった。確かに一般消費者向けのSSDが登場したばかりの頃は、HDDとの価格差が大きく、SSDを購入するユーザーは、特にPCの扱いに慣れたマニア層が中心だった。しかし、現在は256GB、512GBという大容量のSSDが、当時よりもはるかに安い値段で購入できる。だから、注目を浴びているのだ。
「BCNランキング」で、販売台数・金額の前年比推移をみていこう。2月には販売台数・金額とも前年実績を上回り、3月には販売金額で前年比135.2%、金額で同136.8%とPCの買替え・買増しのニーズが高まる春に大きく伸びている。
最近は、256GBを超える大容量のSSDの価格がこなれてきて、より大容量のSSDが手頃な価格で入手できるようになった。売れ筋の容量帯別販売台数シェアは、半年前の5月には「128GB以上256GB未満」の構成比が51.1%だったが、この10月は34.8%に下げている。一方で、「256GB以上384GB未満」は17.4%から28.0%に、「512GB以上640GB未満」は3.5%から13.8%にアップし、大容量化が進んでいることがわかる。
いま、このSSD市場をけん引しているのがマイクロン・テクノロジーだ。マイクロンは、10月のメーカー別販売台数ランキングで24.6%のシェアを獲得し、1位に立った。
マイクロンは、「Crucial(クルーシャル)」というブランドでSSDを販売しているアメリカの大手半導体メーカー。PCの基幹パーツであるメモリ(DRAM)も開発・製造・販売している。大手マザーボードメーカーと密接に連携して、高機能で信頼性の高い製品を市場に送り出しているブランドとして定評がある。さらにDRAMでは、最新規格のDDR4のメモリをいち早く商品化し、いまや圧倒的なマーケットシェアを獲得するに至った。
「BCNランキング」で、直近のSSDの売れ筋をチェックすると、10月の製品別販売台数ランキングでは、マイクロンの「Crucial MX100」シリーズの256GBモデルと512GBモデルがワンツーフィニッシュを飾っている。
サムスンやCFD、東芝といった強力なライバルがひしめく市場で、なぜ「Crucial MX100」シリーズがこれほどまでの人気を獲得しているのか。理由の一つが、コストパフォーマンスの高さだ。実勢価格では256GBモデルが1万3000円前後、526GBモデルが2万4000円前後と、他社製品と比べて購入しやすい価格なのだ。
信頼性の面でも、「Crucial MX100」シリーズには大きな特徴がある。MLC(Multi Level Cell)タイプのSSDを採用していることだ。NAND型フラッシュメモリのデータ記録方式には、MLCとTLC(Triple Level Cell)がある。MLCは、TLCに比べてセル単位あたりの情報量が少なく、高パフォーマンスを発揮しやすい。また、データの書込み回数に上限があるSSDで、MLCのほうがより長寿命(耐久性が高い)で、長く安心して使い続けることができる。
マイクロンは、年間(1月1日~12月31日)の販売台数第1位のメーカーを表彰する「BCN AWARD」のSSD部門で「BCN AWARD 2012(2011年1~12月)」を受賞している。2011年に発売した「m4」シリーズが、高い性能とコストパフォーマンスで多くのユーザーから評価された結果だ。あれから3年、今年6月に発売した「Crucial MX100」シリーズは、「m4」シリーズからの買替えニーズにピタリとフィットした。
製品別販売台数は、「Crucial MX100」シリーズの発売月である6月、256GBモデルが4.1%と好調な滑り出しをみせたものの、予想以上の売れ行きで品薄状態になり、7月は1.6%、8月は3.6%とシェアを落とした。9月には復調して9.8%、10月には11.7%を獲得してランキングのトップに立った。
発売直後の活性化した商品の動き方や品薄後の回復ぶりからは、「Crucial MX100」シリーズを待ちわびたリピーターの存在と、多くのユーザーがブランドに寄せる信頼がわかる。
最近のPC用ソフトやアプリケーションは、インストールすると多くの記憶容量が必要な製品が多い。内蔵ストレージ容量が64GB、128GBだと、これらのアプリケーションをインストールしただけで、記憶容量がいっぱいになってしまうことがある。データを外付けメディアにバックアップしたところで限界はあるし、そもそも手間がかかる。そんな事態を未然に防ぐために、これまでのHDDから、メリットの多い大容量SSDへの換装は有効だろう。
HDDからSSDの換装は難しいというイメージをもつ人がいるかもしれないが、実際は誰でも簡単にSSDへ換装できる。もちろん、換装後に安心してPCを使い続けるためには、SSDは性能がよく、信頼性の高い製品を選ばなければならない。「Crucial MX100」シリーズは、高い信頼性をもちながら、大容量モデルでも安価。換装初心者にも選びやすいSSDだ。手持ちのPCのスピードアップやストレージ容量のパワーアップを検討しているすべての人に注目の製品だ。(オーディオビジュアルライター 山本 敦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
売れ筋の容量帯は128GBから256GB、512GBにチェンジ
SSDはNAND型フラッシュメモリを利用した記憶媒体で、USBメモリ同様、電気信号で内蔵するメモリチップにデータを読み書きする。内部にHDDのような駆動部がないので、データアクセスが速く、動作が静かで衝撃に強い。そのうえ低消費電力で発熱が少ないなど、多くのメリットをもっている。HDDと比べると軽く、PCの軽量化にも貢献する。
一方で、これまで、SSDの弱点だったのが、HDDに比べて値段が割高であることだった。確かに一般消費者向けのSSDが登場したばかりの頃は、HDDとの価格差が大きく、SSDを購入するユーザーは、特にPCの扱いに慣れたマニア層が中心だった。しかし、現在は256GB、512GBという大容量のSSDが、当時よりもはるかに安い値段で購入できる。だから、注目を浴びているのだ。
「BCNランキング」で、販売台数・金額の前年比推移をみていこう。2月には販売台数・金額とも前年実績を上回り、3月には販売金額で前年比135.2%、金額で同136.8%とPCの買替え・買増しのニーズが高まる春に大きく伸びている。
最近は、256GBを超える大容量のSSDの価格がこなれてきて、より大容量のSSDが手頃な価格で入手できるようになった。売れ筋の容量帯別販売台数シェアは、半年前の5月には「128GB以上256GB未満」の構成比が51.1%だったが、この10月は34.8%に下げている。一方で、「256GB以上384GB未満」は17.4%から28.0%に、「512GB以上640GB未満」は3.5%から13.8%にアップし、大容量化が進んでいることがわかる。
SSD市場をけん引するマイクロン 手頃な大容量モデルを投入
いま、このSSD市場をけん引しているのがマイクロン・テクノロジーだ。マイクロンは、10月のメーカー別販売台数ランキングで24.6%のシェアを獲得し、1位に立った。
マイクロンは、「Crucial(クルーシャル)」というブランドでSSDを販売しているアメリカの大手半導体メーカー。PCの基幹パーツであるメモリ(DRAM)も開発・製造・販売している。大手マザーボードメーカーと密接に連携して、高機能で信頼性の高い製品を市場に送り出しているブランドとして定評がある。さらにDRAMでは、最新規格のDDR4のメモリをいち早く商品化し、いまや圧倒的なマーケットシェアを獲得するに至った。
「BCNランキング」で、直近のSSDの売れ筋をチェックすると、10月の製品別販売台数ランキングでは、マイクロンの「Crucial MX100」シリーズの256GBモデルと512GBモデルがワンツーフィニッシュを飾っている。
順位 | メーカー名 | 品名 | 販売台数シェア(%) |
1 | マイクロン・テクノロジー | Crucial MX100 SSD 256GB | 11.7 |
2 | マイクロン・テクノロジー | Crucial MX100 SSD 512GB | 9.8 |
3 | サムスン | SSD 840 EVO Series 250GB | 7.5 |
4 | シー・エフ・デー販売 | SSD S6TNHG6Q 128GB | 7.4 |
5 | サムスン | SSD 840 EVO Series 120GB | 7.3 |
6 | シー・エフ・デー販売 | SSD S6TNHG6Q 256GB | 5.3 |
7 | トランセンドジャパン | SSD370 256GB | 3.0 |
8 | ADATAテクノロジー | Premier Pro SP600 256GB | 2.3 |
9 | インテル | Intel Solid-State Drive 530 120GB | 2.1 |
10 | キングストンテクノロジー | SSDNow V300 120G | 2.0 |
BCNランキング 2014年10月 月次<最大パネル>
サムスンやCFD、東芝といった強力なライバルがひしめく市場で、なぜ「Crucial MX100」シリーズがこれほどまでの人気を獲得しているのか。理由の一つが、コストパフォーマンスの高さだ。実勢価格では256GBモデルが1万3000円前後、526GBモデルが2万4000円前後と、他社製品と比べて購入しやすい価格なのだ。
「Crucial MX100」シリーズ
信頼性の面でも、「Crucial MX100」シリーズには大きな特徴がある。MLC(Multi Level Cell)タイプのSSDを採用していることだ。NAND型フラッシュメモリのデータ記録方式には、MLCとTLC(Triple Level Cell)がある。MLCは、TLCに比べてセル単位あたりの情報量が少なく、高パフォーマンスを発揮しやすい。また、データの書込み回数に上限があるSSDで、MLCのほうがより長寿命(耐久性が高い)で、長く安心して使い続けることができる。
マイクロンは、年間(1月1日~12月31日)の販売台数第1位のメーカーを表彰する「BCN AWARD」のSSD部門で「BCN AWARD 2012(2011年1~12月)」を受賞している。2011年に発売した「m4」シリーズが、高い性能とコストパフォーマンスで多くのユーザーから評価された結果だ。あれから3年、今年6月に発売した「Crucial MX100」シリーズは、「m4」シリーズからの買替えニーズにピタリとフィットした。
製品別販売台数は、「Crucial MX100」シリーズの発売月である6月、256GBモデルが4.1%と好調な滑り出しをみせたものの、予想以上の売れ行きで品薄状態になり、7月は1.6%、8月は3.6%とシェアを落とした。9月には復調して9.8%、10月には11.7%を獲得してランキングのトップに立った。
発売直後の活性化した商品の動き方や品薄後の回復ぶりからは、「Crucial MX100」シリーズを待ちわびたリピーターの存在と、多くのユーザーがブランドに寄せる信頼がわかる。
最近のPC用ソフトやアプリケーションは、インストールすると多くの記憶容量が必要な製品が多い。内蔵ストレージ容量が64GB、128GBだと、これらのアプリケーションをインストールしただけで、記憶容量がいっぱいになってしまうことがある。データを外付けメディアにバックアップしたところで限界はあるし、そもそも手間がかかる。そんな事態を未然に防ぐために、これまでのHDDから、メリットの多い大容量SSDへの換装は有効だろう。
HDDからSSDの換装は難しいというイメージをもつ人がいるかもしれないが、実際は誰でも簡単にSSDへ換装できる。もちろん、換装後に安心してPCを使い続けるためには、SSDは性能がよく、信頼性の高い製品を選ばなければならない。「Crucial MX100」シリーズは、高い信頼性をもちながら、大容量モデルでも安価。換装初心者にも選びやすいSSDだ。手持ちのPCのスピードアップやストレージ容量のパワーアップを検討しているすべての人に注目の製品だ。(オーディオビジュアルライター 山本 敦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。