ドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」はおトク? 家族3人でシミュレーション!
NTTドコモが発表した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」が話題になっている。5月15日から予約を受け付け、6月1日に開始する予定だが、利用状況によって「値下げ」にも「値上げ」にもなるので、データ容量を家族でシェアする場合は、事前に話し合っておく必要がある。そこで、父・母・25歳以上の子どもの実在する3人家族をモデルに、現行プランと新プランを比較した。現在の通信料金は、ヒアリングにもとづいたリアルな数字。さて、新プランに切り替えると、おトクになるのだろうか?
[注意事項]
※本記事の価格表記は、すべて税別です。
※通信料金の試算に、ユニバーサルサービス料は含んでいません。
新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」では、毎月の通信料金は、基本プランとなるカケホーダイプラン(音声)、パケットパック(データ通信)、ISP料金(インターネット接続サービス料)の合計金額で、「パケあえる」でシェアグループを作成した家族間でデータ通信量を分け合うことができる。パケットパックを契約した代表回線以外の子回線は、追加で月額500円のシェアオプション定額料を支払う必要があり、パケットパックに加入せず、データ容量をシェアしない場合、データ通信料は指定の従量課金になる。
新料金プランの最大のウリは、回数や時間の制限なしで自社・他社の携帯電話、固定電話に追加費用なしで発信できる「国内音声通話かけ放題」。ドコモはこの点を強調して「実質的な値下げ」だと主張するが、音声通話プランとして「カケホーダイ」プランしか選べないので、スマートフォン移行後、音声通話をほとんど使わなくなった層には、むしろ「値上げ」となってしまう。
現在、モデル家族は、「父」がFOMA対応スマートフォン(らくらくスマートフォン)、「母」が従来型携帯電話(iモードケータイ)、「子ども」がXi対応スマートフォンを利用している。「母」は、異なるキャリアの携帯電話を利用している実父や別居している他の子どもに電話をかけることが多く、音声通話料金はいつも無料通話ぶんを超過していた。また、端末が古くなったのでスマートフォンに買い替えたいと思いつつ、料金が高くなりそうなので躊躇していたそうだ。「父」も、携帯電話で知人などに通話する機会が多く、最近は無料通話ぶんを大幅に超過していた。従来のXiプランは、FOMAとは異なり、通話したぶんだけ料金を支払わなければならない。通話料金は一律30秒あたり20円で、うっかり長電話するとかなりの金額になる。「カケホーダイプラン」なら、スマートフォンは月額2700円、ケータイは月額2200円で追加料金なくたっぷり話すことができる。
端末代と割引サービス「月々サポート」による割引額を除外して、現行プランでの家族3人の通信料金の合計と、ドコモがウェブサイトで公開している「『カケホーダイ&パケあえる』かんたんシミュレーション」でのシミレーション結果を比較すると、スマートフォン2台・ケータイ1台から、スマートフォン3台に切り替えたにもかかわらず、200円ほどの微増だった。「父」と「母」の通話料金がかさんでいたからだ。内訳は表の通り。「かけ放題」の心理的メリットを考慮すると、金額以上におトクといえるだろう。端末を買い替えず、ケータイを引き続き使用する場合は、現状より約300円安くなる。
ちなみに、「カケホーダイ」だけでも契約ができ、家族間で「パケあえる」しないほうが安くなることもある。例えば、この家族の場合、端末を買い替えず、「父」が「カケホーダイ」とらくらくスマートフォン利用者向けの専用プラン「らくらくパック」(シェア不可)、「母」が「カケホーダイ」とiモード通信(0.08円/パケットの従量課金)、「子ども」がXiの現行プランのまま継続すると、今より約3000円も安くなる計算だ。ドコモに問い合わせたところ、家族の一部が「カケホーダイ」に切り替えても、「ファミ割MAX50」(FOMA)または「タイプXiにねん」(Xi)に加入していれば、引き続き、家族間の国内通話は24時間無料になるということなので、家族間しか通話しないなら、カケホーダイプラン以外の既存プランを選ぼう。なお、Xiの既存プランの新規受付は、今年8月末で終了する予定。
今まで金銭的理由から音声通話を控えていた人にとって、「かけ放題」は待ち望んでいたサービスだろう。対して、ほとんど音声通話をしない独身者や夫婦だけの家族などは、「カケホーダイ&パケあえる」の恩恵を受けない。現状、月額743円の基本使用料が3倍以上に値上がりするうえ、データ容量のシェアに関しても、1か月あたりのデータ使用量が一人5GB以内ならほぼ同額、5GB以上の場合は実質的に値上げとなる。
ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの主要3キャリアのうち、auは、4月29日現在、音声通話に関する新たな料金プランを発表していない。ただ6月から、「4G LTE」対応スマートフォンとタブレット端末の間で、月間データ容量を分け合える「データシェア」を開始する予定。ドコモに対抗するように、音声通話定額プランを発表するのか、今後の動向が注目される。
「カケホーダイ&パケあえる」の「カケホーダイ」は、たくさん話す人、話したい人には心強いプラン。一方、「パケあえる」は、原則、家族単位で契約させることで、他のキャリアへのユーザー流出を防ごうという狙いが感じられる。どちらを重視しているかは判断に迷うところだが、どちらかといえば「カケホーダイ」を重視していると感じた。無料通話ぶんがあるという理由でケータイを使い続ける層に向けて「カケホーダイ」を打ち出し、ケータイからスマートフォンへの移行を促そうとしているのでないだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)
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※本記事の価格表記は、すべて税別です。
※通信料金の試算に、ユニバーサルサービス料は含んでいません。
基本の音声プランは「カケホーダイ」だけ データ通信は原則、家族でシェア
新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」では、毎月の通信料金は、基本プランとなるカケホーダイプラン(音声)、パケットパック(データ通信)、ISP料金(インターネット接続サービス料)の合計金額で、「パケあえる」でシェアグループを作成した家族間でデータ通信量を分け合うことができる。パケットパックを契約した代表回線以外の子回線は、追加で月額500円のシェアオプション定額料を支払う必要があり、パケットパックに加入せず、データ容量をシェアしない場合、データ通信料は指定の従量課金になる。
新料金プランの最大のウリは、回数や時間の制限なしで自社・他社の携帯電話、固定電話に追加費用なしで発信できる「国内音声通話かけ放題」。ドコモはこの点を強調して「実質的な値下げ」だと主張するが、音声通話プランとして「カケホーダイ」プランしか選べないので、スマートフォン移行後、音声通話をほとんど使わなくなった層には、むしろ「値上げ」となってしまう。
現在、モデル家族は、「父」がFOMA対応スマートフォン(らくらくスマートフォン)、「母」が従来型携帯電話(iモードケータイ)、「子ども」がXi対応スマートフォンを利用している。「母」は、異なるキャリアの携帯電話を利用している実父や別居している他の子どもに電話をかけることが多く、音声通話料金はいつも無料通話ぶんを超過していた。また、端末が古くなったのでスマートフォンに買い替えたいと思いつつ、料金が高くなりそうなので躊躇していたそうだ。「父」も、携帯電話で知人などに通話する機会が多く、最近は無料通話ぶんを大幅に超過していた。従来のXiプランは、FOMAとは異なり、通話したぶんだけ料金を支払わなければならない。通話料金は一律30秒あたり20円で、うっかり長電話するとかなりの金額になる。「カケホーダイプラン」なら、スマートフォンは月額2700円、ケータイは月額2200円で追加料金なくたっぷり話すことができる。
端末代と割引サービス「月々サポート」による割引額を除外して、現行プランでの家族3人の通信料金の合計と、ドコモがウェブサイトで公開している「『カケホーダイ&パケあえる』かんたんシミュレーション」でのシミレーション結果を比較すると、スマートフォン2台・ケータイ1台から、スマートフォン3台に切り替えたにもかかわらず、200円ほどの微増だった。「父」と「母」の通話料金がかさんでいたからだ。内訳は表の通り。「かけ放題」の心理的メリットを考慮すると、金額以上におトクといえるだろう。端末を買い替えず、ケータイを引き続き使用する場合は、現状より約300円安くなる。
ちなみに、「カケホーダイ」だけでも契約ができ、家族間で「パケあえる」しないほうが安くなることもある。例えば、この家族の場合、端末を買い替えず、「父」が「カケホーダイ」とらくらくスマートフォン利用者向けの専用プラン「らくらくパック」(シェア不可)、「母」が「カケホーダイ」とiモード通信(0.08円/パケットの従量課金)、「子ども」がXiの現行プランのまま継続すると、今より約3000円も安くなる計算だ。ドコモに問い合わせたところ、家族の一部が「カケホーダイ」に切り替えても、「ファミ割MAX50」(FOMA)または「タイプXiにねん」(Xi)に加入していれば、引き続き、家族間の国内通話は24時間無料になるということなので、家族間しか通話しないなら、カケホーダイプラン以外の既存プランを選ぼう。なお、Xiの既存プランの新規受付は、今年8月末で終了する予定。
今まで金銭的理由から音声通話を控えていた人にとって、「かけ放題」は待ち望んでいたサービスだろう。対して、ほとんど音声通話をしない独身者や夫婦だけの家族などは、「カケホーダイ&パケあえる」の恩恵を受けない。現状、月額743円の基本使用料が3倍以上に値上がりするうえ、データ容量のシェアに関しても、1か月あたりのデータ使用量が一人5GB以内ならほぼ同額、5GB以上の場合は実質的に値上げとなる。
音声通話重視に回帰? たくさん話す人、話したい人には心強い新プラン
ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの主要3キャリアのうち、auは、4月29日現在、音声通話に関する新たな料金プランを発表していない。ただ6月から、「4G LTE」対応スマートフォンとタブレット端末の間で、月間データ容量を分け合える「データシェア」を開始する予定。ドコモに対抗するように、音声通話定額プランを発表するのか、今後の動向が注目される。
「カケホーダイ&パケあえる」の「カケホーダイ」は、たくさん話す人、話したい人には心強いプラン。一方、「パケあえる」は、原則、家族単位で契約させることで、他のキャリアへのユーザー流出を防ごうという狙いが感じられる。どちらを重視しているかは判断に迷うところだが、どちらかといえば「カケホーダイ」を重視していると感じた。無料通話ぶんがあるという理由でケータイを使い続ける層に向けて「カケホーダイ」を打ち出し、ケータイからスマートフォンへの移行を促そうとしているのでないだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)