オムロンのUPS「BY50S」が年間1位に! 電源トラブルからPCや周辺アイテムを守る
落雷などの予期せぬ自然災害が発生した際は、停電などの電害からPCやNASなどのPC周辺アイテムとそのデータを守る必要がある。いきなり電源が切れると内部の部品や回路などを破損してしまうトラブルに見舞われる恐れがあるからだ。自己防衛の対策として注目を集めているのが無停電電源装置(UPS)だ。
UPSは、バッテリを内蔵した電源バックアップ用機器。室内のコンセントにつなぎ、UPSの出力コンセントにPCやPC周辺アイテムなどを接続する。落雷などが原因の大規模停電など電源異常が発生して、外部からの電源供給が途絶えてしまった際に、UPSの内蔵バッテリから電源を一定時間供給し、その間に自動で接続機器を正しくシャットダウンして、機器の故障や保存データの破損を防ぐ装置だ。
落雷などの自然災害によって瞬時電圧低下が起きたり、人間が感知できない瞬間的な停電が発生したりすることがある。また、冷暖房器具がフル回転する夏冬には、一時的に電気を使い過ぎて安全ブレーカーが落ちることもあり得る。こうした電源異常が発生すると、サーバーやPCへの電源供給が停止して、機器が正しくシャットダウンできないことから、内蔵ストレージが破損して大事なデータが消失してしまうことがある。企業の場合、会計データや顧客情報が消えてしまっては致命的な損失だ。さらに、PCやサーバ機器に機械的な故障が発生してしまうと、復旧には多大なコストと時間がかかる。UPSを準備しておけば、多くの被害を未然に防ぐことができるのだ。
ここ数年、ゲリラ豪雨などの異常気象や震災などの自然災害で、認知度が高まっているUPS。では、いま最も売れているUPSはどれだろう。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、2013年に最も売れたUPSを振り返った。
2013年1月~12月の販売数を合算したUPSの機種別ランキングで1位だったのは、シェア10.6%でオムロンの「BY50S」だった。2位はシュナイダーエレクトリックの「BE550G-JP」でシェアは8.2%。また、5位にはオムロンの同シリーズ「BY35S」が入っている。
オムロンの「BY50S」は、09年11月発売の定番モデルだ。推移では13年年頭から好調で、1月には14.2%のシェアを獲得。2月は2位になったものの、3月には2位の製品が8.1%のシェアのところ、「BY50S」は20.5%で2位以下を大きく引き離した。その後も4月、5月と1位をキープ。とくに13年上半期が好調で、年間ランキングで1位になった。
「BY50S」は最大出力容量500VA/300Wのコンパクトモデルで、出力コンセント4口を備え、1台のデスクトップPC本体と、これに接続する液晶ディスプレイ、ネットワーク機器など一式の電源バックアップに対応する。内蔵バッテリによる最大バックアップ可能時間は、3分30秒だ。
付属ソフトも充実。WindowsやMacの最新OSに対応した自動シャットダウンソフト「PowerAct Pro」が標準でつく。PCにソフトをインストールしておけば、停電など電源異常が発生した際に、USB経由で接続したPCやネットワーク機器など複数の外部機器にUPSからコマンドを送信し、自動で安全にシャットダウンができる。
このソフトは、業務用として利用している高度な管理機能やシャットダウン機能も備えている。これほど多機能なソフトを標準で添付できる背景には、オムロンが長年培ってきたUPS製品に関するノウハウの蓄積がある。
内蔵するバッテリの期待寿命は4~5年だが、劣化時にはユーザー自身がバッテリを交換できる。さらにUPS本体には3年間の無償修理、内蔵バッテリには3年間の無償交換提供のサービスがつくので、万が一、故障が発生した場合でも安心だ。このように、すべてのUPS製品に対して同じサービスを提供するオムロンは、プロフェッショナルからも絶大な信頼を得ているのだ。
容量が大きければ大きいほど、多くのPCやPC周辺アイテムを機器を接続できるUPSだが、一般向け市場では、小容量の汎用UPSが人気だ。数多くの製品のなかからオムロンの「BYシリーズ」が選ばれた理由の一つは、正弦波出力に対応していることがある。
現在は、多くのメーカーのPCやサーバー、NAS(ネットワークHDD)がPFC電源を採用している。これは、高周波電流と呼ばれる電源ノイズを抑える力率改善回路を内蔵した電源装置のことで、一般的にPFC電源は、正弦波入力だけをサポートしている。
実は、オムロンの「BYシリーズ」が登場するまでは、正弦波出力に対応したUPSは高価で、小型で安価なUPSといえば矩形波出力のものばかりだった。だから、低価格で設置しやすい小型・軽量の正弦波出力に対応した「BY」シリーズが登場してからは、指名買いする人が多いのだ。
「BYシリーズ」には、このほかにも350VA/210W仕様の人気モデル「BY35S」や、法人・エントリサーバー向けの機能を追加した上位機種の「BY80S」「BY120S」などがあり、必要なバッテリ容量やバックアップ時間に合わせた一台を選択できる。
4月9日には、マイクロソフトがWindows XPのサポートを終了する。最近新しいWindows 8搭載のPCを買った、あるいはこれから購入予定という方も多いだろう。こうした方のなかで、これまでUPSを使ってきたという方に、気をつけていただきたいことがある。それは、手持ちのUPSが最新のPCに対応していない場合があるということだ。
Windows XPのPCが販売されていた当時、一般向けの小容量・汎用UPSの多くは矩形波出力タイプのものだった。一方、Windows 7以降のPCは、先に述べたPFC電源対応の製品が大半なので、正弦波出力のUPSを組み合わせて使う必要があるのだ。矩形波出力のUPSを使い続けると、UPSとしての機能が正しく動作しないだけでなく、PCの故障につながることもある。
また、バッテリには寿命がある。使用環境によっても異なるが、一般的には4~5年といわれているので、UPSの機能を有効に使い続けるにはバッテリを交換するか、あるいは適切な時期に本体の買替えを検討したいところだ。ちなみに、オムロンの「BYシリーズ」に標準でつく自動シャットダウンソフト「PowerAct Pro」は、UPSの自己診断やバッテリテストの機能を備えている。
オフィスや家庭でさまざまな電子機器を使わなければならなくなったいま、大事なPCやサーバーのデータを守るには、自己管理も含めて、万全の対策を施しておきたい。オムロンの「BY」シリーズは、あらゆるユーザーにとってベストの選択肢になるはずだ。(オーディオ・ビジュアルライター 山本 敦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
落雷やブレーカー落ちなどの電源トラブル対策に
UPSは、バッテリを内蔵した電源バックアップ用機器。室内のコンセントにつなぎ、UPSの出力コンセントにPCやPC周辺アイテムなどを接続する。落雷などが原因の大規模停電など電源異常が発生して、外部からの電源供給が途絶えてしまった際に、UPSの内蔵バッテリから電源を一定時間供給し、その間に自動で接続機器を正しくシャットダウンして、機器の故障や保存データの破損を防ぐ装置だ。
落雷などの自然災害によって瞬時電圧低下が起きたり、人間が感知できない瞬間的な停電が発生したりすることがある。また、冷暖房器具がフル回転する夏冬には、一時的に電気を使い過ぎて安全ブレーカーが落ちることもあり得る。こうした電源異常が発生すると、サーバーやPCへの電源供給が停止して、機器が正しくシャットダウンできないことから、内蔵ストレージが破損して大事なデータが消失してしまうことがある。企業の場合、会計データや顧客情報が消えてしまっては致命的な損失だ。さらに、PCやサーバ機器に機械的な故障が発生してしまうと、復旧には多大なコストと時間がかかる。UPSを準備しておけば、多くの被害を未然に防ぐことができるのだ。
UPSを代表するモデルになったオムロン「BY50S」
ここ数年、ゲリラ豪雨などの異常気象や震災などの自然災害で、認知度が高まっているUPS。では、いま最も売れているUPSはどれだろう。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、2013年に最も売れたUPSを振り返った。
2013年1月~12月の販売数を合算したUPSの機種別ランキングで1位だったのは、シェア10.6%でオムロンの「BY50S」だった。2位はシュナイダーエレクトリックの「BE550G-JP」でシェアは8.2%。また、5位にはオムロンの同シリーズ「BY35S」が入っている。
順位 | メーカー | 型番 | 販売台数 シェア(%) |
1 | オムロン | BY50S | 10.6 |
2 | Schneider Electric | BE550G-JP | 8.2 |
3 | Schneider Electric | BR550G-JP | 8.0 |
4 | Schneider Electric | BE325-JP | 7.5 |
5 | オムロン | BY35S | 6.5 |
6 | Schneider Electric | BR400G-JP | 5.0 |
7 | オムロン | BX50F | 4.2 |
8 | ユタカ電機製作所 | YEUP-051MABU | 4.1 |
9 | CyberPowerSystems | CP1200SW JP | 3.7 |
10 | Schneider Electric | BE750G-JP | 3.0 |
「BCNランキング」2013年 年次<最大パネル>
オムロンの「BY50S」は、09年11月発売の定番モデルだ。推移では13年年頭から好調で、1月には14.2%のシェアを獲得。2月は2位になったものの、3月には2位の製品が8.1%のシェアのところ、「BY50S」は20.5%で2位以下を大きく引き離した。その後も4月、5月と1位をキープ。とくに13年上半期が好調で、年間ランキングで1位になった。
オムロンの「BY50S」
「BY50S」は最大出力容量500VA/300Wのコンパクトモデルで、出力コンセント4口を備え、1台のデスクトップPC本体と、これに接続する液晶ディスプレイ、ネットワーク機器など一式の電源バックアップに対応する。内蔵バッテリによる最大バックアップ可能時間は、3分30秒だ。
付属ソフトも充実。WindowsやMacの最新OSに対応した自動シャットダウンソフト「PowerAct Pro」が標準でつく。PCにソフトをインストールしておけば、停電など電源異常が発生した際に、USB経由で接続したPCやネットワーク機器など複数の外部機器にUPSからコマンドを送信し、自動で安全にシャットダウンができる。
このソフトは、業務用として利用している高度な管理機能やシャットダウン機能も備えている。これほど多機能なソフトを標準で添付できる背景には、オムロンが長年培ってきたUPS製品に関するノウハウの蓄積がある。
内蔵するバッテリの期待寿命は4~5年だが、劣化時にはユーザー自身がバッテリを交換できる。さらにUPS本体には3年間の無償修理、内蔵バッテリには3年間の無償交換提供のサービスがつくので、万が一、故障が発生した場合でも安心だ。このように、すべてのUPS製品に対して同じサービスを提供するオムロンは、プロフェッショナルからも絶大な信頼を得ているのだ。
正弦波出力に対応したオムロンの小型・軽量UPS「BYシリーズ」
容量が大きければ大きいほど、多くのPCやPC周辺アイテムを機器を接続できるUPSだが、一般向け市場では、小容量の汎用UPSが人気だ。数多くの製品のなかからオムロンの「BYシリーズ」が選ばれた理由の一つは、正弦波出力に対応していることがある。
容量から選べる「BYシリーズ」
現在は、多くのメーカーのPCやサーバー、NAS(ネットワークHDD)がPFC電源を採用している。これは、高周波電流と呼ばれる電源ノイズを抑える力率改善回路を内蔵した電源装置のことで、一般的にPFC電源は、正弦波入力だけをサポートしている。
実は、オムロンの「BYシリーズ」が登場するまでは、正弦波出力に対応したUPSは高価で、小型で安価なUPSといえば矩形波出力のものばかりだった。だから、低価格で設置しやすい小型・軽量の正弦波出力に対応した「BY」シリーズが登場してからは、指名買いする人が多いのだ。
「BYシリーズ」には、このほかにも350VA/210W仕様の人気モデル「BY35S」や、法人・エントリサーバー向けの機能を追加した上位機種の「BY80S」「BY120S」などがあり、必要なバッテリ容量やバックアップ時間に合わせた一台を選択できる。
Windows XPのサポート終了で、UPSは大丈夫?
4月9日には、マイクロソフトがWindows XPのサポートを終了する。最近新しいWindows 8搭載のPCを買った、あるいはこれから購入予定という方も多いだろう。こうした方のなかで、これまでUPSを使ってきたという方に、気をつけていただきたいことがある。それは、手持ちのUPSが最新のPCに対応していない場合があるということだ。
Windows XPのPCが販売されていた当時、一般向けの小容量・汎用UPSの多くは矩形波出力タイプのものだった。一方、Windows 7以降のPCは、先に述べたPFC電源対応の製品が大半なので、正弦波出力のUPSを組み合わせて使う必要があるのだ。矩形波出力のUPSを使い続けると、UPSとしての機能が正しく動作しないだけでなく、PCの故障につながることもある。
また、バッテリには寿命がある。使用環境によっても異なるが、一般的には4~5年といわれているので、UPSの機能を有効に使い続けるにはバッテリを交換するか、あるいは適切な時期に本体の買替えを検討したいところだ。ちなみに、オムロンの「BYシリーズ」に標準でつく自動シャットダウンソフト「PowerAct Pro」は、UPSの自己診断やバッテリテストの機能を備えている。
オフィスや家庭でさまざまな電子機器を使わなければならなくなったいま、大事なPCやサーバーのデータを守るには、自己管理も含めて、万全の対策を施しておきたい。オムロンの「BY」シリーズは、あらゆるユーザーにとってベストの選択肢になるはずだ。(オーディオ・ビジュアルライター 山本 敦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。