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使わなくなったPCの廃棄は? 安心できるメーカーのリサイクルに

特集

2013/11/28 18:48

 年末恒例の大掃除で、後回しにされがちなPCの廃棄処分。一般ゴミとして捨てることができないが、具体的にどのような手順で廃棄すればいいのかは、意外に知られていない。ついつい面倒で、ホコリをかぶったまま部屋の片隅にPCを放置している人は多いだろう。XPのサポート終了による買替えが進むなか、いま一度、使わなくなったPCの廃棄処分の方法について確認しよう。

PCの回収&リサイクルはメーカーが対応



 冷蔵庫やテレビなどの家電は、新品を購入した際、販売事業者が古い製品をリサイクル品として回収する。これは、家電リサイクル法(※)によって定められたもので、ユーザーが手間をかけずに家電をリサイクルできる便利な仕組みだ。一方、PCには資源有効利用促進法適用される。2003年10月に改正施行されたもので、家庭向けPCの回収とリサイクルを、製造元のメーカーに義務づけている。

 ただ、PCはサイズが小さいうえ、新しいPCの購入と同時に古いマシンを廃棄処分するとは限らず、家電のように販売事業者が引き取ってくれるわけではない。廃棄する場合は、ユーザー自身が最初のアクションを起こす必要がある。その手間のためか、壊れて使わなくなったPCを、ずっと部屋に置いている人は多い。

 不要なPCをいつまでも所有しているのは、資源活用の面でも、まさにムダ。今年の大掃除をきっかけにリサイクルに回そう。製造したメーカーにPCの回収を依頼するだけで、意外と簡単に廃棄処理ができる。その仕組みと手続きを紹介する。

※正式には「特定家庭用機器再商品化法」。対象となる家電製品は、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機。

パソコン3R推進協会でメーカーの窓口を教えてくれる



 PCは、一般廃棄物として処理することが法律で禁止されている。廃棄する場合は、製造元のメーカーに回収を依頼する必要がある。各メーカーへの依頼窓口は、一般社団法人パソコン3R推進協会(http://www.pc3r.jp/)のホームページにある。 
 

パソコン3R推進協会のホームページ

パソコン3R推進協会のホームページ

 パソコン3R推進協会は、PCのリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の「3R」を促進するために、国内外の主要メーカーが揃って加盟している。ホームページには、各PCメーカーの回収窓口へのリンクボタンがあり、そこから、各PCメーカーの回収窓口にアクセスできるのだ。

 実際の回収は日本郵便の「エコゆうパック」を利用するので、全国どこでも対応することができる。各メーカーに回収を申し込むとエコゆうパックの伝票が届き、それをPCに添付して郵便局に回収してもらう。郵便局に依頼すれば、玄関先までPCを引き取りに来てくれるのがうれしい。 
 

依頼から回収までの流れ

依頼から回収までの流れ

 引き取ってくれるPCは、ノート、デスクトップ本体やディスプレイ(液晶/CRT)、ディスプレイ一体型が対象となる。マウスやキーボード、スピーカー、ケーブルなどのメーカー標準の添付品もOK。ただし、マニュアルやCD、DVD、梱包用の発泡スチロールなどは対象外だ。

 古いPCだと、マニュアルなどが見当たらなくてメーカーの窓口がすぐにわからないことがあるが、パソコン3R推進協会のホームページなら、回収申込みまでできるので便利。具体的な回収方法や手順が詳しく紹介されているので、参考にしたい。

PCの回収時にリサイクル料金が発生しない「PCリサイクルマーク」



 PCリサイクル法が施行された2003年10月以降の家庭向けPCには、PCリサイクルマークがついている。まずは、PC本体の裏面や側面の表示を確認しよう。このマークがついていれば、PCメーカーが無償回収してくれるので、ユーザーは回収時に新たにリサイクル料金を支払う必要がない。

PCリサイクルマーク

PCリサイクルマーク

 一方、このマークがついていない古いPC(2003年10月以前に発売された家庭向けPC)は、廃棄時の回収再資源化料金が必要になる。通常は1台あたり3150円(税込み)程度で、デスクトップPCのセパレートタイプの場合、本体と液晶ディスプレイの2個分(6300円)が必要になる。CRTディスプレイは4200円程度と少し高い。また、自作したPCや、製造元のメーカーが倒産した場合は、パソコン3R推進協会が有償でリサイクルしている。

 家庭用ではなく、事業所から廃棄されるPCは、PCリサイクルマークがついていても、回収時にリサイクル料金が発生する場合もあるので事前に確認しよう。マークのない古いPCは、リサイクル料金がかかるとはいえ、マークのあるPCと同じ流れで回収してくれるので安心だ。廃棄したPCは、再資源化センターで、鉄や銅、アルミ、金、銀などの貴金属からプラスチックやガラス、レアアース(希少金属)まで、資源として再利用する。

気になるHDDデータの廃棄も安心できるのがポイント



 PCの廃棄処分で、手間や料金以上に気になるのがPCのHDDの処理だ。保存したデータを削除したり、HDDを初期化したりしても、実は特殊なツールがあればデータを復元して読み出すことができてしまう。データを悪用されないまでも、他人にデータの中身をのぞかれるだけで、誰もが気持ちが悪いと感じるはずだ。

 その点、メーカーによるリサイクルでは、回収したPCを分解、再資源化するまで、メーカーが責任をもって行う。回収されたPCの運送状況もチェックできる。

 もちろん、廃棄するPCのデータ消去はユーザーが責任を持って行うべきなのだが、パソコン3R推進協会では、ホームページなどでデータ消去の詳しい方法を紹介している。HDDに無意味なデータを上書きして情報を消去する専用ソフトの紹介や、HDDを物理的に破壊する際の注意点などの情報が充実。これを参考にすれば、安心してPCを廃棄することができる。

 来年4月、Windows XPのサポートが終了することで、PCの買替えを検討している人は多いはず。使わなくなったPCは、パソコン3R推進協会のホームページを参考に廃棄処理して、資源のリサイクルに貢献しよう。(フリーライター・石川貢士)