Androidスマートフォンの最新トレンド 初心者はキャリアサービスに注目!
キャリア(通信事業者)各社によるAndroid搭載スマートフォンの2013~14年冬春モデルの発表が終わり、いよいよ今秋から来春にかけて発売になる。「G2」や「GALAXY Note 3」「Xperia Z1」など、一部機種はすでに発売済み。おサイフケータイを利用している人や、他人とは違うデザインの機種を持ちたい人は、大きな画面で操作しやすく、従来の携帯電話のトレンドを汲みながら独自に進化したAndroidスマートフォンに注目しよう。
アップルは、9月発売の最新機種「iPhone 5s」でも画面サイズを変更せず、「iPhone 4S/4」と同じ横幅の4.0インチにこだわった。一方、さまざまなメーカーが手がけるAndroid搭載スマートフォンは、ここ1~2年の間に大画面化が進み、いまや4.5インチでもコンパクトモデルの扱いだ。
2013年夏以降、フラッグシップモデルは、高速のクアッドコアCPU、有効1300~1600万画素程度のカメラ、32GBまたは64GBの大容量メモリ、4.8~5.0インチのフルHDディスプレイを搭載し、カメラの性能や機能、画像処理エンジンなどに独自の工夫を施している。また、独自のホーム画面やUI(ユーザーインターフェース)、オリジナルアプリなどを搭載する。
最新の2013~14年冬春モデル(auは2013年冬モデル)では、3キャリアから約5.2インチのフルHDディスプレイ搭載機種が登場。有効約2070万画素カメラを搭載した「Xperia Z1」や、スマートフォンとタブレットの間を埋める「ファブレット」として、約5.7インチのフルHDディスプレイを搭載し、付属のペンで操作するスタイルの「GALAXY Note 3」にも注目が集まっている。売れ行きや評判によっては、さらなる大画面化やカメラの高画素化が進むかもしれない。ちなみに、ディスプレイ周辺のデザイン・設計が異なるので、5.2インチなら、ワンサイズの下の5インチと横幅はほとんど変わらない。
家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」のデータをもとに、Android搭載スマートフォンに限った画面サイズ帯別販売台数構成比を集計すると、2013年9月は、「4インチ台後半」が51.9%を占め最も多く、次いで「5インチ以上」が29.0%を占めた。月単位ではなく、3か月間の累計(四半期)ごとに集計すると、販売台数の多い画面サイズの変遷がより鮮明になり、「Xperia Z SO-02E」の発売をきっかけに、2013年第1四半期(1月~3月)から「5インチ以上」の構成比が急激に拡大しているのがわかる。
iPhoneではなく、Androidを選ぶ理由として、防水やおサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信など、日本の携帯電話ならではの機能と並んで、大画面による見やすさ、操作のしやすさを挙げる人は多い。さらに、場合によってはキャリア独自のコンテンツサービスをより早く、より便利に利用できるというメリットもある。
もともとパソコンでオンラインショッピングや動画配信、クラウドサービスなどを利用していた人は、スマートフォンでもそれらを積極的に利用するだろう。しかし、スマートフォンで初めて本格的にインターネットを利用する人にとっては、それらは敷居が高く、いざ始めようとすると、難しく感じるかもしれない。各キャリアは、そうしたスマートフォン初心者(ネット初心者)に向けて、さまざまな独自のコンテンツサービスを提供している。
「マルチデバイス・マルチネットワーク・マルチユース」の「3M戦略」を掲げるKDDI(au)は、「アプリ取り放題」を中心にクーポン、バックアップなどのサービスをまとめて提供する「auスマートパス」のほか、「ビデオパス」「うたパス」「ブックパス」を展開。他キャリアに先駆けて開始した定額制のサービス「auスマートパス」(月額390円)は、総合的に判断するとおトク度はかなり高い。会員数は800万を突破。10月24日からは「ラッキー」をコンセプトに、リアルと結びついた新たな特典を増やすなど、さらにサービスを拡充している。
これに対して、ドコモのスマートフォン向けコンテンツサービス「スゴ得コンテンツ」(月額399円、3サービスをまとめた「おすすめパック」は525円)は、「auスマートパス」に比べるとコンテンツ数や内容面で見劣りの感は否めない。ただし、映像配信の「dビデオ」など、他のサービスでは負けてはいない。
ドコモは、2013~14年冬春モデルの発表に合わせて、「ネットワークフリー、デバイスフリー、OSフリー、キャリアフリー」の四つの「フリー」を打ち出した。「docomo ID」認証の本格導入後、「docomo ID」があれば、キャリアやデバイスを問わず、「dビデオ」や「dミュージック」「dショッピング」など、「dマーケット」の各サービスを、2014年3月までに順次利用できるようにする計画という。自社ユーザー限定の「クローズ」なサービスとして提供するKDDIに対して、誰でも使えるよう、オープン化に舵を切ったドコモ。どちらがビジネスとして成功を収めるのか、今後に注目したい。
独自のコンテンツサービスに力を入れるキャリアの試みの一例として、約5.2インチのフルHD対応IPS液晶ディスプレイを搭載したauのハイスペックスマートフォン「isai LGL22」を取り上げたい。
「isai LGL22」は、「使いこなす」にこだわって、LGエレクトロニクスとKDDIが共同開発したオリジナルスマートフォン。世界で高いシェアをもつLGとKDDIのコラボレーションは今回が初めてで、発売は11月下旬の予定だ。ホーム画面を縦横にフリックするだけで、各アプリを個別に起動することなく、ニュースやトレンド情報、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの最新情報が得られる「isaiスクリーン」、「auスマートパス」のサイトの重要なタイムライン情報をシステムバーの通知アイコンで知らせる「お知らせ機能」など、共同開発ならではの連携機能が光る。デザインにもこだわり、ディスプレイ以外のよぶんな要素を排除した狭額縁デザインは、3辺狭額縁設計の「AQUOS PHONE Xx SoftBank 302SH」に比べるとややインパクトは欠けるが、ブルー系を中心とした4色のカラーバリーエーションは、日本語の「異才」や「異彩」という意味を込めたと思われる「isai」の名の通り、店頭で目を引きそうだ。
最新技術・トレンドを積極的に取り入れるために、これまでのAndroidスマートフォンはスペックが横並びになりがちだった。また、複数のキャリアから同一機種や兄弟機種が販売されるパターンが増え、端末だけでは独自性を打ち出しにくくなっている。だからこそ、他キャリアとの差異化のポイントとして、auの「○○パス」、ドコモの「dマーケット」のようなキャリア独自のコンテンツサービスが浮上したのだろう。ドコモとソフトバンクモバイルは、健康支援・ヘルスケアサービスも提供している。iPhoneにはないAndroidの自由度を生かし、「isai」のように端末とキャリア独自のサービスを連携させたオリジナルモデルや、シニア向けスマートフォンなど、ターゲットに合わせて機能を絞ったコンセプトモデルが増えるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
各キャリアの最新Androidスマートフォン
大画面化が進む フラッグシップモデルの一部は5.2インチ以上に
アップルは、9月発売の最新機種「iPhone 5s」でも画面サイズを変更せず、「iPhone 4S/4」と同じ横幅の4.0インチにこだわった。一方、さまざまなメーカーが手がけるAndroid搭載スマートフォンは、ここ1~2年の間に大画面化が進み、いまや4.5インチでもコンパクトモデルの扱いだ。
2013年夏以降、フラッグシップモデルは、高速のクアッドコアCPU、有効1300~1600万画素程度のカメラ、32GBまたは64GBの大容量メモリ、4.8~5.0インチのフルHDディスプレイを搭載し、カメラの性能や機能、画像処理エンジンなどに独自の工夫を施している。また、独自のホーム画面やUI(ユーザーインターフェース)、オリジナルアプリなどを搭載する。
最新の2013~14年冬春モデル(auは2013年冬モデル)では、3キャリアから約5.2インチのフルHDディスプレイ搭載機種が登場。有効約2070万画素カメラを搭載した「Xperia Z1」や、スマートフォンとタブレットの間を埋める「ファブレット」として、約5.7インチのフルHDディスプレイを搭載し、付属のペンで操作するスタイルの「GALAXY Note 3」にも注目が集まっている。売れ行きや評判によっては、さらなる大画面化やカメラの高画素化が進むかもしれない。ちなみに、ディスプレイ周辺のデザイン・設計が異なるので、5.2インチなら、ワンサイズの下の5インチと横幅はほとんど変わらない。
約5.7インチのファブレット「GALAXY Note 3 SC-01F」(Classic White)、約5.0インチの「Xperia Z1 SO-01F」(Black)、約5.2インチの「AQUOS PHONE Xx SoftBank 302SH」(ラピスブルー)
キャリア名 | 機種名 | メーカー | 画面サイズ (インチ) |
ドコモ | G2 L-01F | LG | 5.2 |
ドコモ | GALAXY Note 3 SC-01F | SAMSUNG | 5.7 |
au | isai LGL22 | LG | 5.2 |
au | GALAXY Note 3 SCL22 | SAMSUNG | 5.7 |
SoftBank | AQUOS PHONE Xx 302SH | シャープ | 5.2 |
Disney Mobile on SoftBank | DM016SH | シャープ | 5.2 |
家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」のデータをもとに、Android搭載スマートフォンに限った画面サイズ帯別販売台数構成比を集計すると、2013年9月は、「4インチ台後半」が51.9%を占め最も多く、次いで「5インチ以上」が29.0%を占めた。月単位ではなく、3か月間の累計(四半期)ごとに集計すると、販売台数の多い画面サイズの変遷がより鮮明になり、「Xperia Z SO-02E」の発売をきっかけに、2013年第1四半期(1月~3月)から「5インチ以上」の構成比が急激に拡大しているのがわかる。
独自のコンテンツサービスに力を入れるキャリア ターゲットは”初心者”
もともとパソコンでオンラインショッピングや動画配信、クラウドサービスなどを利用していた人は、スマートフォンでもそれらを積極的に利用するだろう。しかし、スマートフォンで初めて本格的にインターネットを利用する人にとっては、それらは敷居が高く、いざ始めようとすると、難しく感じるかもしれない。各キャリアは、そうしたスマートフォン初心者(ネット初心者)に向けて、さまざまな独自のコンテンツサービスを提供している。
「マルチデバイス・マルチネットワーク・マルチユース」の「3M戦略」を掲げるKDDI(au)は、「アプリ取り放題」を中心にクーポン、バックアップなどのサービスをまとめて提供する「auスマートパス」のほか、「ビデオパス」「うたパス」「ブックパス」を展開。他キャリアに先駆けて開始した定額制のサービス「auスマートパス」(月額390円)は、総合的に判断するとおトク度はかなり高い。会員数は800万を突破。10月24日からは「ラッキー」をコンセプトに、リアルと結びついた新たな特典を増やすなど、さらにサービスを拡充している。
これに対して、ドコモのスマートフォン向けコンテンツサービス「スゴ得コンテンツ」(月額399円、3サービスをまとめた「おすすめパック」は525円)は、「auスマートパス」に比べるとコンテンツ数や内容面で見劣りの感は否めない。ただし、映像配信の「dビデオ」など、他のサービスでは負けてはいない。
ドコモは、2013~14年冬春モデルの発表に合わせて、「ネットワークフリー、デバイスフリー、OSフリー、キャリアフリー」の四つの「フリー」を打ち出した。「docomo ID」認証の本格導入後、「docomo ID」があれば、キャリアやデバイスを問わず、「dビデオ」や「dミュージック」「dショッピング」など、「dマーケット」の各サービスを、2014年3月までに順次利用できるようにする計画という。自社ユーザー限定の「クローズ」なサービスとして提供するKDDIに対して、誰でも使えるよう、オープン化に舵を切ったドコモ。どちらがビジネスとして成功を収めるのか、今後に注目したい。
「auスマートパス」をより便利に使えるLGの「isai」 デザインにもこだわり
独自のコンテンツサービスに力を入れるキャリアの試みの一例として、約5.2インチのフルHD対応IPS液晶ディスプレイを搭載したauのハイスペックスマートフォン「isai LGL22」を取り上げたい。
「isai LGL22」は、「使いこなす」にこだわって、LGエレクトロニクスとKDDIが共同開発したオリジナルスマートフォン。世界で高いシェアをもつLGとKDDIのコラボレーションは今回が初めてで、発売は11月下旬の予定だ。ホーム画面を縦横にフリックするだけで、各アプリを個別に起動することなく、ニュースやトレンド情報、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの最新情報が得られる「isaiスクリーン」、「auスマートパス」のサイトの重要なタイムライン情報をシステムバーの通知アイコンで知らせる「お知らせ機能」など、共同開発ならではの連携機能が光る。デザインにもこだわり、ディスプレイ以外のよぶんな要素を排除した狭額縁デザインは、3辺狭額縁設計の「AQUOS PHONE Xx SoftBank 302SH」に比べるとややインパクトは欠けるが、ブルー系を中心とした4色のカラーバリーエーションは、日本語の「異才」や「異彩」という意味を込めたと思われる「isai」の名の通り、店頭で目を引きそうだ。
約5.2インチの大画面ながら、幅約72mm、厚さ約9.1mmの手になじむスリムボディの「isai LGL22」(ブルー、アクア、ホワイト、ブラック)
最新技術・トレンドを積極的に取り入れるために、これまでのAndroidスマートフォンはスペックが横並びになりがちだった。また、複数のキャリアから同一機種や兄弟機種が販売されるパターンが増え、端末だけでは独自性を打ち出しにくくなっている。だからこそ、他キャリアとの差異化のポイントとして、auの「○○パス」、ドコモの「dマーケット」のようなキャリア独自のコンテンツサービスが浮上したのだろう。ドコモとソフトバンクモバイルは、健康支援・ヘルスケアサービスも提供している。iPhoneにはないAndroidの自由度を生かし、「isai」のように端末とキャリア独自のサービスを連携させたオリジナルモデルや、シニア向けスマートフォンなど、ターゲットに合わせて機能を絞ったコンセプトモデルが増えるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。