新iPhone、3キャリアの「違い」はネットワークとキャリアメール
家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、アップルの最新スマートフォン「iPhone 5s」は、2013年10月6日までの累計では、ソフトバンクモバイル、ドコモ、auの順に多く売れている。「iPhone 5」をベースにポップな5色のカラーバリエーションを揃えた「iPhone 5c」も、同様にソフトバンクモバイルがトップだ。同じiPhoneとはいえ、キャリアによって異なる点がいくつかある。それらのうち、今回は、LTEを中心とした「ネットワーク」と、人によってはなくてはならない「キャリアメール」について、3キャリアの違いをまとめた。
「iPhone 5s/5c」は、「プラチナバンド」と呼ばれる700~900MHz帯を含む多くのLTE周波数帯に新たに対応した。国内でいえば、ドコモの「iPhone 5s/5c」は2.1GHz/1.7GHz/800MHz帯に、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5s/5c」も2.1GHz/1.7GHz(イー・モバイル)と900MHz帯(2014年4月以降開始)の三つの周波数帯に対応する。auの「iPhone 5s/5c」は、2.1GHz帯と、「iPhone 5」では利用できなかった800MHzの二つの周波数帯に対応する。
auは、800MHz帯のLTE対応を受け、LTEの広さをアピール。800MHz帯プラチナバンドLTEの人口カバー率は、2014年3月末に99%に達する見込み。ドコモは、「Xi」のキャッチコピー「Strong.」の下、強いLTEの実現のために、高速化や「面」展開によるサービスエリアの拡大を進めている。一方、ソフトバンクは、「iPhone 5s/5c」の発売開始に合わせ、イー・モバイルのLTEが使える「ダブルLTE」をそれぞれ下り最大75Mbpsに高速化した「倍速ダブルLTE」を整備。この「倍速ダブルLTE」が功を奏したのか、BCNが9月20日にJR山手線10駅で行ったLTEの通信速度調査でも、平均ダウンロード速度は、3キャリアの中で最も速かった。各社とも、ネットワーク品質の強化・向上に力を入れており、新しいiPhoneでは、これまで以上に、快適な高速データ通信を利用できているのではないだろうか。
通信速度は、周囲の環境・時間帯・利用人数などによって変わり、常に変動する。通信速度計測アプリを使って計測することで大まかな傾向はつかめるものの、実際のところ、使ってみなければわからないのが実情だ。音声通話は3Gを使用しており、LTEの電波が弱い場所やサービスエリア外では、自動的に3Gに切り替わるので、従来の3Gの品質も軽視できない。各キャリアが公開しているLTEのサービスエリアマップや今後のロードマップなどを参考にしながら、将来性を含め、どのキャリアがベストか判断しよう。
キャリアが提供するEメール(キャリアメール)は、iOSの標準アプリ「メッセージ」または「メール」を利用して送受信する。利用するアプリや、最大保存容量・期間など、細かな仕様は三者三様で、キャリアによって異なる最大のポイントといってもいい。どの方式がいいかは、慣れやメールの使い方によっても変わるだろう。
ソフトバンクモバイルは、iPhoneユーザーに対し、メッセージアプリ用の「@softbank.ne.jp」、メールアプリ用の「@i.softbank.jp」の二つのドメインを提供する。1アプリ1ドメインで、用途に合わせて使い分けられるので便利だ。SMS(ショートメッセージサービス)と共通のメッセージアプリは、リアルタイムでメールを送受信し、会話形式でテンポよくやり取りできる。メールアプリは、Gmailなど、通常のパソコン用メールの操作方法と同じ。@i.softbank.jpのメールは、サーバーがメールを受信したことをプッシュで知らせる「新着メールお知らせ機能」に対応。メールが届くと通知が表示される。なお、@softbank.ne.jpのメールは、有料オプションサービス「S!メール(MMS)どこでもアクセス」に申し込むと、パソコンなどでも確認できる。
これに対して、auが提供するドメインは@ezweb.ne.jpの一つ。メッセージアプリ、メールアプリ、どちらかを好きなほうを選ぶ。メールアプリを選んだ場合、プッシュ方式に対応し、メールを受信すると通知が表示される。
ドコモは、10月1日から「spモードメール」に対応したが、こちらも提供するドメインは@docomo.ne.jpの一つ。メッセージアプリではなく、メールアプリで利用して送受信する。ただし、当面は、プッシュ方式には対応せず、手動または定期的に(最短15分ごと)にサーバーに接続して取得するフェッチ方式となる。今後のスケジュールとして、12月中旬にリアルタイム着信通知機能を提供し、2014年1月にようやくプッシュ方式に対応する予定。それまではメールをリアルタイムで受信できない。別途、12月中旬に、新しいクラウド型メールサービス「ドコモメール」にも対応する予定。
iPhoneは、Eメール、SMS/MMSに加え、iOS共通機能として、iPhone/iPad/iPod touch/Mac間でメッセージを送受信する「iMessage」を利用できる。ドコモのiPhone 5s/cは、現状、メッセージアプリでは、SMSとiMessageしか利用できず、絵文字入りのSMSを送受信した場合、正しく表示されない可能性がある。キャリアメールの「spモードメール」も同様に、送信/受信した絵文字が文字化けするなど、正しく表示されない場合があるという。絵文字をよく使う人にとっては、かなり不便だろう。他キャリアのユーザーも、ドコモのiPhoneユーザーとメールやSMSを送受信する場合、しばらく「絵文字」には注意が必要だ。このように、メール機能も、キャリアによって違いがあることを気に留めておきたい。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事の内容は、2013年10月9日時点のものです。キャリアメールに関しては、今後のアップデートや仕様変更などで変わる可能性があります。最新情報は、各キャリアのサポートページなどでご確認ください。
<ポイント1・ネットワーク>実際の速度や将来性を含めて総合的に判断しよう
「iPhone 5s/5c」は、「プラチナバンド」と呼ばれる700~900MHz帯を含む多くのLTE周波数帯に新たに対応した。国内でいえば、ドコモの「iPhone 5s/5c」は2.1GHz/1.7GHz/800MHz帯に、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5s/5c」も2.1GHz/1.7GHz(イー・モバイル)と900MHz帯(2014年4月以降開始)の三つの周波数帯に対応する。auの「iPhone 5s/5c」は、2.1GHz帯と、「iPhone 5」では利用できなかった800MHzの二つの周波数帯に対応する。
SoftBank | au | ドコモ | |
---|---|---|---|
LTEサービス名 | SoftBank 4G LTE | 4G LTE | Xi |
iPhone 5s/5cで 使用できる周波数 |
2.1GHz、1.7GHz、900MHz ※900MHzは2014年4月以降対応予定 |
2.1GHz、800MHz | 2.1GHz、1.7GHz、800MHz |
テザリング | ○ ※当初2年間無料 |
○ ※当初2年間無料 |
○(無料) |
auは、800MHz帯のLTE対応を受け、LTEの広さをアピール。800MHz帯プラチナバンドLTEの人口カバー率は、2014年3月末に99%に達する見込み。ドコモは、「Xi」のキャッチコピー「Strong.」の下、強いLTEの実現のために、高速化や「面」展開によるサービスエリアの拡大を進めている。一方、ソフトバンクは、「iPhone 5s/5c」の発売開始に合わせ、イー・モバイルのLTEが使える「ダブルLTE」をそれぞれ下り最大75Mbpsに高速化した「倍速ダブルLTE」を整備。この「倍速ダブルLTE」が功を奏したのか、BCNが9月20日にJR山手線10駅で行ったLTEの通信速度調査でも、平均ダウンロード速度は、3キャリアの中で最も速かった。各社とも、ネットワーク品質の強化・向上に力を入れており、新しいiPhoneでは、これまで以上に、快適な高速データ通信を利用できているのではないだろうか。
通信速度は、周囲の環境・時間帯・利用人数などによって変わり、常に変動する。通信速度計測アプリを使って計測することで大まかな傾向はつかめるものの、実際のところ、使ってみなければわからないのが実情だ。音声通話は3Gを使用しており、LTEの電波が弱い場所やサービスエリア外では、自動的に3Gに切り替わるので、従来の3Gの品質も軽視できない。各キャリアが公開しているLTEのサービスエリアマップや今後のロードマップなどを参考にしながら、将来性を含め、どのキャリアがベストか判断しよう。
<ポイント2・キャリアメール>ドコモは、現時点ではリアルタイム受信に非対応
キャリアが提供するEメール(キャリアメール)は、iOSの標準アプリ「メッセージ」または「メール」を利用して送受信する。利用するアプリや、最大保存容量・期間など、細かな仕様は三者三様で、キャリアによって異なる最大のポイントといってもいい。どの方式がいいかは、慣れやメールの使い方によっても変わるだろう。
メッセージ/メールアプリのアイコンと表示画面。メッセージアプリ(左)では、吹き出しの色が、SMSの場合は緑、iMessageの場合、青色になる
ソフトバンクモバイルは、iPhoneユーザーに対し、メッセージアプリ用の「@softbank.ne.jp」、メールアプリ用の「@i.softbank.jp」の二つのドメインを提供する。1アプリ1ドメインで、用途に合わせて使い分けられるので便利だ。SMS(ショートメッセージサービス)と共通のメッセージアプリは、リアルタイムでメールを送受信し、会話形式でテンポよくやり取りできる。メールアプリは、Gmailなど、通常のパソコン用メールの操作方法と同じ。@i.softbank.jpのメールは、サーバーがメールを受信したことをプッシュで知らせる「新着メールお知らせ機能」に対応。メールが届くと通知が表示される。なお、@softbank.ne.jpのメールは、有料オプションサービス「S!メール(MMS)どこでもアクセス」に申し込むと、パソコンなどでも確認できる。
これに対して、auが提供するドメインは@ezweb.ne.jpの一つ。メッセージアプリ、メールアプリ、どちらかを好きなほうを選ぶ。メールアプリを選んだ場合、プッシュ方式に対応し、メールを受信すると通知が表示される。
ドコモは、10月1日から「spモードメール」に対応したが、こちらも提供するドメインは@docomo.ne.jpの一つ。メッセージアプリではなく、メールアプリで利用して送受信する。ただし、当面は、プッシュ方式には対応せず、手動または定期的に(最短15分ごと)にサーバーに接続して取得するフェッチ方式となる。今後のスケジュールとして、12月中旬にリアルタイム着信通知機能を提供し、2014年1月にようやくプッシュ方式に対応する予定。それまではメールをリアルタイムで受信できない。別途、12月中旬に、新しいクラウド型メールサービス「ドコモメール」にも対応する予定。
SoftBank | au | ドコモ | |
---|---|---|---|
ドメイン | softbank.ne.jp i.softbank.jp |
ezweb.ne.jp | docomo.ne.jp ※spモードメール |
利用するアプリ |
メッセージアプリ、メールアプリ |
メッセージアプリ/メールアプリのどちらか |
メールアプリ |
プッシュ方式 (新規メールをサーバーから自動受信する方式) |
○ ※通知のみにとどまる(2014年初めまでにリアルタイム受信に対応予定) |
○ | ×(手動または最短15分ごとの定期受信) ※2013年12月中旬に着信通知機能を導入予定 ※2014年1月にリアルタイム受信に対応予定 |
絵文字 | ○ | ○ | × |
迷惑メール対策 | ○ | ○ | ○(10月1日開始) |
詳細 | URL | URL | URL |
iPhoneは、Eメール、SMS/MMSに加え、iOS共通機能として、iPhone/iPad/iPod touch/Mac間でメッセージを送受信する「iMessage」を利用できる。ドコモのiPhone 5s/cは、現状、メッセージアプリでは、SMSとiMessageしか利用できず、絵文字入りのSMSを送受信した場合、正しく表示されない可能性がある。キャリアメールの「spモードメール」も同様に、送信/受信した絵文字が文字化けするなど、正しく表示されない場合があるという。絵文字をよく使う人にとっては、かなり不便だろう。他キャリアのユーザーも、ドコモのiPhoneユーザーとメールやSMSを送受信する場合、しばらく「絵文字」には注意が必要だ。このように、メール機能も、キャリアによって違いがあることを気に留めておきたい。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事の内容は、2013年10月9日時点のものです。キャリアメールに関しては、今後のアップデートや仕様変更などで変わる可能性があります。最新情報は、各キャリアのサポートページなどでご確認ください。