PM2.5対応の東芝の「大清快EDRシリーズ」、担当者に驚きの機能を聞いた
家電量販店では、早くもエアコン商戦が始まっている。壁にずらりと並ぶエアコンのなかで、ひときわ目を引いたのが東芝のエアコン「大清快EDRシリーズ」に付けられた「PM2.5対応」のPOPだ。小さな子どもが二人もいる我が家では、室内の空気にはいつも気を遣っていたい。
近頃騒がれているPM2.5。目に見えないものだけに不安で、何か対策をしなければと思っていた。近くのホームセンターでPM2.5対応の分厚いマスクを買ったことがあるのだが、装着してその息苦しさにビックリしてしまった。
マスクを買って、初めてPM2.5は粒子が細かく、ここまでしっかりガードしなければ防ぐことができないんだな……と知り、がく然。せめて家ではきれいな空気で過ごしたい。PM2.5対応の空気清浄機を探していたところ、東芝のエアコン「大清快」を見かけたのだ。
しかし、エアコンの付加機能で、本当にPM2.5は除去できるのだろうか。実際に目に見えるものではないので、不安は残る。そこで東芝ホームアプライアンスエアコン事業部の枦山智さんに、技術的なことからじょうずな使い方まで、根掘り葉掘り話を聞いた。
──店頭で「PM2.5対応」というPOPを見ました。
枦山 各社とも、上位モデルには空気清浄機能を搭載しているものが多いのですが、PM2.5に対応するエアコンは「大清快」だけなんです。PM2.5は、直径2.5マイクロメートル以下の小さな粒子。この小さな粒子をしっかり取り除くことができるか、きちんとテストしています。テストは、2マイクロメートルと1マイクロメートルと0.3マイクロメートルの3パターンで行いました。
──どのような結果だったのでしょうか?
枦山 テスト機種は「大清快EDRシリーズ」のなかで一番小さい6畳用の「RAS-221EDR」です。大きいモデルになればなるほど性能が上がりますので、あえて最低ラインでテストする、ということですね。自然減衰といって、ただ自然に粒子が減っていった数とエアコンの清浄運転をした場合の粒子の減りを比較しました。2マイクロメートルの20分後の結果は、自然減衰の30%に対して、「大清快」では90%減少しました。30分後では98%になって、ほぼ取り除くことができたといえます。1マイクロメートル、0.3マイクロメートルの結果も2マイクロメートルに比べてちょっとカーブが緩やかになっていますが、明らかに効果が出ています。
──エアコンの空気清浄機能は付加機能だと思うのですが、厳しくテストしているんですね。
枦山 エアコンは冷・暖房がメインの機能なので、空気清浄機能は、付加機能という位置づけで、カタログへの性能表記は任意です。いまのところ、エアコンのカタログで空気清浄機能の性能について表記しているのは「大清快」だけです。
──「大清快」の空気清浄機能のメカニズムはどのようになっているのでしょうか。
枦山 一般的な空気清浄機は、フィルターで汚れ物質をこし取っています。また、最近の空気清浄機やエアコンは、吹出し口あたりに放出イオンの発生装置をつけてウイルスや菌を抑制します。「大清快」も「ピコイオン」を放出していますが、これだけでは完全に抑制できません。
──フィルターでは粒子の小さい物は取り逃してしまうし、イオンでもすべての花粉やウイルスを抑制することができない……。
枦山 そうですね。「大清快」は、風の流れに合わせて汚れ物質を室内機に戻します。そして、「プラズマイオンチャージャー」という装置で汚れ物質を帯電させて、後ろにある熱交換器でキャッチします。つまり、汚れ物質は熱交換器にどんどん堆積してきます。
──すると、熱交換器に堆積した汚れ物資は、定期的に洗い落とさなければならないのでしょうか。
枦山 その必要はありません。熱交換器には、樹脂製のコートを施してあります。表面には細かい凸凹があり、熱交換器と付着した汚れ物質の間に隙間ができやすいようになっていますので、汚れ物質を水でスルッと洗い流すことができます。これを「アクア洗浄」といいます。これによって汚れ物質をドレンホースから屋外に除去することができます。
──フィルターの掃除が必要ないんですね。空気清浄機の場合、定期的にフィルターを交換しないと目詰まりを起こして効果が落ちてしまいますが、交換の手間がない、ランニングコストもかからないというのはとても魅力的ですね。この「ピコイオン空清」を使うおすすめのタイミングはありますか。
枦山 例えば、お子さんがいらっしゃるとか、アレルギーの方がいらっしゃるというのであれば、冷暖房を使っているときだけでなく、冷暖房以外のシーズンも常時使っていただいていいと思います。
──電気代が結構かかるのではありませんか?
枦山 空気清浄運転はコンプレッサーを回すのではなく、室内ユニットのファンを回すだけなんです。そうすると消費電力はすごく小さいんですよ。そのときの風量にもよりますが、8~30W程度です。電気代に換算すると、例えば最大の30Wで24時間回したとして、1日あたり16円。実際は起きている間とか、お部屋にいる間だけになりますので、もっと安くなりますね。
──本当に電気代はわずかなんですね。部屋に入ったらとりあえず「ピコイオン空清」をオンにした方がよさそうですね。
枦山 冷・暖房運転のときは、もともと冷・暖房運転でファンを回すので、追加で電気代がかかるわけではありません。電気代の観点からみるとほとんど気にならない程度なので、気にせず使っていただいていいのではないかと思います。
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──エアコンというと、一番気になるのが省エネ性能です。その点はいかがでしょうか。
枦山 いまは気密・断熱性能の高い住宅が増えています。高気密高断熱住宅でエアコンを使う場合、ある程度の設定温度に達した後は、ごく小さな能力しか必要ありません。そのため、いったん運転を停止するモデルもありますね。
──エアコンは、運転を始めたときといったん停止し、再開したときに消費電力がぐんと跳ね上がりますよね。
枦山 そうですね。そこで「大清快」は、効率を考えて停止するのではなく、「とろ火」運転をします。これを実現しているのが「デュアルコンプレッサー」です。このコンプレッサーは、小さな能力で運転するときには半分をお休みさせて、すごく小さなパワーで運転することができます。例えば、最小能力運転時の消費電力は、14畳用のモデルだと55Wまで下げることができます。
──それが「涼風運転」ですね。「涼風運転」でも涼しくなるのでしょうか。
枦山 吹出し口に手を当ててみてください。
──あ、冷たい風が出ていますね。本体の液晶パネルにリアルタイムの消費電力が表示されていますが、消費電力は45Wまで下がりました。扇風機並みの消費電力でこれだけ冷たい風が出てくるなんて……。
枦山 夏場の扇風機は熱風を送り出すだけなので、なかなか涼しくなりませんよね。「涼風運転」なら、消費電力を抑えながら冷風を送り出すので、快適に過ごすことができます。
──おすすめの使い方はありますか?
枦山 お部屋全体を冷やすほどのパワーはないものの、ちょっと汗ばむときに、一部だけでも冷やしたいというときに便利です。また、赤ちゃんやお年寄りなど元々冷房で身体をあまり冷やしたくないご家族のいらっしゃるご家庭や、暑さに弱いペットがいるときにおすすめですね。
──いつも誰もいない日中はエアコンを切って汗だくになりながら家事をしていますが、「大清快」なら消費電力は扇風機並みなので、ためらわずにつけられますね。ちょっと汗ばむ春や秋にも活躍しそうです。
──これからの季節、ジメジメして除湿機能を使いたくなりますよね。でも「除湿は電気代がかかる」といわれるので、最近は除湿機能の使用を控えているんですが……。
枦山 高級機の除湿機能は「再熱除湿」といって、室温を下げないで除湿できる機能を搭載しています。「再熱除湿」は部屋の空気をいったんエアコン内部で冷やして除湿した後、冷えた空気を暖めなおして送風する仕組みです。
──なるほど、それで除湿は電気代が高いといわれるんですね。
枦山 そうなんです。「大清快」の「おすすめ除湿」も再熱除湿方式ですが、効率よく湿気を取るので電気代を極力抑えます。例えば「おすすめ除湿」では、除湿器1台分の電力で3台分の除湿能力があります。除湿は、冷房のかわりに一晩中使ったり、結露が気になるので梅雨時は一日中使ったり、除湿は使用時間が長いんです。効率よく除湿することで電気代を気にせず使えますよ。
──除湿機能を使ってよく洗濯物を乾かすのですが、しっかり湿気は取れますか。
枦山 湿気をたくさん取りたいときは、設定湿度を40%まで下げたり、衣類乾燥モードに設定したりするといいですね。
──シーンに合わせて除湿をキメ細かく選べるのは本当にうれしいですね。電気代が気になって除湿モードはほとんど使用していませんでしたが、「大清快」なら除湿も使いこなすことができそうです。ありがとうございました。
東芝「大清快」シリーズは我が家でも第一候補だったが、取材してますます欲しくなってしまった。小さなお子さんやお年寄り、ペットがいるご家庭は、ぜひ選択肢に入れてほしい。(ライター 石井和美)
PM2.5対応の「大清快EDRシリーズ」
近頃騒がれているPM2.5。目に見えないものだけに不安で、何か対策をしなければと思っていた。近くのホームセンターでPM2.5対応の分厚いマスクを買ったことがあるのだが、装着してその息苦しさにビックリしてしまった。
近所で購入したPM2.5対応のマスク。分厚くて苦しい!
マスクを買って、初めてPM2.5は粒子が細かく、ここまでしっかりガードしなければ防ぐことができないんだな……と知り、がく然。せめて家ではきれいな空気で過ごしたい。PM2.5対応の空気清浄機を探していたところ、東芝のエアコン「大清快」を見かけたのだ。
しかし、エアコンの付加機能で、本当にPM2.5は除去できるのだろうか。実際に目に見えるものではないので、不安は残る。そこで東芝ホームアプライアンスエアコン事業部の枦山智さんに、技術的なことからじょうずな使い方まで、根掘り葉掘り話を聞いた。
空気清浄機並みの空気清浄機能 お手入れの手間いらず
──店頭で「PM2.5対応」というPOPを見ました。
枦山 各社とも、上位モデルには空気清浄機能を搭載しているものが多いのですが、PM2.5に対応するエアコンは「大清快」だけなんです。PM2.5は、直径2.5マイクロメートル以下の小さな粒子。この小さな粒子をしっかり取り除くことができるか、きちんとテストしています。テストは、2マイクロメートルと1マイクロメートルと0.3マイクロメートルの3パターンで行いました。
──どのような結果だったのでしょうか?
枦山 テスト機種は「大清快EDRシリーズ」のなかで一番小さい6畳用の「RAS-221EDR」です。大きいモデルになればなるほど性能が上がりますので、あえて最低ラインでテストする、ということですね。自然減衰といって、ただ自然に粒子が減っていった数とエアコンの清浄運転をした場合の粒子の減りを比較しました。2マイクロメートルの20分後の結果は、自然減衰の30%に対して、「大清快」では90%減少しました。30分後では98%になって、ほぼ取り除くことができたといえます。1マイクロメートル、0.3マイクロメートルの結果も2マイクロメートルに比べてちょっとカーブが緩やかになっていますが、明らかに効果が出ています。
減衰率の図
──エアコンの空気清浄機能は付加機能だと思うのですが、厳しくテストしているんですね。
枦山 エアコンは冷・暖房がメインの機能なので、空気清浄機能は、付加機能という位置づけで、カタログへの性能表記は任意です。いまのところ、エアコンのカタログで空気清浄機能の性能について表記しているのは「大清快」だけです。
──「大清快」の空気清浄機能のメカニズムはどのようになっているのでしょうか。
枦山 一般的な空気清浄機は、フィルターで汚れ物質をこし取っています。また、最近の空気清浄機やエアコンは、吹出し口あたりに放出イオンの発生装置をつけてウイルスや菌を抑制します。「大清快」も「ピコイオン」を放出していますが、これだけでは完全に抑制できません。
──フィルターでは粒子の小さい物は取り逃してしまうし、イオンでもすべての花粉やウイルスを抑制することができない……。
枦山 そうですね。「大清快」は、風の流れに合わせて汚れ物質を室内機に戻します。そして、「プラズマイオンチャージャー」という装置で汚れ物質を帯電させて、後ろにある熱交換器でキャッチします。つまり、汚れ物質は熱交換器にどんどん堆積してきます。
「ピコイオン空清」のメカニズム
──すると、熱交換器に堆積した汚れ物資は、定期的に洗い落とさなければならないのでしょうか。
枦山 その必要はありません。熱交換器には、樹脂製のコートを施してあります。表面には細かい凸凹があり、熱交換器と付着した汚れ物質の間に隙間ができやすいようになっていますので、汚れ物質を水でスルッと洗い流すことができます。これを「アクア洗浄」といいます。これによって汚れ物質をドレンホースから屋外に除去することができます。
──フィルターの掃除が必要ないんですね。空気清浄機の場合、定期的にフィルターを交換しないと目詰まりを起こして効果が落ちてしまいますが、交換の手間がない、ランニングコストもかからないというのはとても魅力的ですね。この「ピコイオン空清」を使うおすすめのタイミングはありますか。
枦山 例えば、お子さんがいらっしゃるとか、アレルギーの方がいらっしゃるというのであれば、冷暖房を使っているときだけでなく、冷暖房以外のシーズンも常時使っていただいていいと思います。
──電気代が結構かかるのではありませんか?
枦山 空気清浄運転はコンプレッサーを回すのではなく、室内ユニットのファンを回すだけなんです。そうすると消費電力はすごく小さいんですよ。そのときの風量にもよりますが、8~30W程度です。電気代に換算すると、例えば最大の30Wで24時間回したとして、1日あたり16円。実際は起きている間とか、お部屋にいる間だけになりますので、もっと安くなりますね。
──本当に電気代はわずかなんですね。部屋に入ったらとりあえず「ピコイオン空清」をオンにした方がよさそうですね。
リモコンの「ピコイオン空清」ボタン
枦山 冷・暖房運転のときは、もともと冷・暖房運転でファンを回すので、追加で電気代がかかるわけではありません。電気代の観点からみるとほとんど気にならない程度なので、気にせず使っていただいていいのではないかと思います。
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扇風機並みの消費電力で冷風が涼しい「涼風運転」
──エアコンというと、一番気になるのが省エネ性能です。その点はいかがでしょうか。
枦山 いまは気密・断熱性能の高い住宅が増えています。高気密高断熱住宅でエアコンを使う場合、ある程度の設定温度に達した後は、ごく小さな能力しか必要ありません。そのため、いったん運転を停止するモデルもありますね。
──エアコンは、運転を始めたときといったん停止し、再開したときに消費電力がぐんと跳ね上がりますよね。
枦山 そうですね。そこで「大清快」は、効率を考えて停止するのではなく、「とろ火」運転をします。これを実現しているのが「デュアルコンプレッサー」です。このコンプレッサーは、小さな能力で運転するときには半分をお休みさせて、すごく小さなパワーで運転することができます。例えば、最小能力運転時の消費電力は、14畳用のモデルだと55Wまで下げることができます。
──それが「涼風運転」ですね。「涼風運転」でも涼しくなるのでしょうか。
枦山 吹出し口に手を当ててみてください。
吹出し口から冷たい風が流れる
──あ、冷たい風が出ていますね。本体の液晶パネルにリアルタイムの消費電力が表示されていますが、消費電力は45Wまで下がりました。扇風機並みの消費電力でこれだけ冷たい風が出てくるなんて……。
消費電力は45Wと扇風機並みだ
枦山 夏場の扇風機は熱風を送り出すだけなので、なかなか涼しくなりませんよね。「涼風運転」なら、消費電力を抑えながら冷風を送り出すので、快適に過ごすことができます。
──おすすめの使い方はありますか?
枦山 お部屋全体を冷やすほどのパワーはないものの、ちょっと汗ばむときに、一部だけでも冷やしたいというときに便利です。また、赤ちゃんやお年寄りなど元々冷房で身体をあまり冷やしたくないご家族のいらっしゃるご家庭や、暑さに弱いペットがいるときにおすすめですね。
──いつも誰もいない日中はエアコンを切って汗だくになりながら家事をしていますが、「大清快」なら消費電力は扇風機並みなので、ためらわずにつけられますね。ちょっと汗ばむ春や秋にも活躍しそうです。
「おすすめ除湿」や「衣類乾燥」など、選べる除湿が便利
──これからの季節、ジメジメして除湿機能を使いたくなりますよね。でも「除湿は電気代がかかる」といわれるので、最近は除湿機能の使用を控えているんですが……。
枦山 高級機の除湿機能は「再熱除湿」といって、室温を下げないで除湿できる機能を搭載しています。「再熱除湿」は部屋の空気をいったんエアコン内部で冷やして除湿した後、冷えた空気を暖めなおして送風する仕組みです。
──なるほど、それで除湿は電気代が高いといわれるんですね。
枦山 そうなんです。「大清快」の「おすすめ除湿」も再熱除湿方式ですが、効率よく湿気を取るので電気代を極力抑えます。例えば「おすすめ除湿」では、除湿器1台分の電力で3台分の除湿能力があります。除湿は、冷房のかわりに一晩中使ったり、結露が気になるので梅雨時は一日中使ったり、除湿は使用時間が長いんです。効率よく除湿することで電気代を気にせず使えますよ。
──除湿機能を使ってよく洗濯物を乾かすのですが、しっかり湿気は取れますか。
枦山 湿気をたくさん取りたいときは、設定湿度を40%まで下げたり、衣類乾燥モードに設定したりするといいですね。
──シーンに合わせて除湿をキメ細かく選べるのは本当にうれしいですね。電気代が気になって除湿モードはほとんど使用していませんでしたが、「大清快」なら除湿も使いこなすことができそうです。ありがとうございました。
東芝「大清快」シリーズは我が家でも第一候補だったが、取材してますます欲しくなってしまった。小さなお子さんやお年寄り、ペットがいるご家庭は、ぜひ選択肢に入れてほしい。(ライター 石井和美)