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レジャーシーズン突入で活気づくPND市場、自転車対応ナビに注目!

特集

2012/04/19 11:47

 ゴールデンウィークが目前に迫り、クルマでどこかへ出かけようと計画を立てている人も多いだろう。クルマでの外出に欠かせないのが、カーナビだ。いま、カーナビ市場では、コンパクトでクルマ以外の用途でも使える「ポータブル・ナビゲーション・デバイス(PND)」の人気が高まっている。ゴールデンウィークに向けて用意しておきたい注目のPNDを紹介しよう。

成長を続ける持ち運びができるPND市場



 これまでカーナビといえば、クルマに取りつけたままで使う据置き型が圧倒的人気を誇っていた。しかし最近は、取り外して持ち運びができるコンパクトなPNDの人気が高まっている。BCNランキングで2011年1月からのPND販売台数指数を追うと、昨年の5~6月にモデルチェンジのために落ち込んだものの、夏のレジャーシーズンを機に盛り返し、今年2月の下降も3月にはすぐもち直している。2011年1月を基準とすると、市場は1.6倍にまで拡大しているのだ。


 なぜ、PNDが売れているのか。理由として、まず導入の手軽さが挙げられる。組み込みに工事が必要な車載型のカーナビと比べて、PNDは吸盤やアタッチメントで簡単に取り付けができる。

 次に挙げられるのは、価格面だ。BCNランキングで3月の機種別ランキングを見ると、上位にランクインしている機種の価格は3万円~7万円程度。車載型のカーナビの場合、取り付け工事を含めると20万円以上かかることは珍しくない。また、バッテリを搭載しているので、取り外して外で使える点もポイントだ。歩きのときはもちろん、機種によっては自転車やバイクに取り付けて使うこともできる。

 最近は、スマートフォンにナビアプリをインストールして簡易ナビとして使う人が増えているが、ナビとして使うなら、PNDには画面の大きさ・操作性・画面の視認性など、専用機ならではの明確な優位性がある。耐熱性や耐衝撃性の面でも、PNDはスマートフォンよりタフだ。スマートフォンのバッテリのもちを考えても、PNDを別に用意するのが正解といえる。

クルマ、自転車、徒歩とあらゆる移動シーンに活躍するモデルに注目



 ここに春休みの2012年3月19日~4月1日の2週間で、人気のあったPNDをピックアップした。ゴールデンウィークに向けてPNDの購入を検討している人は、ぜひ参考にしてほしい。

PND シリーズ別(※)販売台数シェア トップ10
(集計期間:2012年3月19日~4月1日)
順位 メーカー ブランド名 品名 画面サイズ
(インチ)
自転車
搭載機能の
有無
販売台数
シェア(%)
1 パナソニック Gorilla CN-SL305L 5.0   14.7
2 ユピテル YEAR YPL502si 5.0   10.0
3 パナソニック Gorilla CN-SP710VL 7.0   7.0
4 ソニー nav-u NV-U37 3.5 6.6
5 ソニー nav-u NV-U77V 4.8   5.4
6 パナソニック Gorilla CN-SP705L 7.0   4.4
7 パナソニック Gorilla CN-MC01L 4.3 3.3
8 パナソニック Gorilla CN-SP510VL 5.0   3.3
9 トライウイン Trywin Smart DTN-6500 6.0   3.3
10 パイオニア Air navi AVIC-T77 5.8   3.2
※カラーバリエーションは合算して集計
「BCNランキング」2012年3月19日~4月1日 <最大パネル>

 注目ポイントは、トップ10のうち、クルマだけではなく、徒歩や自転車などでの移動に対応した機種が2機種も入っていることだ。

 4位のソニー「nav-u NV-U37」は、車載はもちろん、徒歩、自転車、アウトドアなど、幅広いシーンでの利用に対応した多目的モデル。10位以内にランクインしたモデルの中で唯一、バイクに対応しているのが特徴だ。「楽ラク」「サイクリングロード」「トレーニング」など、8種類の自転車に適したルートを目的や気分に合わせて選択できる。

 また、目的地までの距離、到着予想時刻に加え、消費カロリーといった走行情報を表示する「サイクルコンピューター機能」を搭載。ルートの標高の変化をグラフで表示し、これから通る道が平坦なのか上り下りが激しいのかが一目でわかる。また、「自転車モード」のルート探索では、「サイクリングロードを優先」や「上り勾配がゆるい(きつい)道路を優先」など、自転車対応ならではの8種類のルート検索ができる。防滴性能を備え、ノーマルモードで5時間、画面表示がオンのスタミナモードで9時間駆動する大容量バッテリを搭載するなど、アウトドア用としても心強い一台だ。別売の自転車クレードルで自転車のハンドルバーなどに取り付けることができる。

ソニーの「nav-u NV-U37」

 7位のパナソニック「Gorilla CN-MC01L」は、厚さ18.5mmのスリムなボディに、視認性の高い4.3インチのLEDバックライト液晶を採用した。「自動車モード」「自転車モード」「歩行者モード」を手軽に切り替えて使うことができるので、クルマから降りた後の道案内も安心だ。

 バッテリは、通常モードで最大で連続約4時間使用できる。パナソニックのウェブサイトから好みのアプリケーションをダウンロードする「Gアプリ」に対応しており、ジオタグやゲームなどを楽しむこともできる。

パナソニックの「Gorilla CN-MC01L」

 最近の健康志向や自転車通勤ブームなどを受け、自転車対応PNDのニーズは増えている。前述のように、「NV-U37」や「CN-MC01L」が機種別ランキング10位以内にランクインしているのが、その証拠だ。特に「NV-U37」は自転車対応ならではのルート検索機能が豊富で、スタミナ面でも自転車対応モデルの中でリードしている。バイクにも対応した、注目の機種だ。

各社が独自の強みを打ち出し、勝負を繰り広げる



 メーカーシェアは、パナソニックが43.0%という他を圧倒するシェアを誇る。これは、昨年4月に三洋電機を完全子会社化したことで、三洋の人気ナビ「Gorilla」シリーズのブランドを引き継いだことによる部分が少なくない。結果としてラインアップが一気に充実し、事実上、2社分のシェアを獲得している。


 春休みに入ってから急激にシェアを伸ばし、17.0%で2位につけているのがソニーだ。主力は「nav-u」シリーズで、パナソニックの「Gorilla」シリーズと常にし烈な争いを続けている。ラインアップ数はパナソニックほどではないものの、いずれの新型機種も安定してランキング上位をキープしている。

 最後に、上位2社のゴールデンウィーク向けの注目機種を紹介しよう。

 パナソニックは「Gorilla」ブランドの「CN-SL305L」に注目だ。ワンセグ対応のエントリモデルで、機能やゲームなどのアプリケーションを追加できる「Gアプリ機能」を搭載。「お散歩ナビ地図」「ジオタグ変換」「地下鉄路線図」などを好みに合わせて追加できる。

 また、観光情報雑誌「まっぷるマガジン」に掲載されている「まっぷるコード」に対応し、観光スポットや人気のお店をピンポイントで検索できる。車上ねらい等の盗難多発地点を表示する機能も搭載する。

パナソニックの「Gorilla CN-SL305L」

 ソニーの注目モデルは、「NV-U37」に次いでランキング上位をキープしている「NV-U77V」。車載での使用を中心に考えられた機種で、速度違反を自動的に取り締まるオービス情報や市街地詳細地図を収録する。

 ソニー独自の速度算出技術と高精度な自車位置測位システム「POSITION plus(ポジションプラス) GT」で、長いトンネル内でも正確な自車位置を表示する。別売のVICSビーコンユニット「NVA-VB8」と組み合わせて渋滞情報を受信し、自動で迂回ルートを検索できる。

ソニーの「nav-u NV-U77V」

 パナソニックとソニーのほか、月1回、地図情報を更新するパイオニア「Air Navi」シリーズやベーシックな機能絞り込んだユピテル「YERA」シリーズ、トライウィン「Trywin Smart」シリーズなど、独自の強みで存在感を放つ製品が入り乱れるPND市場。ゴールデンウィークに向けて、楽しい旅行をしっかりアシストしてくれる一台を選ぼう。(ITジャーナリスト・市川昭彦)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。