2012年の注目製品はコレだ<デジタル編2>──日常生活に溶け込むデジタルデバイス
2010年5月、アップル「iPad」の国内発売をきっかけに火がついた日本の電子書籍市場。11年は、ソニーが大幅に機能強化を図った専用端末「Reader」の新製品を発売。また、タブレット端末が続々と登場したことで対応端末が急激に増え、ハード、ソフトともに普及に向けて動き出している。一方、デジタルカメラは、ミラーレス一眼がけん引役となって活況が続きそう。12年春には、富士フイルムが参入する予定だ。また、スマートフォン人気を契機に脚光を浴びたBluetooth対応製品は、スマートフォンのワイヤレスソリューションとして定着した。デジタルデバイスは、生活必需品としての度合いをさらに強めている。
・2012年の注目製品はコレだ<デジタル編1>──ネット接続は多様化の時代へ から読む
2011年は、ソニーがモノクロの電子書籍専用端末「Reader」の新モデルでWi-Fiや3Gに対応。PCを介さずに電子書籍が購入できるようになり、幅広い層の読書家を獲得する起爆剤になりそうだ。さらに、コンテンツの販路を拡大し、自社のオンライン書店「ReaderStore」だけでなく、楽天市場の「Raboo」や紀伊國屋書店の「BookWeb Plus」での展開を始めた。一方、10年12月に専用端末「GALAPAGOS」で参入したシャープは、11年8月にOSをAndroid 2.3に変更。汎用機に姿を変え、コンテンツサービス「GALAPAGOS STORE」もアプリを利用すればAndroid搭載端末で利用できるようになった。ソニーと方向は異なるが、市場拡大に向けてAndroidユーザー獲得に乗り出している。専用端末は、日本では今のところソニーの「Reader」や、KDDIの「biblio Leaf」が中心だが、すでに日本語に対応しているアマゾン「Kindle」の正式投入は時間の問題だ。活性化の起爆剤として期待される。
タブレット端末は、iPadを含めて電子書籍リーダーに特化しているわけではないので、本体の重さや文字の視認性、バッテリのもちなど、快適な読書を楽しむための機器としては課題が残る。しかし12年は、Android OS搭載タブレット端末の普及が期待されている。汎用機が拡大することで、電子書籍に対する人々の関心や認知度を高め、普及への布石になるだろう。
パナソニック、オリンパス、ソニーに続き、ペンタックス(ペンタックスリコーイメージング)とニコンの参入で活気づいた2011年のミラーレス一眼カメラ。BCNランキングでは、おおむね2ケタ成長を維持し、デジタルカメラのけん引役になっている。春に参入を予定する富士フイルムを加えると、12年は6社から新製品が登場することになる。キヤノンやカシオ計算機は、現段階では参入の意向を示していないが、12年は製品数の拡大でさらに活気づくことは間違いない。
ミラーレス一眼カメラは、一眼レフカメラよりも小型・軽量で、こだわりのある写真が撮影ができることから、一眼レフユーザーのサブカメラとして、また、コンパクトでは物足りなくなった一般ユーザーのステップアップ機として人気が高い。各社は、女性を意識したカラーバリエーションを投入するなど、女性や初心者層など、新たなユーザー層の獲得を狙った商品展開に積極的だ。
一方、課題は初心者への交換レンズの訴求。初心者層は、交換レンズの敷居の高さから、本体とパッケージ化されたレンズキットを選ぶ傾向にあるが、撮影ニーズに合わせてレンズ選びが楽しめるようにすれば、さらに満足度が高まる。マニア以外にもわかりやすいレンズスペックの訴求で、さらに需要が喚起されるだろう。
スマートフォンの普及が追い風となって、2011年はBluetooth対応のスピーカーやキーボード、ハンズフリー通話ができるヘッドセット、ステレオヘッドホン・イヤホンが伸びた。ケースやカバー、液晶保護フィルム、バッテリなどが並ぶスマートフォンアクセサリ売り場には、Bluetooth対応製品が登場し、人気が高まっている。12年は、11年に続いてエレコムやバッファローコクヨサプライ、ロジクールなどの周辺機器メーカーや、ヘッドセット、ヘッドホン・イヤホンメーカーがラインアップ拡充に力を入れる。
また、ソニーは、11年秋以降に発売した「ウォークマン」全機種でBluetoothを搭載し、ワイヤレス音楽再生に対応した。「Sシリーズ」にはBluetoothイヤホンが付属するモデルをラインアップし、音楽をワイヤレスで聴く利便性の訴求に力を入れている。
12年は、スマートフォンと周辺機器、スマートフォンとテレビやレコーダーなど、各機器が「ワイヤレスでつながる」ことが一つのキーワード。製品の大小にかかわらず、配線から解放されることはユーザーにとっては大きなメリットだ。スマートフォン・タブレットで、音楽やワンセグなどのテレビ音声を聞く人が増えているなか、有線が主流のヘッドホン・イヤホンのワイヤレスニーズが高まっていくだろう。 (BCN・田沢理恵)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年1月9日付 vol.1414より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
・2012年の注目製品はコレだ<デジタル編1>──ネット接続は多様化の時代へ から読む
<電子書籍>「Reader」は読書家に訴求 タブレット端末の拡大は試金石
2011年は、ソニーがモノクロの電子書籍専用端末「Reader」の新モデルでWi-Fiや3Gに対応。PCを介さずに電子書籍が購入できるようになり、幅広い層の読書家を獲得する起爆剤になりそうだ。さらに、コンテンツの販路を拡大し、自社のオンライン書店「ReaderStore」だけでなく、楽天市場の「Raboo」や紀伊國屋書店の「BookWeb Plus」での展開を始めた。一方、10年12月に専用端末「GALAPAGOS」で参入したシャープは、11年8月にOSをAndroid 2.3に変更。汎用機に姿を変え、コンテンツサービス「GALAPAGOS STORE」もアプリを利用すればAndroid搭載端末で利用できるようになった。ソニーと方向は異なるが、市場拡大に向けてAndroidユーザー獲得に乗り出している。専用端末は、日本では今のところソニーの「Reader」や、KDDIの「biblio Leaf」が中心だが、すでに日本語に対応しているアマゾン「Kindle」の正式投入は時間の問題だ。活性化の起爆剤として期待される。
ソニーの電子書籍端末「Reader」
タブレット端末は、iPadを含めて電子書籍リーダーに特化しているわけではないので、本体の重さや文字の視認性、バッテリのもちなど、快適な読書を楽しむための機器としては課題が残る。しかし12年は、Android OS搭載タブレット端末の普及が期待されている。汎用機が拡大することで、電子書籍に対する人々の関心や認知度を高め、普及への布石になるだろう。
<ミラーレス一眼カメラ>大手6社の投入で活況 課題は交換レンズの価値訴求
パナソニック、オリンパス、ソニーに続き、ペンタックス(ペンタックスリコーイメージング)とニコンの参入で活気づいた2011年のミラーレス一眼カメラ。BCNランキングでは、おおむね2ケタ成長を維持し、デジタルカメラのけん引役になっている。春に参入を予定する富士フイルムを加えると、12年は6社から新製品が登場することになる。キヤノンやカシオ計算機は、現段階では参入の意向を示していないが、12年は製品数の拡大でさらに活気づくことは間違いない。
一眼レフの雄、ニコンがミラーレスに新たに参入
ミラーレス一眼カメラは、一眼レフカメラよりも小型・軽量で、こだわりのある写真が撮影ができることから、一眼レフユーザーのサブカメラとして、また、コンパクトでは物足りなくなった一般ユーザーのステップアップ機として人気が高い。各社は、女性を意識したカラーバリエーションを投入するなど、女性や初心者層など、新たなユーザー層の獲得を狙った商品展開に積極的だ。
一方、課題は初心者への交換レンズの訴求。初心者層は、交換レンズの敷居の高さから、本体とパッケージ化されたレンズキットを選ぶ傾向にあるが、撮影ニーズに合わせてレンズ選びが楽しめるようにすれば、さらに満足度が高まる。マニア以外にもわかりやすいレンズスペックの訴求で、さらに需要が喚起されるだろう。
<Bluetooth対応製品>Bluetoothに追い風 配線からの解放に脚光
スマートフォンの普及が追い風となって、2011年はBluetooth対応のスピーカーやキーボード、ハンズフリー通話ができるヘッドセット、ステレオヘッドホン・イヤホンが伸びた。ケースやカバー、液晶保護フィルム、バッテリなどが並ぶスマートフォンアクセサリ売り場には、Bluetooth対応製品が登場し、人気が高まっている。12年は、11年に続いてエレコムやバッファローコクヨサプライ、ロジクールなどの周辺機器メーカーや、ヘッドセット、ヘッドホン・イヤホンメーカーがラインアップ拡充に力を入れる。
付属のイヤホンを接続するとステレオイヤホンに早変わりするバッファローコクヨサプライ「BSHSBE 14シリーズ」と、ロジテックのネックバンド型ヘッドホン「LBT-AVNB02AWP」シリーズ(右)
また、ソニーは、11年秋以降に発売した「ウォークマン」全機種でBluetoothを搭載し、ワイヤレス音楽再生に対応した。「Sシリーズ」にはBluetoothイヤホンが付属するモデルをラインアップし、音楽をワイヤレスで聴く利便性の訴求に力を入れている。
Bluetoothイヤホン付属モデルもラインアップする、ウォークマン Sシリーズ
12年は、スマートフォンと周辺機器、スマートフォンとテレビやレコーダーなど、各機器が「ワイヤレスでつながる」ことが一つのキーワード。製品の大小にかかわらず、配線から解放されることはユーザーにとっては大きなメリットだ。スマートフォン・タブレットで、音楽やワンセグなどのテレビ音声を聞く人が増えているなか、有線が主流のヘッドホン・イヤホンのワイヤレスニーズが高まっていくだろう。 (BCN・田沢理恵)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年1月9日付 vol.1414より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは