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2012年の注目製品はコレだ<デジタル編1>──ネット接続は多様化の時代へ

オピニオン

2012/01/05 12:27

 Android OS搭載モデルが続々と登場し、「iPhone 4S」がソフトバンクモバイルとKDDI(au)から発売されるなど、スマートフォンが本格的な普及期に入った2011年。2012年も勢いが続くことは間違いない。一方、本格普及に向けて動き出したAndroid OS搭載タブレット端末や、「ウルトラブック」と呼ばれる超薄型・軽量ノートPCは、2012年をけん引するデジタル製品として期待される。さらに、地上デジタル放送への移行で買い替え需要が一巡したテレビだが、2012年はインターネット対応モデルなど新たな提案による買い替え促進にも期待がかかる。

・<2011年のPC・デジタル家電市場を振り返る>逆風から生まれる次の商材 から読む

<スマートフォン>テザリング対応や高速モデルが拡大 買い替えにも期待



 携帯電話からスマートフォンへのシフトが急速に進んでいる。2011年11月のBCNランキングでは、携帯電話の販売台数に占めるスマートフォン比率は67.6%。Android搭載モデルに限っていえば、本体を無線LANルータとして利用できるテザリング機能を備えたモデルが多く、電話やメール、インターネットの閲覧などだけでなく、ノートPCやタブレット端末、ゲーム機のネット通信ができるモバイルデータ端末としても役立つという点もセールスポイントの一つ。また、KDDIがWiMAX、NTTドコモがLTE「Xi(クロッシィ)」といったように、高速モバイル通信対応モデルが拡大して、動画やインターネット閲覧の利便性が飛躍的に増していることも、普及を後押しする。12年は、携帯電話からスマートフォンへの買い替えに加えて、スマートフォンからスマートフォンへの買い替えも増えていくだろう。 

「Xi」対応スマートフォンで攻勢をかけるNTTドコモ。左から「ARROWS X LTE F-05D」「Optimus LTE L-01D」「GALAXY S II LTE SC-03D」

 iPhoneは、11年10月の「iPhone 4S」発売で、ソフトバンクモバイルの独占販売から、KDDI(au)との2キャリアでの販売になった。BCNランキングで10~11月の「iPhone 4S」のキャリア別販売台数シェアをみると、ソフトバンクが過半数を超えているものの、auも4割を確保。人気は二分するかたちだ。12年の発売が噂される次期モデルは、キャリアの選択肢が増えたことから、さらに爆発的なヒットを記録する可能性がある。 

ソフトバンクモバイルとKDDIの2社が販売する「iPhone 4S」

<PC>ウルトラブックが市場を底上げ 真価が試されるタブレット端末



 PCは、タブレット端末や、インテルが提唱する超薄型・軽量ノートPC規格「ウルトラブック」といった新カテゴリがけん引役として期待される。アップルのiPadに対抗するAndroid OS搭載のタブレット端末は、11年から投入が始まり、12年はいよいよその真価が試される時期になる。

 タブレット端末の普及には、スマートフォンやノートPCとの機能の重複が懸念される。訴求には、例えば東芝「レグザ タブレット」のように、同社のレコーダーと連携することで、テレビのない部屋でタブレットがテレビ代わりになったり、外出先では録画番組を見たりなど、家の中と外の利用シーンを打ち出す必要があるだろう。 

非常に軽く、片手で簡単に持てる「REGZA Tablet AT700」

 一方、「ウルトラブック」は、11年年末商戦で一部のPCメーカーから投入が始まった新カテゴリ。スペックに明確な定義はないが、すでに発売されているASUSや日本エイサー、レノボ・ジャパン、東芝の製品は、概ね5~10時間前後の長時間バッテリと高速起動などの機能を備えたうえで、価格は10万円前後から15万円程度に抑えている。高性能モデルが比較的低価格で手に入ることから、PC市場を底上げする人気製品となることが期待される。 

薄型・軽量のノートPC「ウルトラブック」。左から、ASUS「ASUS ZENBOOK UX31E」、東芝「dynabook R631」

 Windows 7以降、旧OSからの買い替えによってPC市場は堅調に推移してきたが、12年は、タブレット、ウルトラブック、さらには登場が見込まれるWindowsの次期OSが後押しして、活気づきそうだ。

<TV with Internet Access>放送だけじゃないテレビの魅力 インターネット対応テレビが目玉か



 11年7月の地上デジタル放送への移行後、薄型テレビの販売が失速。買い替えは一巡したが、それでも外付けチューナーで対応している家庭や、ケーブルテレビ局経由でテレビを視聴するデジアナ変換利用世帯、早くから地デジ対応テレビを導入していた家庭など、一定の買い替え需要は12年も見込めるだろう。

 今、メーカー各社が力を入れているのは、テレビ放送とインターネットコンテンツが楽しめる「インターネット対応テレビ」だ。すでに07年頃から登場しているが、11年に入ってから対応コンテンツの強化や訴求に力を入れる動きが加速している。

メーカー各社は、ネット対応テレビのコンテンツを強化している


 これまでは、「テレビは放送を見る機器で、ネットはPCで」という考え方が根強くあった。しかし、高速インターネット回線や大画面テレビの普及によって、映像配信サービスを利用して好きな時間に映画を見るなど、放送以外の映像を楽しむ環境が整ってきた。無料でテレビ電話ができる「Skype」対応モデルなら、家族で遠くに住む親戚とテレビを通じて会話を楽しむといった新しい使い方もある。テレビは、放送を見るだけではなく、多彩なコンテンツを楽しむという魅力をもつ製品に変わった。市場の新たな起爆剤になるはずだ。

 「ネットにつながるのはPC」の時代は終わった。12年は、新たな選択肢──スマートフォン、タブレット端末、テレビなどのコンテンツが一層充実するだろう。(BCN・田沢理恵)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

→<デジタル編2>日常生活に溶け込むデジタルデバイス に続く


※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年1月2日付 vol.1413より転載したものです。
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