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安さと高品質の秘密は自社開発、メモリカードの台湾キングマックス、劉福洲CEOが語る世界戦略

インタビュー

2011/11/30 18:17

 台湾のキングマックスは、日本のメモリカード市場で常に上位のシェアを確保している。売れている要因は、価格が安く、品質を追求していること。グローバルでビジネスを手がける同社は、どのような拡大路線を敷こうとしているのか。劉福洲CEOに聞いた。

劉福洲CEO

 キングマックスは、台湾を本拠地に、フラッシュメモリやDRAMなどの半導体メモリを開発している。アジアや欧米の主要国でビジネスを手がけ、日本では磁気研究所が販売代理店になっている。BCNランキングの2011年10月のメーカー別販売数シェアで、26%を獲得。国内メモリカード市場でトップに立っている。

 この人気の理由を、劉CEOは、「他社に比べて価格が安く、手軽に購入できるから」と分析する。実際、店頭では、他社の2分の1から3分の1程度の価格で売られているのが現状だ。

キングマックスが日本で販売しているメモリカード

 低価格を実現しているのは、「グループ会社で一貫して企画・開発・生産までを手がけているから」という。多くの企業がEMS(電子機器受託生産)を進めているなか、キングマックスはあくまでも自社生産にこだわる。劉CEOは、「内製化すればコストを抑えられ、小回りが利くのでユーザーニーズに迅速に対応することができる」とメリットを語る。

 世界でのビジネス拡大に向け、劉CEOは、「各地域に適した製品を投入していく」との方針を掲げる。具体的には、中国やロシアなどIT新興国では、「とにかく安い製品が売れる。『Class 2』など読み書き速度が遅く、しかも4GBなど容量が小さい製品を大量に販売していく」という。

 一方、欧米などのIT先進国では、「新興国と比べれば数は出ないが、読み書き速度にすぐれた『Class 10』で大容量の製品をしっかりと売っていく」としている。なかでも、日本では、「速さを求めるユーザーが多いので、『Class 10』の2~3倍に値する新製品を近く市場投入する」ことを明らかにした。

 また、磁気研究所と共同で、セキュリティが強固なUSBメモリの販売も検討しているという。具体的にどのような製品になるかは今後詰めるが、USBメモリの空き容量を仮想的にゼロにする技術で、ウイルスが入り込まないようにするという。磁気研究所の斉藤邦之社長は、「ウイルスはインターネット経由だけでなく、外部から感染するケースもある。むしろ、そのほうが危険性が高い。このような状況を打破していきたい」との考えを示している。

がっちりと握手するキングマックスの劉CEO(左)と磁気研究所の斉藤社長

 劉CEOは、「日本は、品質や機能に対するユーザーの要求レベルが高い。日本で通用する製品は世界でも通用する」と認識している。今後、日本では、磁気研究所とパートナーシップを深めることで、新しいコンセプトの製品を次々と発売する予定だ。(BCN・佐相彰彦)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。