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電子書籍、これからどうなる?(3) 店頭ではコンテンツで訴求

特集

2011/03/23 11:51

 2010年12月、シャープやソニーから電子書籍向けの端末が登場して、約3か月。キャリア各社も専用端末を発売するなど、端末の製品数は増えてきた。また、コンテンツ提供サービスは、専用端末/スレート/スマートフォン向けで、それぞれ広がりをみせている。今回は、大手家電量販店の売り場から、電子書籍の現状を探った。

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 東京・豊島区のビックカメラ池袋本店パソコン館。ここでは、電子書籍向けの端末を、1階の携帯電話・モバイル端末のフロアで揃えている。とくに広い面積をもつのが、シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS」とソニーの電子書籍専用端末「Reader」だ。一方、スレートは、iPadをほかの製品とわけて展示しているほか、スペースの関係上、オンキヨーやクリエイティブメディアなど、一部メーカーの機種のみ展開している。

ビックカメラ池袋本店パソコン館の電子書籍向け端末売り場

 携帯電話・ネットブック担当の田屋剛主任は、「端末が対応しているコンテンツ提供サービスの内容と、スキャナで紙を取り込んでデジタル化し、それを端末で閲覧する『自炊』という二つの楽しみ方を紹介して、最適な端末をユーザーに訴求している」という。

 コンテンツサービスと自炊、それぞれ利用しているユーザーはおよそ7対3という。「『自炊』は取り込んだデータをPDFにするので、端末の画面によっては見にくいことがある。また、シートフィード型スキャナや裁断機など、端末のほかに別の機器が必要で、作業の敷居が高い」として、現在、自炊用途の購入はそれほど多くないと捉えている。

スキャナや端末が並ぶ「自炊」コーナー

 ビックカメラ池袋本店パソコン館では、2階のPC周辺機器のフロアに、10年11月に自炊コーナーを設置し、需要の高まりから、11年1月に売り場面積を拡大した。売り場には、電子書籍向け端末と多彩なシートフィード型スキャナがずらりと並ぶ。また、「自炊」の手順を3ステップでわかりやすく紹介している。具体的な使い方として、大学の授業のプリントを取り込むなど、学生に人気があるそうだ。

 電子書籍向け端末は、iPadを除くと、ソニーの「Reader」が人気を集めている。「購入しやすい手頃な価格と、電子書籍に特化している専門性がうけている」(田屋主任)という。また、「現在、スレートは価格が高いので、伸び悩んでいる。もっと価格が下がれば、購入するユーザーが増えてくる」と田屋主任はみる。購入するユーザーは40-50代男性が中心で、平均年齢は比較的高い。

ソニー「Reader」

 しかし、当然のことながら、ユーザーは書籍や雑誌、新聞など、読むことができるコンテンツによって、購入する端末を決めている。「コンテンツの数が増えれば、ユーザーも増える。例えば、コミックが増えれば若年層が期待できる」と田屋主任は語る。そのほか、「ビジネスパーソン向けに実用書を充実させるという方法もある」という。

 電子書籍のユーザーの認知が高まってきているおり、田屋主任は、今後は一つの市場として定着するとみている。しかし、業界全体として、購入したコンテンツを複数の端末で共有できるようになる「ファイル形式の共通化」という課題は残る。さらに、例えば、学生や技術者など特定のユーザーに特化した専門性の高いコンテンツを揃えるなど、ユーザーが読みたいと思うコンテンツをどれだけ豊富に揃えることができるかが、これからの市場の成長を左右するだろう。(BCN・井上真希子)

携帯電話・ネットブック担当の田屋剛主任