充電池「eneloop」のブランド力を強化、業務用途など市場規模の拡大を図る
繰り返し使うことができる三洋電機の充電池「eneloop(エネループ)」。三洋電機のグループビジョン“Think GAIA”に基づいて、環境に配慮した製品戦略の一環として2005年に誕生。今年で6年目を迎える。乾電池形状の充電池として画期的な性能を備え、発売と同時に市場を引っ張る存在となった。現在は、乾電池タイプ以外の製品にも充電池の技術を応用し、ラインアップの拡充に力を入れている。今後の展開について、「eneloop」を担当するモバイルエナジーカンパニーグローバルCRM事業部市販事業統括部の白井浩明統括部長に話を聞いた。
「eneloop」は、単3/4形電池なら、約1500回充電して繰り返し使うことができる長寿命を誇る。しかし、白井統括部長はeneloopの強みを、「自然放電を抑える技術」だという。それまでの充電池の品質競争は、電気の容量や繰り返し使える回数などの性能に終始していた。白井統括部長は「本当に追求する必要があるのは容量や利用回数なのか」と自問自答し、他社よりも早い段階から自然放電に着目し、開発を続けてきた。自然放電の抑制技術には自負があるのだ。この結果、「eneloop」はフル充電の状態で、3年後でも約75%の電気を維持する。
最近の取り組みで目を引くのは、発売5周年にあたる昨年11月14日、ラメで輝く8色のカラーバリエーションをラベルに揃えた「eneloop tones glitter」を20万パック限定(単3/4形電池合計)で発売したこと。それ以前にも、まるでクレヨンのような8色のカラーをもつ「eneloop tones」を09年12月に発売している。
こうした色付きラベルモデルは、見た目が鮮やかでおしゃれなのはもちろん、「色がついていると、電池を使用するデジタル製品によって使い分けることができて便利。また、充電し終わった電池かどうか、見分けがつきやすい」(白井統括部長)と、使いやすさにも配慮している。乾電池タイプは、昨年は世界市場累計で1億5000万本を出荷。今年は2億本達成を目指す。
白井統括部長は、「eneloopの主力製品はあくまでも乾電池タイプ」としながらも、現在はそれに加え、充電池を活用したさまざまな製品を展開している。例えば、外出先でスマートフォンや携帯電話などモバイル機器を充電できる「eneloop booster series」。また、太陽光パネルをもつ「eneloop solar series」は、自宅での利用を想定している。このほか、カイロ、あんか、ネックウォーマー、ひざかけなど、冬に活躍する「eneloop warmer series」がある。
今後の製品戦略について、白井統括部長は、「充電池の基本性能は追求していく」として、これから成長が見込まれるスマートフォンで使うことができる「eneloop booster series」に力を入れると語った。さらに、冬に使用する「eneloop warmer series」を充実させ、ブランドの認知を広げていく。「この5年間のプロモーションを通して、eneloopブランドは確実に認知されてきた」と白井統括部長は手応えを感じている。
最後に、現在の課題は何か聞いた。乾電池タイプの充電池の国内シェアはeneloopで約7割を確保しており、飽和状態にある。しかし白井統括部長は、「市場のシェアにとらわれることなく、充電池の市場規模を広げていくにはどうすればよいかを常に考えている」という。その施策の一つとして期待しているのが、業務用途だ。例えば、病院では血圧計や懐中電灯、放送局ではワイヤレスマイクやワイヤレスインターカム、警備会社の懐中電灯など、すでにいくつかの企業では利用されているが、さらに顧客を広げていく。(BCN・井上真希子)
白井浩明モバイルエナジーカンパニーグローバルCRM事業部市販事業統括部統括部長
「eneloop」は、単3/4形電池なら、約1500回充電して繰り返し使うことができる長寿命を誇る。しかし、白井統括部長はeneloopの強みを、「自然放電を抑える技術」だという。それまでの充電池の品質競争は、電気の容量や繰り返し使える回数などの性能に終始していた。白井統括部長は「本当に追求する必要があるのは容量や利用回数なのか」と自問自答し、他社よりも早い段階から自然放電に着目し、開発を続けてきた。自然放電の抑制技術には自負があるのだ。この結果、「eneloop」はフル充電の状態で、3年後でも約75%の電気を維持する。
最近の取り組みで目を引くのは、発売5周年にあたる昨年11月14日、ラメで輝く8色のカラーバリエーションをラベルに揃えた「eneloop tones glitter」を20万パック限定(単3/4形電池合計)で発売したこと。それ以前にも、まるでクレヨンのような8色のカラーをもつ「eneloop tones」を09年12月に発売している。
こうした色付きラベルモデルは、見た目が鮮やかでおしゃれなのはもちろん、「色がついていると、電池を使用するデジタル製品によって使い分けることができて便利。また、充電し終わった電池かどうか、見分けがつきやすい」(白井統括部長)と、使いやすさにも配慮している。乾電池タイプは、昨年は世界市場累計で1億5000万本を出荷。今年は2億本達成を目指す。
eneloopの豊富なラインアップ
白井統括部長は、「eneloopの主力製品はあくまでも乾電池タイプ」としながらも、現在はそれに加え、充電池を活用したさまざまな製品を展開している。例えば、外出先でスマートフォンや携帯電話などモバイル機器を充電できる「eneloop booster series」。また、太陽光パネルをもつ「eneloop solar series」は、自宅での利用を想定している。このほか、カイロ、あんか、ネックウォーマー、ひざかけなど、冬に活躍する「eneloop warmer series」がある。
今後の製品戦略について、白井統括部長は、「充電池の基本性能は追求していく」として、これから成長が見込まれるスマートフォンで使うことができる「eneloop booster series」に力を入れると語った。さらに、冬に使用する「eneloop warmer series」を充実させ、ブランドの認知を広げていく。「この5年間のプロモーションを通して、eneloopブランドは確実に認知されてきた」と白井統括部長は手応えを感じている。
最後に、現在の課題は何か聞いた。乾電池タイプの充電池の国内シェアはeneloopで約7割を確保しており、飽和状態にある。しかし白井統括部長は、「市場のシェアにとらわれることなく、充電池の市場規模を広げていくにはどうすればよいかを常に考えている」という。その施策の一つとして期待しているのが、業務用途だ。例えば、病院では血圧計や懐中電灯、放送局ではワイヤレスマイクやワイヤレスインターカム、警備会社の懐中電灯など、すでにいくつかの企業では利用されているが、さらに顧客を広げていく。(BCN・井上真希子)