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3Dヘッドマウントディスプレイを本格展開、独カールツァイス担当者に聞く日本市場への期待

インタビュー

2010/08/04 18:55

 テレビやPC、ブルーレイディスクレコーダー、液晶ディスプレイなど、さまざまな3D対応機器が登場し、家庭で立体映像が楽しめるようになった。そんななか登場したのが、ドイツの光学機器メーカー、カールツァイス製のヘッドマウントディスプレイ「cinemizer plus(シネマイザー プラス)」だ。手持ちのiPhoneやiPodなどに接続すれば、外出先で3D映像を楽しめる。日本での本格展開に向けて来日したカールツァイスのセールス&マーケティング部門のアンドレアス・クラビーンディレクターと、フランツ・トロッペンハーゲンプロダクトマネージャーに、「cinemizer plus」の強み、日本市場にかける思いを聞いた。

cinemizer plus

 カールツァイスは、現在の写真用レンズを開発・確立したドイツの老舗光学機器メーカー。プラナー、テッサー、ゾナー、ビオゴンなどは、今もカメラファンの心を捉え続け、ソニーをはじめとするメーカーが採用している。そんなカールツァイスが、日本での代理店であるシネックスを通して3月に発売したのが、ヘッドマウントディスプレイ「cinemizer plus」だ。

 付属のクレードルでiPhoneやiPodを接続すれば、YouTubeなどの3D映像を視聴できる。別売のAVケーブルを使えば、BD/DVDプレーヤー、PS3やPSPなどのゲーム機にも対応。左右のレンズそれぞれに解像度640×480ピクセルの映像を映し出し、約2m離れた45インチディスプレイを視聴するのと同じ感覚で楽しめる。

 カールツァイスが開発の段階で一番こだわったのは、「ユーザーが快適に長時間ビデオを観賞できる人間工学上最適なデザイン」(トロッペンハーゲンプロダクトマネージャー)。目の感覚が59-69mmの人まで対応する大きなアイボックスを採用したほか、柔らかな素材を使用したイヤースライダーとノーズパッドを調整することで、一人ひとりの顔にフィットする。装着したときに鼻にかかる重量は75g未満と軽く、長時間装着しても疲れにくい。

フランツ・トロッペンハーゲンプロダクトマネージャー

 ピント調節機能を備え、-3.5Dから+3.5Dまで対応するので、メガネをかけている人でも裸眼で使用できる。

 3D映像の再生は、左目用と右目用の映像を水平方向に2分の1に圧縮してそれぞれの画面に表示し、メガネを通して一つの立体映像に合成するサイド・バイ・サイド方式。「左右用の画を交互に表示するアクティブシャッター方式よりも自然な3D映像を楽しめること、目にかかる負担が少ないことなどがメリット」(トロッペンハーゲンプロダクトマネージャー)だという。

サイド・バイ・サイド方式の仕組み

 販売代理店のシネックスは、「cinemizer plus」を3月に120台輸入し、オンラインを中心に販売。日本市場にどれぼど受け入れられるのか、テストマーケティングを行った。そして、いくつかの大手家電量販から取り扱いの要望があるなど、大きな反響があったことから、「輸入を開始して、リアル店舗での販売をスタートする」(シネックスの中村明・取締役EC事業部長)ことになった。

中村明・取締役EC事業部長

 「cinemizer plus」は、「実際に使ってもらわないとそのよさが伝わらない」(中村取締役)と、販売店にデモ機を用意。「ユーザーが手に取って3D映像を体感できる場を作る」という。クリスマス商戦の需要に期待し、「年内に1000台を超える販売を達成したい」(中村取締役)と意気込む。

 現在、日本市場で最もポピュラーな3D対応機器であるテレビは、40-46V型で20万円台後半と高価。クラビーンディレクターは「『cinemizer plus』の実勢価格は5万4800円前後と、比較的安価に3Dコンテンツを楽しめる」と、価格面でのメリットもアピールする。

アンドレアス・クラビーンディレクター

 同社は、「日本市場は最新の製品が好きで、iPhoneやiPodを持ち歩き、音楽・映像を日常的に楽しんでいる人がドイツに比べると多い。まさに『cinemizer plus』がターゲットにしている層だ」(クラビーンディレクター)と、日本市場に大きな期待を寄せている。(BCN・武井美野里)