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ニコン、デジ一眼で上半期No.1を獲得、西岡社長「地道な取り組みが結果を生む」

インタビュー

2010/07/20 14:13

 ニコンは「BCNランキング」のレンズ交換型デジタルカメラ(デジタル一眼カメラ)部門で、2010年上半期(1-6月)、メーカー別販売台数シェア34%でNo.1を獲得した。一方、09年の年間1位だったキヤノンは2位に後退し、31.4%だった。ニコンがシェアを拡大した理由は何だったのか。ニコンイメージングジャパンの西岡隆男取締役社長兼社長執行役員兼ニッコールクラブ会長に話を聞いた。

西岡隆男取締役社長

 西岡社長は、2010年上半期、デジタル一眼カメラの「BCNランキング」メーカー別販売台数シェアでNo.1を獲得した理由について「社内のそれぞれの部署で、社員が必要な役割を遂行した結果だと思っている。首位を取ることが目的ではなかった」と話す。具体的には、販売店へのアプローチ、そして製品購入後のサポートの充実がユーザーの心を捉えていると考えている。

 販売店への施策として力を入れているのが、「ニコン出前ゼミ」という店員向けの講習会だ。製品のポジショニングや各機能の使い方、現場ですぐに使えるセールストークなどをわかりやすく販売員に伝えるのが狙い。例えば、中級機「D90」は、画質や液晶モニタ、撮影性能などについて、前モデル「D80」や上位機「D300」と違いを比較したり、作例を紹介したりして丁寧に説明する。「こうした取り組みを積み重ねることが大切だ」と西岡社長。

2010年上期に一番売れたデジタル一眼カメラ「D90」

 ユーザーがカメラを購入した後、その活用をサポートするサービスとして、初心者向けから上級者向けまで幅広い講座を揃える「ニコンカレッジ」がある。東京の田町や新宿のほか、横浜、大阪の梅田に常設校をもっている。このほか、ニコンプラザやサービスセンターで無料の使い方講習会も開いている。

 最近のデジタル一眼カメラユーザーは、年齢層が幅広くなってきている。例えば、初めてデジタル一眼カメラに触れる年配の方は、操作ボタンやメニュー項目がたくさんあるので、使いこなすのがなかなか難しいという。そうした人が、講習会に参加して講師から直接使い方を教わると、付属の説明書を読まなくても、カメラの操作を身につけることができる。「製品を買った後、サポートの重要性がわかっていただけるはず」と西岡社長は語る。こうした販売店、ユーザーに対する取り組みが、上半期のシェアNo.1に結びついた。


 ニコン製品のこれまでの売れ行きをみると、08年9月のリーマン・ショックによる世界的な景気低迷に影響を受けて、08年下半期は一時的な伸び悩みをみせたものの、「その後、半期ベースでみると、売上高は3期連続で右肩上がりを続けている」。西岡社長は「今年は09年にも増して期待できる年になりそうだ」と売上増への自信をみせた。

 今後の展開として、西岡社長は「デジタルカメラ市場の変化に対して、いかに柔軟に対応するかが問われてくる。例えば、市況を見定めて既存製品の需要を予測することや、新製品の投入でラインアップを拡充すること、社内の組織体制を見直すことも重要だ」と語る。「BCNランキング」の年間販売台数シェアNo.1、「BCN AWARD 2011」については、「今まで地道にやってきたことを継続していけば、結果が出ると思っている」と静かに力を込めた。(BCN・井上真希子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。