感動のサイズをそのままに、HD動画とRAW画像がSDカードの大容量化を牽引
メモリカードのトップメーカーであるサンディスクは、最大容量を2TBまで拡大したSDカードの次世代規格「SDXC」で、64GBの「サンディスク ウルトラ SDXC カード」を発売した。同社マーケティング部の大木和彦ディレクターは、「64GBを今すぐ必要とする人は少ないが、ハイビジョン(HD)ムービーやRAW画像など、高精細な映像・画像を求めていけば、64GBのSDXCカードが必要になる日もそう遠くはない」と語る。大木ディレクターに、今、大容量のメモリカードを強く推す理由とSDXCカードの広がりを聞いた。
――なぜ今、大容量メモリカードが必要なのですか。
「16GBや32GBなど、2ケタGBのメモリカードでないと、ハードの機能を十分に生かせない状況になりつつあるからです。例えば、コンパクトデジタルカメラで当たり前にHDムービーが撮れますし、デジタル一眼も動画撮影機能を備えています。HDムービーを1分間撮影しただけで、データ量は100MBを超えてしまう。静止画だけなら1ケタGBのメモリカードで十分だと思っていても、動画を撮ればあっという間に使い切ってしまいます」
――デジタルカメラの動画撮影機能が、メモリカードの大容量化を後押ししているのですね。
「はい。さらに今年は、これまでSDカードに完全対応していなかったソニーとオリンパスのコンパクトデジタルカメラが、新製品すべてで対応しました。デジタルカメラのSDカード対応は、どんどん進んでいます。また、SDカードスロットを備えたHDテレビが登場し、テレビの大画面で手軽に写真や動画を楽しむスタイルが広がっていることも、大きく影響しています。現在、SDカードスロットを備えているテレビは、パナソニックと三菱電機の製品ですが、SDカードがメモリカードのデファクトスタンダードになった今、近いうちにすべてのテレビがSDカードスロットをもつようになるでしょう」
――テレビで動画や写真を楽しむ時代になると、なぜ大容量のメモリカードが必要になるのですか。
大画面に写真や動画を映せば、カメラの性能やデータの記録形式による画質の差は一目瞭然ですから、ユーザーは、より高精細な画像を求めるようになるはずです。ひょっとしたら、もう一生ないかもしれないシャッターチャンス。記録していないデータは復元できません。せっかくの感動の瞬間を、サイズを縮小することなく、動画ならHDで、静止画ならRAW画像で記録しておくことを強くおすすめします。そして、高精細な画像を大画面テレビで存分に楽しんでほしい。そのためには、2ケタGBのメモリカードが必要になってくるのです」
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SDカード技術の標準化と普及促進活動を行うSDアソシエーション(SDA)が、2009年1月に策定した次世代SDカード規格が「SDXC」だ。SDHCの4GB以上、最大32GBまでという容量制限に対し、SDXCは32GB超から2TBまでの可能性を示している。サンディスクは、パナソニックや東芝とともに、SDA設立メンバーの一員。SDカードだけでなく、microSDカード、メモリースティック、コンパクトフラッシュなど、主要メモリカードすべてに規格の開発段階から携わり、常に先陣を切って製品化してきた。SDXCカードも、他社に先駆けて投入している。
――SDXCの普及にとって大きな影響のあるデジタルカメラですが、いつ頃までに対応するでしょうか。
「世界でデジタルカメラを販売するメーカーにとって、同じく世界でメモリカードを展開している当社が、SDXCカードを発売した意味は大きいはずです。現在、デジタルカメラでSDXCカードに対応しているのは、キヤノンやパナソニックの新製品の一部ですが、年末までには、ほとんどのデジタルカメラの新製品が対応するでしょう」
――その後、SDXCカードが本格的に普及するのはいつ頃だとみていますか。
「当社のSDXCカードの発売時の実勢価格は5万円前後。コンパクトデジタルカメラならハードよりも高価です。本格的に普及するのは、各社から対応カメラが出揃い、カードの価格が下がってからでしょうね」
SDXCカードは、SDXC規格に対応する機器でしか使用できない。ハードが普及するまでは購入に注意が必要だ。しかし、大木ディレクターの話を聞いていると、日常的に写真や動画を撮影する生活をしていれば、32GB以上の大容量カードが必要になる日は、想像するほど遠くはないと感じる。いますぐ32GBとはいかなくても、一生に一度しかない瞬間をキレイな画像・映像で残すなら、2ケタGBのメモリカードはもっておきたい。(BCN・武井美野里)
マーケティング部の大木和彦ディレクター
大画面テレビで写真と動画を楽しむスタイルが広がる
――なぜ今、大容量メモリカードが必要なのですか。
「16GBや32GBなど、2ケタGBのメモリカードでないと、ハードの機能を十分に生かせない状況になりつつあるからです。例えば、コンパクトデジタルカメラで当たり前にHDムービーが撮れますし、デジタル一眼も動画撮影機能を備えています。HDムービーを1分間撮影しただけで、データ量は100MBを超えてしまう。静止画だけなら1ケタGBのメモリカードで十分だと思っていても、動画を撮ればあっという間に使い切ってしまいます」
キヤノンのデジタル一眼「EOS Kiss X4」は、1920×1080画素のフルHD動画を撮影できる
――デジタルカメラの動画撮影機能が、メモリカードの大容量化を後押ししているのですね。
「はい。さらに今年は、これまでSDカードに完全対応していなかったソニーとオリンパスのコンパクトデジタルカメラが、新製品すべてで対応しました。デジタルカメラのSDカード対応は、どんどん進んでいます。また、SDカードスロットを備えたHDテレビが登場し、テレビの大画面で手軽に写真や動画を楽しむスタイルが広がっていることも、大きく影響しています。現在、SDカードスロットを備えているテレビは、パナソニックと三菱電機の製品ですが、SDカードがメモリカードのデファクトスタンダードになった今、近いうちにすべてのテレビがSDカードスロットをもつようになるでしょう」
SDカードスロットを備えるパナソニックの液晶テレビは、デジタルカメラで撮影した写真や動画を手軽に楽しめる
――テレビで動画や写真を楽しむ時代になると、なぜ大容量のメモリカードが必要になるのですか。
大画面に写真や動画を映せば、カメラの性能やデータの記録形式による画質の差は一目瞭然ですから、ユーザーは、より高精細な画像を求めるようになるはずです。ひょっとしたら、もう一生ないかもしれないシャッターチャンス。記録していないデータは復元できません。せっかくの感動の瞬間を、サイズを縮小することなく、動画ならHDで、静止画ならRAW画像で記録しておくことを強くおすすめします。そして、高精細な画像を大画面テレビで存分に楽しんでほしい。そのためには、2ケタGBのメモリカードが必要になってくるのです」
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2010年末までには、ほとんどのデジタルカメラがSDXCカード対応に
SDカード技術の標準化と普及促進活動を行うSDアソシエーション(SDA)が、2009年1月に策定した次世代SDカード規格が「SDXC」だ。SDHCの4GB以上、最大32GBまでという容量制限に対し、SDXCは32GB超から2TBまでの可能性を示している。サンディスクは、パナソニックや東芝とともに、SDA設立メンバーの一員。SDカードだけでなく、microSDカード、メモリースティック、コンパクトフラッシュなど、主要メモリカードすべてに規格の開発段階から携わり、常に先陣を切って製品化してきた。SDXCカードも、他社に先駆けて投入している。
サンディスク ウルトラ SDXC カード
――SDXCの普及にとって大きな影響のあるデジタルカメラですが、いつ頃までに対応するでしょうか。
「世界でデジタルカメラを販売するメーカーにとって、同じく世界でメモリカードを展開している当社が、SDXCカードを発売した意味は大きいはずです。現在、デジタルカメラでSDXCカードに対応しているのは、キヤノンやパナソニックの新製品の一部ですが、年末までには、ほとんどのデジタルカメラの新製品が対応するでしょう」
――その後、SDXCカードが本格的に普及するのはいつ頃だとみていますか。
「当社のSDXCカードの発売時の実勢価格は5万円前後。コンパクトデジタルカメラならハードよりも高価です。本格的に普及するのは、各社から対応カメラが出揃い、カードの価格が下がってからでしょうね」
SDXCカードは、SDXC規格に対応する機器でしか使用できない。ハードが普及するまでは購入に注意が必要だ。しかし、大木ディレクターの話を聞いていると、日常的に写真や動画を撮影する生活をしていれば、32GB以上の大容量カードが必要になる日は、想像するほど遠くはないと感じる。いますぐ32GBとはいかなくても、一生に一度しかない瞬間をキレイな画像・映像で残すなら、2ケタGBのメモリカードはもっておきたい。(BCN・武井美野里)