• ホーム
  • トレンド
  • 3D VIERA、パナソニック担当者が明かす3Dテレビの「手応え」と「これから」

3D VIERA、パナソニック担当者が明かす3Dテレビの「手応え」と「これから」

インタビュー

2010/05/07 20:31

 「3D元年」といわれる2010年。国内メーカーの先陣を切ったのは、パナソニックの3D対応テレビ「3D VIERA(ビエラ)」。4月23日の発売だったが、一部の量販店では21日から店頭に並び、体験コーナーを取り囲むように人垣ができるなど、人気を集めた。そこで、パナソニックの品田正弘・デジタルAVCマーケティング本部商品グループテレビチームチームリーダーに、「3D VIERA」発売後の手応えと今後の展開を聞いた。

品田正弘・デジタルAVCマーケティング本部商品グループテレビチームチームリーダー

――ついに、国内初の3Dテレビ「3D VIERA」が発売になりました。一部量販店では4月21日から店頭に並んでいましたが、先行発売したのですか。


「発売はあくまでも4月23日なんです。テレビという商品は、もともと3日くらいをかけて店頭に並べる商慣習があって、一番最後に商品が並んだ日を発売日と定義しているんです。今回、『先行発売』という報道があって、ちょっとびっくりしました」

――前倒しで発売したわけではないのですね。

「メーカーとしては23日が正式発売なのですが、実際に21日から店頭に並んでいたら、確かに前倒ししたと思われてもしかたがないですよね。ちなみに、デジタルカメラやパソコンなどは、発売日前に店頭に商品を並べる商慣習はありません。発売日に関する考え方は、テレビよりも厳格です。ですから発売日に行列ができることがある。テレビは大型商品なので、展示に時間がかかります。そのために、発売日の概念が若干緩やかなんですね。今回もこれまで通り、都心のカメラ系量販店から店頭展示を開始しました。都心の量販店にはショールームのような役割もあるので、まずは都心から展示し、順次各地に展開したという流れです」

――都心量販店の体験コーナーには、多くの人々が集まっています。感触はいかがですか。

「老若男女、非常に多くの方々に関心をもっていただいていると実感しました。多少、アトラクション化している感もありますが(笑)。いまは、お客様に商品を実際に見ていただく段階。まずは『3Dテレビ、見た?』と、人々の間でバズワード(人々の口には上るが意味が不明確な言葉)になっていくことを期待しています。初期段階としては、大成功ではないでしょうか」

3D VIERAの体感コーナーには人が途切れることがない(ビックカメラ有楽町店本館1階)

――都心店舗での露出が目立っていますが、地方の販売店ではどうでしょう?

「都心の販売店では、様子をみているお客様が多いようです。3Dを実際に体験していただくことが中心ですので、まだ具体的な商談に入っていないケースが多いです。実は、地方のパナソニック系列店での販売が好調です。いまは系列店での販売を強化し、当初計画の倍以上を目指しています。実際に販売店さんからは、想定を上回る台数のオーダーをいただいています」

――事前の計画通り、順調に進んでいますね。

「5月までは、『VIERAの3Dは本物』という世論をつくる啓発期。お客様に本物の3Dを見ていただくことで、業界全体を盛り上げていきます。『3D VIERA』は、3D対応というだけでなく、2Dも高画質。フラッグシップモデルとして、訴求したい点がたくさんあります。これらを、販売店に実機で伝えていきたい。現在は実機が追いつかないほどの状況ですが、店員さん向けの勉強会をフル稼働で行っています。5月中はフォローアップに力を注ぎ、6-7月の夏商戦で開花させます」

――夏商戦には、ライバルメーカーも3Dテレビの発売を表明しています。

「市場を拡大していくためには、多くのプレイヤーがいたほうがいい。各社の参入は、マーケットを拡大するうえで、われわれにとってもプラスになります。ただ、3Dの一番乗りとして、先行者利益は確保したい。プラズマの高速駆動による動画解像度の高さなどの基本スペックは3Dと相性がよく、その結果、2Dにもよい効果を与えています。パナソニックの大画面テレビのよさを、いま一度アピールする機会になると思っています」
___page___
――54V型「H-P54VT2」と50V型「TH-P50VT2」に加え、65V型「TH-P65VT2」、58V型「TH-P58VT2」を発表しました。より大画面のほうが、ニーズが高いのでしょうか。

「3Dは、大きい画面で見たほうが、より臨場感が得られます。発売済みの50V型や54V型より、さらに大きいサイズが欲しいという声が圧倒的でした。58V型と65V型の発売後は、従来の2Dよりも3D対応機の販売ボリュームが高まっていくはず。3D対応は、大画面テレビの標準機能になっていくでしょう」

54V型「H-P54VT2」と50V型「TH-P50VT2」。5月28日には65V型「TH-P65VT2」と58V型「TH-P58VT2」を追加

――ソニーは、「3D VIERA」のサイズ展開よりも下の40V型から3D対応機を発売します。下のサイズについては、どうお考えですか。

「過去に3Dが失敗してきた背景に、『本物感』がなかったことが影響しています。下のサイズ展開も視野に入れてはいますが、いかに本物感を提供できるか、ということが業界の健全な発展にも不可欠だと考えています。ですから、まずは本物感が味わえる大画面サイズの展開を優先しました。しかし、30万円の予算で3Dテレビを購入したいというお客様もいらっしゃいます。そういったニーズへの対応も検討しています」

――では、今後37V型以下で展開している液晶テレビで3D対応の可能性はありますか。

「3D放送やゲームなど、用途が広がっていけば、当然、インチサイズゾーンも広がっていく。液晶も4倍速技術、またはそれ以上の倍速性能があれば、3D対応は可能です。これについては、おいおい考えていきます」

――最後に、デジタルカメラやビデオカメラなど、テレビ以外の民生用機器で、3D対応の予定は。

「流れとしては、当然ありますね。自分の子どもを3Dで撮影できるようになれば、それは購買動機につながります。撮った映像が3Dになるという驚きと楽しさは、お客様にとって新しいバリューになると確信しています」
(BCN・田沢理恵)