春からはおうちで3D、本格普及に向け放送や映画タイトルも拡充へ
家庭で3D(立体)映像が楽しめるテレビを4月23日に発売するパナソニック。2月9日の発表会で、同社の西口史郎・デジタルAVCマーケティング本部本部長は、白黒からカラー、そして大画面化、デジタル化というテレビの歴史を振り返りながら、「カラー放送開始から50年を迎えた2010年は、ついに家庭のテレビで3Dが見られる時代になった」と、3D対応テレビ投入への意気込みを語った。
3D(three dimensions)テレビとは、3次元=立体映像を映し出すテレビのこと。専用のメガネを装着することで、映像が立体的に見え、迫力と臨場感ある映像が楽しめる。今、話題のデジタル3D映画『アバター』で、その図抜けた迫力を体感した方もいらっしゃるだろう。
一般家庭向けの3D技術は、09年10月のIT総合見本市「CEATEC JAPAN 2009」や、2010年1月に米国で開催した世界最大の家電見本市「2010 International CES」で新技術の目玉となるなど、以前から注目を集めてきた。パナソニックだけでなく、ソニー、シャープ、東芝など国内の大手テレビメーカーもすでに技術展示を行っている。ソニーは、2010年春に米国で販売を開始し、日本市場には2010年中の投入を計画。東芝は2010年秋をめどに欧米での発売を目指している。シャープは現段階で投入時期は未定としているが、早い時期での参入は間違いないところだ。韓国をはじめとする海外勢も、早晩追随するとみられる。2010年は、大手メーカー各社が3D対応テレビ、そして対応のBDレコーダーやプレーヤーを発売する「おうちで3D元年」になる。
ただし、3D対応機が登場してもコンテンツ自体が3D映像でなければ、その恩恵は受けられらない。3Dテレビの普及には、コンテンツの拡充が不可欠なのだ。放送では、先行するBS11に続き、4月にもジュピターテレコム(J:COM)が、8月にはスカパーJSATが3D放送を開始する予定となっている。
パナソニックが発売する3D対応テレビの特徴は、プラズマパネルの高速表示特性を生かしたうえで発光効率を高めたこと。09年のパネルの発光効率と比べると約2倍、07年のそれと比べると約4倍に高まっている。また、残光が短い新開発の蛍光体や高速パネル駆動を採用した3D対応「フル・ブラックパネル」によって、残像による左右映像の重なりを大幅に抑えた。画質について、西口本部長は、「その場に引きずり込まれるような、臨場感を超えた“没入感”」と表現している。
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この没入感を味わうため、つまり3D映像を楽しむためには、専用のメガネが必要になる。今回発表の54V型「TH-P54VT2」、50V型「TH-P50VT2」には、専用メガネを1本付属しているが、家族など複数で視聴するためには、追加購入が必要。1本あたりの価格は実勢価格1万円前後の見込みだ。
フルハイビジョン3D対応のプラズマテレビは、同社のラインアップの最上位に位置する。しかし、50V型の価格は43万円で、同じサイズで3D非対応の新製品と比べると価格差は7万円程度に抑えた。3D対応という付加価値をつけたものの、非現実的な価格設定にはしなかった。その背景には、前述の3D映画『アバター』の鑑賞者のうち、約79%が3D版を観賞しているという実績や、「国内の3D対応映画館が、09年は前年の7倍にあたる350スクリーン以上に拡大した」(西口本部長)ことなど、3Dに対する人々の関心の高さがある。
さらに、09年は19作品だった3D映画が、2010年には31作品以上に拡大していくほか、今後は公開済みの3D映画が家庭用ソフトになっていくなど、家庭での3D観賞が現実的になる。2010年は「3D産業が一気に加速する」(同)ことを見据え、同社は世界で初めて「ブルーレイ3D」規格のディスク再生機を商品化。フルHDの3D映像を記録するための新技術「MPEG-4 MVC」を採用したHDD内蔵BDレコーダー3機種、プレーヤー1機種を、3D対応プラズマテレビと同じく4月23日に発売する。
液晶テレビやプラズマテレビは、「大画面」「フルハイビジョン」「高画質化」「薄型化」「省エネ」「LED」などをキーワードにしながら、常に技術革新を繰り返してきた。この成果から、今やエントリーモデルでも数年前のハイスペックモデルのような画質を実現している。そしてこの春、国内の家庭向けテレビとして初めて3D対応機が発売になる。その第一弾が、43万円(50V型)という価格で登場するインパクトは大きい。参入メーカーが増え、各社のラインアップが充実して量産が本格化すれば、数年の間に普及レベルの価格になっていく可能性は高い。
パナソニックは、「3Dに対応するムービーカメラの開発も進めている」(西口本部長)という。テレビ放送は2Dで十分という人でも、子どもの成長記録や家族の思い出を3Dで残せるようになったら、どう反応するだろうか。カラー放送の開始から50年。3Dという新しい価値が、映像の楽しみ方を変えていく。(BCN・田沢理恵)
3D(three dimensions)テレビとは、3次元=立体映像を映し出すテレビのこと。専用のメガネを装着することで、映像が立体的に見え、迫力と臨場感ある映像が楽しめる。今、話題のデジタル3D映画『アバター』で、その図抜けた迫力を体感した方もいらっしゃるだろう。
一般家庭向けの3D技術は、09年10月のIT総合見本市「CEATEC JAPAN 2009」や、2010年1月に米国で開催した世界最大の家電見本市「2010 International CES」で新技術の目玉となるなど、以前から注目を集めてきた。パナソニックだけでなく、ソニー、シャープ、東芝など国内の大手テレビメーカーもすでに技術展示を行っている。ソニーは、2010年春に米国で販売を開始し、日本市場には2010年中の投入を計画。東芝は2010年秋をめどに欧米での発売を目指している。シャープは現段階で投入時期は未定としているが、早い時期での参入は間違いないところだ。韓国をはじめとする海外勢も、早晩追随するとみられる。2010年は、大手メーカー各社が3D対応テレビ、そして対応のBDレコーダーやプレーヤーを発売する「おうちで3D元年」になる。
「家庭のテレビで3Dが見られる時代になった」と語るパナソニック・西口史郎本部長
ただし、3D対応機が登場してもコンテンツ自体が3D映像でなければ、その恩恵は受けられらない。3Dテレビの普及には、コンテンツの拡充が不可欠なのだ。放送では、先行するBS11に続き、4月にもジュピターテレコム(J:COM)が、8月にはスカパーJSATが3D放送を開始する予定となっている。
「2010年以降、3D放送の開始で普及に弾みがつく」(西口史郎本部長)と自信をみせた
パナソニックが発売する3D対応テレビの特徴は、プラズマパネルの高速表示特性を生かしたうえで発光効率を高めたこと。09年のパネルの発光効率と比べると約2倍、07年のそれと比べると約4倍に高まっている。また、残光が短い新開発の蛍光体や高速パネル駆動を採用した3D対応「フル・ブラックパネル」によって、残像による左右映像の重なりを大幅に抑えた。画質について、西口本部長は、「その場に引きずり込まれるような、臨場感を超えた“没入感”」と表現している。
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この没入感を味わうため、つまり3D映像を楽しむためには、専用のメガネが必要になる。今回発表の54V型「TH-P54VT2」、50V型「TH-P50VT2」には、専用メガネを1本付属しているが、家族など複数で視聴するためには、追加購入が必要。1本あたりの価格は実勢価格1万円前後の見込みだ。
54V型「TH-P54VT2」と50V型「TH-P50VT2」には、3D視聴用メガネが1本付属
フルハイビジョン3D対応のプラズマテレビは、同社のラインアップの最上位に位置する。しかし、50V型の価格は43万円で、同じサイズで3D非対応の新製品と比べると価格差は7万円程度に抑えた。3D対応という付加価値をつけたものの、非現実的な価格設定にはしなかった。その背景には、前述の3D映画『アバター』の鑑賞者のうち、約79%が3D版を観賞しているという実績や、「国内の3D対応映画館が、09年は前年の7倍にあたる350スクリーン以上に拡大した」(西口本部長)ことなど、3Dに対する人々の関心の高さがある。
さらに、09年は19作品だった3D映画が、2010年には31作品以上に拡大していくほか、今後は公開済みの3D映画が家庭用ソフトになっていくなど、家庭での3D観賞が現実的になる。2010年は「3D産業が一気に加速する」(同)ことを見据え、同社は世界で初めて「ブルーレイ3D」規格のディスク再生機を商品化。フルHDの3D映像を記録するための新技術「MPEG-4 MVC」を採用したHDD内蔵BDレコーダー3機種、プレーヤー1機種を、3D対応プラズマテレビと同じく4月23日に発売する。
映画『アバター』の鑑賞者のうち約8割が3D版を観賞した
液晶テレビやプラズマテレビは、「大画面」「フルハイビジョン」「高画質化」「薄型化」「省エネ」「LED」などをキーワードにしながら、常に技術革新を繰り返してきた。この成果から、今やエントリーモデルでも数年前のハイスペックモデルのような画質を実現している。そしてこの春、国内の家庭向けテレビとして初めて3D対応機が発売になる。その第一弾が、43万円(50V型)という価格で登場するインパクトは大きい。参入メーカーが増え、各社のラインアップが充実して量産が本格化すれば、数年の間に普及レベルの価格になっていく可能性は高い。
2月9日の発表会には多くの報道陣・関係者が出席。期待のほどがうかがえる
パナソニックは、「3Dに対応するムービーカメラの開発も進めている」(西口本部長)という。テレビ放送は2Dで十分という人でも、子どもの成長記録や家族の思い出を3Dで残せるようになったら、どう反応するだろうか。カラー放送の開始から50年。3Dという新しい価値が、映像の楽しみ方を変えていく。(BCN・田沢理恵)