BCNランキングで作る! タイプ別自作PCのススメ

特集

2009/12/29 19:03

 いよいよ年の瀬。みなさん年末年始の予定はどうなっているだろうか。今年は節約重視で自宅で過ごすという人は、PCの自作にチャレンジしてはどうだろう。工作気分を味わいながら、予算に見合ったPCが手に入るという点で、一石二鳥だ。とはいっても、どんなパーツを選んだらいいのかわからない、と悩んでいる人もいるだろう。そこで、「BCNランキング」を使ったオススメのプランを紹介しよう。

 今回は、PCの用途別に、5万円台で作れる「ベーシックモデル」や、予算に余裕がある人向けの「ちょい高モデル」など、いろいろと構成を考えたので、参考にしてほしい。

 また、自作するにあたって注意して欲しいのが、以前に比べれば少ないが、パーツ同士の相性問題だ。そこまで神経質になる必要はないかもしれないが、初めて自作をする人にとっては、心配な部分。ショップによってはパーツの相性保障を行っているところもあるので、購入する際に確認することを推奨する。

とりあえずは作ってみよう 標準タイプ



 このタイプは、ネットとメールを中心に考えているユーザー向け。もし満足できない部分があれば、後からパーツを追加するなり、交換するなりできるので、何をしたいのかまだ決めていないが、とりあえずPCを組んでみたいという人にもオススメだ。

インテル製CPU搭載タイプ 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU インテル Pentium Dual Core E6500(2.93GHz) 9700円
マザーボード ASUSTek P5QPL-AM 7500円
メモリ シー・エフ・デー販売 W2U800CQ-1GLZJ 5600円
HDD SAMSUNG HD103SI(※1) 6900円
光学ドライブ LITEON IHAS324-27 4500円
PCケース エバーグリーン TWG-AL625/450 6100円
OS マイクロソフト Windows 7 Home Premium DSP版(※2) 1万5000円
合計 5万5300円

AMD製CPU搭載タイプ 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU AMD Athlon II X2 250(3.0GHz) 7400円
マザーボード ASRock A780GM-LE/128M 6000円
メモリ シー・エフ・デー販売 W2U800CQ-1GLZJ 5600円
HDD SAMSUNG HD103SI(※1) 6900円
光学ドライブ LITEON IHAS324-27 4500円
PCケース エバーグリーン TWG-AL625/450 6100円
OS マイクロソフト Windows 7 Home Premium DSP版(※2) 1万5000円
合計 5万1500円

【CPU】
 インテル、AMDどちらの製品も、デュアルコアでローエンドモデルあたるタイプだが、いずれもクロック数が高いので、ネットやメールを中心に考えているのであれば、それほど不満に感じることはないだろう。

【メモリ】
 Windows 7を快適に動作させるには2GBは最低限必要だ。

【マザーボード】
 ASUSTekの「P5QPL-AM」とASRockの「A780GM-LE/128M」、どちらもオンボードでグラフィックを内蔵しており、別途グラフィックボードを揃える必要がないので、予算を抑えたいときに重宝する。

 また、オンボードのグラフィックを使用する場合、ビデオメモリはメインメモリからシェアされる形になるが、ASRockの「A780GM-LE/128M」はマザーボード上に専用のビデオメモリ(ローカルフレームバッファ)を搭載しているので、通常のオンボードのグラフィックより性能が高い。

(左から)ASUSTek「P5QPL-AM」とASRock「A780GM-LE/128M」

 オンラインゲームに興味があるという人は、こちらを選んだほうがいいかもしれない。ただし、オンボードのグラフィックとしては比較的性能がいいというだけで、単体のグラフィックボードには遠く及ばないので、ゲーム中心に考えているのであれば、別途グラフィクボードを購入した方が無難だ。

【PCケース】
 市場推定価格が6100円ながら、450Wの電源が付いているのでお買い得感が高いということで、エバーグリーン「TWG-AL625」を選択した。

エバーグリーン「TWG-AL625」
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オンラインで盛り上がる ゲームタイプ



 ベーシックモデル、ちょい高モデル共に、バリバリゲームをしたい人にとっては、スペック的に物足りないかもしれないが、ちょっとゲームもプレイしたい人向けになっている。

ベーシックモデル 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU インテル Pentium Dual Core E6500(2.93GHz) 9700円
マザーボード ASUSTek P5KPL-AM EPU 6600円
メモリ シー・エフ・デー販売 W2U800CQ-1GLZJ 5600円
HDD Seagate ST-3500418AS(※1) 5500円
光学ドライブ LITEON IHAS324-27 4500円
PCケース エバーグリーン TWG-AL625/450 6100円
OS マイクロソフト Windows 7 Home Premium DSP版(※2) 1万5000円
合計 5万3000円

ちょい高モデル 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU AMD Phenom II X2 550(3.1GHz) 1万900円
マザーボード ASUSTek M4A78-VM 7500円
メモリ シー・エフ・デー販売 W2U800CQ-1GLZJ 5600円
HDD Seagate ST-3500418AS(※1) 5500円
光学ドライブ LITEON IHAS324-27 4500円
グラフィックボード エルザ ジャパン GD998-512ERSS 1万4500円
PCケース Antec ThreeHundred 9600円
電源 Antec EA-650 1万100円
OS マイクロソフト Windows 7 Home Premium DSP版(※2) 1万5000円
合計 8万3200円

【CPU】
 ベーシックモデルは、予算を5万円台に抑えるために、標準タイプと同じものに。ゲームの場合は、コアの数よりもクロック数が高い方が有利に働く場合があるので、ちょい高モデルでは標準タイプよりクロック数が高いAMDの「Phenom II X2 550」を選択している。

【HDD】
 ゲームメインであれば、HDD容量はあまり必要ないだろう。ということで、グラフィックボード分の予算を捻出するために、標準モデルより容量とコストを削減する。

【グラフィックボード】
 ゲームモデルではキモになるパーツ。ベーシックモデルではRADEON HD 4670を搭載したシー・エフ・デー販売の「RH4670-E512HD/D4/AC」を、ちょい高モデルはGeForce 9800 GTを搭載したエルザジャパンの「GD998-512ERSS」を選んだ。

(左から)シー・エフ・デー販売「RH4670-E512HD/D4/AC」とエルザジャパン「GD998-512ERSS」

 RADEON HD 4670は、最新ゲームだと厳しいかもしれないが、主要なオンラインゲームなら快適にプレイできるだろう。一方、GeForce 9800 GTは、最新のGeFore GTX/GTS 200シリーズには及ばないものの、グラフィック性能が高く、かつ価格がこなれてきており、グラフィックボードにあまり予算をかけられないが、ゲームを楽しみたいという人にピッタリだ。

【PCケース】
 ちょい高モデルでは、ゲーム用途に最適なAntecの「ThreeHundred」を選んだ。PCゲームをプレイする際にはマシンパワーが必要なので、発熱量の多いパーツを搭載するケースが多い。Antecの「ThreeHundred」は、冷却性能が優れているので重宝するはずだ。

Antec「ThreeHundred」

【電源】
 先述のように、ゲーム用途ではパワーが必要なパーツを使用するケースが多いだろう。当然のことながら電源に負荷がかかるので、多少値が張ってもいいものを選んだほうがいい。そこで価格とのバランスも考えて、Antecの「EA-650」を推したい。
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リビングでも使える テレパソタイプ



 このタイプは、テレビの視聴と録画をメインに考えているユーザー向けに構成を考えている。また、ちょい高モデルでは、リビングでも使用することを想定した構成にした。

ベーシックモデル 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU インテル Celeron Dual-core E3200(2.4GHz) 5200円
マザーボード ASUSTek P5QPL-AM 7500円
メモリ シー・エフ・デー販売 W2U800CQ-1GLZJ 5600円
HDD Western Digital WD10EADS-M2B(※1) 7500円
光学ドライブ LITEON IHAS324-27 4500円
キャプチャボード バッファロー DT-H10/PCI 8400円
PCケース エバーグリーン TWG-AL625/450 6100円
OS マイクロソフト Windows 7 Home Premium DSP版(※2) 1万5000円
合計 5万9800円

ちょい高モデル 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU AMD Athlon II X2 235e(2.7GHz) 6900円
マザーボード ASRock A780GM-LE/128M 6000円
メモリ シー・エフ・デー販売 W2U800CQ-1GLZJ 5600円
HDD Western Digital WD10EADS-M2B(※1) 1万5000円
リムーバブルケース ラトックシステム SA-RC1-SV 4000円
光学ドライブ LGエレクトロニクス GH24NS50SL BULK SOFT 4000円
キャプチャボード ピクセラ DT-H10/PCI 2万4800円
PCケース Antec NSK2480 1万2300円
OS マイクロソフト Windows 7 Home Premium DSP版(※2) 1万5000円
合計 9万3600円

【CPU】
 動画編集など、よほど負荷の高い作業をしない限りは、Celeron Dual-core E3200やAthlon II X2 235eでも問題はないので、地デジキャプチャーボード分の予算を捻出するためグレードダウンする。

 その上で、ちょい高モデルでは、CPUも性能よりも静音性を重視。Athlon II X2 235eは低消費電力で発熱量が少ないので、冷却ファンの回転数を少なくできる。騒音の元となるノイズも減らせるので、リビングで使用するのに最適といえる。

【HDD】
 Western DigitalのCaviar グリーンシリーズは、低発熱かつ静音性に優れているので、テレパソ用のHDDに向いている。

【リムーバブルケース】
 そして、とことん録画しまくりたい人にオススメなのが、リムーバブルケース。リムーバブルケースは、HDDを自由に入れ替えることがでのでビデオテープのように、HDDをドラマ用、スポーツ用と、それぞれジャンルごとに使い分けることができるようになる。

ラトックシステム「SA-RC1-SV」

 ただし、リムーバブルケースにHDDは付属していないので、別途購入する必要がある。今回のちょい高モデルでは、リムーバブルケース用に同じHDDをプラスし、HDDの市場推定価格を2個分の合計価格としている。

【キャプチャボード】
 ベーシックモデルでは、オーソドックスな「DT-H10/PCI」を、ちょい高モデルでは、ダブルチューナー搭載の「PIX-DT096-PE0」を選んだ。

(左から)バッファロー「DT-H10/PCI」とピクセラ「PIX-DT096-PE0」

 「DT-H10/PCI」はシンプルながらコストパフォーマンスがよく、「PIX-DT096-PE0」は地上デジタル、BS/CSデジタル放送に対応したダブルチューナーを搭載。簡単な動画編集もできるなど、テレビをとことん楽しみたい人にはうってつけだろう。

【PCケース】
 ちょい高モデルはリビングで使うことも想定しているので、PCケースもそれに合わせてAV風の「NSK2480」を選んだ。このケースは振動ノイズを抑制し、静音性が高い。

Antec「NSK2480」
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番外編



 番外編では、単価の高いパーツを集めた最高級モデルと、極限まで予算を切り詰めたバリューモデルの2つを紹介する。バリューモデルは、最低限動けば良いというレベルで、本当にネットとメールしかやらないし、今後もアップグレードする予定がないというユーザー向けのモデルだ。

 また、このモデルはOSにLinuxを想定しており、パーツもちょっとクセがあるものを選んでいる。初めて自作をする人にはあまり向いていないので注意してほしい。

最高級モデル 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU インテル Core i7 975 Extreme Edition(3.33GHz) 9万7600円
マザーボード GIGABYTE GA-X58A-UD7 4万2000円
メモリ Corsair CMX6GX3M3A1333C9 1万9300円
HDD Seagate ST32000641AS(※1) 3万円
光学ドライブ パイオニア BDR-S05J 3万7400円
グラフィックボード HIS H597F2GD 7万9800円
PCケース オウルテック OWL-PC60F(B) 1万6500円
電源 Corsair CMPSU-1000HXJP 2万8400円
OS マイクロソフト Windows 7 Ultimate DSP版(※2) 2万5000円
合計 37万6000円

バリューモデル 構成
パーツ メーカー名 製品名・型番 市場推定価格
CPU - オンボード -
マザーボード ASUSTek ITX-220 8100円
メモリ シー・エフ・デー販売 D2U533BP-S1GBZZ 2700円
HDD Seagate ST-3500418AS(※1) 5500円
光学ドライブ 東芝サムスン SH-S223B+S 3400円
PCケース 岡谷エレクトロニクス MX1201 6000円
OS - Linux 0円
合計 2万5700円

【CPU】
 最高級モデルに積んだCore i7 975 Extreme Editionは、価格が約10万円ととてつもなく高いが、Core i7シリーズ最上位モデルだけあって性能も高い。

【マザーボード】
 最高級モデルの「GA-X58A-UD7」は、Intel X58チップセットのマザーボードで、USB3.0とSerialATA3.0に対応している最新モデル。一方、バリューモデルの「ITX-220」はCPU(Celeron 220)をオンボードで搭載しているので、別途CPUを購入する必要がない点で経済的だ。

(左から)GIGABYTE「GA-X58A-UD7」とASUSTeK「ITX-220」

 ただし、「ITX-220」が搭載するCPUの性能は最低限といったところなので、ゲームなどをプレイするには能力不足といわざるを得ないが、ネットやメールだけであれば問題ないだろう。

【グラフィックボード】
 最高級モデルでは、グラフィックチップにRADEON HD 5970を搭載したHightech Information System(HIS)の「H597F2GDG」を選んだ。RADEON HD 5000シリーズは現時点で唯一、マイクロソフトが提供するマルチメディア機能強化のための拡張API群、Direct Xの最新バージョンDirectX 11に対応したグラフィックボード。なかでもRADEON HD 5970は、シリーズ最上位モデルに位置づけられており、とことんまでゲームをプレイしたいユーザーにオススメだ。

Hightech Information System「H597F2GD」

【PCケース】
 最高級モデルでは、オウルテックの「OWL-PC60F(B)」を、バリューモデルでは岡谷エレクトロニクスの「MX1201」を選んだ。

(左から)オウルテック「OWL-PC60F」と岡谷エレクトロニクス「MX1201」

 オウルテックの「OWL-PC60F(B)」は、ATXに対応したアルミ製のケースで、アルミの特性を生かして、軽量で放熱性に優れ、シンプルな構造で癖のない作りになっている。一方、岡谷エレクトロニクスの「MX1201」は、Mini-ITX対応のケースで、市場推定価格が6200円ながら、200Wの電源を搭載しておりコストパフォーマンスに優れた製品だ。

【OS】
 バリューモデルでは、予算を徹底的に切り詰めるということで、Linuxを選んだ。最近では、Windowsライクに使うことが出来るUbuntuなどのLinuxが登場し、以前に比べ格段に敷居が低くなっているが、使いこなす自信がない場合は素直にWindowsを選んだほうがいいだろう。

 自作のやり方は人それぞれ、今回提示したプラン通りに組んでみるのもよし、プランを参考にアレンジを加えてみるのもよし、この年末年始の休みを利用して、自分だけのオリジナルPCを作ってみてはどうだろうか。(BCN・大滝和伸)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。

*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。

※1:BCNランキングを元に集計した市場推定価格ではなく、独自調査による価格を記載。
※2:DSP版のWindows 7は、PCを構成する主要パーツ(CPU、メモリ、マザーボード等)と同時に購入することが条件。価格は独自調査による。