新Macの全貌を米アップルの担当者に直撃! 美しく進化したその魅力に迫る
日本時間10月21日の午前2時過ぎ、米アップルは、新しい「MacBook」「Mac mini」「iMac」そしてマルチタッチ対応の無線マウス「Magic Mouse」を発表した。日本でも、21日朝からほとんどの新製品の販売が開始された。そこで、新しいMacのラインアップについて、米アップル本社から、プロダクトマーケティングマネージャーでノートブック担当のセリーナ・チェン氏と、同じくプロダクトマーケティングマネージャーでデスクトップ担当のグレッグ・スメルツァ氏が来日し、それぞれの製品の魅力について語ってくれた。
セリーナ・チェン氏は「前四半期は、これまででMacがもっとも売れた3か月間でした。全世界で300万台を売り上げました」と語る。実際に米アップルが発表した09年度第4四半期(7-9月)の業績は、対前年同期比で売上高で約25%増、純利益は約46%増、Macの出荷台数でも約17%増という極めて好調なものだった。
年末商戦に向けて、その好調をさらに伸ばしていこうと発表されたのが今回の新製品群だ。10月22日のWindows 7の発売日直前にぶつけてきたあたり、アップルの本気度がうかがえる。
まず、ノートブック担当のセリーナ・チェン氏に新MacBookについてうかがった。ポリカーボネート製の白いノートPC「MacBook」は、Macのエントリーモデルと位置づけられている。チェン氏によると「歴代Macの中で一番売れているモデル」だという。今回はそのMacBookを一新した。ボディ素材だけは従来と同じ白いポリカーボネートだが、実態は、デザインも含めほとんど上位機種の「MacBook Pro」と同じになった。
「ベストセラー機であるMacBookをリニューアルするに当たり、私たちがまず考えたのは、MacBook ProのユニボディデザインをMacBookにも導入しようということでした」とチェン氏は語る。新しいMacBookは、本体のキーボード面から側面にかけてのきょう体がユニボディ化されている。これにより、操作時に手に触れる部分には継ぎ目がなくなり、とても手触りが良くなった。もちろん、ユニボディの採用で剛性感も増している。本体を持ち上げたときにも、きしみ感はまったくしなくなった。
また、解像度1280×800ピクセルの13.3インチワイド液晶には、高輝度で応答性にすぐれるLEDバックライトを採用した。この点でもMacBook Proと同じだ。LEDバックライトの採用で、従来のMacBookと比べてモニタ側の厚みが薄くなるともに、モニタを閉じたときの一体感も高まった。
「ユニボディとLEDバックライトの採用で、新しいMacBookは、ボディの周囲を絞り込んだ丸みのあるデザインにすることができました。これは、手に持ったときに自然にフィットすることを意識しています。どのような持ち方をしても、しっかりホールドできるようにデザインされています。また、カバンへの出し入れもしやすくなっています」(同氏)。
従来のMacBookはバッテリーが交換可能な外付け式だったが、新しいMacBookでは、バッテリーは内蔵式に変わった。これもMacBook Proと同じ仕様だ。内蔵バッテリーは、最長7時間の長時間駆動を実現し、最大1000回の充電が可能だという。チェン氏によると「内蔵バッテリーにしたことで、ボディ底面の開口部がなくなり、剛性感がさらに増しています。また、最大1000回の充電は、通常の使用であれば5年程度は保つ計算です」とのこと。さすがに5年が過ぎれば、買い替え時期ということだろう。
バッテリーを内蔵したことで、ボディ底面全体が1枚のラバー素材に変わっている。従来のようなゴム足はなくなったが、底面全体をラバーにすることで、「ひざの上に乗せて使うときや、飛行機の機内でテーブルに乗せて使うときなど、滑らずに安定して操作することができる」わけだ。このラバー底は、8本のネジでユニボディ本体に装着されている。ユーザーがこのネジを外して、メモリやHDDを自分で交換することは……「大丈夫、できますよ。私自身、何度もやっていますから」とチェン氏は笑った。
新しいMacBookは、MacBook Proと同様、ボタンがまったくないガラス製のマルチタッチトラックパッドを搭載している。指先のジェスチャーだけで、スクロールや回転、拡大・縮小、右クリックなどの操作が可能だ。今回のリニューアルによって、MacBookとMacBook Proは、デザイン的にも操作性の面でも完全に統一感のとれたラインアップになった。
CPUに2.26GHzのCore 2 Duoを搭載し、2GBのメモリと250GBのHDDを標準装備。NVIDIA GeForce 9400Mグラフィックスプロセッサ、2層記録対応の8倍速のスーパードライブ、IEEE802.11a/b/g/nに準拠した無線LAN機能も搭載する新MacBook。これだけのフル装備で、しかも価格は9万8800円となれば、コストパフォーマンスは非常に高い。初めてMacを使う人に勧める最初の1台としてピッタリだろう。
しかも、モバイルPCとしても十分な性能と耐久性を備えているので、2台目、3台目のノートPCとしても活用できる。今後13.3インチのMacは、アルミの感触がお好みならMacBook Pro(新MacBookより2万円割高になるが)を選び、白いカラーがお気に入りならMacBookを選ぶ、ということになりそうだ。
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続いて、「Mac mini」「iMac」「Magic Mouse」については、デスクトップ担当のグレッグ・スメルツァ氏にうかがった。「Mac mini」は、モニタ分離型のデスクトップ製品に位置づけられる。モニタとキーボードが付属しない代わりに、価格を大幅に抑えたMacだ。新しいMac miniは、CPUがより高速になり、メモリとHDDが増強された。2.26GHzのCore 2 Duo、メモリ2GB、HDD160GBを搭載するモデルが6万2900円で、2.53GHzのCore 2 Duo、メモリ4GB、HDD320GBを搭載するモデルが8万4900円だ。
スメルツァ氏は、「Mac miniは、手ごろな価格でMac OS XとiLifeを手に入れることができるMacですが、そのコンパクトなきょう体を生かして、これまでスモールオフィスや家庭でサーバーとして使われているケースも多かったのです。そこで私たちは、最初からサーバーとして使っていただけるモデルを用意しました」と今回の新製品を紹介してくれた。
サーバー仕様のMac miniは、2層記録対応の8倍速のスーパードライブを搭載しない代わりに500GBのHDDを2基搭載し、メモリは4GB、さらにOSにはサーバー用のMac OS X Server v10.6 Snow Leopardをプリインストールした。Mac OS X Serverは、クライアントとしてMacとWindows PCが混在した環境でも情報の共有が可能で、ユーザーを無制限に追加(追加ライセンス料は不要)できるうえ、クライアントMacのリモートコントロール機能も備えている。価格は10万4900円。サーバー用のMacが10万円で用意できるなど、ひと昔前までは考えられなかったことだ。小規模事業者なら、サーバー仕様のMac miniを導入することで、業務の効率化やシステム関連費のコストダウンが図れるのではないだろうか。
液晶モニタ一体型デスクトップPC「iMac」は、今回のリニューアルでディスプレイサイズが一新された。より大画面、高解像度になり、画面のアスペクト比も16:9となっている。ラインアップは、1920×1080ピクセルの21.5インチモデルと、2560×1440ピクセルの27インチモデルに分けられる。
アスペクト比が16:9となったことによって、液晶モニタはやや横長スタイルが強調された感じだ。従来は、ガラスパネルがアルミきょう体にはめ込まれるかたちだったが、新iMacでは、ガラスパネルが前面をおおうデザインに変わった。また、アップルのロゴ(りんごマーク)が付く液晶モニタ下部の上下幅が狭くなっている。従来製品ではこの部分の幅が広く、液晶モニタを見上げるような印象が強かったが、新iMacでは、机の上でのモニタ位置の納まりが格段に良くなったように思う。
「新iMacは、21.5インチと27インチの両方とも、LEDバックライトを採用した液晶ディスプレイで、IPS(In-Plane Switching)パネルを採用しています。これにより、どの角度から見ても画面の色の一貫性が保たれるようになりました」と語るスメルツァ氏。視野角は、水平・垂直ともに178度を確保しているという。
液晶パネル以外の部分で、新iMacのグラフィック性能のスペックアップに貢献しているのが、グラフィックプロセッサの存在だ。21.5インチモデルでは、オンボードのNVIDIA GeForce 9400Mグラフィックプロセッサ以外に、256MBの専用メモリを搭載したATI Radeon HD 4670グラフィックプロセッサの選択が可能になっている。27インチモデルでは、512MBの専用メモリを搭載したさらにハイスペックなATI Radeon HD 4850 グラフィックプロセッサを選択することもできる。iMacで3Dゲームを楽しむとか、ビデオや写真の編集をサクサク快適に行いたい場合には、BTOでよりスペックの高いグラフィックプロセッサを選んでおくとよいだろう。
新しいiMacでは、CPUも一新した。「21.5インチの最下位モデルに、従来の最上位モデルに搭載していた3.06GHz Intel Core 2 Duoプロセッサを搭載しています。今回のリニューアルで、Intel Core 2 Duoプロセッサの上限は3.33GHzまで引き上げられています。一方、27インチモデルには、iMacでは初のアッドコアプロセッサ、2.66GHz Intel Core i5 プロセッサを搭載しました」とスメルツァ氏。Intel Core i5 プロセッサは、1つのCPU内部に4つのコアを持ち、Turbo Boostテクノロジーによって、使用するコア数を減らす代わりにCPUのクロックスピードをアップ(2.66GHzを最大3.2GHzに)することができる最新のデスクトップCPUだ。
これまでMacでは、プロ用の「Mac Pro」にのみ、クアッドコアプロセッサ(Intel Xeon プロセッサ)が搭載されてきたが、コンシューマ向けのiMacでも、いよいよクアッドコアの恩恵にあずかれるようになったのである。さらにうれしいことに、27インチモデルではBTOで、2.8GH Intel Core i7 プロセッサも選択可能となっている。Intel Core i7 プロセッサは、開発コード名“Nehalem”と呼ばれるクアッドコアプロセッサで、これはMac Proが搭載するIntel Xeonプロセッサに次ぐ極めて高性能なCPUなのである。また、新iMacは、4つのメモリスロットを備え、最大16GBまでのメモリが搭載可能だ。もはやプロ向けと言っても過言ではないスペックを備えている。
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クアッドコアプロセッサの搭載と、4GBを超えるメモリのサポートは、マルチコアのパフォーマンスを存分に引き出せる64bit化が進んだ最新OS、Mac OS X v10.6 Snow Leopardの存在抜きには実現しなかっただろう。
ちなみに、新iMacでは、背面が従来の黒いポリカーボネートから、アルミに変わっている。クアッドコアプロセッサの搭載などで排熱効果が気になるところだが、「その点はまったく問題ない」とスメルツァ氏。「27インチの大型モニタを支え、画面周辺まで均一な平面性を保つことを考慮して、より強度の高いアルミを採用した」のだそうだ。
新しいiMacは、21.5インチの最下位モデルが11万8800円、27インチモデルは、3.06GHzのCore 2 Duo、ATI Radeon HD 4670グラフィックスプロセッサを搭載するモデルが16万8800円、2.66GHzのCore i5、ATI Radeon HD 4850グラフィックスプロセッサを搭載する最上位モデルが19万8800円。プラス1万9200円で、Core i5をCore i7にすることもできる。27インチの大型モニタで、Intel Core i7 プロセッサとATI Radeon HD 4850グラフィックスプロセッサ、1TBのHDDを搭載するデスクトップマシンが20万円ちょっとで買えるわけだ。
新iMacにもれなく付いているのが、コンパクトな「Apple Wireless Keyboard」と、世界初のマルチタッチマウスである「Magic Mouse」だ。Bluetooth接続で使用するWireless Keyboardは、これまでオプション扱いだったが、初めて標準装備となった。マウスも無線接続になり、新iMacでは、標準の状態では電源ケーブルが1本、本体につながっているだけで、ほかにはケーブルは何もいらないというシンプルな使用環境が実現した。
注目すべきは、やはり「Magic Mouse」だろう。ボタンやホイール、ボールなどの可動部は一切ない。本体上部全体そのものがタッチパッドになっており、左クリックに加えて、右クリックやスクロール、スワイプなどの操作が可能になった。そうした操作を実現しているのが、マルチタッチテクノロジーだ。iPhoneやiPod touchで実現したマルチタッチテクノロジーを、「これはマウスにも応用できるのでは?」と考えて、実際にみごとなパッケージングで製品化してしまうところが、なんともアップルらしい。しかも、誰もまねできないような美しいデザインを創り出してしまうのは、まさしくアップルならではの“Magic”と言えるだろう。
スメルツァ氏によれば、「Magic Mouseは、マウスの表面が端から端までタッチセンサーになっています。iPhoneと同じように慣性スクロールに対応しているので、指先の動きに応じて、スクロール速度も変化します。クリックとダブルクリックは、マルチタッチ表面のどこをクリックしても行えますし、右クリックと左クリックの判別もできます。無線接続はBluetoothで、電源は単3形乾電池2本。使用しないときは、自動的に省電力モードに切り替わるので、一般的な使用では約4か月は電池が保つ計算です」とのこと。
「Magic Mouse」の操作性のすばらしさは、とにかく1度触ってみればわかるはず。目からウロコというか、「そうか、マウス自体がマルチタッチになればこんなに快適なんだ!」と感心してしまうことだろう。
新しい「MacBook」「Mac mini」「iMac」そして「Magic Mouse」は革新的で、とてもエキサイティングな製品だ。しかも、いかにもアップルらしく、どこからどう見ても惚れ惚れするほど“美しい”。5万円以下でもPCが買える昨今、価格だけ見れば「Macは高い」と思われるかもしれないが、その中身を知れば知るほど、「これでは安すぎるのでは?」と思えてくるくらい、今回発表された製品はどれもコストパフォーマンスの高さが際立っている。仕事でも遊びでも、大切な自分の時間をサポートしてくれる相棒足りうる存在としてPCを考えるなら、Macは、間違いなくその思いに答えてくれる存在である。(フリーライター・中村光宏)
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ユニボディ採用でスタイル一新の新MacBook
セリーナ・チェン氏は「前四半期は、これまででMacがもっとも売れた3か月間でした。全世界で300万台を売り上げました」と語る。実際に米アップルが発表した09年度第4四半期(7-9月)の業績は、対前年同期比で売上高で約25%増、純利益は約46%増、Macの出荷台数でも約17%増という極めて好調なものだった。
年末商戦に向けて、その好調をさらに伸ばしていこうと発表されたのが今回の新製品群だ。10月22日のWindows 7の発売日直前にぶつけてきたあたり、アップルの本気度がうかがえる。
まず、ノートブック担当のセリーナ・チェン氏に新MacBookについてうかがった。ポリカーボネート製の白いノートPC「MacBook」は、Macのエントリーモデルと位置づけられている。チェン氏によると「歴代Macの中で一番売れているモデル」だという。今回はそのMacBookを一新した。ボディ素材だけは従来と同じ白いポリカーボネートだが、実態は、デザインも含めほとんど上位機種の「MacBook Pro」と同じになった。
ユニボディ構造でデザインを一新した新MacBook
「ベストセラー機であるMacBookをリニューアルするに当たり、私たちがまず考えたのは、MacBook ProのユニボディデザインをMacBookにも導入しようということでした」とチェン氏は語る。新しいMacBookは、本体のキーボード面から側面にかけてのきょう体がユニボディ化されている。これにより、操作時に手に触れる部分には継ぎ目がなくなり、とても手触りが良くなった。もちろん、ユニボディの採用で剛性感も増している。本体を持ち上げたときにも、きしみ感はまったくしなくなった。
また、解像度1280×800ピクセルの13.3インチワイド液晶には、高輝度で応答性にすぐれるLEDバックライトを採用した。この点でもMacBook Proと同じだ。LEDバックライトの採用で、従来のMacBookと比べてモニタ側の厚みが薄くなるともに、モニタを閉じたときの一体感も高まった。
「ユニボディとLEDバックライトの採用で、新しいMacBookは、ボディの周囲を絞り込んだ丸みのあるデザインにすることができました。これは、手に持ったときに自然にフィットすることを意識しています。どのような持ち方をしても、しっかりホールドできるようにデザインされています。また、カバンへの出し入れもしやすくなっています」(同氏)。
バッテリーは内蔵式に、ラバー底は滑り止め効果抜群
従来のMacBookはバッテリーが交換可能な外付け式だったが、新しいMacBookでは、バッテリーは内蔵式に変わった。これもMacBook Proと同じ仕様だ。内蔵バッテリーは、最長7時間の長時間駆動を実現し、最大1000回の充電が可能だという。チェン氏によると「内蔵バッテリーにしたことで、ボディ底面の開口部がなくなり、剛性感がさらに増しています。また、最大1000回の充電は、通常の使用であれば5年程度は保つ計算です」とのこと。さすがに5年が過ぎれば、買い替え時期ということだろう。
バッテリーを内蔵したことで、ボディ底面全体が1枚のラバー素材に変わっている。従来のようなゴム足はなくなったが、底面全体をラバーにすることで、「ひざの上に乗せて使うときや、飛行機の機内でテーブルに乗せて使うときなど、滑らずに安定して操作することができる」わけだ。このラバー底は、8本のネジでユニボディ本体に装着されている。ユーザーがこのネジを外して、メモリやHDDを自分で交換することは……「大丈夫、できますよ。私自身、何度もやっていますから」とチェン氏は笑った。
きょう体の裏面には滑り止めのラバー加工が施されて使い勝手もいい
新しいMacBookは、MacBook Proと同様、ボタンがまったくないガラス製のマルチタッチトラックパッドを搭載している。指先のジェスチャーだけで、スクロールや回転、拡大・縮小、右クリックなどの操作が可能だ。今回のリニューアルによって、MacBookとMacBook Proは、デザイン的にも操作性の面でも完全に統一感のとれたラインアップになった。
CPUに2.26GHzのCore 2 Duoを搭載し、2GBのメモリと250GBのHDDを標準装備。NVIDIA GeForce 9400Mグラフィックスプロセッサ、2層記録対応の8倍速のスーパードライブ、IEEE802.11a/b/g/nに準拠した無線LAN機能も搭載する新MacBook。これだけのフル装備で、しかも価格は9万8800円となれば、コストパフォーマンスは非常に高い。初めてMacを使う人に勧める最初の1台としてピッタリだろう。
しかも、モバイルPCとしても十分な性能と耐久性を備えているので、2台目、3台目のノートPCとしても活用できる。今後13.3インチのMacは、アルミの感触がお好みならMacBook Pro(新MacBookより2万円割高になるが)を選び、白いカラーがお気に入りならMacBookを選ぶ、ということになりそうだ。
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サーバーとしての使い勝手がアップしたMac mini
続いて、「Mac mini」「iMac」「Magic Mouse」については、デスクトップ担当のグレッグ・スメルツァ氏にうかがった。「Mac mini」は、モニタ分離型のデスクトップ製品に位置づけられる。モニタとキーボードが付属しない代わりに、価格を大幅に抑えたMacだ。新しいMac miniは、CPUがより高速になり、メモリとHDDが増強された。2.26GHzのCore 2 Duo、メモリ2GB、HDD160GBを搭載するモデルが6万2900円で、2.53GHzのCore 2 Duo、メモリ4GB、HDD320GBを搭載するモデルが8万4900円だ。
サーバー仕様も用意された新Mac mini
スメルツァ氏は、「Mac miniは、手ごろな価格でMac OS XとiLifeを手に入れることができるMacですが、そのコンパクトなきょう体を生かして、これまでスモールオフィスや家庭でサーバーとして使われているケースも多かったのです。そこで私たちは、最初からサーバーとして使っていただけるモデルを用意しました」と今回の新製品を紹介してくれた。
サーバー仕様のMac miniは、2層記録対応の8倍速のスーパードライブを搭載しない代わりに500GBのHDDを2基搭載し、メモリは4GB、さらにOSにはサーバー用のMac OS X Server v10.6 Snow Leopardをプリインストールした。Mac OS X Serverは、クライアントとしてMacとWindows PCが混在した環境でも情報の共有が可能で、ユーザーを無制限に追加(追加ライセンス料は不要)できるうえ、クライアントMacのリモートコントロール機能も備えている。価格は10万4900円。サーバー用のMacが10万円で用意できるなど、ひと昔前までは考えられなかったことだ。小規模事業者なら、サーバー仕様のMac miniを導入することで、業務の効率化やシステム関連費のコストダウンが図れるのではないだろうか。
iMacはディスプレイが大型化、最大27インチに!
液晶モニタ一体型デスクトップPC「iMac」は、今回のリニューアルでディスプレイサイズが一新された。より大画面、高解像度になり、画面のアスペクト比も16:9となっている。ラインアップは、1920×1080ピクセルの21.5インチモデルと、2560×1440ピクセルの27インチモデルに分けられる。
アルミきょう体で一層スマートなデザインになった新iMac
アスペクト比が16:9となったことによって、液晶モニタはやや横長スタイルが強調された感じだ。従来は、ガラスパネルがアルミきょう体にはめ込まれるかたちだったが、新iMacでは、ガラスパネルが前面をおおうデザインに変わった。また、アップルのロゴ(りんごマーク)が付く液晶モニタ下部の上下幅が狭くなっている。従来製品ではこの部分の幅が広く、液晶モニタを見上げるような印象が強かったが、新iMacでは、机の上でのモニタ位置の納まりが格段に良くなったように思う。
「新iMacは、21.5インチと27インチの両方とも、LEDバックライトを採用した液晶ディスプレイで、IPS(In-Plane Switching)パネルを採用しています。これにより、どの角度から見ても画面の色の一貫性が保たれるようになりました」と語るスメルツァ氏。視野角は、水平・垂直ともに178度を確保しているという。
iMacにもついにクアッドコアプロセッサが登場! GPUも選択可能
液晶パネル以外の部分で、新iMacのグラフィック性能のスペックアップに貢献しているのが、グラフィックプロセッサの存在だ。21.5インチモデルでは、オンボードのNVIDIA GeForce 9400Mグラフィックプロセッサ以外に、256MBの専用メモリを搭載したATI Radeon HD 4670グラフィックプロセッサの選択が可能になっている。27インチモデルでは、512MBの専用メモリを搭載したさらにハイスペックなATI Radeon HD 4850 グラフィックプロセッサを選択することもできる。iMacで3Dゲームを楽しむとか、ビデオや写真の編集をサクサク快適に行いたい場合には、BTOでよりスペックの高いグラフィックプロセッサを選んでおくとよいだろう。
新しいiMacでは、CPUも一新した。「21.5インチの最下位モデルに、従来の最上位モデルに搭載していた3.06GHz Intel Core 2 Duoプロセッサを搭載しています。今回のリニューアルで、Intel Core 2 Duoプロセッサの上限は3.33GHzまで引き上げられています。一方、27インチモデルには、iMacでは初のアッドコアプロセッサ、2.66GHz Intel Core i5 プロセッサを搭載しました」とスメルツァ氏。Intel Core i5 プロセッサは、1つのCPU内部に4つのコアを持ち、Turbo Boostテクノロジーによって、使用するコア数を減らす代わりにCPUのクロックスピードをアップ(2.66GHzを最大3.2GHzに)することができる最新のデスクトップCPUだ。
これまでMacでは、プロ用の「Mac Pro」にのみ、クアッドコアプロセッサ(Intel Xeon プロセッサ)が搭載されてきたが、コンシューマ向けのiMacでも、いよいよクアッドコアの恩恵にあずかれるようになったのである。さらにうれしいことに、27インチモデルではBTOで、2.8GH Intel Core i7 プロセッサも選択可能となっている。Intel Core i7 プロセッサは、開発コード名“Nehalem”と呼ばれるクアッドコアプロセッサで、これはMac Proが搭載するIntel Xeonプロセッサに次ぐ極めて高性能なCPUなのである。また、新iMacは、4つのメモリスロットを備え、最大16GBまでのメモリが搭載可能だ。もはやプロ向けと言っても過言ではないスペックを備えている。
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Snow Leopardだから存分に性能を引き出せる
クアッドコアプロセッサの搭載と、4GBを超えるメモリのサポートは、マルチコアのパフォーマンスを存分に引き出せる64bit化が進んだ最新OS、Mac OS X v10.6 Snow Leopardの存在抜きには実現しなかっただろう。
ちなみに、新iMacでは、背面が従来の黒いポリカーボネートから、アルミに変わっている。クアッドコアプロセッサの搭載などで排熱効果が気になるところだが、「その点はまったく問題ない」とスメルツァ氏。「27インチの大型モニタを支え、画面周辺まで均一な平面性を保つことを考慮して、より強度の高いアルミを採用した」のだそうだ。
発売直後から販売好調な最新OS、Mac OS X v10.6 Snow Leopard
新しいiMacは、21.5インチの最下位モデルが11万8800円、27インチモデルは、3.06GHzのCore 2 Duo、ATI Radeon HD 4670グラフィックスプロセッサを搭載するモデルが16万8800円、2.66GHzのCore i5、ATI Radeon HD 4850グラフィックスプロセッサを搭載する最上位モデルが19万8800円。プラス1万9200円で、Core i5をCore i7にすることもできる。27インチの大型モニタで、Intel Core i7 プロセッサとATI Radeon HD 4850グラフィックスプロセッサ、1TBのHDDを搭載するデスクトップマシンが20万円ちょっとで買えるわけだ。
Magic Mouseはマルチタッチで操作する新発想のマウス
新iMacにもれなく付いているのが、コンパクトな「Apple Wireless Keyboard」と、世界初のマルチタッチマウスである「Magic Mouse」だ。Bluetooth接続で使用するWireless Keyboardは、これまでオプション扱いだったが、初めて標準装備となった。マウスも無線接続になり、新iMacでは、標準の状態では電源ケーブルが1本、本体につながっているだけで、ほかにはケーブルは何もいらないというシンプルな使用環境が実現した。
ボタンも何もない美しい形に仕上がったMagic Mouse
注目すべきは、やはり「Magic Mouse」だろう。ボタンやホイール、ボールなどの可動部は一切ない。本体上部全体そのものがタッチパッドになっており、左クリックに加えて、右クリックやスクロール、スワイプなどの操作が可能になった。そうした操作を実現しているのが、マルチタッチテクノロジーだ。iPhoneやiPod touchで実現したマルチタッチテクノロジーを、「これはマウスにも応用できるのでは?」と考えて、実際にみごとなパッケージングで製品化してしまうところが、なんともアップルらしい。しかも、誰もまねできないような美しいデザインを創り出してしまうのは、まさしくアップルならではの“Magic”と言えるだろう。
スメルツァ氏によれば、「Magic Mouseは、マウスの表面が端から端までタッチセンサーになっています。iPhoneと同じように慣性スクロールに対応しているので、指先の動きに応じて、スクロール速度も変化します。クリックとダブルクリックは、マルチタッチ表面のどこをクリックしても行えますし、右クリックと左クリックの判別もできます。無線接続はBluetoothで、電源は単3形乾電池2本。使用しないときは、自動的に省電力モードに切り替わるので、一般的な使用では約4か月は電池が保つ計算です」とのこと。
「Magic Mouse」の操作性のすばらしさは、とにかく1度触ってみればわかるはず。目からウロコというか、「そうか、マウス自体がマルチタッチになればこんなに快適なんだ!」と感心してしまうことだろう。
最新技術とコストパフォーマンスの高さが際立つMac
新しい「MacBook」「Mac mini」「iMac」そして「Magic Mouse」は革新的で、とてもエキサイティングな製品だ。しかも、いかにもアップルらしく、どこからどう見ても惚れ惚れするほど“美しい”。5万円以下でもPCが買える昨今、価格だけ見れば「Macは高い」と思われるかもしれないが、その中身を知れば知るほど、「これでは安すぎるのでは?」と思えてくるくらい、今回発表された製品はどれもコストパフォーマンスの高さが際立っている。仕事でも遊びでも、大切な自分の時間をサポートしてくれる相棒足りうる存在としてPCを考えるなら、Macは、間違いなくその思いに答えてくれる存在である。(フリーライター・中村光宏)
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