ついに始まった新時代の無線通信規格「モバイルWiMAX」とは?
外出先でもPCをネットにつないで利用するには、公衆無線LANや携帯電話網を使ったデータ通信サービスなどを利用するというのがこれまで一般的な選択肢だった。しかし、7月1日にUQコミュニケーションズが開始した新たな無線通信サービス「モバイルWiMAX」が、高速通信を可能にする新しい選択肢として注目を集めている。
「モバイルWiMAX」を一言で言うなら「移動中でもブロードバンド並みの速度と料金でデータ通信できる技術」。KDDIやインテルなどが出資したUQコミュニケーションズにより、7月1日から正式なサービスが開始されており、その特徴としては大きく3点が挙げられる。
まず1つ目が高速な通信が可能だという点。UQコミュニケーションズが開始したモバイルWiMAXサービスでは、下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsでの通信が可能になる。これはイー・モバイルが提供しているデータ通信サービス「HSPA+」の下りの理論値21Mbpsと比較するとかなり速い。ちなみにUQコミュニケーションズでは、通信速度のさらなる向上を予定しており、最大80Mbpsまで拡張できるとしている。
2つ目が高速な移動体にも対応できる点だ。IEEE 802.16eの規格では、時速120kmでの移動時でも通信が可能とされているが、UQコミュニケーションズが行った実験によれば、時速200kmの移動時でも最大10数Mbpsの通信が可能だったという。
3つ目が、ひとつの基地局でカバーできる範囲が、無線LANに比べて広いこと。技術的には最大半径3kmまでアクセス可能で、移動するたびに逐次ホットスポットなどを探す必要がある無線LANよりも、通信の利便性が高いといえる。
そもそも、WiMAXとは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略で、IEEEによる標準規格802.16-2004をもとにした高速無線通信規格の名称だ。そして、このWiMAXを元にして、モバイル通信へ適応するための変更を施した規格がモバイルWiMAX(IEEE 802.16e)。無線LANにはない継続的な通信性と、データ端末を利用した場合よりも数段速い通信速度をあわせもつのが特徴で、まさに次世代の無線通信サービスといえるだろう。
さて、ここからはどうすればこのモバイルWiMAXを利用できるかについて説明しよう。
基本的に、データカードなどを購入し、サービス提供会社と契約するだけで利用できるが、このとき契約する会社を複数の中から選択できる。実は、現在日本国内向けにモバイルWiMAXサービスを提供しているのはUQコミュニケーションズだけではない。自前の回線網を保有しているのはUQコミュニケーションズのみなのだが、同社はこの回線を他社にも開放している。
そして、現在同社からこの回線を借り受けて、ニフティ、NECビッグローブ、KDDI、ヤマダ電機、ビックカメラ、ダイワボウ情報システムといった各社もモバイルWiMAXサービスを展開している。ユーザーは端末を購入した後に、専用サイト「WiMAX総合ポータル」にアクセスして、任意の会社と契約を行える仕組みだ。
★次ページでは、モバイルWiMAXサービス提供会社と月額料金を紹介!
___page___
気になる利用料金だが、UQコミュニケーションズと契約する場合は、まず初期費用として2835円が必要。その後は月額4480円の定額制プラン「UQ Flat」や、1日(24時間)600円でサービスを利用できる「UQ 1 Day」などのプランが利用できる。また、自分の住んでいる地域でサービスを利用できるかを知りたいというユーザー向けに「UQ WiMAX」対応のデータ通信カードを15日間貸し出し、同サービスを無料で体験できる「Try WiMAX」などのサービスもある。
なお、初期費用や月々の利用料金に関しては、契約する各社ごとに違う部分もあるので、詳しくは以下の表を参考にしてほしい。
WiMAXサービスに対応した機器としては、サービス提供各社が専用に用意したもののほか、NECアクセステクニカやアイ・オー・データ機器などからも販売されており、各社のサイトや量販店などで購入できる。また、パナソニックや東芝などのPCメーカーでは、WiMAX用のモジュールを内蔵したPCを販売しており、そちらを購入した場合も、端末購入時と同様の手続きでサービスを利用できる。
専用端末もしくはモジュール内蔵PC、どちらを選択した場合でも、基本的には無線LANやデータ通信サービスと同様、非常に簡単なステップで利用可能になる。
さて、ここまではモバイルWiMAXの利便性を紹介してきたが、現在唯一のネックといえるのがサービスエリアだろう。7月1日のサービス開始時点での対応エリアは、東京23区、横浜、川崎に加え、名古屋・京阪神などで、若干物足りない感がある。しかし、今後順次拡大していく予定で、同社によると、09年度末には政令指定都市と全国主要都市で利用可能にし、12年度末までに人口カバー率を90%にするという。
これまでは、ブロードバンドというと家庭のPCでしか使えないというイメージがあったが、モバイルWiMAXを利用すれば、外出時でも高速で安定した通信環境を確保できる。いつでも、どこでもつながるブロードバンド環境を実現するサービスといえるだろう。ワイヤレスブロードバンド環境は、将来的な社会インフラとして重視される分野でもあり、その先駆けとして登場したモバイルWiMAXについても今後の拡大に期待したい。(BCN・山田五大)
次世代の通信規格モバイルWiMAXとは?
「モバイルWiMAX」を一言で言うなら「移動中でもブロードバンド並みの速度と料金でデータ通信できる技術」。KDDIやインテルなどが出資したUQコミュニケーションズにより、7月1日から正式なサービスが開始されており、その特徴としては大きく3点が挙げられる。
まず1つ目が高速な通信が可能だという点。UQコミュニケーションズが開始したモバイルWiMAXサービスでは、下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsでの通信が可能になる。これはイー・モバイルが提供しているデータ通信サービス「HSPA+」の下りの理論値21Mbpsと比較するとかなり速い。ちなみにUQコミュニケーションズでは、通信速度のさらなる向上を予定しており、最大80Mbpsまで拡張できるとしている。
2つ目が高速な移動体にも対応できる点だ。IEEE 802.16eの規格では、時速120kmでの移動時でも通信が可能とされているが、UQコミュニケーションズが行った実験によれば、時速200kmの移動時でも最大10数Mbpsの通信が可能だったという。
3つ目が、ひとつの基地局でカバーできる範囲が、無線LANに比べて広いこと。技術的には最大半径3kmまでアクセス可能で、移動するたびに逐次ホットスポットなどを探す必要がある無線LANよりも、通信の利便性が高いといえる。
そもそも、WiMAXとは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略で、IEEEによる標準規格802.16-2004をもとにした高速無線通信規格の名称だ。そして、このWiMAXを元にして、モバイル通信へ適応するための変更を施した規格がモバイルWiMAX(IEEE 802.16e)。無線LANにはない継続的な通信性と、データ端末を利用した場合よりも数段速い通信速度をあわせもつのが特徴で、まさに次世代の無線通信サービスといえるだろう。
始め方は簡単 どこと契約するかがポイント!?
さて、ここからはどうすればこのモバイルWiMAXを利用できるかについて説明しよう。
基本的に、データカードなどを購入し、サービス提供会社と契約するだけで利用できるが、このとき契約する会社を複数の中から選択できる。実は、現在日本国内向けにモバイルWiMAXサービスを提供しているのはUQコミュニケーションズだけではない。自前の回線網を保有しているのはUQコミュニケーションズのみなのだが、同社はこの回線を他社にも開放している。
そして、現在同社からこの回線を借り受けて、ニフティ、NECビッグローブ、KDDI、ヤマダ電機、ビックカメラ、ダイワボウ情報システムといった各社もモバイルWiMAXサービスを展開している。ユーザーは端末を購入した後に、専用サイト「WiMAX総合ポータル」にアクセスして、任意の会社と契約を行える仕組みだ。
ビックカメラのモバイルWiMAXサービス開始イベントの様子
(左から)宮嶋宏幸・ビックカメラ代表取締役社長と
田中孝司・UQコミュニケーションズ代表取締役社長
(左から)宮嶋宏幸・ビックカメラ代表取締役社長と
田中孝司・UQコミュニケーションズ代表取締役社長
★次ページでは、モバイルWiMAXサービス提供会社と月額料金を紹介!
___page___
気になる利用料金だが、UQコミュニケーションズと契約する場合は、まず初期費用として2835円が必要。その後は月額4480円の定額制プラン「UQ Flat」や、1日(24時間)600円でサービスを利用できる「UQ 1 Day」などのプランが利用できる。また、自分の住んでいる地域でサービスを利用できるかを知りたいというユーザー向けに「UQ WiMAX」対応のデータ通信カードを15日間貸し出し、同サービスを無料で体験できる「Try WiMAX」などのサービスもある。
なお、初期費用や月々の利用料金に関しては、契約する各社ごとに違う部分もあるので、詳しくは以下の表を参考にしてほしい。
提供会社 | サービス名 | 初期費用 | 月額料金 | 備考 |
---|---|---|---|---|
UQコミュニケーションズ | UQ WiMAX | 2835円 | 4480円 | 24時間単位の「UQ 1Day」プランも提供 |
ニフティ | @nifty WiMAX | 2835円 | @niftyの接続サービスを利用中の場合は月額4200円 @niftyの接続サービスを利用していない場合は月額4462.5円 | 8月31日までに利用登録し、8か月以上継続して利用したユーザーを対象に、現金1万円をキャッシュバック |
NECビッグローブ | BIGLOBE高速モバイルWiMAX | 2835円 | BIGLOBE接続サービスを利用中の場合は月額4263円 BIGLOBE接続サービスを利用していない場合は月額4473円 | |
KDDI | Business WiMAX | 3150円/回線 | 4480円/回線 | 法人向けサービス |
ヤマダ電機 | YAMADA AIR MOBILE | 2835円 | 4480円 | |
ビックカメラ | BIC WiMAX Service | 2835円 | 4480円 | 月額200円で1回線、最大3回線まで追加可能 7月中に加入した場合は、同月分の基本使用料が無料 |
ダイワボウ情報システム | DIS mobile WiMAX | 2835円 | 4480円 | |
トリプレットゲート | ワイヤレスゲート Wi-Fi+WiMAX | 2835円 | 4480円 | 2年単位の継続利用が条件の「にねんプラン」の場合、初期費用2835円、月額料金4680円 無線LANも併用可能 |
WiMAXサービスに対応した機器としては、サービス提供各社が専用に用意したもののほか、NECアクセステクニカやアイ・オー・データ機器などからも販売されており、各社のサイトや量販店などで購入できる。また、パナソニックや東芝などのPCメーカーでは、WiMAX用のモジュールを内蔵したPCを販売しており、そちらを購入した場合も、端末購入時と同様の手続きでサービスを利用できる。
(左から)WiMAXモジュール内蔵の「Let'snote F8」と「dynabook」
専用端末もしくはモジュール内蔵PC、どちらを選択した場合でも、基本的には無線LANやデータ通信サービスと同様、非常に簡単なステップで利用可能になる。
さて、ここまではモバイルWiMAXの利便性を紹介してきたが、現在唯一のネックといえるのがサービスエリアだろう。7月1日のサービス開始時点での対応エリアは、東京23区、横浜、川崎に加え、名古屋・京阪神などで、若干物足りない感がある。しかし、今後順次拡大していく予定で、同社によると、09年度末には政令指定都市と全国主要都市で利用可能にし、12年度末までに人口カバー率を90%にするという。
これまでは、ブロードバンドというと家庭のPCでしか使えないというイメージがあったが、モバイルWiMAXを利用すれば、外出時でも高速で安定した通信環境を確保できる。いつでも、どこでもつながるブロードバンド環境を実現するサービスといえるだろう。ワイヤレスブロードバンド環境は、将来的な社会インフラとして重視される分野でもあり、その先駆けとして登場したモバイルWiMAXについても今後の拡大に期待したい。(BCN・山田五大)