USB直差しICレコーダーが過半数、「録る」「聴く」最新機能と選び方
ビジネスから趣味の録音まで、さまざまな用途に使えるICレコーダー。なかでも、本体にUSB端子を装備し、ケーブルなしでPCと直接つなげるタイプが人気だ。09年1月の「BCNランキング」によると、このタイプがICレコーダー全体の54.7%と過半数を占める。そこで今回は、ICレコーダー選びのチェックポイントとともに、USB端子付きモデルの売れ筋を紹介しよう。
PCと直接接続できるUSB端子搭載モデルを、業界で初めて発売したのは三洋電機。02年9月に対応モデルを発売した後、05年3月にオリンパス、06年9月にソニーが同様の製品を投入し、普及が拡大した。USBケーブルを使わずにPCに直接差し、録音した音声データを移せる手軽さが人気の理由だ。
最近では、「PCと接続できる、できない」という基準で製品を分けて展示している量販店もあり、PCに接続できるかどうかは、ICレコーダー選びの重要ポイントの1つになっている。ちなみに、09年1月の接続方式別の販売台数構成比は、USB直差しタイプが54.7%、PCとUSBケーブルで接続できるタイプが23.2%、PC接続非対応は21.3%。つまり、8割弱がPCと接続して使用できるモデルとなる。録音した音声データをPCに移す、という観点から見ると、SD/SDHCカードやmicroSD/SDHCカードに対応したメモリカードスロット搭載モデルも便利だ。
録音する対象によって、適切な録音フォーマットを選ぶこともポイント。例えば、会議や大学の講義、講演会などを録音する場合は、MP3やWMA形式で十分だろう。一方、バンドなどの楽器演奏や鳥の鳴き声、流水音などの自然の音、SLなど乗り物の駆動音といったいわゆる「生音」を録るなら、音声を圧縮をせずに高音質で録音できるリニアPCM形式に対応するモデルの方が向いている。こうしたリニアPCMレコーダーがICレコーダー全体に占める割合は、09年1月には台数で13.8%と1割を超え、存在感が増しつつある。
どれだけ長く録音できるのかを決める、メモリ容量も重要だ。現在、ICレコーダーは内蔵メモリに音声を録音するものがほとんどで、容量は1GB・2GBが主流。1GBモデルなら、ステレオ録音でMP3形式、音声の圧縮量を示すビットレートが128kbpsの場合で、約18時間録音できる。さらに、メモリカードスロット搭載モデルならば、記録容量を増やせるほか、用途によって保存するカードを使い分けることもできる。
→次ページでは再生機能のポイント&USB端子搭載モデルのトップ10を紹介!
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一方、再生については、語学学習や講義を聴く場合は「繰り返し」「スキップ」「早聞き・遅聞き」の機能が付いていると使いやすい。同じ箇所を何度も聴いたり、聴かなくてもよい部分を飛ばしたりできる。また最近は、再生フォーマットにMP3やWMA形式を採用したモデルが多く、音楽再生やポッドキャスティングに対応するモデルもある。
さらに、変わり種として、FM/AMラジオチューナーを搭載し、ラジオの予約録音ができるモデルにも注目したい。NHKの外国語講座などを録り貯めて聴くことができ、主に中高年に人気があるようだ。このほか、外付けマイクを同梱するものや、ギターやベースなどの楽器と直接つなげる音楽用途に特化したものもあり、使い方の幅を広げている。
それでは最後に、USB端子搭載モデルに限ったICレコーダーのシリーズ別販売台数シェアトップ10を見ていこう。なお、カラーバリエーションは合算して集計した。
1位は、08年10月発売のソニーの「ICD-UX71」。本体下部にUSB端子を搭載し、キャップを外してPCのUSBポートに直接差し込める。売れている理由について、ソニー広報は「カラーは特にピンクやホワイトが女性に人気がある」としている。付属の充電池を使えばUSB経由で充電することも可能。メモリ容量は1GB。
2位は、07年9月発売のオリンパスの「V-13」。パズルのように本体をパカッと2つに分離するとUSB端子が現れる。メモリ容量は256MB。3位も同じくオリンパスで、07年3月発売の「V-51」だった。「V-13」と形状は同じで、本体を分離してUSB端子をPCに挿入する。メモリ容量は1GB。
8位には、08年4月発売の三洋電機の「ICR-PS182RM」が入った。サンプリング周波数と量子化ビット数が「44.1kHz/16bit」のリニアPCM形式に対応し、高音質で録音可能。背面には、折りたたみ式のUSB端子を装備し、PCと接続するときは端子を手前に起こして使用する。メモリ容量は1GB。
トップ10のメーカーの内訳は、オリンパスが5モデル、ソニーが3モデル、三洋電機が2モデルという結果になった。内蔵メモリの容量別に見ると、1GBが4モデル、2GBが3モデル、256MBと512MB、4GBが各1モデルと、やはり1・2GBが多い。また、リニアPCM対応は2モデルだった。
2月下旬には、主要メーカーから新製品が発売される。それらも含め、今回紹介した選び方やトレンドを参考にしながら、自分の利用スタイルに合った一台を探してみよう。ビジネスシーンだけでなくプライベートでもきっと活躍してくれるはずだ。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで123品目を対象としています。
過半数がUSBポートに直接差し込むタイプ
PCと直接接続できるUSB端子搭載モデルを、業界で初めて発売したのは三洋電機。02年9月に対応モデルを発売した後、05年3月にオリンパス、06年9月にソニーが同様の製品を投入し、普及が拡大した。USBケーブルを使わずにPCに直接差し、録音した音声データを移せる手軽さが人気の理由だ。
PCのUSBポートに直差しできるUSB端子搭載モデル
最近では、「PCと接続できる、できない」という基準で製品を分けて展示している量販店もあり、PCに接続できるかどうかは、ICレコーダー選びの重要ポイントの1つになっている。ちなみに、09年1月の接続方式別の販売台数構成比は、USB直差しタイプが54.7%、PCとUSBケーブルで接続できるタイプが23.2%、PC接続非対応は21.3%。つまり、8割弱がPCと接続して使用できるモデルとなる。録音した音声データをPCに移す、という観点から見ると、SD/SDHCカードやmicroSD/SDHCカードに対応したメモリカードスロット搭載モデルも便利だ。
リニアPCM形式が増加 メモリは1、2GBが主流 ~録音機能~
録音する対象によって、適切な録音フォーマットを選ぶこともポイント。例えば、会議や大学の講義、講演会などを録音する場合は、MP3やWMA形式で十分だろう。一方、バンドなどの楽器演奏や鳥の鳴き声、流水音などの自然の音、SLなど乗り物の駆動音といったいわゆる「生音」を録るなら、音声を圧縮をせずに高音質で録音できるリニアPCM形式に対応するモデルの方が向いている。こうしたリニアPCMレコーダーがICレコーダー全体に占める割合は、09年1月には台数で13.8%と1割を超え、存在感が増しつつある。
どれだけ長く録音できるのかを決める、メモリ容量も重要だ。現在、ICレコーダーは内蔵メモリに音声を録音するものがほとんどで、容量は1GB・2GBが主流。1GBモデルなら、ステレオ録音でMP3形式、音声の圧縮量を示すビットレートが128kbpsの場合で、約18時間録音できる。さらに、メモリカードスロット搭載モデルならば、記録容量を増やせるほか、用途によって保存するカードを使い分けることもできる。
→次ページでは再生機能のポイント&USB端子搭載モデルのトップ10を紹介!
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好きな音楽を楽しむ FM/AMラジオ対応など変わり種も ~再生機能~
一方、再生については、語学学習や講義を聴く場合は「繰り返し」「スキップ」「早聞き・遅聞き」の機能が付いていると使いやすい。同じ箇所を何度も聴いたり、聴かなくてもよい部分を飛ばしたりできる。また最近は、再生フォーマットにMP3やWMA形式を採用したモデルが多く、音楽再生やポッドキャスティングに対応するモデルもある。
(左から)ギターなどの楽器と直接つなげるティアックの「GT-R1」、
FM/AMラジオチューナーを搭載する三洋電機の「ICR-RS110MF」
FM/AMラジオチューナーを搭載する三洋電機の「ICR-RS110MF」
さらに、変わり種として、FM/AMラジオチューナーを搭載し、ラジオの予約録音ができるモデルにも注目したい。NHKの外国語講座などを録り貯めて聴くことができ、主に中高年に人気があるようだ。このほか、外付けマイクを同梱するものや、ギターやベースなどの楽器と直接つなげる音楽用途に特化したものもあり、使い方の幅を広げている。
USB直差しモデルトップ10 1位はPCで充電もできるソニー「ICD-UX71」
順位 | メーカー | シリーズ | 発売月 | メモリ容量 |
---|---|---|---|---|
1 | ソニー | ICD-UX71 | 2008/10 | 1GB |
2 | オリンパス | V-13 | 2007/09 | 256MB |
3 | オリンパス | V-51 | 2007/03 | 1GB |
4 | オリンパス | V-41 | 2007/09 | 512MB |
5 | オリンパス | V-61 | 2007/03 | 2GB |
6 | ソニー | ICD-UX81 | 2008/10 | 2GB |
7 | オリンパス | DS-51 | 2008/10 | 1GB |
8 | 三洋電機 | ICR-PS182RM | 2008/04 | 1GB |
9 | 三洋電機 | ICR-PS185RM | 2008/04 | 2GB |
10 | ソニー | ICD-UX91 | 2008/10 | 4GB |
※カラーバリエーションは合算して集計
「BCNランキング」09年1月 月次 <最大パネル>
それでは最後に、USB端子搭載モデルに限ったICレコーダーのシリーズ別販売台数シェアトップ10を見ていこう。なお、カラーバリエーションは合算して集計した。
1位は、08年10月発売のソニーの「ICD-UX71」。本体下部にUSB端子を搭載し、キャップを外してPCのUSBポートに直接差し込める。売れている理由について、ソニー広報は「カラーは特にピンクやホワイトが女性に人気がある」としている。付属の充電池を使えばUSB経由で充電することも可能。メモリ容量は1GB。
ソニーの「ICD-UX71」
2位は、07年9月発売のオリンパスの「V-13」。パズルのように本体をパカッと2つに分離するとUSB端子が現れる。メモリ容量は256MB。3位も同じくオリンパスで、07年3月発売の「V-51」だった。「V-13」と形状は同じで、本体を分離してUSB端子をPCに挿入する。メモリ容量は1GB。
(左から)オリンパスの「V-13」と「V-51」
8位には、08年4月発売の三洋電機の「ICR-PS182RM」が入った。サンプリング周波数と量子化ビット数が「44.1kHz/16bit」のリニアPCM形式に対応し、高音質で録音可能。背面には、折りたたみ式のUSB端子を装備し、PCと接続するときは端子を手前に起こして使用する。メモリ容量は1GB。
三洋電機の「ICR-PS182RM」
トップ10のメーカーの内訳は、オリンパスが5モデル、ソニーが3モデル、三洋電機が2モデルという結果になった。内蔵メモリの容量別に見ると、1GBが4モデル、2GBが3モデル、256MBと512MB、4GBが各1モデルと、やはり1・2GBが多い。また、リニアPCM対応は2モデルだった。
2月下旬には、主要メーカーから新製品が発売される。それらも含め、今回紹介した選び方やトレンドを参考にしながら、自分の利用スタイルに合った一台を探してみよう。ビジネスシーンだけでなくプライベートでもきっと活躍してくれるはずだ。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで123品目を対象としています。