今年の電子辞書は使いやすさに注目、主要2社の新製品から見るトレンド
1月初旬、電子辞書が最も売れる春に向けて、各社が新製品を発表した。今年の電子辞書は、カシオ計算機に続き、シャープの製品がサブパネルに加えてメインパネルもタッチ操作に対応し、使い勝手がよくなっている。そこで、両社の新製品を中心に、今年の電子辞書のトレンドを探る。
電子辞書の市場をリードするのは、カシオ計算機とシャープの2社だ。08年1-12月の電子辞書のメーカー別販売台数シェアを見ると、カシオ計算機が53%、シャープが30.3%と、この2社が市場の80%以上のシェアを占めている。
今回、カシオ計算機は7機種、シャープは2機種の新製品を発表し、両社の全機種で「手書き用パッド」だけでなく、メインパネルもタッチ操作に対応する「ツインタッチパネル」を採用している。この主要2社が搭載した「ツインタッチパネル」は、これから電子辞書の標準になっていくのではないだろうか。
08年1月、カシオ計算機が初めてツインタッチパネルを採用したモデルを発売。それに続くように、シャープが08年12月にツインタッチパネル採用モデルを発売した。それまで電子辞書のタッチパネルといえば、メインパネルとは別に「手書き用パッド」が存在し、それに付属のペンで書き込んだ漢字や単語を検索できるものが主流だった。それがツインタッチパネルになったことで、電子辞書の使い勝手がさらに向上している。
いち早くツインタッチパネルを採用し、両パネルでの漢字の手書き検索に対応したカシオ計算機は、今回新たに「メニュー」「音声」「ジャンプ」など、使用頻度の高い機能をタッチ操作で実行できる「クイックパレット」をメインパネルに装備。「音声」をタッチ後に英単語をタッチすれば、ネイティブ発音で読み上げるなど、一連の操作がスムーズに行えるようになった。
一方、シャープは、カラー液晶を採用。カシオ計算機の「ツインタッチパネル」と違うのは、黒、青、ピンク、緑の4色の文字でメインパネルに紙の辞書のように自由に書き込みができることだ。書き込んだ内容は最大100件まで保存可能。また、表示された文字列をペンでなぞると「マーカーを引く」「音声再生」など、使用できる機能を表示してくれる。マーカーは重要度や種類ごとに5色に色分けして引ける。
さらに両社が発表した新製品は、ほかにも便利な機能を搭載している。カシオ計算機は新製品全てに、傾きを検知するアクションセンサーを内蔵。本体を縦に持てば、テキストを縦書き表示で読むことができる。画面を左右に傾けることでページ送りも可能。お気に入りの小説をPCの専用サイトからダウンロードすれば、文庫の役割も果たしてくれる。また、ボディを相手側に傾ければ、10か国語の旅行会話集の例文を相手側に向けて表示し、海外旅行の際に活用できる。
シャープは、新製品全てに地図や写真で直接検索できる「カラー図鑑」機能を搭載する。植物や動物といったカテゴリを選択すると、該当する写真を表示。気になる写真を選択すれば、写真から逆引きして名称や意味を調べることができる。さらに、microSDカードに保存した写真データを取り込み、スライドショー表示してデジタルフォトフレームのように使えるなど、カラー液晶を生かした機能が豊富だ。
カシオ計算機は実用的な機能を搭載し、使いやすさを追求、シャープはメインパネルの手書きの自由度が高く、またエンターテイメント性も備えた製品といえる。
では最後に、各社の主な新モデルを紹介しよう。カシオ計算機の「XD-SF4800」は、高校生モデルとして初めて、英語・国語・社会・理科・数学の学習教材を含む100コンテンツを収録。リズムに合わせて単語を発音し、英語特有のアクセントを身につけることができる「キクタン」や、正確な発音時の口の形を図で示す「英語の発音がよくなる本」など、英語リスニング教材を拡充した。
同じくカシオの中国語モデル「XD-GF7350」は、親字1万5312語・熟語約10万語の情報量を誇る中中辞典「現代漢語大詞典」や、科学・経済・法律をはじめ多彩な分野の専門用語を網羅する中英辞典「漢英大辞典」、見出し語約22万語を収録し文法や用法も充実する英中辞典「英漢大詞典」の中国語大辞典3種類を含む、16種類の中国語コンテンツを収録。また、標準語・上海語・広東語・台湾語のネイティブ発音が聞ける中国語会話集も収録する。
シャープの総合モデル「PW-AC890」は、カラーの図表に加え、鳥の鳴き声やクラシック音楽、民謡の演奏などの音声ファイルを収録した「広辞苑第六版」、世界173か国500名所を写真とユニークな視点で解説した「いつかは行きたい 一生に一度だけの旅BEST500」など、暮らしに幅広く役立つ100コンテンツを収録する。
そのほか、上位2社以外にも、キヤノンとセイコーインスツルが新製品を発表している。キヤノンの中国語モデル「wordtank V923」は、業界で初めて、約1000語の意味や用法を分析・解説した「中国語文法用例辞典」と、言葉のニュアンスの違いや使い分けを解説した「中国語類義語活用辞典」を搭載する。
セイコーインスツルの「SR-S9001」は、新製品の中で唯一の大学生向けモデル。「公務員試験」「行政書士試験」「宅建試験」の問題集や、就職試験が採用する「SPI2」の対策ドリル「史上最強のSPI2対策ドリル」など、就職に役立つコンテンツを備える。
日々の学習、調べものから旅行まで、常に身近に置いておきたい電子辞書。だからこそ、使いやすさが重要になってくる。今年は、自分が必要としているコンテンツが入っているのかはもちろん、使い勝手にも注目して、自分にピッタリの電子辞書を選びたい。(BCN・武井美野里)
今年は「メイン画面」にも書ける「ツインタッチパネル」が浸透
電子辞書の市場をリードするのは、カシオ計算機とシャープの2社だ。08年1-12月の電子辞書のメーカー別販売台数シェアを見ると、カシオ計算機が53%、シャープが30.3%と、この2社が市場の80%以上のシェアを占めている。
今回、カシオ計算機は7機種、シャープは2機種の新製品を発表し、両社の全機種で「手書き用パッド」だけでなく、メインパネルもタッチ操作に対応する「ツインタッチパネル」を採用している。この主要2社が搭載した「ツインタッチパネル」は、これから電子辞書の標準になっていくのではないだろうか。
08年1月、カシオ計算機が初めてツインタッチパネルを採用したモデルを発売。それに続くように、シャープが08年12月にツインタッチパネル採用モデルを発売した。それまで電子辞書のタッチパネルといえば、メインパネルとは別に「手書き用パッド」が存在し、それに付属のペンで書き込んだ漢字や単語を検索できるものが主流だった。それがツインタッチパネルになったことで、電子辞書の使い勝手がさらに向上している。
いち早くツインタッチパネルを採用し、両パネルでの漢字の手書き検索に対応したカシオ計算機は、今回新たに「メニュー」「音声」「ジャンプ」など、使用頻度の高い機能をタッチ操作で実行できる「クイックパレット」をメインパネルに装備。「音声」をタッチ後に英単語をタッチすれば、ネイティブ発音で読み上げるなど、一連の操作がスムーズに行えるようになった。
「クイックパレット」
一方、シャープは、カラー液晶を採用。カシオ計算機の「ツインタッチパネル」と違うのは、黒、青、ピンク、緑の4色の文字でメインパネルに紙の辞書のように自由に書き込みができることだ。書き込んだ内容は最大100件まで保存可能。また、表示された文字列をペンでなぞると「マーカーを引く」「音声再生」など、使用できる機能を表示してくれる。マーカーは重要度や種類ごとに5色に色分けして引ける。
4色の文字で自由に書き込みができる
タッチパネルだけでは終わらない、独自の便利な機能
さらに両社が発表した新製品は、ほかにも便利な機能を搭載している。カシオ計算機は新製品全てに、傾きを検知するアクションセンサーを内蔵。本体を縦に持てば、テキストを縦書き表示で読むことができる。画面を左右に傾けることでページ送りも可能。お気に入りの小説をPCの専用サイトからダウンロードすれば、文庫の役割も果たしてくれる。また、ボディを相手側に傾ければ、10か国語の旅行会話集の例文を相手側に向けて表示し、海外旅行の際に活用できる。
本体を縦にすると、テキストが縦書き表示になる
シャープは、新製品全てに地図や写真で直接検索できる「カラー図鑑」機能を搭載する。植物や動物といったカテゴリを選択すると、該当する写真を表示。気になる写真を選択すれば、写真から逆引きして名称や意味を調べることができる。さらに、microSDカードに保存した写真データを取り込み、スライドショー表示してデジタルフォトフレームのように使えるなど、カラー液晶を生かした機能が豊富だ。
地図や写真で直接検索できる「カラー図鑑」
カシオ計算機は実用的な機能を搭載し、使いやすさを追求、シャープはメインパネルの手書きの自由度が高く、またエンターテイメント性も備えた製品といえる。
充実のコンテンツ、各社の新製品ラインアップ
では最後に、各社の主な新モデルを紹介しよう。カシオ計算機の「XD-SF4800」は、高校生モデルとして初めて、英語・国語・社会・理科・数学の学習教材を含む100コンテンツを収録。リズムに合わせて単語を発音し、英語特有のアクセントを身につけることができる「キクタン」や、正確な発音時の口の形を図で示す「英語の発音がよくなる本」など、英語リスニング教材を拡充した。
左=カシオ計算機の高校生モデル「XD-SF4800」(ホワイト)
右=中国語モデル「XD-GF7350」
同じくカシオの中国語モデル「XD-GF7350」は、親字1万5312語・熟語約10万語の情報量を誇る中中辞典「現代漢語大詞典」や、科学・経済・法律をはじめ多彩な分野の専門用語を網羅する中英辞典「漢英大辞典」、見出し語約22万語を収録し文法や用法も充実する英中辞典「英漢大詞典」の中国語大辞典3種類を含む、16種類の中国語コンテンツを収録。また、標準語・上海語・広東語・台湾語のネイティブ発音が聞ける中国語会話集も収録する。
シャープの総合モデル「PW-AC890」は、カラーの図表に加え、鳥の鳴き声やクラシック音楽、民謡の演奏などの音声ファイルを収録した「広辞苑第六版」、世界173か国500名所を写真とユニークな視点で解説した「いつかは行きたい 一生に一度だけの旅BEST500」など、暮らしに幅広く役立つ100コンテンツを収録する。
シャープの総合モデル「PW-AC890」(ライトベージュ)
そのほか、上位2社以外にも、キヤノンとセイコーインスツルが新製品を発表している。キヤノンの中国語モデル「wordtank V923」は、業界で初めて、約1000語の意味や用法を分析・解説した「中国語文法用例辞典」と、言葉のニュアンスの違いや使い分けを解説した「中国語類義語活用辞典」を搭載する。
左=キヤノンの中国語モデル「wordtank V923」
右=セイコーインスツルの「SR-S9001」
セイコーインスツルの「SR-S9001」は、新製品の中で唯一の大学生向けモデル。「公務員試験」「行政書士試験」「宅建試験」の問題集や、就職試験が採用する「SPI2」の対策ドリル「史上最強のSPI2対策ドリル」など、就職に役立つコンテンツを備える。
日々の学習、調べものから旅行まで、常に身近に置いておきたい電子辞書。だからこそ、使いやすさが重要になってくる。今年は、自分が必要としているコンテンツが入っているのかはもちろん、使い勝手にも注目して、自分にピッタリの電子辞書を選びたい。(BCN・武井美野里)