「ダビング10」本日スタート、一体何が変わる?
突然の延期もあって難産になってしまった「ダビング10」だが、いよいよ今日、午前4時にスタートした。これでデジタル放送番組のコピー制限が大幅に緩和された。しかしその内容は複雑でわかりにくい。そこで、そもそも「ダビング10」とはどういうものなのか。ユーザーはどう対応すればいいのかなど、「ダビング10」についてまとめた。
●コピー9回とムーブ1回で、あわせてダビング10
「ダビング10」とは、HDDに録画したデジタル放送の番組を、DVDやブルーレイディスク(BD)、メモリカードなどに9回まで「コピー」でき、最後の1回は「ムーブ」できるコピー制限のこと。「コピー」では、録画した番組データはHDDに残るが、「ムーブ」では、BDなどに番組が保存された時点でHDDのデータは削除される。つまり番組データがHDDからBDなどに移動(ムーブ)するわけだ。
また、HDDに録画した番組のみ適応されるので、BDなどに直接録画した場合は適応されない。そのため、一度HDDからDVDメディアやメモリカードにコピーした番組を、さらに違うディスクにコピーする「孫コピー」はできない。
一方「ダビング10」では、アナログ出力でのコピーが大幅に緩和された。各レコーダーにはアナログ出力端子が搭載されているが、従来はこの端子経由のアナログコピーは禁止されていた。しかし「ダビング10」ではこれがなくなり、デジタル出力のように「10回まで」という回数制限もなくなった。しかし、アナログ出力の場合もコピーしたBDなどからの孫コピーはできない。
「ダビング10」が実施されるまでは、「コピーワンス」というコピー制限が設けられていた。しかし「コピー」の解釈が異なっており、デジタル放送をHDDに録画した時点で1回目のコピーとカウントするため、実際は「1回だけ放送をHDDなどに録画(コピー)できる」制度だった。したがって、HDDに録画した番組をDVDなどのディスクに保存しようとすると、「コピー」ではなく「ムーブ」しなければならなかった。つまり、元データは削除されてしまうのだ。
この制限が少なからず悲劇を生んだ。録画データをディスクに移動する際に、DVDなどへの保存に失敗してしまうと、HDDにもDVDにも番組データが残らず、結局消失してしまう。失敗を恐れるあまり、DVDなどのディスクには番組を移さずにずっとHDDだけで視聴するという例もあったようだ。
「ダビング10」では、9回の猶予が与えられたことでデータ紛失のリスクはほとんどなくなったと言っていいだろう。ユーザーは、安心してコンテンツをBDなどに保存できるようになる。これが1番大きなユーザーのメリットだろう。
●自分の機器を「ダビング10」対応にするには
今回の「ダビング10」は、HDDを搭載したテレビ、レコーダー、PCが対象になる。なお、HDDを搭載しないレコーダーは「ダビング10」の対象にはならない。従来通りコピーワンスのままだ。
「ダビング10」開始は7月4日だが、当日から一斉にすべての機種が対応できるわけではない。例えば、レコーダーとテレビは、主に「放送ダウンロード」という方法で対応する。これは、放送電波でソフトのバージョンアップ情報を送り、レコーダーなどのソフトのバージョンを自動的に書き換える仕組みのこと。しかし、機種ごとに個別のプログラムを送らなければならないうえ、一度にたくさんの機種のプログラムを送信できないので、送信の順番待ちが生じる。そのため、各社・全機種を一斉に対応させることはできず、順次徐々に対応していくことになる。
基本的にレコーダーとテレビに関しては、ユーザーは特別な操作をする必要はない。しかし、電源コンセントは入れたままで、リモコンで電源オフにするスリープ状態にしておかなければならない。なお、各メーカーで運用開始時期やバージョンアップ方法が異なるので、自分の製品の情報が掲載されているメーカーのWEBサイトを一度は確認してほしい。
一方PCは、ユーザーが専用サイトから直接ソフトをダウンロードしてインストールする。こちらも各メーカー対応機種、配布日次か異なるでWEBサイトを確認してもらいたい。
「ダビング10」に対応すると、番組表に各番組が「ダビング10」対応か、「コピーワンス」のみかを選別できるようなアイコンが表示されるようになる。また、録画一覧ページでは、あと何回ダビングできるかの回数が表示される。この表示が出たら、「ダビング10」対応が完了したと考えていい。
ちなみに、「ダビング10」対応前に録画された番組は「コピーワンス」のまま。また、すべての番組が「ダビング10」に対応するわけではなく、一部のBS/CS放送や有料放送をはじめ、対応しない番組もあるので注意しよう。
●モバイル機器でコンテンツを楽しむスタイルを後押し?
コピー9回+ムーブ1回という回数にした理由は、平均的な家庭の構成人数や携帯端末機器などを考慮して決定したといわれている。通常の使用範囲では十分だろう。さて、コピーに際し、データ消失の心配がほとんどなくなったという大きなメリットのほかに、「ダビング10」はユーザーにとってどういったメリットがあるのだろうか。
複数のコピーが作れるようになることで、例えば寝室、リビング、キッチンにそれぞれ置いた複数のレコーダーで同じ番組を同時に楽しんだりすることも可能になる。兄弟が別の部屋で同じ番組を好きなときに観るといった使い方もあるだろう。
また、録画した番組を携帯電話や携帯オーディオに転送して持ち運ぶ使い方をしていたユーザーにとっても利便性が向上する。例えば、番組をBDなどに保存した後でも、まだ8回まで転送できるので安心だ。ソニーは、PSPやウォークマンへの転送を簡単にしたレコーダーを既に発表しており、東芝も液晶テレビにSDメモリカードに番組をコピーする機能を搭載している。どちらも「ダビング10」を見据えてこのような機能を用意していたという。こうしたモバイル機器との連携も、「ダビング10」開始にともなって広がっていきそうだ。(BCN・津江昭宏)
●コピー9回とムーブ1回で、あわせてダビング10
「ダビング10」とは、HDDに録画したデジタル放送の番組を、DVDやブルーレイディスク(BD)、メモリカードなどに9回まで「コピー」でき、最後の1回は「ムーブ」できるコピー制限のこと。「コピー」では、録画した番組データはHDDに残るが、「ムーブ」では、BDなどに番組が保存された時点でHDDのデータは削除される。つまり番組データがHDDからBDなどに移動(ムーブ)するわけだ。
また、HDDに録画した番組のみ適応されるので、BDなどに直接録画した場合は適応されない。そのため、一度HDDからDVDメディアやメモリカードにコピーした番組を、さらに違うディスクにコピーする「孫コピー」はできない。
一方「ダビング10」では、アナログ出力でのコピーが大幅に緩和された。各レコーダーにはアナログ出力端子が搭載されているが、従来はこの端子経由のアナログコピーは禁止されていた。しかし「ダビング10」ではこれがなくなり、デジタル出力のように「10回まで」という回数制限もなくなった。しかし、アナログ出力の場合もコピーしたBDなどからの孫コピーはできない。
「ダビング10」が実施されるまでは、「コピーワンス」というコピー制限が設けられていた。しかし「コピー」の解釈が異なっており、デジタル放送をHDDに録画した時点で1回目のコピーとカウントするため、実際は「1回だけ放送をHDDなどに録画(コピー)できる」制度だった。したがって、HDDに録画した番組をDVDなどのディスクに保存しようとすると、「コピー」ではなく「ムーブ」しなければならなかった。つまり、元データは削除されてしまうのだ。
この制限が少なからず悲劇を生んだ。録画データをディスクに移動する際に、DVDなどへの保存に失敗してしまうと、HDDにもDVDにも番組データが残らず、結局消失してしまう。失敗を恐れるあまり、DVDなどのディスクには番組を移さずにずっとHDDだけで視聴するという例もあったようだ。
「ダビング10」では、9回の猶予が与えられたことでデータ紛失のリスクはほとんどなくなったと言っていいだろう。ユーザーは、安心してコンテンツをBDなどに保存できるようになる。これが1番大きなユーザーのメリットだろう。
●自分の機器を「ダビング10」対応にするには
今回の「ダビング10」は、HDDを搭載したテレビ、レコーダー、PCが対象になる。なお、HDDを搭載しないレコーダーは「ダビング10」の対象にはならない。従来通りコピーワンスのままだ。
「ダビング10」開始は7月4日だが、当日から一斉にすべての機種が対応できるわけではない。例えば、レコーダーとテレビは、主に「放送ダウンロード」という方法で対応する。これは、放送電波でソフトのバージョンアップ情報を送り、レコーダーなどのソフトのバージョンを自動的に書き換える仕組みのこと。しかし、機種ごとに個別のプログラムを送らなければならないうえ、一度にたくさんの機種のプログラムを送信できないので、送信の順番待ちが生じる。そのため、各社・全機種を一斉に対応させることはできず、順次徐々に対応していくことになる。
基本的にレコーダーとテレビに関しては、ユーザーは特別な操作をする必要はない。しかし、電源コンセントは入れたままで、リモコンで電源オフにするスリープ状態にしておかなければならない。なお、各メーカーで運用開始時期やバージョンアップ方法が異なるので、自分の製品の情報が掲載されているメーカーのWEBサイトを一度は確認してほしい。
一方PCは、ユーザーが専用サイトから直接ソフトをダウンロードしてインストールする。こちらも各メーカー対応機種、配布日次か異なるでWEBサイトを確認してもらいたい。
「ダビング10」に対応すると、番組表に各番組が「ダビング10」対応か、「コピーワンス」のみかを選別できるようなアイコンが表示されるようになる。また、録画一覧ページでは、あと何回ダビングできるかの回数が表示される。この表示が出たら、「ダビング10」対応が完了したと考えていい。
ちなみに、「ダビング10」対応前に録画された番組は「コピーワンス」のまま。また、すべての番組が「ダビング10」に対応するわけではなく、一部のBS/CS放送や有料放送をはじめ、対応しない番組もあるので注意しよう。
●モバイル機器でコンテンツを楽しむスタイルを後押し?
コピー9回+ムーブ1回という回数にした理由は、平均的な家庭の構成人数や携帯端末機器などを考慮して決定したといわれている。通常の使用範囲では十分だろう。さて、コピーに際し、データ消失の心配がほとんどなくなったという大きなメリットのほかに、「ダビング10」はユーザーにとってどういったメリットがあるのだろうか。
複数のコピーが作れるようになることで、例えば寝室、リビング、キッチンにそれぞれ置いた複数のレコーダーで同じ番組を同時に楽しんだりすることも可能になる。兄弟が別の部屋で同じ番組を好きなときに観るといった使い方もあるだろう。
また、録画した番組を携帯電話や携帯オーディオに転送して持ち運ぶ使い方をしていたユーザーにとっても利便性が向上する。例えば、番組をBDなどに保存した後でも、まだ8回まで転送できるので安心だ。ソニーは、PSPやウォークマンへの転送を簡単にしたレコーダーを既に発表しており、東芝も液晶テレビにSDメモリカードに番組をコピーする機能を搭載している。どちらも「ダビング10」を見据えてこのような機能を用意していたという。こうしたモバイル機器との連携も、「ダビング10」開始にともなって広がっていきそうだ。(BCN・津江昭宏)