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猫の積み木が大人気、隠れたベストセラーの魅力はどこに?

特集

2008/05/05 01:15

<strong>――ゴールデンウィーク特別企画:子どもの日に「ネコの自由積木」で遊ぶ</strong><br />
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 今やおもちゃもデジタル全盛の時代だが、アナログな木の積み木が注目を集めている。なかでも「ネコの自由積木」はその代表格。時期によっては注文から1か月以上待たなければ手に入らないこともある隠れたベストセラーだ。主役は思い思いのポーズを決める自由奔放な9匹の猫。表情と形がユーモラスで、子どもだけでなく大人でも十分楽しめる。子どもの日にちなんで、このかわいらしいおもちゃの魅力に迫った。

 「ネコの自由積木」は木製で猫の形をした積み木。鳥の巣のように藁を敷き詰めた、B5ほどの大きさのバスケットに入っている。思い思いのポーズとそれぞれ異なる表情。1つひとつを見ているだけでも楽しい。9匹の形はある程度計算されていて、バスケットにきちんと収めるための組み合わせがいくつかある。これはこれでパズルとしても楽しめる。


 それでは実際に積んでみよう。最も安定した形は、バスケットに入っていたときと同じ積み方。しっぽの形とお腹の形がうまくあわせてあったり、背中にちょうど乗るようになっていたりとそれぞれの形がかみ合うようにできている。お尻のところに顔がぴったり付いているのはちょっとかわいそうな気もするが、猫が演じる組体操のようでほほえましい。


 積み木の素材は「ジムリーナ」という外材。やわらかく加工しやすいが、バルサのように軽すぎず、適度に重さがあって積み木に向いている。製造・販売している銀河工房によると、ひとつひとつが手づくりで、がんばっても1日1人で7-8セットぐらいしかできないという。手に取ってみると作りは丁寧で木のぬくもりが伝わってくる。もちろん角はきれいに面取りを施し、やさしい手触りだ。子どもが遊んでも全く問題ないだろう。目や顔は単なる飾りではなく、きちんと反対側までノコギリを入れてある。


 白木なので買ったばかりの状態では白っぽくて味気ない。しかし、何年も使い込んでいくうちに味のある色になっていくという。デジタルなおもちゃにはありえない積み木ならではの楽しみだ。もちろん色を塗ったり、シールを貼ったりしてもいい。また、積み木として使うときは、必ずしも9匹全部に登場してもらう必要はなく、1匹2匹で組み合わせても遊べる。左右の向きの違いや見る角度によって表情が微妙に変わるのを眺めて楽しむこともできる。


 それぞれの猫のユーモラスなポーズは、この積み木の最大の特徴。筆者の一番のお気に入りは、「フィーバー」と勝手に名づけた猫。片手を高々と上げたキメポーズは77年に公開されたディスコ映画「サタデーナイトフィーバー」の主演、ジョン・トラボルタそっくりだ。2匹組み合わせて「小さな恋の物語」と名づけたペアも心和む。これら以外にも、逆立ちしていたり、伸びをしていたりとポーズがバリエーションに富んでいる。


 面白さをかわれて、デパートの三越のポスターにも「出演」したこともあるという9匹の猫。ひっくり返して積み上げたり、サーカスのように微妙なバランスで縦長に積んでみたりと、遊び方はまさに「自由」だ。そんな型にはまらない遊びは子どもの情操教育にはうってつけだ。さらに、世知辛い世の中に生きる大人にとっても、心と頭を癒す効果は大きい。人気の秘密はそんなところにありそうだ。(BCN・道越一郎)