39万9000円の富裕層向け高額ケータイって一体どんな端末? 発売の狙いは?
●ターゲットを絞って富裕層を狙い撃ち
富裕層とは一般的に純資産1億円以上の人を指す。現在日本に147万人いるという。この携帯電話はそんな人たちを対象に作った。「当然全てが一流でなければならない」と語るのが富裕層向けのビジネスを行う企業のコンサルティングを請け負っているビーナスインターナショナルの榎戸あかね代表取締役兼CEOだ。
「Cosmic Shiner exclusive」のベースになった端末は、東芝製のソフトバンクモバイル向け端末「fanfun.SoftBank 815T」。最大の特徴は、外装パネルやメニュー画面がカスタマイズでき、最大で2億4000万通りのバリエーションが楽しめるという点だ。自由度の高いケータイだけあって、TVアニメや有名人とのコラボモデルも多く登場している。
カスタマイズが自由にできることを活かして、富裕層に向けた携帯電話を企画したと語るのは、モバイルファクトリーの後藤昭人代表取締役だ。「ターゲットを明確にし、そのニーズに合わせた付加価値やサービスを付けた売り方をすれば、富裕層向けのケータイが成り立つのではないか」と考え、「Cosmic Shiner exclusive」を手がけた。
●一流の人に送る一流のサービス内容とは?
製品の企画テーマは「一流」。「一流の製品を作るために一流の方に協力していただいた」という。端末を購入すると、本体に加え、山本寛斎氏がデザインした着せ替えパネルが3種類と、職人が1つずつ手作りする漆塗りの手文庫が付属する。パネルのうち1枚「Luxe(華美)」には14粒のダイヤモンドをちりばめた。さらに、ベネフィット・ワンが提供するVIP向けの会員制サービス「プレステージゴールド」が1年間利用できるという。気になるその中身とはどんなものなのか?
「例えば、国内外の一流ホテルのスイートルームに半額で宿泊できたり、高級リゾートや高級旅館の宿泊の割引が受けられます。また、京都にある一見さんお断りのお店の予約・手配や、プライベートジェットやクルーザーの手配も可能です。この『プレステージゴールド』は入会金・年会費が通常50万円程しますが、今回、購入していただいた方は、『Cosmic Shiner exclusive』専用のプランを1年間無料でご利用頂けます。ダイヤモンドパネルや手文庫なども付属しますし、39万9000円という価格は実は結構お得なんですよ」と榎戸氏は微笑む。富裕層にとっては安い買い物、ということだろうか。
さらに、ダイヤモンドパネルについては、修理などのアフターフォローをはじめ、破損・機種変更等で携帯を使用しなくなった場合、ダイヤモンドをカフスやアクセサリーにリメイクするサービスも用意しているという。
では「Cosmic Shiner exclusive」は、どこで買えるのか? 富裕層向けとはいえ所詮携帯電話。携帯ショップに行けば手軽に購入できるのではと考えがちだが、実は普通の人は、お金があってもなかなか買うことができないようだ。
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●どうやったら買える? 招待状がくればあなたも富裕層の仲間入り
「Cosmic Shiner exclusive」を購入する方法はいくつかある。いずれの場合も購入専用のIDが必要だ。IDは、富裕層向けの雑誌である「SEVEN HILLS」で入手できる。しかしこの雑誌は普通の人にはなかなか手に入らない。また製品の公式サイトでもIDは取得できるが、一定の審査を通過する必要がある。そのほか、購入者からの紹介でも買うことができる。また、特に購入して欲しい人には、モバイルファクトリーから個別にID付きの購入招待状を送るのだという。とにかく、普通には買えないのだ。
今回、購入ルートを限定した背景にはある戦略があったと榎戸氏は語る。「ターゲットの富裕層に確実にアピールしつつ、購入者にとってはブラックカードのようなステータスシンボルになる携帯にしたかったんです。そこで、確実にターゲット層にマッチした方にいきわたる富裕層向けの雑誌に購入IDを付け、あわせてブランド力を高めようと考えました」同様の理由から「Cosmic Shiner exclusive」の生産台数は1000台限定とした。
このように限定された購入法のうち、公式サイトから購入IDを申請するいう方法は原則として誰でも申請可能。ただし、「選ばれた方々のみが購入できる(榎戸氏)」という点を追求するため、ID発行には審査を設けている。我こそはと思う人は、公式サイトから申し込んでみるのもいいかもしれない。
購入後の料金体系やプランは、ソフトバンク携帯と同様で「ホワイトプラン」や「Wホワイトプラン」などが利用可能だ。富裕層向けのケータイとあって、通話料なども特別の高額な料金体系が設定されているのではと邪推してみたが、後藤氏に尋ねてみると「それはないですね(笑)」とのことで、そのあたりはあくまでもソフトバンクの携帯として利用するようだ。
●日本の富裕層がチャリティーに参加するきっかけ作りをしたい
榎戸氏は「富裕層向けの携帯電話とういのは日本には存在していませんでした。前例のないものを作るわけですから、是非チャレンジしてみたいと感じました」ときっかけを語る。また、日本の富裕層を積極的にボランティアや寄付といったチャリティー活動に積極的に誘致していきたいという思いも「Cosmic Shiner exclusive」を作った狙いの1つにあったという。
10代から海外で過ごす機会が多かったという榎戸氏は、「欧米の富裕層の間では、日本に比べてチャリティーはごく日常的な行為です。そこで、日本でも富裕層の方が持つある種の特権であるお金を社会へ還元するお手伝いがしたかった」という。そこで、購入者には参加費の一部が慈善事業に寄付されるチャリティーパーティーへの招待も行っていく計画だ。
また榎戸氏は、今回の端末は1000台限定で増産などは予定していないが「Cosmic Shiner exclusive」によって富裕層にアピールし、需要を掘り起こすことができれば、第2弾、第3弾の製品も考えているという。
後藤取締役も「現在、日本国内の携帯電話保有台数は1億台を突破し、市場は飽和気味といわれています。しかし、キャリア間の競争により市場は活性化し、いまや27兆円程度の規模がある。新たな提案ができればまだまだ発展の可能性があるマーケットです」と市場の成長と今後の新製品企画への意気込みを語ってくれた。(BCN 山田五大)