「口説き力」の中身って? 「第3回 全国一斉!日本語テスト」のできるまで
●知っているだけでなく、使いこなす力が必要
――「口説く」とは、具体的にどんな意味なんですか?
口説くというと「異性を口説く」意味でよく使われますが、何かの言葉によって人から「YES」を引き出すことを意味します。つまり、「説得して納得させる」ということです。ビジネスシーンでは、企画を通すときや契約をするときなど、何かと「説得」をする機会が多いですよね。あなたには人を説得して納得を引き出せる日本語力はありますか? という意味を込めて「口説き力」と名づけました。
――「口説き力」の中身を、もう少し詳しく教えてください
私たちは、「最適な言葉を選ぶ力(知識)」と「適した言葉を正しく使いこなす力(運用力)」を「口説き力」と定義しています。特に重要視しているのは、言葉の運用です。それに「ATOK」は、日本語の入力をサポートするソフトですから、話し言葉ではなく、入力や書き言葉などビジネスシーンでの文書のやり取りを想定して作りました。
また、言葉というと単語だけと思いがちですが、実は文章全体も含みます。係り受けなど文章全体を通した日本語を駆使して、最終的には人の心を動かすこと……それが口説き力です。
●着想はいいのに、なぜか企画が通らない同僚がヒント
――どうして口説き力に着目したのですか?
私の同僚に、思いつきのような「ひらめき」と、独創的な「創造力」を併せ持った人がいたんですね。彼の企画はとても素晴らしいのですが、全然採用されないんですよ。上司から許可が下りないんです。なぜかと言うと、実は彼とても日本語が下手なんです(笑)。
日本語が下手というより「そのメール、もう少し読む相手の立場を考えて柔らかい言葉を使えば素直に読んでもらえるのに……」という感じに、企画を読む前の段階で損をしているんですね。相手にしてもらえないんですよ。それは、日本語の知識というよりも、使い方や運用の仕方が下手なんですね。やはり、日本語は知っているだけではダメだなと、改めて感じたんです。
また、日本語入力をサポートする会社としては、もっと日本語入力に関係した、また、ビジネスに関係したテストは作れないかと、社内でも変化を求める声がありました。
そこで、伝える相手への気配りも含めた日本語力と、日本語の正しい知識の2つをひっくるめた「口説き力」というものを、提案できないかと考えたのがこの企画の発端です。テストの形式も改めました。前回までは全て「○×」の選択式でしたが、記入する問題も加えて広がりを持たせました。
●あくまでも日本語テスト!
――どうやって問題を作ったんですか?
今回は、日本語テスト10問と性格診断10問の2部構成です。日本語テストの問題は、「聞く・聴く・訊く・尋く」のうち最も問いただす気持ちが強いのは? という選択問題や、正しい読み方を入力する問題などを用意しています。
また、性格診断のテストも全てオリジナルで特別に作成しました。こちらは性格診断ですが、日本語テストであることを意識して作っています。例えば、16問目の「あなたが会議を進める際に重視するポイントは?」という問題には、選択肢を「公正、実直」や「迅速、達成」など、なるべく漢字で表現するよう心がけました。
そのほか、イラストなどサイトデザインにも力を入れたり、回答の時間を5分を目安に作成するなど、仕事の休憩中に気軽に楽しんでもらえるようなデザインになっています。
●「パリコレ気分の派手好きプレゼンター型」でした
――特徴的なキャッチフレーズが目立ちますが……
「華麗なるロジカル・ファイター型」や「勝機を逃さぬイケイケマシーン」など、約60種類のフレーズを用意しています。性格診断をもとに、遊び心のあるフレーズを考えました。しかし、ちゃんと「基本タイプ」と「あなたの武器」などしっかりとした説明を加えているので、ただ面白いキャッチフレーズをつけただけで終わらせないようにしています。また、タイプなのでその人を否定したり、傷つけたりする内容にならないよう注意を払いました。
――ちなみに細田さんの診断結果は?
私は「パリコレ気分の派手好きプレゼンター型でした」(笑)。地についた説得を心がけましょうとのことでした。「そんな…」って感じです。
――「口説き力」を身に付ける方法を教えてください
正直、そこまではのことは考えていませんが、今の時代、言葉を書く(入力する)ことが簡単になり、その使っている言葉が適切だとか、意味がどうとかまで気にしなくなってきていると思います。言葉が間違えていると、相手に誤解を与えてしまったり、気持ちを害してしまうこともあります。特に文章は相手の反応が見えませんので、文章を打つときは、受け取る相手の気持ちまで考慮するといいかもしれません。普段からの気遣いが口説き力に繋がると思います。
■取材を終えて
同僚にテストをやってもらったところ「値千金のビジネス・ファンタジスタ型」(30代・男性)や「感謝大好き!長距離ランナー型」(20代・女性)など、面白いキャッチフレーズが次々と出現。結構当たっているように見えた。自分でもテストをやってみたところ、普段何気なく使っていながら、違う解釈をしている言葉は結構あるものだと気づかされた。
この「日本語テスト」は3月14日まで。テストの終わりには「あなたの口説き文句」や「口説き上司だと思う芸能人」を募集している。面白い口説き文句は「ATOK」のサービスに組み込まれるという。どのくらい「口説き力」があるのか、一度試してみてはどうだろう。(BCN・津江昭宏)