• ホーム
  • トレンド
  • 限定版5000台が2日で完売!! 「amadanaケータイ N705i」のこだわりとは?

限定版5000台が2日で完売!! 「amadanaケータイ N705i」のこだわりとは?

インタビュー

2008/02/05 14:10

 NTTドコモの「705i」シリーズの中で、ひときわ個性を放つ端末が、NEC製の「amadana(アマダナ)ケータイ N705i」だ。5000台の限定版は、わずか2日で完売するほどの人気ぶり。これほどユーザーから支持される「N705i」はどのように作られたのか? NTTドコモ、デザインを担当したデザイン家電ベンチャーのリアル・フリート、NECの3社に開発の狙いをきいた。

●通常の倍近い時間をかけ開発、最新機能も随時取り込む

 「amadanaケータイ」は、デザイン家電ブランド「amadana」とのコラボレーションで生まれた機能、デザイン共に個性的な端末だ。プロダクトデザインはamadanaのプロジェクトメンバーで、デザイナーの鄭秀和氏が率いる「インテンショナリーズ」が担当。内蔵コンテンツやグラフィックデザインも同じプロジェクトメンバーでデザイン事務所の「タイクーングラフィックス」が手がけた。



 最近は、「AQUOS(アクオス)ケータイ」や「VIERA(ビエラ)ケータイ」といった、薄型テレビの名前を冠した家電ブランドのケータイが増えている。しかし、「N705i」のように、デザイン家電ブランドと全面的なコラボレーションした端末はの例は極めて珍しい。NTTドコモの森健一・プロダクト&サービス本部プロダクト部第二商品企画担当部長は、amadanaケータイの開発経緯をこう語る。

 「デザインでコラボレーションをする場合、我われがデザイナーを決めて、気の合うメーカーさんと作るというのが、通常のやり方です。そういう意味では、今回のamadanaケータイは明確な流れがあったわけではありません。ちょっとしたきっかけで、自然発生に近い形で話が盛り上がって、ぜひやろうということになりました」

 端末の企画は早い時期からスタートしていた。NECの有田行男・モバイルターミナル事業本部モバイルターミナル事業部商品企画部マネージャーは「N702iDとほぼ同じくらいの時期にスタートしていました」と振り返る。

 一方、開発の決定には「実現に至るまで、2-3年近くかかった」(森担当部長)といい、通常の端末よりも2倍近い時間を要した。理由はデザインだけでなく、ブランドまで含めたトータル的なコラボレーションが必要だったからだ。

 早い時期から企画・開発が進められていた「amadanaケータイ」だが、「おサイフケータイ」機能を搭載し、欧米やアジアなど世界各国で利用されている通信規格「GSM」や高速通信サービス「HSDPA」「ワンセグ」の視聴にも対応。最新機能がふんだんに盛り込まれている。

 結果、スペック面では、上位機種の「905i」シリーズと比べても引けをとらない端末に仕上がった。有田マネージャーは「通常モデルよりも開発期間が長かったので、機能は随時バージョンアップしていきました」と説明する。

 例えば、ワンセグの受信機能は開発の最終に近い段階で搭載された。NTTドコモの佐々木真弓・プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部マーケティング企画サービスマーケティング担当は「ワンセグはamadanaケータイのデザインが固まってから搭載することが決まりました」と明かす。

___page___
●デザインにこだわりアンテナの位置を工夫、ディスプレイも加工

 「amadanaケータイ」のデザインは、さまざまな技術的な課題をクリアした結晶だ。例えば、ワンセグ用のアンテナは、当初は外付けタイプを検討していたが、「それではデザインが崩れてしまう。そこでアンテナを内蔵型にすることで、結果的にワンセグを搭載できるようにした」(有田マネージャー)という。


 デザイン上で特にこだわったのは「机の上で角度が付く」(同)という点。実際、N705iは、ヒンジ部付近に向かって、全体的に折り曲がったような形になっている。


 有田マネージャーは「常時点灯可能なサブディスプレイを、時計代わりに使えるというアイディアを活かすための形状ですが、サブディスプレイの上を折り曲げたため、強度を確保することで相当苦労しました」と振り返る。

 また、「サブディスプレイのアクリルパネルは曲がっていますが、普通は強度が弱くなるのでこういう加工はしません。実現できたのは『N703iμ』や『N704iμ』といった超薄型端末で培った、薄型端末でも強度を確保できるノウハウがあったからです」と説明する。

 デザイン家電のamadanaは、天然素材をふんだんに使うことが特徴の1つになっている。amadanaケータイでも、その考えは受け継がれており、端末の前面にはレザー風のパネルをあしらった。パネルは一見すると、本物の革のように感じるほどの質感だ。これも「レザーやウッドの質感をいかにして取り入れるか考えて、本物に近いところまで持っていった」(有田マネージャー)という努力で実現した。


●GSM対応は日本の技術とデザインを世界に発信する意気込み

 最新の機能を随時取り入れていったamadanaケータイだが、GSMへの対応は企画当初から想定していた。その理由について、「世界で使うということを意識していたので、GSMは最初から載せるつもりだった」と、森担当部長は説明する。

 ドコモではGSMを「905i」シリーズで標準搭載したが、「amadanaケータイ」が企画された当時は、対応端末は「N900iG」があった程度。GSMが使える端末は日本では少なかった。そんな状況だったにもかかわらず、なぜGSMに対応したのか。

 「『amadana』は漆をイメージしたブランドで、名前の由来は、今の東京・日本橋付近にあった漆問屋街の『尼店(あまだな)』です。漆は英語で『Japan』と呼ばれ、技術の高さや美しさの代名詞になっています。amadanaも同じように技術とデザインの高さを世界に伝えていきたいと考えています。ですから、N705iは、amadanaブランドとしても“世界で使えるものにしたい”という思いがありました」と、リアル・フリートの鈴木純子・セールス&マーケティングチーム プレス/PR担当は説明する。

 世界で使えることでブランドの世界観を広めようというamadanaケータイだが、ドコモではiモードを提供する海外の通信会社で販売することについては「具体的な話があるわけではありません」(森担当部長)という。

 ただ、デザイン、機能ともに優れた端末だけに、「海外のお客さまに『705i』シリーズを見せると、『amadanaケータイ』は必ず気に入っていただける」(同)というから、欧米やアジアなどの世界市場でどんな反応があるか見てみたい気がする。

___page___
●限定・通常版で区別せず、amadanaの世界観を多くのユーザーに

 ラインアップは、カラーが「brownish wood」の限定モデルと、「ultimate orange」「amadana black」「amadana white」の通常モデルの4モデルを用意。通常モデルは2月1日に発売した。このほか、春をイメージした「sakura」も東海・九州・関西地域の限定色として、3月上旬に発売する予定だ。

 このうち、限定モデルの「brownish wood」は、07年12月1日に予約販売を開始後、2日で5000台が完売。今でも「限定版はもう売り出さないのか、というお問い合わせをいただいている」(鈴木プレス/PR担当)ほどの人気だ。


 鈴木プレス/PR担当は「限定モデルでamadanaの世界観を上手く提示しながら、多くの人をターゲットにしたプロパー(通常)モデルに引っ張っていくという考えだったので、早い段階から、限定版を出すということは計画していました」と話す。

 ドコモも、「5000台は少なすぎないかという声もありましたが、結果としては上手くいき、WIN-WINの関係になったと思う」(森担当部長)といい、限定モデルは“成功”と見ているようだ。

 一般にブランド名を使ったケータイは限定版で使われることが少なくない。しかし、「N705i」では「プロパー、限定のどちらかだけを『amadanaケータイ』にするというわけではありませんでした」(鈴木プレス/PR担当担当)という考えから、限定、通常版ともに「amadanaケータイ」として販売。どちらの端末でもユーザーがamadanaケータイとして使えるようにした。

 今回、「amadanaケータイ」が多くのユーザーから支持を集めたことで、ドコモやNECに成功をもたらしたのはもちろんだが、リアル・フリートにとっても、これまで“知る人ぞ知るこだわりのブランド”の「amadana」が、“メジャーブランド”に飛躍するきっかけになったという。


 「会社を設立してちょうど5年ですが、メジャーデビューができたという感じです(笑)。amadanaは10人に1人が劇的に愛してくれればいいブランドでしたが、今回のことで多くの方に知ってもらえました」と、鈴木プレス/PR担当は笑顔で答える。

 デザイン、機能ともに、こだわりがギッシリ詰まったamadanaケータイ。今までケータイに飽き足らないと感じている人ならば、amadanaブランドの世界観を体験できる「N705i」を手にしてみてはいかがだろうか。(EYE's factory・石野純也)