「おサイフケータイ」、お引っ越しはどうやって?
■携帯電話で使える電子マネーは2種類
まず、携帯電話で使用できる電子マネーの概略を確かめておこう。一口に「おサイフケータイ」対応の電子マネーといっても、大きく分けて2つの種類ある。
1つは「プリペイド型」と呼ばれるもので、一定の金額をICチップにチャージ(入金)し、その範囲内で支払いを行うタイプ。JR東日本(東日本旅客鉄道)の「モバイルSuica」や、ビットワレットの「Edy」、アイワイ・カード・サービスの「nanacoモバイル」などがこれにあたる。チャージ操作は、店頭などで現金を使って行うか、専用アプリを使いオンラインでクレジットカードなどから行うのが一般的だ。
もう1つは「ポストペイ型」という、一定期間内の使用金額をまとめて後から請求する方式。利用料金はクレジットカードで決済される。NTTドコモの「iD」や、ジェーシービーの「QUICPay」、三菱UFJニコスの「Smartplus」などが代表例だ。それぞれ対応するクレジットカード会社が異なるので、利用する際には自分が持っているクレジットカードを確認しておこう。
■電子マネーの引っ越し手続きも2種類に分かれる
機種変更の手続き方法も「プリペイド型」と「ポストペイ型」で大きく2つに分けられる。「プリペイド型」の電子マネーサービスなら機種変更の手続きは簡単。ほとんどの場合、携帯電話にダウンロードした専用アプリだけで電子マネーのデータを移行することができる。
まずは機種変更前の端末から専用アプリを使って、電子マネー情報をサービス提供会社に預ける。その後、携帯電話の機種変更を行い、変更後の端末に専用アプリをダウンロード。後は専用アプリを使って、預けた電子マネー情報を受け取るという流れだ。ただし、操作方法や手数料などは利用しているサービスによって異なるので、必ずホームページなどで確認しよう。
「ポストペイ型」の場合、クレジットカード会社のサービスを利用しているため、クレジットカード会社に直接電話をする必要がある。
最初に機種変更の旨をクレジットカード会社に連絡し、クレジットカード情報の再発行を申請する。続いて変更前の端末の専用アプリやクレジットカード情報を削除。携帯電話の機種変更を行ったら、変更後の端末に専用アプリをダウンロードする。その後、クレジットカード会社から再発行されたクレジットカード情報を登録するという手順が一般的だ。
再発行の手続きは利用しているクレジットカード会社によって違うことがあるので、詳しい方法はクレジットカード会社のホームページなどで各自確認しておこう。
また、NTTドコモの903iシリーズ以降の機種から、903iシリーズ以降の機種に変更する場合は、「iCお引っこしサービス」というICカード情報の移行サービスを利用できる。クレジットカード情報の再発行などの面倒な作業をせずに、簡単にデータ移行ができるので非常に便利。ただし、利用している電子マネーサービスが「iCお引っこしサービス」に対応していない場合もあるので注意が必要。主要な6つの電子マネーサービスを表にまとめたので参考にしてほしい。
■携帯電話紛失したら、本体にロックをかけてカード会社に連絡
「おサイフケータイ」機能を使用している携帯電話をなくしてしまったり、盗まれてしまったときに、まずやらなければならないのが、携帯電話本体に内蔵されているICチップにロックをかけること。電子マネーの残高やクレジットカード情報が記録されたICチップを使用不能にしてしまえば、第三者の不正使用を防ぐことができる。
NTTドコモでは「おまかせロック」、auでは「安心ロックサービス」という、事前申し込みなしで利用できる遠隔ロックサービスを提供している。Softbankの場合は、事前設定が必要になるが「リモートロック」という機能があるので、必ず設定しておこう。ただし、すべての端末が上記の遠隔ロック機能に対応しているわけではないので、取り扱い説明書などを読んで確認しておく必要がある。
次にサービス提供会社やクレジットカード会社に連絡して利用停止の手続きをする。各社、コールセンターを設置しているので、すぐに電話をして利用停止の手続きをしよう。「ポストペイ型」の場合、もし不正に利用されていたとしても、各クレジットカード会社の規定に従い補償を受けられる場合が多い。
最後に利用キャリアと警察に届け出ておこう。携帯電話自体の利用を停止できるほか、なくなった携帯電話が見つかる可能性も高まる。
■自分が加入しているサービスを知ることが重要
ここまで説明してきたように、「おサイフケータイ」の機種変更や紛失時の手続きは、利用しているサービスやキャリアによって、操作方法も連絡先も多岐にわたる。
「おサイフケータイ」のデータを安全に扱うには、なによりも、自分が利用している「電子マネーサービス」「キャリア」「携帯電話本体の機能」についてしっかりと知っておくことが重要。また緊急時にあわてないよう連絡先窓口などの一覧表もあらかじめ作っておきたい。