セカンドライフも快適な高性能ノートPC――acer「Aspire 5720」レビュー
●インテルのプラットフォーム「Santa Rosa」採用で高いスペックを確保
PCブランド「acer」は、日本では少し馴染みが薄いかもしれないが、ヨーロッパを中心に多くのユーザーの支持を集めており、スタンダードからハイスペックタイプまで幅広いラインアップをそろえる。今回は、高いパフォーマンスを備えた15.4型ワイド液晶搭載のノートPC「Aspire 5720」シリーズのフラッグシップモデル「AS5720G-602G16」を紹介する。
スペックでまずおさえておきたいのは、Core 2 Duoの性能を最大限に引き出すためにインテルが開発した新しいプロセッサ「Santa Rosa」を採用していること。この「Santa Rosa」はCPUの2つのコアを効率的に活用し、無線LANやチップセットなどの周辺環境も含め、従来よりも優れた処理能力や省電力を発揮する。現状では他のメーカーも含め、「Santa Rosa」を搭載するモデルはごく一部に限られるが、同社では「Aspire 5720」シリーズすべてに「Santa Rosa」を搭載する。
ちなみに、Windows Vistaのパフォーマンスツールでハードウェア性能のスコアをチェックしてみると、「プロセッサ」の項目ではサブスコア「5.1」をマーク。メモリは標準で2GBを搭載、最大4GBまで増設可能なので、「メモリ(RAM)」項目も「4.8」のハイスコアだ。数あるノートPCの中でも、ハードウェアのスペックとしては、かなり高いレベルに到達しているといえる。
●Windows Vistaのアプリ操作やDVDの映像も滑らか
アニメーション効果などをふんだんに使ったWindows Vistaの操作感は、ユーザーによってはシャープさを欠く「モッサリ」とした動作に感じることがある。特に使いはじめのころは、Vistaのアプリケーション高速化機能「スーパーフェッチ」が充分に機能しないため、動きが遅いと感じがちだ。
しかし、「AS5720G-602G16」は、起動直後からとても快適にVistaのさまざまな操作が行えた。ウィンドウの拡大・縮小や切り替え、ソフトの起動なども実にスムーズ。やはり搭載するメモリが一般的な1GBではなく、倍の2GB積んでいることも、大きく影響しているだろう。
また、メインメモリとは別に、グラフィックアクセラレータ上で256MBの専用メモリ・VRAMを搭載していることも大きい。このメモリは、液晶画面に表示する内容を保持し、高速でなめらかなグラフィック表示を行うもの。特に、処理に負荷のかかる動画などの表示に威力を発揮する。試しに、映画のDVDを再生してみたが、カクカクとしたコマ落ちやブロックノイズのような違和感はまったくなく、とても滑らかに再生できた。
さらに、高品質のサラウンド機能とオーディオ機能を備えた「ドルビー・ホーム・シアター」を標準搭載するので、音質もよい。DVDの映画も美しい映像と迫力あるサウンドで楽しめる。
●優れたビジュアルパフォーマンスが魅力、GPUに「NVIDIA GeForce 8400M」
グラフィックアクセラレータに採用しているのは、米NVIDIAのハイエンドなGPU「NVIDIA GeForce 8400M GS」。独自の「NVIDIA PureVideoテクノロジ」を搭載し、画像の乱れのないリアルな映像再生を実現する。さらに、マイクロソフトのDirectX 10やHDRライティングをサポートし、最新の3Dゲームもなめらかで美しい映像で楽しめる。
そこで、いま話題の仮想空間「セカンドライフ」に挑戦してみた。このプログラムはまだWindows Vistaに正式対応していないが、動作するハードウェア環境としては大変高いスペックを必要とする。最新モデルでも、スタンダードクラスのメーカー製マシンでは動作が難しいだろう。しかし、「AS5720G-602G16」は特に設定を行う必要もなく、そのまま問題なく動作した。アバターの歩行や飛行も思い通りに、スムーズに操作できる。
先に紹介したハードウェア性能のスコアでは「ゲーム用グラフィックス」は「4.2」と、取り立てて高いわけではないが、最新ゲームの動作に優れているのは確かといえる。同スコアがほぼ同じの他のノートPCでは、「セカンドライフ」をここまで快適に操作することはできなかった。
●30万画素ウェブカメラや充実したユーティリティツールも搭載
グラフィック性能に優れているとはいえ、「AS5720G-602G16」はいわゆるゲーム向けの特別なマシンというわけではない。日本エイサーオリジナルのユーティリティ「Acer Empowering テクノロジー」を備え、データのバックアップや暗号化による保護、プレゼンテーションツールなどの便利な機能を、ランチャーから簡単に操作できる。
また、液晶画面の上部に30万画素のウェブカメラを備え、動画によるライブチャットや、「Skype」のビデオ通話もすぐに利用できる。さらに、ビデオや音楽、写真などの再生や、編集・管理が行えるオリジナルソフトも搭載。ビジネスから趣味まで、幅広い用途に対応できるポテンシャルの高さが魅力だ。このようなハードウェアと多彩な機能を搭載しながら、実売価格が19万円前後というのは、まさにお値打ちといえるだろう。
【主な仕様】
●OS:Windows Vista Home Premium正規版 ●CPU:Core 2 Duo T7500(2.2GHz) ●画面:15.4型ワイドWXGA ●メモリ:2GB(1GB×2)デュアルチャネル対応(最大4GB) ●HDD:160GB(5400rpm) ●ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ ●無線LAN:インテル PRO/Wireless 3945ABG ネットワーク・コネクション ●サイズ:幅366×奥行き274×高さ42.6mm ●重さ:約2.8kg