世界初の水冷HDD搭載PC、実際どのくらい静かなのか耳をあてて確かめた
●驚くほど静かなHDD水冷の威力
今回使用したのはNECの一体型水冷PC「VALUESTAR W」シリーズで、22型ワイドディスプレイを備え、次世代光ディスクのBDとHD DVDにいずれも対応する最上位モデル「VW790/KG」。CPUを冷却水で冷やすのはもちろん、HDDを水冷ジャケットで包み、冷却しながらHDDの駆動音も低減させる世界初のシステムを搭載する。そのため従来の水冷PCよりも一層静かになった。ファンの回転数が最大の時で30dB程度だった駆動音を25dBまで抑えている。CPUに負荷がかかる作業やHDDのディスクアクセスが続いても実に静かだ。
本体の後ろに耳を当てても、かすかなモーター音がする程度。とてもPCが駆動しているとは思えない静かさだ。HDDにアクセスするカリカリという音も少し聞こえるが、非常に小さい。小さな音量で音楽を聴いてもPCの駆動音はほとんど気にならない。また、寝室に置いて深夜にテレビ番組の録画をしても、駆動音はまったく問題にならないだろう。
●見た目はやや大ぶりだが実は省スペース
近ごろは、ボードタイプでスリムなデスクトップPCが目立っており、サイズを比較するとやや大ぶりな印象がある。だが、実は奥行き25cm程度と、A4ノートと大差なく、実際は机の上であまり場所を取らない。ワイヤレスのキーボードは、本体の下に収納できるので、使わない時にはコンパクトに収まる。
ただし、ディスプレイのサイズが大きいので、狭い机で使うと圧迫感はあるかもしれない。個人差もあるだろうが、顔とディスプレイが70cmほど離れるように設置できれちょうどよいだろう。AVユースだけではなく、オフィスソフトなどを操作するなら、広めの机に置くのがベストだ。
ディスプレイは、上下に傾斜角度を変えられるので、机や椅子の高さに合わせられる。ただし、左右には首を振らない。映画などを観る際には、必ずしも目の前の椅子に座っているわけではないので、少々残念な気もした。
ディスプレイには「スーパーシャインビューEX2液晶」を採用。最高解像度は1680×1050ドット。フルHDではないものの、このサイズなら十分にきれいな画像が映し出せる。光学ドライブにブルーレイディスク(BD)を採用しているので、BDで映画を映してみると、液晶の光沢感とあいまって非常に美しかった。映画をじっくり鑑賞したいなら、映り込みが気にならないように部屋を暗くして楽しみたい。
BDの再生・録画機能に加え、HD DVDの再生機能も備える。両方を再生できる国内で初めてのPCで、HD DVDへの録画だけができない。自分で楽しんだりコレクションするぶんにはBDを使えばよく、視聴はBDとHD DVDのどちらでも対応するので、「次世代ドライブ」のどちらを購入しようかと決めかねている人にはぴったりだ。
ところで、映画を観る時や、音楽を聴く時に気になるのは音質だ。AURASOUND社のスピーカーを本体の左右に搭載しており、低音までしっかりと再生する。ただしボリュームを最大にしてもそれほど大きな音にはならなかったので、「数人で迫力のサウンドを楽しむ」というよりは、1人か2人で比較的本体の近くにいながら視聴するのに向いている。迫力ある音を楽しむなら外付けのスピーカーシステムが必要だろう。
●テレビソフトはリモコンとPCの両方で操作性を高く
テレビチューナーは、地上デジタルとアナログの両方を搭載しており、いずれの番組も録画できる。録画するにあたって、特に複雑な設定はない。
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テレビソフト「SmartVision」はWindows Media Centerからも、直接ソフトを指定しても起動できる。リモコンの「テレビメニュー」ボタンを押すとソフトが起動するが、ボタンを押してからテレビ番組が映るまで1分以上かかった。テレビを操作中にうっかりソフトを終了してしまうと、また起動に1分ほどかかるのはややつらい。どのPCも地デジソフトは動作が遅いが、NECが以前採用していた「ぱっと観テレビ」は、軽快で使い勝手もベストだったと感じる。復活に期待したい。
テレビ視聴ソフトのモードは大きく分けて2つ用意されており、「フルスクリーンモード」と「ノーマルモード」がある。ディスプレイをフルに使ってテレビの画面を表示し、メニューなどは隠しておくのが「フルスクリーンモード」で、リモコンからの操作がしやすい。番組表やその他のメニューも、文字が大きく、濃い青に白い字を使うなど、コントラストを強くしている。少し離れて画面を見るのに最適だ。また、メニューの構成は、基本的にカーソルキーで操作すればこと足りるようになっている。
一方、「ノーマルモード」はマウスを使うのに適した画面で、ウィンドウを縮小表示した時に切り替わる。厳密には「スリムモード」と「ノーマルモード」と「アドバンストモード」の3種類あり、見た目は似ているが、画面に現れているメニューが少しずつ異なる。それぞれのモードはウィンドウ下のタブで切り替えられ、マウスで操作しやすいボタンが並ぶ。基本的に「フルスクリーンモード」とできることは変わらないが、「ノーマルモード」や「アドバンストモード」を使えば、カーソルボタンを何度も押してメニューを選ばなくても、ボタンを選んでワンクリックするだけなので、操作が速い。
マウスを使っていると、リモコン用に作られたメニューを操作するのが煩わしいこともあるし、逆にマウス用の画面をリモコンで操作するほど不便なことはない。使いやすい画面をそれぞれ用意しているテレビソフトは珍しく、モードを使い分けられるようになればとても便利だ。
番組表は、「フルスクリーンモード」も「ノーマルモード」もほぼ同じように表示される。文字の大きさはフルスクリーンモードのほうが大きい。一覧には9チャンネルまで同時に表示でき、見にくいなら5チャンネルの表示にもできる。
録画は、番組表を選んで「決定」ボタンを押すか、マウスでクリック(ノーマルモードはダブルクリック)するだけで別の画面が表示され、そのまま予約できる。誰でも直感的に操作ができるほど簡単だ。また、キーワードを指定するだけで、合う番組を自動で録画してくれる「おまかせ録画」機能も搭載。好きな芸能人が出ている番組も、見逃さなくて済みそうだ。
●インターフェースは片面に集約し、よく使うものはフロントに
インターフェース端子類は向かって左側面に集約している。周辺機器やLANなどを接続する際には、片側だけを見ればいいので作業しやすい。USB端子を4基用意しており、スキャナやプリンタを接続しても余るほどで、拡張性が高い。
フロントアクセスが充実しているので、USBフラッシュメモリの抜き差しもスマート。本体前面のパネルを開くと、USB端子を1基備えている。普段つなぎっぱなしのUSBケーブルは本体左に接続し、頻繁に抜き差しするUSBフラッシュメモリなどはフロントの端子を使い分けができる。
さらに、SDメモリーカードやxDピクチャーカード、メモリースティックに対応するスロットも、本体前面からアクセスできる。ちなみに、SDHCカードにも対応しており、最新の周辺機器との互換性も高い。
一見するデザインよりも、設置スペースや使い勝手にこだわり、何より静かさを大切にしたモデル。家の中で持ち歩かず、AV機能を求める人に最適だ。(アバンギャルド・栃尾江美)
【主な仕様】
製品名 VALUESTAR W VW790/KG
CPU Core 2 Duo E4400
メモリ 1GB(最大4GB)
ディスプレイ 22型ワイド(1680×1050ドット)
HDD 500GB
光学ドライブ ブルーレイディスク(HD DVD-ROM再生機能付き)
テレビ機能 地上アナログ、地上デジタル
サイズ 幅534×奥行き253×高さ484mm
重さ 21kg
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