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ライフスタイルケータイ「704i」シリーズ、注目機種はコレだ!――シャープ「SH704i」

特集

2007/10/10 21:14

 NTTドコモのワンセグケータイは、「SH903iTV」のように、基本的には、通常の「90X」「70X」シリーズとは異なる位置づけで展開されていた。しかし、「704i」シリーズでは、シャープ製端末「SH704i」と三菱電機製端末「D704i」がワンセグに対応。その流れが変わりつつある。中でも、ワンセグ端末に定評のあるシャープの「SH704i」は、液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」の技術をコンパクトなボディに凝縮した注目の1台だ。

●横画面での高画質なワンセグ表示と操作性を追求

 「SH704i」を手にとって最初に目を引くのが、液晶ディスプレイの画質の高さだ。「AQUOS」の技術を使った2.6インチのモバイルASV液晶を搭載。さらに、太陽光の当たる屋外でも見やすさを保つ「6色カラーフィルター」や、色の鮮やかさ、輪郭をくっきりと補正する「SV(Super Vivid)エンジン」などの高画質技術が、薄型でコンパクトなボディに詰め込まれている。



 ワンセグ機能は、液晶のサイズが小さいことを除けば、ドコモの「AQUOSケータイ」の「SH903iTV」と同等の性能だ。画質や明るさ、コントラストなど、細かな点まで映像を調節することができる。

 ワンセグ視聴の方法は、プレイを横方向に90度回転する「サイクロイドスタイル」の「AQUOSケータイ」とは異なり、ディスプレイを表にしたまま折りたたむ「スィーベル(2軸回転)スタイル」を採用している。



 このスタイルは、横画面でのテレビ視聴時にダイヤルキーを使えないため、一般的にはチャンネル変更などの操作がしづらい。しかし「SH704i」は側面に専用の「TVボタン」を備えており、テレビの起動が簡単にできる。チャンネルの切り替えもTVボタンの横にあるキーで行う。実際に使ってみたところでは、操作に迷うことはなかった。



 音量調整もディスプレイ側に配置するボタンで行う。ワンセグ対応ケータイの中には、音量変更ができない端末やボタンが側面に集中している端末が多く、どのボタンを押せばよいのかわかりづらい。しかし、「SH704i」ではそうした心配も無用だ。

●ワンセグを目覚まし時計代わりに使う機能を搭載

 ディスプレイは「SH903iTV」のように、画面が3.0インチもあると端末がある程度大きくなってしまい、「SH704i」のもち味であるコンパクトと大画面を両立させることが難しくなってしまう。そこで、薄型ボディを生かしつつ、大きな画面でワンセグが楽しめるということを検討した結果、画面サイズが2.6インチ、解像度はワイドQVGAという液晶パネルが選ばれた。

 ディスプレイの大きさもあり、テレビを見ながらメールを作成するなどの機能は備えていないが、「気になるときに、ちょっとだけワンセグを見る」という使い方をするならば十分な端末だ。

 ワンセグを生活に溶け込ませる機能も盛り込まれている。それが「お目覚めTV」という指定した時間にワンセグが起動する機能。ワンセグを目覚まし時計代わりに利用してもらおうというわけだ。

 この機能を利用すれば、朝、テレビの音で起きて、そのままニュースを見て出勤するという使い方もできそう。「ワンセグケータイを買ったけれど、使う頻度は日増しに低下している」というユーザーの声をよく聞くが、「お目覚めTV」のような機能があれば、ワンセグをもっと身近に感じることができるだろう。

●磨き上げたアルミを使って高級感を演出

 「SH704i」はワンセグ以外にも、「フルブラウザ」「おサイフケータイ」「メガiアプリ」など、上位モデルの「90X」シリーズ並の高い機能を備えている。驚くのは、これだけの機能を搭載しながら、ワンセグケータイとして比較的薄い端末に仕上げている点。厚さはわずか18.1mmで、ポケットにもすっぽり入るサイズだ。携帯性では、ハイスペック機種を凌駕している。



 ターゲットユーザーでは特に女性層を多く見込んでいる「SH704i」は、デザインもこだわっている。ポリッシュ(磨き)仕上げと呼ばれる処理が施されたアルミを使用。薄くてしかも金属の高級感のある端末にした。



 高機能とコンパクトサイズを両立させた「SH704i」だが、どんなコンセプトとこだわりで開発したのだろうか? 担当者に聞いた。

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シャープ担当者インタビュー「持ち運びやすく、どこでもワンセグが楽しめるケータイ」




●“分散視聴”のユーザーをターゲットに開発

 「SH704i」の開発を担当した通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部の濱田沙織氏は、ユーザーがワンセグを視聴するスタイルは2つあると分析する。1つは「集中視聴」、もう1つが「分散視聴」だ。濱田氏は2つのスタイルについて次のように説明する。

 「『集中視聴』は見たい番組は決まっていて、ケータイを机などに置いてしっかり視聴するというスタイル。音質へのこだわりもあり、どちらかというとスポーツ番組などを見る男性に多いです」。一方、「分散視聴」は「情報を得るためにテレビを見ることが多く、何かのついでにケータイでテレビを見るというスタイルです。手軽さを重視する若い女性に多く、音量なども場所に合わせて調整したいと考えている人たちになります」。

 「SH704i」は「分散視聴」の人たちをターゲットに開発された。分散視聴のユーザーは、ワンセグを見るためにケータイを開くというよりも、メールを書くついでなどにワンセグを見ることが多い。そのため、持ち運びやすさと見たいときに端末をすぐ取り出せることが開発のポイントになってくる。

 「SH704i」がスウィーベルスタイルを採用したのは、「スウィーベルスタイルがメールのスタイルとしては最も支持されているクラムシェル(折りたたみ)型と、ワンセグを見るのに便利な横画面での視聴をあわせ持った形」(濱田氏)であることが理由になっている。

●ユーザーの利用場面を想定し細部に工夫

 分散視聴のユーザーを取り込むために、端末の細部も気を配った。例えば、ケータイの上下をつなぐヒンジ部。ここに入っている、細かいスリット。これは、単なるデザインではなく、カバンなどからケータイをすばやく取り出しやすくするためだ。音量ボタンは、すぐに操作できるようにディスプレイの横に配置している。これは電車の中などで音を消して映像だけ見るという使い方を想定した配慮だ。



 「ケータイでワンセグを起動すると、いきなり大きな音が出ることがあります。分散視聴のユーザーは、どんな場所でテレビを見るかわかりません。さっきまでは音を出しても大丈夫な所でも、次はそうとは限らない。そのため、音量調整ができるだけ簡単にできるようにしました」と濱田氏は話す。さらに、「テレビのボタンは右側に集中させ、片手でも難なく操作できるように工夫しています」という。確かに右手で持つと、ボタンに自然と指がかかる。

 スィーベルスタイルでディスプレイを表にしたときには、ワンセグやカメラ、音楽再生がワンタッチで起動できる。これは、ユーザーがケータイでよく利用するであろう機能を簡単に操作できるようにするためだ。



●キーやアイコンにも使いやすさに配慮した独自のこだわり

 使い勝手にも配慮している。その一つが、薄型化のために採用したシートキー。「押し間違いが減るように、キーシートの下の形状をボタンの場所ごとで変えるなどの工夫をしています」と濱田氏は話す。また、メールを打つときにキーを認識しやすいように「デザインを損なわないように気をつけながら、刻印する文字をギリギリまで大きくしました」と説明する。



 もう1つがユーザーインターフェイス。文字やアイコンを大きくしたほか、わかりやすいデザインを採用。アイコンや背景には動画を使うことで、メニュー操作の楽しみも提供できるようにした。濱田氏は「使いやすさと楽しさを実現するインターフェイスにこだわった」と強調する。そのほか、充電時にフラッシュ画像で時刻を知らせる「卓上時計」も搭載。時計は「季節のイベントに合わせた隠れデザインも用意しています」(濱田氏)という遊び心も盛り込まれている。



 デザインでこだわったのは、高級感。「光の加減によっては、ボディに虹が写る」(濱田氏)ほど、素材のアルミを磨き上げた。カラーはホワイト、ブラック、ピンク、ゴールド、ブルーで展開。端末のグラフィックもカラーに合わせたテーマのものを内蔵している。どの色も上品に仕上がっており、「男性でもピンクを使っているという声を聞いています」(同)と、性別を問わず人気を集めているようだ。



 「AQUOSケータイ」を筆頭に、どちらかといえばとハイエンド機が多く、ヘビーユーザーに好みの印象が強かったシャープのワンセグケータイ。ワンセグのライトユーザーを狙った「SH704i」が加わったことで、ラインナップに厚みが増した。シャープは年々シェアを上げ、携帯電話メーカーとして存在感を強くしているが、「SH704i」のように幅広い層に受ける端末まで手がけられるからこそ、ユーザーの支持を集めているのだろう。(EYE's factory・石野純也)


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