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ライフスタイルケータイ「704i」シリーズ、注目機種はコレだ!――LG電子「L704i」

特集

2007/10/08 23:11

 NTTドコモが、「Made for you」をテーマに掲げ、特定のユーザーに合わせた端末を提供する方針を打ち出した「704i」シリーズ。そのシリーズで、ひときわ異彩を放つのが10月に発売する韓国のLG電子製端末「L704i」だ。スライド式端末で、ディスプレイの下にあるカーソルキー部分に、触れただけで動作する「タッチセンサー」を採用。端末を開くと現れるダイヤルキーは格子状に配色されており、オリジナリティと強いインパクトをユーザーに与える。その「L704i」の魅力を確かめてみた。



独自デザインと操作性、高速通信が魅力のケータイ

 「L704i」には元になったモデルがある。それが、LG電子が米国や韓国などで発売した「chocolate(チョコレート)」だ。「chocolate」はスライドを閉じた状態では1枚の板チョコように見えるのが特徴。このデザインが「chocolate」というブランド名の由来になっている。

 少し丸みを帯びた端末はグロス仕上げを施し、高級感を演出。ディスプレイの下にあるアイコンのようなタッチパネル部分は、キーに当たる位置に刻印が施されているほか、操作時には赤色のLED(発光ダイオード)が光り、アイコンが浮かび上がる。日本での知名度はまだ高くないが、ブランド力は世界ではトップクラスで、累計1000万台以上も売れている。
 
 「L704i」は、「chocolate」から引き継いだデザインだけではなく、高速通信規格「HSDPA」を採用した高速通信機能も魅力の1つだ。「HSDPA」とは、「High Speed Downlink Packet Access」の略で、第3世代携帯電話(3G)の高速通信規格のこと。「3.5G」とも呼ばれている。この規格に対応することで、サービスエリア内では、下りで最大3.6Mbps(メガビット/秒)の通信ができる。

 そのため、iモードのサイトを非常にスムーズに閲覧できるだけではなく、着うたフルなどの大容量ファイルも、すばやくダウンロードすることが可能だ。残念ながらパソコン用のウェブサイトを見ることができるフルブラウザ機能は備えていないが、ハイスピード端末として十分な性能を持っている。

 機能的な特徴である「タッチセンサー」の使い勝手はどうだろう? 今回、実機を操作してみた限りでは、特にキーの押し間違いなどは起きることはなく、実用面ではそれほど問題はないと感じた。ただし、人によってはセンサーの操作は慣れるまでに、少し時間がかかるかもしれない。カーソル移動の動作も快適で、日本のメーカー製端末以上にストレスなく操作できた。ダイヤルボタンも文字が打ちやすい、ほどよい大きさだ。

 タッチセンサーは、押すとバイブレーションで端末がわずかに振動する仕組みになっている。だから、カーソルキーがきちんと押されたかが、しっかりわかる。この機能によってキーの操作性は予想以上に高くなっている。バイブレーション機能は切ることもできるが、個人的には必ずオンにしておくことをおすすめしたい。



●音楽プレーヤーや国際ローミング機能も充実

 音楽機能を重視しているのもポイントだ。「L704i」は「70X」シリーズで初めて「ミュージックチャネル」に対応した。「ミュージックチャネル」は、深夜に最長1時間ほどの音楽番組を自動的に端末に配信するサービス。また、「着うたフル」や「SDオーディオ」といった音楽ファイルも再生できる。パソコンから対応の音楽ファイルを転送して聴くことも可能だ。



 端末の右側面には音楽用の操作ボタンを装備し、音楽プレーヤーの起動が簡単だ。端末をスライドすることなく、「再生」「停止」や「スキップ」「早送り/巻き戻し」といった操作ができる。再生モードはシチュエーション別で設定できる機能を搭載。音漏れを防止する「Train」、設定した時間の間だけ音楽を再生する「Sports」、ボリュームが徐々に小さくなり最後に停止する「Sleep」を内蔵した。今回、使った端末が試作機で、音質の確認まではできなかったが、音楽プレーヤーとしての操作性もよさそうだ。

 さらに、国際ローミング端末としての価値も高い。なぜなら、ドコモの上位モデル「904i」シリーズと「704i」シリーズの中でも、欧米などで広く普及している通信方式「GSM」に対応しているのは、「L704i」だけだからだ。



 世界で3Gのエリアが広がり、FOMAの通信方式である「W-CDMA」のローミングができる国も増えてきたが、海外では「GSM」がまだまだ主流だ。外国に出かけることが多い人にとっては、便利な1台といえるだろう。さらに、「単位変換ツール」や「国際時計」など、海外出張・旅行に役立つツールも充実している。

●電子マネーや大容量ゲームはできないが完成度は高い

 スタイリッシュなデザインと高い機能を両立させた「L704i」だが、一方で、もの足りない部分もある。まず、機能面では「おサイフケータイ」やゲームなどが楽しめる大容量ソフト「メガiアプリ」に対応していない。「モバイルSuica(スイカ)」などの携帯電話の電子マネーサービスを日常的に使いこなしているユーザー、ゲーム好きなユーザーは満足できないかもしれない。

 サービスでは1つの端末で2つの電話番号とメールアドレスを持つことができる「2in1(ツー・イン・ワン)」や、定額制の音楽配信「うた・ホーダイ」など、「904i」シリーズから始まった最新サービスが利用できない。

 しかし、「chocolate」のデザインを変えることなく、日本向けに機能などを充実させた「L704i」は、端末としての完成度は高いといえるだろう。これまで「海外端末だから……」と二の足を踏んでいた人には、ぜひとも試してほしい1台だ。

 ところで、世界で人気となった「chocolate」を日本で本格展開するために、LG電子では端末にどのような工夫や改良を行ったのだろうか? LG電子の担当者に直撃した。


<--page-->LG電子担当者インタビュー「プレミア感あるデザインと日本仕様にこだわる」

●「chocolate」のデザインを生かしつつ日本人好みの仕様を追求

 「L704i」は、「chocolate」デザインを受け継いではいるが、日本市場向けに様々な点で仕様が変更されている。最も大きなポイントが端末の大きさだ。「chocolate」よりも一回り大きなサイズにしたという。端末を大きくして、1つ1つのキーを押しやすくしたほか、ディスプレイも大型化した。その理由を、LG電子ジャパン経営支援グループ広報担当の金東建氏は次のように説明する。

 「韓国では、日本ほど携帯電話での『メール』が重視されていません。ケータイでメールを打つのは日本独自の文化です。端末が小さければキーやディスプレイも小さくなり、メールが打ちにくく日本では売れない。だから端末のサイズを大きくしました」

 ボタンに触れたことがわかるようにするタッチセンサーと連動するバイブレーション機能は、「chocolate」にはなく、日本向け端末で初めて搭載された。センサーとバイブレーション機能を検証したマーケティング室ラウンド担当の多田知代さんは特に振動の調整について苦労したと話す。

 「『L704i』は、押すたびにバイブレーション機能が動作します。そのため、バイブレーションがあまり強いと手が疲れてしまいます。この機能は日本だけの仕様なので、適切な振動がどの程度が、実際に触ってひとつひとつ検証しました」

 最終的に、バイブレーションは3段階に調整できるようにすることで、慣れないユーザーでも誤動作しないようにした。また、「音楽ボタン」「メモボタン」、カメラ撮影用の「シャッターボタン」といった端末側面にあるサイドキーも多田さんの意見で改善・追加になった。

 「音楽ボタンはマークが海外仕様で、わかりづらかったので変えるように提案しました。メモボタンも最初はなかったですね。ユーザーの利便性を考えて、これも付けました。また、横位置でも撮りやすいように、シャッターボタンを設けました。日本向けの端末ではカメラ機能も画素数を上げました」(多田氏)。


●デザイン性の高いケータイで日本市場を攻略

 「L704i」は、ソフトウェアも「完全に日本仕様にしている」(金氏)という。ここまで日本向けに徹底的にこだわった理由は、LG電子が日本のマーケットを重視しているからにほかならない。

 「LG電子は、2010年までに世界市場で携帯電話メーカーとしてトップ3になるという目標があります。日本は米国に次ぐ大きな市場です。ほしいものを誰もがすぐに買える国は、そうはありません。それができる日本の市場はやはり魅力的です。ここで成功しなければトップになったとはいえません」と金氏は強調する。その日本市場で成功のカギとなるのは、使い勝手や日本独自の文化を取り入れたうえで、デザインで独自性を出すことだと考えている。

 「chocolateが世界81カ国で1100万台売れたのは、プレミア感を出したことと、デザインを中心に考えた戦略が当たったからです。国内のメーカーが多い日本でも、それは付加価値になると思っています」と金氏は自信を見せる。

 実際、LG電子は、ステンレスの質感を活かした端末「Shine(シャイン)」、日本でも有名なイタリアの高級ブランド、プラダとコラボレーションした携帯電話「PRADA Phone(プラダフォン)」というラインアップを持っている。いずれも、デザイン性が高いのが特徴で、日本のメーカーのケータイとはひと味違う印象を与える端末だ。



 「『Shine』も『PRADA Phone』も、日本での販売を検討しています。ほかにも40?60歳代をターゲットにしたラインナップも揃えていきたい」と金氏は語る。10月発売の「L704i」を皮切りに、今後LG電子が日本で販売するデザインケータイの動向に注目だ。(EYE's factory・石野純也)

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