ソースネクストのオンライン型無料オフィスソフト、勝算は?
ソースネクストは5月14日、Web上で利用できるオフィスソフト「ThinkFree てがるオフィス」を9月から無料で提供すると発表。同日からβ版の公開を始めた。これまで1980円の安価なPCソフトや、年間更新料無料の「ZERO」シリーズなどを発売してきた同社だが、無料のPCソフトをリリースしたのは今回が初めて。無料オフィスソフトの狙いなどについて、松田憲幸社長に話を聴いた。
ソースネクストは5月14日、Web上で利用できるオフィスソフト「ThinkFree てがるオフィス」を9月から無料で提供すると発表。同日からβ版の公開を始めた。これまで1980円の安価なPCソフトや、年間更新料無料の「ZERO」シリーズなどを発売してきた同社だが、無料のPCソフトをリリースしたのは今回が初めて。無料オフィスソフトの狙いなどについて、松田憲幸社長に話を聴いた。
●「てがるオフィス」ってどんなソフト? 気になるOfficeとの互換性は?
「ThinkFree てがるオフィス」は米・ThinkFree社が開発した無料オンライン・オフィスソフト「ThinkFree Online」を日本語化したもの。利用できるのはワープロ、表計算、プレゼンテーション機能の3つ。β版ではトップページなどにまだ英語表記が残っているが、9月の本サービス開始時にはすべて日本語表記に変更する。
Webブラウザ上で動作するため、専用ソフトをインストールする必要がないのが最大の特徴。インターネットに接続したPCさえあれば自宅でも会社でも、ネットカフェでも利用できる。対応するブラウザはInternet Explorer 6.0以上、FireFox 1.0.1以上、Safari 1.3以上。さらに、1GBのオンラインストレージも無料で提供し、USBメモリなどにデータを保存して持ち歩く必要もない。
「Microsoft Office」との互換性が高いことも大きな特徴。Microsoft Word、Excel、PowerPointで作成したファイルを開くことができるほか、同形式での保存も可能。また、ユーザーインターフェイスもオフィス製品と似ており、違和感なく操作することができる。
●オフィスソフトがなぜ無料? なぜオンライン?
――どうしてオフィスソフトを無料で提供しようと思ったのですか。
松田 PCを使う上で、もっとも使用頻度が高いソフトは何か、というと「メール」「インターネットブラウザ」「オフィスソフト」が上位に挙げられるでしょう。この3つはインフラと呼んでいいほど広く普及しており、誰でも使えるソフトでもあります。その中で「メール」「ブラウザ」は無料で提供されているのに、「オフィスソフト」だけは有料で販売されている。では、オフィスソフトが無料になったら……、と思いついたのです。ただし、他のソフトを無料で提供しようとは考えていません。あくまでも「オフィスソフト」がインフラであると考えるから無料にしたのです。
――オンライン型にしたのはどうしてですか。
松田 オフィスソフト、例えばWord、Excel、PowerPointのファイルは世界中にどれぐらいあると思いますか? 残念ながらファイルの数を数えた人はいませんが、確実にベスト5に入るでしょう。これだけ多いのであれば、メールなどでやり取りすることも多い。「ThinkFree てがるオフィス」は、オンライン・ストレージに保存したファイルを他のユーザーに公開する機能を持っているので、Web上でファイルを共有することができるわけです。
――ファイルの共有化にも便利、ということですね。具体的にはどんな使い方を見込んでいますか。
松田 例えば学校の先生などに使ってもらいたいですね。授業で使う教材をWordやPowerPointなどで作成している先生は多いと思います。しかし、全国の先生がそれぞれで教材を作り上げていくのは大変です。誰かが作った教材を公開し、全国の先生がそれを共有する。また、公開している教材をどんどん改良していく。そんな使い方が広まってくれればと思います。
●ユーザーには嬉しい無料オフィスソフトだが収益はどこで?
――無料で提供、となると売り上げは……?
松田 初年度の売上目標は0円ですね(笑)。収益モデルとして、オンライン・ストレージの追加容量や、オフラインでも利用できる機能、オンライン・オフラインでも利用できるパッケージ製品、オフラインで保存したデータをオンライン上のものとシンクロナイズ(同期)する機能などを有料で提供していくつもりです。提供開始は年内を目標にしていますが、初年度は無料ユーザーが中心になるでしょうね。
――オフラインでも使えるパッケージ製品の価格はいくらぐらいになるのでしょうか。
松田 予定ではワープロ、表計算、プレゼンテーションの3機能を搭載したパッケージ製品が3970円、個別機能を搭載したソフトが1980円になる見込みです。
――「Office」に比べてずいぶん安いんですね。するとグーグルの「Google Docs & Spreadsheets」のように広告で収益を得るんでしょうか。
松田 広告展開は検討していますし、やるつもりですが、グーグルのような広告ありきの事業にはしないつもりです。広告を見せるために何がなんでもユーザーをオンライン上に引き込むつもりはありません。
――初年度の目標を教えて下さい。
松田 収益よりもまずはユーザーを獲得することが重要だと考えています。逆にいえば、ユーザー数が多ければ自然と広告の話が上がってくるでしょう。本サービス開始1年後の08年9月までに100万人、10年9月まで400万人の登録ユーザーを獲得することが目標です。
●成功のカギはまずユーザーの獲得
オフィスソフトといえば、これまでマイクロソフトの独壇場だった。ここへ米・グーグルが06年10月、Webブラウザ上で動作するワープロ・表計算ソフト「Google Docs & Spreadsheets」をリリースし、強力な対抗馬と目されるようになってきた。にわかにオフィスソフトのオフライン型とオンライン型、という図式での争いが勃発し、マイクロソフトとグーグルが激しい火花を散らしている。この戦いに今回、ソースネクストが参入する形になった。
ソースネクストの「ThinkFree てがるオフィス」はグーグルのようにWebブラウザ上で動作するオフィスソフトだが、有料のオプション機能を利用することで、オフラインでも使用できるという、いわば折衷型のオフィスソフト。オフライン型、オフライン型のいいとこを取り込んだようなソースネクストのオフィスソフトが、マイクロソフト、グーグルを相手にどこまで戦えるのか……。最初のハードルは「どれくらい多くのユーザーに支持されるか」だろう。(WebBCNランキング編集部・山下彰子)
ソースネクストは5月14日、Web上で利用できるオフィスソフト「ThinkFree てがるオフィス」を9月から無料で提供すると発表。同日からβ版の公開を始めた。これまで1980円の安価なPCソフトや、年間更新料無料の「ZERO」シリーズなどを発売してきた同社だが、無料のPCソフトをリリースしたのは今回が初めて。無料オフィスソフトの狙いなどについて、松田憲幸社長に話を聴いた。
●「てがるオフィス」ってどんなソフト? 気になるOfficeとの互換性は?
「ThinkFree てがるオフィス」は米・ThinkFree社が開発した無料オンライン・オフィスソフト「ThinkFree Online」を日本語化したもの。利用できるのはワープロ、表計算、プレゼンテーション機能の3つ。β版ではトップページなどにまだ英語表記が残っているが、9月の本サービス開始時にはすべて日本語表記に変更する。
Webブラウザ上で動作するため、専用ソフトをインストールする必要がないのが最大の特徴。インターネットに接続したPCさえあれば自宅でも会社でも、ネットカフェでも利用できる。対応するブラウザはInternet Explorer 6.0以上、FireFox 1.0.1以上、Safari 1.3以上。さらに、1GBのオンラインストレージも無料で提供し、USBメモリなどにデータを保存して持ち歩く必要もない。
「Microsoft Office」との互換性が高いことも大きな特徴。Microsoft Word、Excel、PowerPointで作成したファイルを開くことができるほか、同形式での保存も可能。また、ユーザーインターフェイスもオフィス製品と似ており、違和感なく操作することができる。
●オフィスソフトがなぜ無料? なぜオンライン?
――どうしてオフィスソフトを無料で提供しようと思ったのですか。
松田 PCを使う上で、もっとも使用頻度が高いソフトは何か、というと「メール」「インターネットブラウザ」「オフィスソフト」が上位に挙げられるでしょう。この3つはインフラと呼んでいいほど広く普及しており、誰でも使えるソフトでもあります。その中で「メール」「ブラウザ」は無料で提供されているのに、「オフィスソフト」だけは有料で販売されている。では、オフィスソフトが無料になったら……、と思いついたのです。ただし、他のソフトを無料で提供しようとは考えていません。あくまでも「オフィスソフト」がインフラであると考えるから無料にしたのです。
――オンライン型にしたのはどうしてですか。
松田 オフィスソフト、例えばWord、Excel、PowerPointのファイルは世界中にどれぐらいあると思いますか? 残念ながらファイルの数を数えた人はいませんが、確実にベスト5に入るでしょう。これだけ多いのであれば、メールなどでやり取りすることも多い。「ThinkFree てがるオフィス」は、オンライン・ストレージに保存したファイルを他のユーザーに公開する機能を持っているので、Web上でファイルを共有することができるわけです。
――ファイルの共有化にも便利、ということですね。具体的にはどんな使い方を見込んでいますか。
松田 例えば学校の先生などに使ってもらいたいですね。授業で使う教材をWordやPowerPointなどで作成している先生は多いと思います。しかし、全国の先生がそれぞれで教材を作り上げていくのは大変です。誰かが作った教材を公開し、全国の先生がそれを共有する。また、公開している教材をどんどん改良していく。そんな使い方が広まってくれればと思います。
●ユーザーには嬉しい無料オフィスソフトだが収益はどこで?
――無料で提供、となると売り上げは……?
松田 初年度の売上目標は0円ですね(笑)。収益モデルとして、オンライン・ストレージの追加容量や、オフラインでも利用できる機能、オンライン・オフラインでも利用できるパッケージ製品、オフラインで保存したデータをオンライン上のものとシンクロナイズ(同期)する機能などを有料で提供していくつもりです。提供開始は年内を目標にしていますが、初年度は無料ユーザーが中心になるでしょうね。
――オフラインでも使えるパッケージ製品の価格はいくらぐらいになるのでしょうか。
松田 予定ではワープロ、表計算、プレゼンテーションの3機能を搭載したパッケージ製品が3970円、個別機能を搭載したソフトが1980円になる見込みです。
――「Office」に比べてずいぶん安いんですね。するとグーグルの「Google Docs & Spreadsheets」のように広告で収益を得るんでしょうか。
松田 広告展開は検討していますし、やるつもりですが、グーグルのような広告ありきの事業にはしないつもりです。広告を見せるために何がなんでもユーザーをオンライン上に引き込むつもりはありません。
――初年度の目標を教えて下さい。
松田 収益よりもまずはユーザーを獲得することが重要だと考えています。逆にいえば、ユーザー数が多ければ自然と広告の話が上がってくるでしょう。本サービス開始1年後の08年9月までに100万人、10年9月まで400万人の登録ユーザーを獲得することが目標です。
●成功のカギはまずユーザーの獲得
オフィスソフトといえば、これまでマイクロソフトの独壇場だった。ここへ米・グーグルが06年10月、Webブラウザ上で動作するワープロ・表計算ソフト「Google Docs & Spreadsheets」をリリースし、強力な対抗馬と目されるようになってきた。にわかにオフィスソフトのオフライン型とオンライン型、という図式での争いが勃発し、マイクロソフトとグーグルが激しい火花を散らしている。この戦いに今回、ソースネクストが参入する形になった。
ソースネクストの「ThinkFree てがるオフィス」はグーグルのようにWebブラウザ上で動作するオフィスソフトだが、有料のオプション機能を利用することで、オフラインでも使用できるという、いわば折衷型のオフィスソフト。オフライン型、オフライン型のいいとこを取り込んだようなソースネクストのオフィスソフトが、マイクロソフト、グーグルを相手にどこまで戦えるのか……。最初のハードルは「どれくらい多くのユーザーに支持されるか」だろう。(WebBCNランキング編集部・山下彰子)