味な写真が撮れるデジカメ、二眼レフ「ローライ」のミニチュアを試してみた
高画質、高機能化が進むデジタルカメラ。そんなデジカメの中にあって、最先端ではないが、日常をスケッチするように写真を撮ることを楽しめるのが、駒村商会の二眼レフのボディを模した小型デジタルカメラ「ローライフレックス ミニデジ」だ。そこで、アナログテイストを持ったミニデジの魅力を実際に使って確かめてみた。
高画質、高機能化が進むデジタルカメラ。そんなデジカメの中にあって、最先端ではないが、日常をスケッチするように写真を撮ることを楽しめるのが、駒村商会の二眼レフのボディを模した小型デジタルカメラ「ローライフレックス ミニデジ」だ。そこで、アナログテイストを持ったミニデジの魅力を実際に使って確かめてみた。
●二眼レフカメラ「ローライフレックス6×6」を忠実に再現したデジカメ
「ローライフレックス ミニデジ」は、ブローニー判銀塩フィルムの二眼レフカメラ「ローライフレックス6×6」をミニチュアにしてデジタル化したもの。大きさは幅49×高さ73×奥行き45mmの直方体の形で、重さは100g。手のひらに載るほど小さく、軽い。
「アナログカメラを小型のデジタルカメラにしたら面白いし、外観はアナログで中味はデジタルというギャップもインパクトがあると思った」(新田祐子・駒村商会マーケティンググループアートディレクター)ことが、ミニデジ開発の理由だという。
二眼レフカメラの形をしているが、レンズは1つ。2つあるように見えるレンズ部の下だけに35ミリフィルム換算でおよそ40-50mm相当の単焦点レンズが搭載されている。撮像素子はCMOSセンサー。CMOSの有効画素数は140万だが、高解像モードの場合には画像補間で、310万画素で撮影できる。
●撮影機構、記録する画像の形にも独自のこだわり
二眼レフカメラの特徴は撮影スタイル。ファインダーが上部についているため、カメラを上から覗き込むようにしてフレームを決める。さらに、側面にあるクランクでフィルムを巻き上げると撮影準備が完了。レンズ下にあるシャッターボタンを押してシャッターを切る。
ミニデジもこのスタイルを踏襲。クランクをまわして撮影の準備を行い、カメラの上部に搭載されている0.9インチのカラーLCDモニターを上から覗き込んで構図を決め、写真を撮るというわけだ。「クランクを巻き上げ、モニターを覗いて撮影するという、二眼レフで写真を撮る楽しみを再現するためにこだわった」(同)ものだという。
画像は「ローライフレックス6×6」同様正方形で記録する。横長のセンサーの一部を切り落として、わざわざ正方形にするほどのこだわりようだ。撮影モードは640×640ピクセルの低解像度、1200×1200ピクセルの標準解像度、1760×1760の高解像度の3つ。撮影した画像はSDメモリーカードかMMCカードで保存する。
●自動ホワイトバランスの調整具合が写真の仕上がりに大きく影響
ミニデジはピントは固定焦点で、露出、ホワイトバランスはカメラがすべて自動で行う。焦点距離は0.7mからで、最適な撮影距離は1mほど。撮影した画像はモニターで再生できるが、サイズが小さいため、「ピントが合っているか」「色味はどうなっているか」といったことはカメラだけでは正確にはわからない。そうした写真の詳細はパソコンに取り込んで初めて確認できる。
では、どんな写真が撮れるのか。ミニデジは「スナップや人物などをメモ代わりに記録するカメラ」(同)ということなので、まずはスナップ写真で、正月に初詣で訪れた神社の狛犬を撮影してみた。なお、今回の写真はすべて高画質モードで記録した。
少し距離をおいて狛犬全体が入るようにフレーミングしたことと、撮影した時間が昼で、光がよくまわっていたため、思っていたよりもピントが合い、露出も明るく、まずまずのきれいな写真を撮ることができた。
ミニデジは内蔵ストロボがなく、外部ストロボも使用できない。どちらかというと昼間の撮影を想定したデジカメだ。でもスナップ写真であれば街角の電飾などを夜に撮影することも少なくない。そこで、次はちょっと意地悪だが、夜間ではどれくらいの実力なのか、夜のイルミネーションを撮影してみた。
撮影した場所はイルミネーション自体は明るいが、周辺はかなり暗かった。こうした撮影条件だったため、シャッタースピードが遅くなり手ブレが起きてしまった。しかし、写真はイルミネーションに露出が合い、肉眼で見たのと同じようにきれいに写った。手持ちではなく、安定した場所にカメラをしっかり固定してシャッターを切れば、ピントが合った、さらにきれいな写真が撮影できただろう。
同じ被写体の場合は昼間と夜では写真にどんな違いがあるのだろうか?今度は街中のショーウィンドウを昼と夜で撮って比べてみた。
※画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます
まず昼間に撮影した写真(左)だが、カメラの自動ホワイトバランス調整がうまく働かなかったためか、太陽光の影響を受けて写真全体が青みがかった色になった。一方、ショーウィンドウの蛍光灯が光源になる夜に撮影した写真(右)は、少し緑がかった色になったものの、ほぼ適正に近いホワイトバランスで撮影できた。こうしてみると、ミニデジはホワイトバランスをガチガチに適正する合わせるのではなく、どちらかと言うと少し緩めに調整するカメラのようだ。
●明るい室内なら、人物撮影でもそこそこ使える
今回は人物写真も撮影してみた。取材で出席した発表会で新製品を紹介するモデルの人たちをミニデジで撮ったものだ。
※画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます
撮影したのは室内で、メインの明かりは蛍光灯だけ。今回は、夜のショーウィンドウの写真とは異なり、蛍光灯のグリーンかぶりの影響が写真全体に及んだ。理由はわからないが、同じ蛍光灯下でも状況によってはカメラのホワイトバランス調整がうまく働いたり、そうでなかったりするのかも知れない。
モニターのほぼ画面一杯にフレーミングしたため、距離が1mよりも近くなり、ピントがやや甘くなった。しかし、カメラの特性を考えると個人的には許容範囲。露出は人物写真としてはまずまずで、室内の撮影でもある程度の明かりがあり、高画質モードで撮影すれば、人物写真でもそこそこ使えると感じた。
●自分だけの写真を撮影し、確かめる楽しさが最大の魅力
このカメラの最大の魅力は「写真の仕上がりを確かめる楽しさ」。パソコンなどに取り込まなければ撮影した画像を正確に確認できないという点は、銀塩カメラで撮影したフィルムを現像に出して「どんな写真が撮れているか」と仕上がりを待つドキドキ感に似ている。
撮影する画像もピントが合った“カッチリ”としたものではなく、“ちょっとピンボケ”風写真。絵画でいえば、写実的なシャープな絵でなく、印象派のような、やわらかな絵の写真といえるだろう。
駒村商会では「今の高機能デジカメで撮るような『記録』の写真ではなく、ピントが合っていなかったり、色味がおかしくても自分だけの写真が撮れるのが、このカメラ」(同)と説明している。つまり、自分だけの味のある写真を撮れるのが、ミニデジの醍醐味ということなのだろう。
ミニデジの価格は3万9800円。個人的には非常に気に入ったのだが、「1台目のカメラではなく、あくまで趣味のカメラ」(同)としては決して安くはないと感じた。しかし、写真を撮影することを楽しめたり、自分だけの写真が撮れるという点に魅力を感じる人であれば、購入を検討してみる価値はあるカメラだといえるだろう。(WebBCNランキング編集部・米山淳)
高画質、高機能化が進むデジタルカメラ。そんなデジカメの中にあって、最先端ではないが、日常をスケッチするように写真を撮ることを楽しめるのが、駒村商会の二眼レフのボディを模した小型デジタルカメラ「ローライフレックス ミニデジ」だ。そこで、アナログテイストを持ったミニデジの魅力を実際に使って確かめてみた。
●二眼レフカメラ「ローライフレックス6×6」を忠実に再現したデジカメ
「ローライフレックス ミニデジ」は、ブローニー判銀塩フィルムの二眼レフカメラ「ローライフレックス6×6」をミニチュアにしてデジタル化したもの。大きさは幅49×高さ73×奥行き45mmの直方体の形で、重さは100g。手のひらに載るほど小さく、軽い。
「アナログカメラを小型のデジタルカメラにしたら面白いし、外観はアナログで中味はデジタルというギャップもインパクトがあると思った」(新田祐子・駒村商会マーケティンググループアートディレクター)ことが、ミニデジ開発の理由だという。
二眼レフカメラの形をしているが、レンズは1つ。2つあるように見えるレンズ部の下だけに35ミリフィルム換算でおよそ40-50mm相当の単焦点レンズが搭載されている。撮像素子はCMOSセンサー。CMOSの有効画素数は140万だが、高解像モードの場合には画像補間で、310万画素で撮影できる。
●撮影機構、記録する画像の形にも独自のこだわり
二眼レフカメラの特徴は撮影スタイル。ファインダーが上部についているため、カメラを上から覗き込むようにしてフレームを決める。さらに、側面にあるクランクでフィルムを巻き上げると撮影準備が完了。レンズ下にあるシャッターボタンを押してシャッターを切る。
ミニデジもこのスタイルを踏襲。クランクをまわして撮影の準備を行い、カメラの上部に搭載されている0.9インチのカラーLCDモニターを上から覗き込んで構図を決め、写真を撮るというわけだ。「クランクを巻き上げ、モニターを覗いて撮影するという、二眼レフで写真を撮る楽しみを再現するためにこだわった」(同)ものだという。
画像は「ローライフレックス6×6」同様正方形で記録する。横長のセンサーの一部を切り落として、わざわざ正方形にするほどのこだわりようだ。撮影モードは640×640ピクセルの低解像度、1200×1200ピクセルの標準解像度、1760×1760の高解像度の3つ。撮影した画像はSDメモリーカードかMMCカードで保存する。
●自動ホワイトバランスの調整具合が写真の仕上がりに大きく影響
ミニデジはピントは固定焦点で、露出、ホワイトバランスはカメラがすべて自動で行う。焦点距離は0.7mからで、最適な撮影距離は1mほど。撮影した画像はモニターで再生できるが、サイズが小さいため、「ピントが合っているか」「色味はどうなっているか」といったことはカメラだけでは正確にはわからない。そうした写真の詳細はパソコンに取り込んで初めて確認できる。
では、どんな写真が撮れるのか。ミニデジは「スナップや人物などをメモ代わりに記録するカメラ」(同)ということなので、まずはスナップ写真で、正月に初詣で訪れた神社の狛犬を撮影してみた。なお、今回の写真はすべて高画質モードで記録した。
少し距離をおいて狛犬全体が入るようにフレーミングしたことと、撮影した時間が昼で、光がよくまわっていたため、思っていたよりもピントが合い、露出も明るく、まずまずのきれいな写真を撮ることができた。
ミニデジは内蔵ストロボがなく、外部ストロボも使用できない。どちらかというと昼間の撮影を想定したデジカメだ。でもスナップ写真であれば街角の電飾などを夜に撮影することも少なくない。そこで、次はちょっと意地悪だが、夜間ではどれくらいの実力なのか、夜のイルミネーションを撮影してみた。
撮影した場所はイルミネーション自体は明るいが、周辺はかなり暗かった。こうした撮影条件だったため、シャッタースピードが遅くなり手ブレが起きてしまった。しかし、写真はイルミネーションに露出が合い、肉眼で見たのと同じようにきれいに写った。手持ちではなく、安定した場所にカメラをしっかり固定してシャッターを切れば、ピントが合った、さらにきれいな写真が撮影できただろう。
同じ被写体の場合は昼間と夜では写真にどんな違いがあるのだろうか?今度は街中のショーウィンドウを昼と夜で撮って比べてみた。
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まず昼間に撮影した写真(左)だが、カメラの自動ホワイトバランス調整がうまく働かなかったためか、太陽光の影響を受けて写真全体が青みがかった色になった。一方、ショーウィンドウの蛍光灯が光源になる夜に撮影した写真(右)は、少し緑がかった色になったものの、ほぼ適正に近いホワイトバランスで撮影できた。こうしてみると、ミニデジはホワイトバランスをガチガチに適正する合わせるのではなく、どちらかと言うと少し緩めに調整するカメラのようだ。
●明るい室内なら、人物撮影でもそこそこ使える
今回は人物写真も撮影してみた。取材で出席した発表会で新製品を紹介するモデルの人たちをミニデジで撮ったものだ。
※画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます
撮影したのは室内で、メインの明かりは蛍光灯だけ。今回は、夜のショーウィンドウの写真とは異なり、蛍光灯のグリーンかぶりの影響が写真全体に及んだ。理由はわからないが、同じ蛍光灯下でも状況によってはカメラのホワイトバランス調整がうまく働いたり、そうでなかったりするのかも知れない。
モニターのほぼ画面一杯にフレーミングしたため、距離が1mよりも近くなり、ピントがやや甘くなった。しかし、カメラの特性を考えると個人的には許容範囲。露出は人物写真としてはまずまずで、室内の撮影でもある程度の明かりがあり、高画質モードで撮影すれば、人物写真でもそこそこ使えると感じた。
●自分だけの写真を撮影し、確かめる楽しさが最大の魅力
このカメラの最大の魅力は「写真の仕上がりを確かめる楽しさ」。パソコンなどに取り込まなければ撮影した画像を正確に確認できないという点は、銀塩カメラで撮影したフィルムを現像に出して「どんな写真が撮れているか」と仕上がりを待つドキドキ感に似ている。
撮影する画像もピントが合った“カッチリ”としたものではなく、“ちょっとピンボケ”風写真。絵画でいえば、写実的なシャープな絵でなく、印象派のような、やわらかな絵の写真といえるだろう。
駒村商会では「今の高機能デジカメで撮るような『記録』の写真ではなく、ピントが合っていなかったり、色味がおかしくても自分だけの写真が撮れるのが、このカメラ」(同)と説明している。つまり、自分だけの味のある写真を撮れるのが、ミニデジの醍醐味ということなのだろう。
ミニデジの価格は3万9800円。個人的には非常に気に入ったのだが、「1台目のカメラではなく、あくまで趣味のカメラ」(同)としては決して安くはないと感じた。しかし、写真を撮影することを楽しめたり、自分だけの写真が撮れるという点に魅力を感じる人であれば、購入を検討してみる価値はあるカメラだといえるだろう。(WebBCNランキング編集部・米山淳)