06年「WebBCNランキング・ランキング」はデジカメと薄型テレビに人気集中
デジタル一眼と薄型テレビがブレイクした06年。デジタル製品全体にとっても1つの転換期ではなかっただろうか? 今年のトレンドを人気記事のアクセスランキングで示す「WebBCNランキング・ランキング」を見ながら、1年を振り返る。なおアクセス件数シェアは上位100位の総アクセス数に占める割合で計算した。
デジタル一眼と薄型テレビがブレイクした06年。デジタル製品全体にとっても1つの転換期ではなかっただろうか? 今年のトレンドを人気記事のアクセスランキングで示す「WebBCNランキング・ランキング」を見ながら、1年を振り返る。なおアクセス件数シェアは上位100位の総アクセス数に占める割合で計算した。
●一眼レフもデジタルが当たり前の時代へ
アクセス件数シェア3.4%で06年アクセス数のトップに輝いたのは[再編進むデジカメ業界、何がコニカミノルタを撤退に追い込んだのか?(06年01月20日)]だった。前日の19日にコニカミノルタが発表した、カメラ事業からの完全撤退のインパクトは大きかった。その要因をデータで探った記事ということもあり、数多く読まれる結果になったようだ。0.6%で56位の[ニコン、F6とFM10を残しフィルムカメラから事実上の撤退、デジカメに注力(06年01月12日)]でニコンが大きな舵切りをした直後であったことも大きかった。
年明け早々からカメラ業界が大きく動いた06年は、家電メーカーのデジタル一眼参入でも注目を集めた。0.88%で45位の[なぜ参入デジタル一眼? データで探る家電メーカーの思惑(06年06月22日)]では、そうした各社の目論見を紹介。特にコニカミノルタの「αマウント」を引き継いだソニーの動きは注目された。一時は1.38%で24位の[デジタル一眼戦国時代へ、「α」が崩したキヤノン・ニコンの2強体制(06年08月23日)]という状態で、7月にはソニーがデジタル一眼でいったんトップシェアを取ったものの、すぐにキヤノンが奪還。その後、1.65%で19位の[デジタル一眼10メガ決戦、週替わりで主役交代の序盤戦は「Kiss」に軍配(06年10月01日)]が上がった。
ところが、秋に中級モデルの「D80」や初心者向けの「D40」など、低価格路線のラインアップで勝負に出たニコン。この戦略が当たり[デジタル一眼価格競争勃発か? エントリーモデル拡大で突入する新たな局面(06年12月20日)]を迎えた。長らくキヤノンの後塵を拝していたニコンは、12月に入ってシェアを逆転。一方キヤノンは大ヒットしている「EOS Kiss Digital X」で迎え撃つも、その他のラインアップに勢いがなく、トータルのメーカーシェアで苦戦している状況だ。コンパクトデジカメに続いて、いよいよデジタル一眼レフも熾烈な戦いが繰り広げられることになりそうだ。
●価格下落と構造変化進んだ薄型テレビと、地デジ化進むHDD-DVDレコーダー
トリノオリンピックやワールド・ベースボール・クラシックとスポーツイベントが目白押しだった06年、特にサッカーワールドカップは現地に記者をドイツに派遣、[苦杯をなめた日本代表の陰で大活躍の日の丸PC、ドイツW杯現地レポート(06年06月14日)]として現地レポートもお届けした。
こうした状況で、最も活況を呈したデジタル家電といえばやはり薄型テレビだ。「家電はやっぱりテレビが中心」という声も聞かれ、店頭も盛り上がりを見せた。アクセスシェア2.36%で6位の[1年で3割安の薄型テレビ、激しかったW杯直後の値下げ攻勢でインチ4800円に(06年09月10日)]でもわかるとおり、価格の下落もあり、ますます買いやすくなってきたことも活況を支えている。
ただ、2.24%でランキング8位の[高くても売れるプラズマ、価格より「高画質」と「使いやすさ」がポイント(06年05月18日)]では、価格より品質を選ぶ傾向も徐々に見え始めている点をレポート。もちろん、より大画面にシフトしはじめているのも事実だ。昨年の年末は、シェア1.69%で17位の[今「買い」の大型液晶TVは32V型? 24%もの値下がりで一層お手頃に(05年12月01日)]なっていたわけだが、今年は若干傾向が異なっている。確かに最も売れている画面サイズは32型であることには変わりなく、価格もさらに下がっている。しかし、メーカーによっては32型クラスを「2台目の薄型テレビ」と位置づけているところもあり、リビングでの主戦場は40型クラスのひとまわり大きな薄型テレビに移りつつある。
一方HDD-DVDレコーダーは、次世代規格の一本化がならず、BDやHD DVDへの本格的な移行がいつ始まるかは依然として読めない状態だ。しかし、チューナーのデジタル化は着実に進んでいる。1.94%のアクセス率でランキング12位の[デジタル? アナログ? DVD-HDDレコーダー選び、この冬の大問題(05年12月20日)]で伝えたとおり、昨年の11月時点では約2割に過ぎなかった地上デジタルチューナー内蔵率(地デジ対応率)が、[姿を消し始めたアナログ機、世代交代前夜のHDD-DVDレコーダー(06年12月22日)]という状態にまで逆転。地デジ対応率は、ほぼ7割にまで高まった。この流れは、次世代機移行への序章ではないかと見られる。また各社が06年から投入しはじめた「リンク機能」は好評で、薄型テレビとレコーダーを中心とした市場が果たしてどうなるか? 07年の動向に注目したい。
●携帯オーディオに求められる次のステージ
05年に大ブレイクした携帯オーディオは、06年に入って販売台数が前年割れする月が続くなど、やや陰りが見え始めた。アップルがフルモデルチェンジしたiPodは、「iPod shuffle」のみだったこともあり、話題性という点でも物足りない1年だった。アクセスランキングでも、2.08%の9位に位置する[iPodブラック・ホワイト決戦、逆転に次ぐ逆転の末、軍配はどちらに?(06年06月20日)]が最高。秋以降のiPodの動きにしても、1.34%で28位の[首位でスタート新shuffle、しかし爆発的初動の05年iPod nanoには勢い及ばず(06年11月07日)]という状態だ。1万円を切る新shuffle投入の影響で、台数ベースでは05年水準をクリアしそうだが、金額ベースで上回ることができるかどうかは微妙だ。
一方、1.93%で13位の[携帯オーディオでソニー再起か?1年ぶりシェア20%奪還でアップル追撃へ(06年07月13日)]といったかたちで、国内メーカーがじりじりと追い上げている。各社で底流に流れるコンセプトは「パソコンレスでも使える」というもので、このところシェアを伸ばしている松下も同様。新しいユーザー層の拡大を狙っている。しかし、残念ながらアップルを逆転するような勢いはない。またマイクロソフトが、11月にアメリカで「Zune」を発売。無線LAN機能を搭載して楽曲を共有するという新しいコンセプトをひっさげて市場に参入した。携帯オーディオはそろそろ、こうした新しい視点を取り入れた「次のステージ」に移る時期に来ているといえそうだ。
●機能端末路線へと突き進む携帯電話を尻目に、07年の期待はパソコン
決済機能を持った携帯電話、いわゆる「おサイフケータイ」も一気に広まった。乱立する各社のサービスをまとめた[「おサイフケータイ」決済総まとめ、7つのサービスそれぞれの違いは?(06年04月18日)]は、25位で1.38%のアクセスを集めた。携帯電話での大きなトピックスは、やはりナンバーポータビリティ(MNP)の開始。0.39%で83位[NTTドコモ、「ソフトバンクに負ける料金プランは1つもない」と中村社長(06年10月27日)]など、ソフトバンクの戦略に関しては、さまざまな物議を醸した。
他方、年内に予定されていたWindowsの新バージョン「Vista」の登場が07年1月にずれ込んだこともあり、パソコン関連の記事は低迷した。最も読まれた記事は[今買うVista対応PC、お得なアップグレードのチェックポイントは?(06年11月15日)]だったが、1.37%で26位にとどまった。また、0.46%で65位だった[ソニー製バッテリー問題、その経緯とパソコンメーカーの対応は?(06年11月20日)]でまとめた、ノートパソコンのバッテリー問題も起こり、パソコンは全般的に苦戦を強いられた。
その上、66位で0.45%の[アスキー、「月刊アスキー」がパソコンから「卒業」、ビジネス誌へ転身(06年07月19日)]や、67位で0.45%の[さよなら「パソコン通信」、最後のサービスが19年の歴史に幕(06年03月30日)]のほか、55年間営業を続けてきたデパートが06年12月31日で閉店することが決まるなど、時代の節目を感じさせる出来事も多かった。
一方、[「アニメ」と「食」が自慢のIT拠点、新たなヘソ「秋葉原UDX」をぶらり(06年03月09日)]は0.94%で43位と健闘。05年のダイビルに続きオープンした秋葉原新名所のレポートだが、その後も再開発事業は着々と進んでおり、「アキバ」はさらに大きく変わりそうだ。そして07年の目玉はなんといっても「Windows Vista」の発売。1月には街全体が盛り上がることになりそうだ。その盛り上がりをどれだけ維持できるかは、07年のポイントの1つになるだろう。(WebBCNランキング編集長・道越一郎)
デジタル一眼と薄型テレビがブレイクした06年。デジタル製品全体にとっても1つの転換期ではなかっただろうか? 今年のトレンドを人気記事のアクセスランキングで示す「WebBCNランキング・ランキング」を見ながら、1年を振り返る。なおアクセス件数シェアは上位100位の総アクセス数に占める割合で計算した。
●一眼レフもデジタルが当たり前の時代へ
アクセス件数シェア3.4%で06年アクセス数のトップに輝いたのは[再編進むデジカメ業界、何がコニカミノルタを撤退に追い込んだのか?(06年01月20日)]だった。前日の19日にコニカミノルタが発表した、カメラ事業からの完全撤退のインパクトは大きかった。その要因をデータで探った記事ということもあり、数多く読まれる結果になったようだ。0.6%で56位の[ニコン、F6とFM10を残しフィルムカメラから事実上の撤退、デジカメに注力(06年01月12日)]でニコンが大きな舵切りをした直後であったことも大きかった。
年明け早々からカメラ業界が大きく動いた06年は、家電メーカーのデジタル一眼参入でも注目を集めた。0.88%で45位の[なぜ参入デジタル一眼? データで探る家電メーカーの思惑(06年06月22日)]では、そうした各社の目論見を紹介。特にコニカミノルタの「αマウント」を引き継いだソニーの動きは注目された。一時は1.38%で24位の[デジタル一眼戦国時代へ、「α」が崩したキヤノン・ニコンの2強体制(06年08月23日)]という状態で、7月にはソニーがデジタル一眼でいったんトップシェアを取ったものの、すぐにキヤノンが奪還。その後、1.65%で19位の[デジタル一眼10メガ決戦、週替わりで主役交代の序盤戦は「Kiss」に軍配(06年10月01日)]が上がった。
ところが、秋に中級モデルの「D80」や初心者向けの「D40」など、低価格路線のラインアップで勝負に出たニコン。この戦略が当たり[デジタル一眼価格競争勃発か? エントリーモデル拡大で突入する新たな局面(06年12月20日)]を迎えた。長らくキヤノンの後塵を拝していたニコンは、12月に入ってシェアを逆転。一方キヤノンは大ヒットしている「EOS Kiss Digital X」で迎え撃つも、その他のラインアップに勢いがなく、トータルのメーカーシェアで苦戦している状況だ。コンパクトデジカメに続いて、いよいよデジタル一眼レフも熾烈な戦いが繰り広げられることになりそうだ。
●価格下落と構造変化進んだ薄型テレビと、地デジ化進むHDD-DVDレコーダー
トリノオリンピックやワールド・ベースボール・クラシックとスポーツイベントが目白押しだった06年、特にサッカーワールドカップは現地に記者をドイツに派遣、[苦杯をなめた日本代表の陰で大活躍の日の丸PC、ドイツW杯現地レポート(06年06月14日)]として現地レポートもお届けした。
こうした状況で、最も活況を呈したデジタル家電といえばやはり薄型テレビだ。「家電はやっぱりテレビが中心」という声も聞かれ、店頭も盛り上がりを見せた。アクセスシェア2.36%で6位の[1年で3割安の薄型テレビ、激しかったW杯直後の値下げ攻勢でインチ4800円に(06年09月10日)]でもわかるとおり、価格の下落もあり、ますます買いやすくなってきたことも活況を支えている。
ただ、2.24%でランキング8位の[高くても売れるプラズマ、価格より「高画質」と「使いやすさ」がポイント(06年05月18日)]では、価格より品質を選ぶ傾向も徐々に見え始めている点をレポート。もちろん、より大画面にシフトしはじめているのも事実だ。昨年の年末は、シェア1.69%で17位の[今「買い」の大型液晶TVは32V型? 24%もの値下がりで一層お手頃に(05年12月01日)]なっていたわけだが、今年は若干傾向が異なっている。確かに最も売れている画面サイズは32型であることには変わりなく、価格もさらに下がっている。しかし、メーカーによっては32型クラスを「2台目の薄型テレビ」と位置づけているところもあり、リビングでの主戦場は40型クラスのひとまわり大きな薄型テレビに移りつつある。
一方HDD-DVDレコーダーは、次世代規格の一本化がならず、BDやHD DVDへの本格的な移行がいつ始まるかは依然として読めない状態だ。しかし、チューナーのデジタル化は着実に進んでいる。1.94%のアクセス率でランキング12位の[デジタル? アナログ? DVD-HDDレコーダー選び、この冬の大問題(05年12月20日)]で伝えたとおり、昨年の11月時点では約2割に過ぎなかった地上デジタルチューナー内蔵率(地デジ対応率)が、[姿を消し始めたアナログ機、世代交代前夜のHDD-DVDレコーダー(06年12月22日)]という状態にまで逆転。地デジ対応率は、ほぼ7割にまで高まった。この流れは、次世代機移行への序章ではないかと見られる。また各社が06年から投入しはじめた「リンク機能」は好評で、薄型テレビとレコーダーを中心とした市場が果たしてどうなるか? 07年の動向に注目したい。
●携帯オーディオに求められる次のステージ
05年に大ブレイクした携帯オーディオは、06年に入って販売台数が前年割れする月が続くなど、やや陰りが見え始めた。アップルがフルモデルチェンジしたiPodは、「iPod shuffle」のみだったこともあり、話題性という点でも物足りない1年だった。アクセスランキングでも、2.08%の9位に位置する[iPodブラック・ホワイト決戦、逆転に次ぐ逆転の末、軍配はどちらに?(06年06月20日)]が最高。秋以降のiPodの動きにしても、1.34%で28位の[首位でスタート新shuffle、しかし爆発的初動の05年iPod nanoには勢い及ばず(06年11月07日)]という状態だ。1万円を切る新shuffle投入の影響で、台数ベースでは05年水準をクリアしそうだが、金額ベースで上回ることができるかどうかは微妙だ。
一方、1.93%で13位の[携帯オーディオでソニー再起か?1年ぶりシェア20%奪還でアップル追撃へ(06年07月13日)]といったかたちで、国内メーカーがじりじりと追い上げている。各社で底流に流れるコンセプトは「パソコンレスでも使える」というもので、このところシェアを伸ばしている松下も同様。新しいユーザー層の拡大を狙っている。しかし、残念ながらアップルを逆転するような勢いはない。またマイクロソフトが、11月にアメリカで「Zune」を発売。無線LAN機能を搭載して楽曲を共有するという新しいコンセプトをひっさげて市場に参入した。携帯オーディオはそろそろ、こうした新しい視点を取り入れた「次のステージ」に移る時期に来ているといえそうだ。
●機能端末路線へと突き進む携帯電話を尻目に、07年の期待はパソコン
決済機能を持った携帯電話、いわゆる「おサイフケータイ」も一気に広まった。乱立する各社のサービスをまとめた[「おサイフケータイ」決済総まとめ、7つのサービスそれぞれの違いは?(06年04月18日)]は、25位で1.38%のアクセスを集めた。携帯電話での大きなトピックスは、やはりナンバーポータビリティ(MNP)の開始。0.39%で83位[NTTドコモ、「ソフトバンクに負ける料金プランは1つもない」と中村社長(06年10月27日)]など、ソフトバンクの戦略に関しては、さまざまな物議を醸した。
他方、年内に予定されていたWindowsの新バージョン「Vista」の登場が07年1月にずれ込んだこともあり、パソコン関連の記事は低迷した。最も読まれた記事は[今買うVista対応PC、お得なアップグレードのチェックポイントは?(06年11月15日)]だったが、1.37%で26位にとどまった。また、0.46%で65位だった[ソニー製バッテリー問題、その経緯とパソコンメーカーの対応は?(06年11月20日)]でまとめた、ノートパソコンのバッテリー問題も起こり、パソコンは全般的に苦戦を強いられた。
その上、66位で0.45%の[アスキー、「月刊アスキー」がパソコンから「卒業」、ビジネス誌へ転身(06年07月19日)]や、67位で0.45%の[さよなら「パソコン通信」、最後のサービスが19年の歴史に幕(06年03月30日)]のほか、55年間営業を続けてきたデパートが06年12月31日で閉店することが決まるなど、時代の節目を感じさせる出来事も多かった。
一方、[「アニメ」と「食」が自慢のIT拠点、新たなヘソ「秋葉原UDX」をぶらり(06年03月09日)]は0.94%で43位と健闘。05年のダイビルに続きオープンした秋葉原新名所のレポートだが、その後も再開発事業は着々と進んでおり、「アキバ」はさらに大きく変わりそうだ。そして07年の目玉はなんといっても「Windows Vista」の発売。1月には街全体が盛り上がることになりそうだ。その盛り上がりをどれだけ維持できるかは、07年のポイントの1つになるだろう。(WebBCNランキング編集長・道越一郎)